ありふれた職業で世界最強に転生したと思ったら檜山だった件(再投稿版)   作:ホームズの弟子

4 / 13
閑話 僕の運命の人

 あの雨の日の事を僕は絶対に忘れないだろう

 

 何もかもがどうでもよかった

 

 この世界に未練なんてない

 

 だからあの日死のうとした

 

 そんな時、(檜山大介)が僕の目の前に現れた

 

 ―――馬鹿野郎!死にたいのか!

 

 そうだよ、僕は死にたかった

 

 ―――何があったか知らないが、お父さんとお母さんが悲しむぞ

 

 僕の事を何も知らない彼の言葉に、思わず叫んだ。

 

 もう放っておいてくれって……でも彼はそんなこと気にせずに、僕の手を引いて歩き出す。

 

 その暖かい手の感触は、はっきりと覚えている。

 

 僕は、大介の手が好きだ。

 

 暖かくて、優しい彼の手が大好きだ。

 

 彼と出会ってから、僕の世界が変わり始めた。

 

 灰色で、色なんて無かった、大好きな父親が亡くなり、その責任は僕にあると言った母親、その母からつられてきた男。

 

 そんな僕を、心配してくれる、大介やそのお母さん達

 

 いつも傍に居てくれる

 

 僕の欲しい言葉をくれる

 

 一緒に遊んでくれる

 

 大介って、少女漫画とかも好きみたいで、一緒に読んで感想を言い合う

 

 きっと僕しか知らない大介の一面……そう思うだけで嬉しくなっちゃう

 

 そんなある日、僕の母親が警察に捕まった事を知らされた

 

 大介のお母さんが申し訳なさそうに僕に謝っているが、おばちゃんは何も悪くないから謝る必要なんてないよ

 

 そんな事じゃなくて、僕はどうなっちゃうの?

 

 もしかして大介と離れ離れになっちゃうの?そんなのやだ!

 

 やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ…………

 

 そんな心配も杞憂だった

 

 僕のお父さんのお姉ちゃんが新しいお母さんになるらしい

 

 なんと!新しいお母さんの家は大介の家の近所だったんだ!

 

 これからも大介と一緒……ずっと一緒……ふふ。

 

 僕はこんな幸せがずっと続くと思ってた、ずっと――

 

 ある日、大介と駄菓子屋さんの帰り道、いつもの様に、大介はさり気なくではあるが、車道を歩き僕を反対側へと誘導する。

 

 そんな些細な気遣いも僕は嬉しかったが、その日は急に僕の前へと行き別の道から帰ろうとする。

 

 僕は特に気にすることなく、大介についていくと

 

 ―――お前のせいで

 

 その声を聴いた途端、僕は目の前が真っ暗なった

 

 どうしてこいつが?

 

 大介が僕の手を引いて走ってくれるが、もうどうしたらいいのかわからない

 

 もしかしてこのまま僕達はこいつに……

 

 ーーー恵里!俺のあげた防犯ブザー持ってないか!

 

 大介の言葉にハッとして僕は、家の鍵に付けてある犬の防犯ブザーを取り出し、その栓を引き抜く

 

 とても大きなブザー音が響き渡り、あいつはオロオロとし始めた。

 

 よかったこれで助かるんだ。

 

 僕が胸を撫で下ろしたのも束の間、あいつはナイフを振り上げ僕に走って来る。

 

 呆然と立ち尽くしてしまった

 

 このままさっきまであった僕の幸せがなくなる

 

 すると僕の手を大介が引っ張り、あいつから僕を庇う様に体を強く抱きしめてくれた

 

 そして大介の体にあいつのナイフが背中に刺さった

 

 僕は叫ぶがもう時は巻き戻せない

 

 僕のせいで大介が傷ついた

 

 それなのに大介は、僕を抱きしめたまま、あいつに背を向けた状態で僕に覆いかぶさる様にその場に蹲った

 

 大介に嫌われる……そう思った瞬間、僕の頭の中に今まで味わった事にない絶望が広がる

 

 そんなの嫌だそんなの嫌だそんなの嫌だそんなの嫌だそんなの嫌だ

 

 ーーー何……言ってんだよ。恵里は何も……悪くないじゃ……ん

 

 心の声が漏れ出たのか、大介は僕も頭を撫でてくれながら、痛いのを我慢してるのがわかるが、僕に笑顔を向けてくれる

 

 本当!?僕の事嫌いにならない

 

 大介の手を掴みながら聞き返す

 

 ーーー当たり前だろ……ぶじ……で……よか……た……ほん……と……よかった……

 

 すると大介は、僕に倒れ込んできた

 

 大介死んじゃだめ!!

 

 僕は大声で助けを呼ぶ、すると近くに居た大人の人が救急車を呼んでくれたのかすぐにサイレンの音が近づいて来た

 

 病院に着くと、大介のお母さんとお父さん、僕の新しいお母さんが直ぐに来てくれたが僕は気が気じゃなかった

 

 新しいお母さんと大介のお母さんから抱きしめられながら大介の入った集中治療室前で待つ

 

 永遠とも思える時間が流れる中、中からお医者さんが出て来た

 

 大介は大丈夫ですか!僕はお医者さんに近づき尋ねると、お医者さんは笑顔でもうお友達は大丈夫だよと言ってくれた。

 

 病室に入ると大介は元気に寝息を立てており僕は、ベットの横に近づいた

 

 手を握ると大介の手はあの日と同じ様に暖かかった

 

 どうやらナイフはそこまで深く刺さっておらず、命に別状は無くてリハビリすれば後遺症も残らないだろうって……

 

 よかった、本当によかったぁ……僕は思わず泣き出た

 

 病室が明るくなるのを感じながら僕は、わかったんだ。

 

 ーーーきっとこうして、君と会えたのは運命って奴なのかもしれないだろ?

 ーーー運命って自分で言ってて恥ずかしくないの

 

 何が恥ずかしいだ

 

 僕は確信を持って言える!

 

 

 

 

 

 

 「運命って本当にあるんだねだいすけ♡」

 




なんだろう、再投稿前より恵里ちゃんの湿度が高いような?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。