工廠。艦娘の建造や武器の開発、改修などを行うことができる泊地の重要施設がそこにあった。
「すげぇ……」
「こっちなのです」
電に促された先には人が入れるほどの大きさの2つのガラスケースが並んでいた。
「ここのパネルにさっきの、栄光の手?で触れてみてほしいのです」
「いいけど、こりゃいったい何なんだ?」
「艦娘の建造装置よ」
超常の存在である艦娘はどのように生まれるのか?
その答えがこれである、必要数を満たした「燃料」「弾薬」「鋼材」「ボーキサイト」と呼ばれる4種のエネルギー体を充填させて「提督」が「起動キー」を作動させることで発生する、らしい。
(何となくだけど昔見た人造魔族の培養槽を思い出すな)
あまりこの場に相応しいとも思えない印象のため、声に出さずにそう思うに留める。
「けど、俺はその提督ってやつじゃないし、大丈夫なのかそれ」
「司令官さんは異能の力を使えるらしいのです、横島さんのそれもきっと同じ力をもっているのです」
「期日になっても提督は着任しないし、艦娘同士じゃ建造できないしで困ってたのよ、ダメで元々なら試してみる価値はあるでしょ? 取り合えずの試しだから各エネルギーは最低値にしてやってみましょ」
ふんす、と興奮を隠せない様子の電に対してあくまで冷静に物事を見ている大井。
それならば、と言われた通りパネルに栄光の手をぺたりと押し付けてみる。と、同時に培養槽と思われるガラスケースに光が満ち、上部のデジタル表示に「00:20:00」という文字が刻まれた。
「すごいのです、成功なのです!」
「20分か、事前データ通りなら特型が初春型の子かしら」
それぞれに喜びを見せる艦娘二人とは裏腹に、横島は己の霊力がぐっと減る感触があったことに気が付いていた。
(なんだ? 霊力を吸われた……? この機械は一体……)
「横島さん?」
興奮気味の電にのぞき込まれて我に返る。
「ああ、いやなんでもないさ。これでOKなのか?」
「完成してみるまで分からないけど、一応は成功したと思うわ。あとはこの表示が0になるまで、20分くらい待つだけね。このままここに居てもなんだし、一度上に戻りましょう」
再び応接室に戻ってきた3人、口火を切ったのは電だった。
「横島さん、行く当てがないのでしたら臨時司令官さんとしてしばらくこの泊地に滞在されるのはどうなのです?」
「な!? 電、それ正気で言ってるの?」
「横島さんには司令官さんの素質があったのです、
「ぐっ、それは確かにそうなんだけど」
聞き捨てない言葉を拾った気がする。
「あのー、深海棲艦ってのはそんなに頻繁に来るんでせうか」
「いまはまだ、たまにイ級が紛れ込んでくる程度なのです」
イ級とやらがどれ位の強さなのかはかり知れないところはあるものの、5500トン級パンチを繰り出す大井でも油断をすれば苦戦することがあるという。
そんな危険地帯の傍にいて重要施設の重要人物となった際には、いの一番に狙われるのでは?
横島の灰色の脳細胞が警報を鳴らす。
と同時に、泊地全体に本物の警報が鳴り響いた。
「ちぃっ、噂をすれば、ね!」
はじけ飛ぶように駆け出していく大井と電の後を、慌てて追いかける横島であった。
建造で誕生した艦娘は…?
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吹雪
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叢雲
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曙
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響