ありふれた職業で世界最強に転生したと思ったら檜山だった件(再投稿版)   作:ホームズの弟子

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3話 結局死ぬ運命は変わらないかもしれない。

 脳内会議終了後、俺は早速行動を起こした。

 まずは中村の身の安全確保の為、この虐待について親に相談した。

 今世の母は、茶髪でウルフカット、俺の目付きの鋭さは母親譲りと思われるほどキリッした目付きで、美人というより、イケメンという言葉が似合う人だ。

 始めは、信じてもらえないかもしれないと思ったが、母親から「一回その子に会わせなさい」と言われ、後日家に連れてきた所、

 別の家の子供とは言え、母親だからわかるのか、中村を一目見た瞬間に優しく抱きかかえ「いつでも家に来なさい。ここには貴方をいじめる人なんていないからね」

 そう言って優しく頭を撫でてあげると、中村も母親の優しさに触れたからか、母の胸にうずくまりしゃくり声を上げながら泣いていた。

 母に、何故虐待の事が分かったのか聞いてみると

 

「目にクマが出来ていたし、抱きかかえた時にわかったのだけど、腕に自分でひっかいた様な傷もあったし、あまりに体が細いわ。多分あんまりご飯も食べれてないんじゃないかしらね」

 

「母ちゃん一瞬でそんな事までわかるんだ」

 

「何年親やってきてると思ってんのよ。それに、あの子が私を見た時に明らかに怖がったからあんたの話が確信に変わった感じね」

 

 俺の前世の母そうだったが、今世の母もとても立派な人みたいだ。

 親に恵まれている事に感謝しないとな。……今世も、もっと親孝行しないとな

 

「警察についてはこっちでやっとくから心配しない事。そんなことより大介」

 

「なんだよ?」

 

「恵里ちゃんの傍に居てあげなさい。それはあんたにしかできない事よ」

 

「わかっているよ。そんな当たり前の事言うなよな」

 

「言うようになったじゃない!それでこそ私の息子だ!」

 

「いってぇ!」

 

 母は、俺の答えに頷くと嬉しそうに俺の背中を叩き笑っていた。

 そんな姿を中村が見て一緒に笑っていた。

 やっぱり女の子笑顔じゃなきゃな!

 

 

 俺は俺で、そんな中村に自衛出来る為に防犯グッズを買ってあげたんだが、

 

「中村、誕生日も近いんだしこれあげるよ。最近何かと物騒だろ?」

 

「そんな……悪いよ僕なんかの為に……」

 

「中村に何かあったからじゃ遅いんだ!それに、この防犯ブザーなんて、一見犬のストラップにしか見えないし、これならいつでも持ち歩けるだろ?」

 

「えっ?本当だ可愛い……じゃあ大介に一つお願いがあるの」

 

「お願い?叶えられる範囲ならいいぞ」

 

「……名前。僕の事は名前で呼んで」

 

「えっ?」

 

 名前って事は、恵里で呼ぶって事か……いや、女の子を名前呼びは良いものなのか。

 前世で小学生の時に、女の子を名前で呼ぶことなんて、苗字が被っている子だけだったけどな。

 

「……だめ?」

 

 少したれ目の少女が上目づかいで、俺を見てくる。

 家で食事も取るようになってからか、出会った頃より健康的になり、可愛さの増していっている女の子の上目づかいに『断る』という文字が俺の中から消えた。

 

「いいや別に中村……じゃなかったな、恵里が良いなら俺も別に構わないさ」

 

「うん。僕は別に気にしないよ。それよりも大介……いつもありがとう」

 

「おう気にすんな、そんな事より遊ぼうぜ」

 

「うん!」

 

 俺は俺とて、役得でもある。

 こんな、可愛い女の子と遊ぶ事に嫌なことなんて一つもないし、仲良くなれば死亡フラグが無くなるなんて打算的な考えもあったが、恵里の笑顔の前にはそんな考えも次第に考えなくなっていった。

 同級生の子からは、何度かからかわれたが、気にせずに恵里とは交流を深めていき、いい流れとはやはりあるもので、母から恵里の親の問題は解決したとの事。

 親権は、恵里の父方の姉に移り、その家も俺の家の近所と言う事もありどんどんと俺たちは仲良くなっていった。

 

 

 

 しかし、この時の俺は知らなかった。

 自分が死亡すると言う――強制力を

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ある日、いつものように恵里と遊んでいたのだが、恵里が「駄菓子屋さんに行ってみたい!」との事で、スマホで調べたら近くにあるらしく二人で行ってみる事にした。

 その駄菓子屋の帰り道、無精ひげが生え、肩まで伸びきった手入れはおろか洗ってないであろう髪で、見た目は40代ぐらいの言い方は悪いが、怪しいおっさんが立っていた。

 君子危うきに近寄らずだなと思い、恵里を隠す様に前に出て違う道から帰ろうとすると

 

「……前のせ…で……」

 

 何か言ったかと思うと、その男はナイフを取り出し、こちらに向かって来る。

 とっさに、さっき買ったお菓子の入った袋を男の顔に投げつけ、恵里の手を引き逃げる。

 

「恵里!大丈夫か!」

 

「ぁ…あぁ……」

 

 恵里の様子を伺うが、この怯え切って泣きそうな表情……くそっ!どうやらアイツが例の……悔やんでも仕方ない。

 兎に角この状況をどうにかしないと!

 何か何か……!

 

「恵里!俺のあげた防犯ブザー持ってないか!」

 

「ぁ……うん!持ってるよ!」

 

 俺に呼ばれた恵里は、ハッとし表情を浮かべ、犬の防犯ブザーの栓を抜く。

 するとけたたましい、耳をつんざく程のサイレン音が響き渡る。

 流石は最新型、130dbは伊達じゃないな、こんだけでかい音ならきっと大人も気付いてくれるはずだ。

 俺がそう思っていると、目の前の男は、錯乱状態になったのか、声にならない声を上げ、ナイフを振り上げ、恵里に向かい走って来る。

 このままだとどうなるのか、そう思った時には行動していた。

 俺は、恵里の手を引き彼女の体を抱きしめ、とっさに男に背を向けた、その瞬間に背中に鋭い痛みが走った。

 

「きゃーーー!」

 

 恵里が叫ぶが、油断ちゃいけない。

 俺はそのまま恵里に抱き着いたまま、覆いかぶさるようにうずくまる。

 痛みが増していくのを感じるが関係ない。

 この子だけは助けないと……そう思っていると、周りが騒がしくなり、周囲を確認すると、ブザー音を聞きつけた人が警察を呼んでくれたのか、男が警官に取り押さえられていた。

 すると胸元から声が聞こえた。

 

「…せ…で、僕のせいで…………」

 

「何……言ってんだよ。恵里は何も……悪くないじゃ……ん」

 

 恵里が何やら、自分のせいでと呟いていたが何を言っているのやら

 俺は、彼女の頭を撫でながらきっぱりと否定する。

 すると恵里は、撫でている俺の手を自分の頬へ持っていく。

 

「…ほんと?だい…すけ……ぼくのこと………きらい……なってない?」

 

「当たり前だろ……ぶじ……で……よか……た……ほん……と……よかった……」

 

 あれ、目の前が霞んでいくような感覚。

 安心したせいか、急に目の前が……俺また死ぬのかな……また、親孝行出来なかったな……

 でも不思議と後悔は無い。

 だって目の前の女の子を守れたんだから

 そして俺は意識を手放した。

 




因みにネタバレになりますが、檜山(佐藤)は死んでません。
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