ソシャゲで★5の冒険者   作:カイドウ(かいどう

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第1話

 

 

 

 

……今思えば、あの瞬間ほど“運命”を感じたことはなかった。

 

冒険者ギルドに戻ったとき、ざわめきが広がっていた。

あぁ、また誰かが探索者登録で高い魔力を測定されたんだろう。

そんなの、珍しくもない。

 

普段なら気にも留めなかった。

だがその時ばかりは、理由もなく足がそちらへ向かっていた。

 

いや──《理由もなく》ではない。

本能が、告げていた。

「世界が少し動く」ような、そんな気配を感じたのだ。

 

長年、死と隣り合わせで生きてきた冒険者としての第六感が、確かに警鐘を鳴らしていた。

 

ざわめきの中心では、まだ二十にも満たないだろう童顔の青年が、

Cランク冒険者『狂犬のダス』と対峙していた。

その足元には、気絶したダスの取り巻きが転がっている。

 

「お、おい……あいつ、さっきEランクって魔力測定されてなかったか?」

「ああ、間違いない。Eだった」

「EがCと戦えるわけねぇだろ!」

「止めろよ、誰か!」

「バカ言え、ダスに関わるのはごめんだ……」

 

耳に届く声に、思わず息を呑んだ。

 

EランクとCランク。

その差は、言葉にするまでもない。

Eは一般人に毛が生えた程度。

Cは、もはや人間離れした力を持つ。

 

魔力は生まれつき決まっていて、鍛えても増えない。

だから冒険者ギルドでは、EからSまでの魔力階級が存在する。

EがCに挑むなど、本来なら“無謀”以外の何ものでもない。

 

だが──童顔の青年は確かに戦っていた。

拙い動きながらも、着実にダスの体に傷を刻んでいく。

それでも、ダスの拳の一撃を食らうたびに青年はふらつき、息が荒くなる。

 

そして、ダスが拳を振り上げたその瞬間。

空気を裂くように鋭い声が響いた。

 

「貴方たち!!! ここは冒険者ギルドです!」

 

割って入ったのは、『こういう喧嘩が起こる時はこの受付嬢に頼むべし』と言われる凄腕受付嬢──カレンだ。

その眼光は、熟練の冒険者ですら怯むほどの鋭さを放っていた。

 

「冒険者ギルド法第十五条。ギルド内での暴行は禁止!

『狂犬のダス』、あなたには二週間の出禁を命じます!」

 

「……チッ、命拾いしたな、雑魚が」

 

吐き捨てるように言い、ダスは取り巻きを引きずりながら去っていった。

 

一瞬の静寂。

やがて、周囲にざわめきが戻る。

「EランクがCを押してたぞ……」「どういうことだあれ…」

興奮と困惑が入り混じった声が、ホールを包んでいく。

 

カレンはため息をつき、青年へ視線を向けた。

その瞳には、ほんの少しだけ興味の色が宿っていた。

 

「さて……貴方にも処分を下したいところですが、状況から見て防衛行動と判断します。

今回は厳重注意で済ませますが、次に同じことをすれば出禁──もしくはそれ以上です」

 

「……はい」

 

血の滲む口元で、青年は小さく笑った。

その笑みは、不思議だった。

何かを悟った者のようで、何も知らぬ子供のようでもある。

 

「は、はい……気をつけます」

 

声は弱々しい。

けれどその瞳は、確かに燃えていた。

静かに、確かに──“闘う者の光”を宿して。

 

「では最後に。事後報告のために、お名前をお伺いしても?」

 

青年は少し息を整え、微笑んだ。

 

「はい。僕の名前は──」

 

……俺は、この瞬間を一生忘れないだろう。

いずれこの世界に名を刻むことになる、その青年の名を。

 

──『カイト』です」

 

 

 

 

 システムメッセージ

 

チュートリアルクエスト

【『狂犬のダス』を退けろ】──達成。

 

報酬

経験値:24

レベルアップ しました

 

1 → 2

 

魔力量が5増加しました

 

20⇨25

 

獲得アイテム:《初心者の盾》【new】

 

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