アモスを新たに仲間に加えた求司、バーバラ、スラリンは、月鏡の塔での金策のおかげで装備もかなり充実してきた。
しかし、これから行くことになるアークボルトではさらにお金が必要になるため、求司は次にモンストルに行きたいことを提案した。
「えっ?あ、あの、あそこは、わ、私が以前住んでいたところでは…。」
アモスは自分のせいで住人に迷惑をかけてしまい、帰るに帰れなくなってしまったため、冷や汗が止まらなくなった。
「まあ、確かにそうなんですが、もうしっかりと理性を取り戻しましたし、それに町の人達もきっと許してくれると思いますよ。」
「ほ、本当…ですか?そ、それだと、いいんですが…。」
「もう過去は気にしないでください。それよりも未来のことを考えましょう。」
求司はあきらめることなくアモスを説得した。
「ねえ、キュウジ。どうしてそんなに行こうとしているの?」
「金策なら他の場所もあると思うんですが。」
バーバラとスラリンは彼がモンストルにこだわることが疑問で仕方なかった。
「実は以前、一覧表を作っている時、この辺りに出現するモンスターは1ターン休みがよく効くことに気づいたんだ。それに、お金をたくさん持っている踊る宝石も出るから、一度行ってみようと思って。」
求司は新たにまとめた一覧表を見せた。
1ターン休みに無耐性( )内はメダパニ系の耐性
・ヘルボックル (弱)
・フェアリードラゴン (強)
・ケダモン (弱)
・ヒートギズモ (弱)
・ダンスキャロット (弱)
・バットマジック (弱)
1ターン休みに弱耐性
・たまねぎマン (強)
・ダークホビット (無)
・オークマン (強)
・踊る宝石 (完全)
(※他にもいますが、編集でしぼりました。byうp主)
「というわけで、この辺りでは1ターン休みに耐性なしか弱耐性がずらりと並ぶから、結構有利に進められそうな気がしているんだよね。」
「ああ、なるほどね。これなら納得だわ。でも、キュウジが以前作ってくれた表には地底魔城もあったけれど、そこはどうなの?」
「あそこもほとんど同程度の耐性だし、命の木の実を持っているフレイムマンがいるから、熟練度が上がる間に行ってみたいんだけど、1ターン休み完全耐性のストーンビーストが出てくると厄介なんだよね。」
「あっ、あれね。場違いな強さを持っているから、あたしもそれだけは出会いたくないわ。」
バーバラは以前、守備力が高過ぎてこちらのダメージが通らず、しかも相手のベギラマ連発でKOという苦い過去があるだけに、納得せざるを得なかった。
「それならなおさらモンストルが良さそうですね。一緒に行きましょう。」
「ス、スラリンまでそ、そう言うのなら、い、行くことにしましょう。」
アモスは未だに動揺しながらも、やっと同意をしてくれた。
「それで、キュウジはどういうやり方で1ターン休みをするの?」
「これを使ってみるつもりなんだけれど。」
彼はポケットからスマートフォンを取り出し、当時高校1年生の自分が野球の夏の大会に出場した場面を流した。
『さあ、試合は6対6でタイブレークの延長10回表に入りました。ノーアウト1塁2塁の場面で、先頭バッターに代打です。出てきたのは背番号20をつけた野星求司君です。』
『ここは当然送りバントでしょうね。先攻ですし、どうしても点が欲しいところですから。』
『はい。左バッターボックスに入った野星君はすでにバントの構えをしています。』
『さあ、ファーストとサードがそれを見て前進してきましたが、うまく送ってほしいですね。』
解説者がコメントをする中で、求司は初球を3塁線にバントしたが、ファールになってしまい、思わず顔をしかめた。
バーバラ、アモス、スラリンにとって、野球は初めて見るスポーツのため、理解に苦しんでいたが、彼らはスタンドから大音量で聞こえてくるアメアメコイコイのチャンステーマとその応援の様子に興味を持った。
一方の求司は2球目、3球目を見送ってカウントを2ボール1ストライクにした後、牽制を2球挟んで4球目の時にバントの構えからヒッティングに切り替えた。
『あっと、バスターだ!たたきつけた打球は高いバウンドでサードの横を抜けた!ショートがバックアップに入って1塁に送球!きわどいタイミングですがセーフだ!これでノーアウト満塁!』
『これは意表を突きましたね。野星君、ナイス判断です!送りバント以上の結果を出しました!』
解説者達は興奮しながら手放しで求司をほめていた。
(この人達はこんなこと言っているけれど、その4球目のバスターは監督からのサインだから、意表をついたわけじゃないんだよね。それに、たたきつけたのはただのミスショットで、本当はレフト前ヒットを狙っていたって知ったら、みんなガッカリするだろうな…。)
求司は苦笑いをこらえながら過去の自分を見つめていた。
ちなみに彼は直後に代走を送られて交代になり、結果的にこれが最初で最後の大会出場だった。
「とりあえず、キュウジって走る以外にこんな競技も出来るのね。すごーい!」
「ど、どうも。でも、上には上がいくらでもいるし、それに僕はこの頃から右肩の痛みに悩まされていて、2ヵ月後に退部してしまったから、あまり誇れるわけじゃないんけれどね。」
求司は動画を停止した後、戦闘になったらこれを最大音量で流すことを打ち明けた。
「それは確かに使えそうね。何だかお客さんが大勢の助っ人に見えたから。」
「あっ、それもそうか。じゃあ、ぜひ使ってみようっと。」
バーバラの後押しを受けて、求司は正式に実戦で使ってみることにした。
その後、彼は熟練度稼ぎの足しにするために、口笛を吹くための練習を行うことにした。
そして、バーバラはいよいよベホマを覚えるための特訓を開始し、スラリンはレベルアップして最大MPが21になると即座に魔法使いに転職してメラミとラリホーを習得。アモスはもろばぎりとしっぷう突きの練習を始めた。
翌日。求司はレベル11になり、素の状態で最大MPが10になったため(最大HPは120)、ついに盗賊に転職可能になった。
彼はその職についた後、みんなでモンストルの町の前に降り立った。
「そ、それじゃ、私は今から、ゆ、勇気を振り絞って、町の人達に謝ってきます。み、みなさんも、どうか気を付けて。」
「分かりました。計画通りに行けばそんなに危険な戦闘にならないはずなので、心配しないでください。では、行ってきます。」
求司はそう言うと、アモスが町の中に入っていく後ろ姿を見守った。
そして、彼の姿が見えなくなると少し歩いたところで口笛を吹き、ケダモン2匹を呼び出した。
「じゃあ、今から早速例の動画を再生してみます。」
「では、僕は誘う踊りを披露したいと思います。」
「あたしも足ばらいの代わりにやってみよおっと!」
求司が大音量で高校野球のシーンを流すと、スラリンとバーバラは声を出しながらアメアメコイコイを踊りだし、相手の2度攻撃を封じて完全に1ターン休みにさせた。
(ヨシ!作戦大成功だ!これからジャンジャン使っていこう。)
求司が確かな手応えを感じていると、ケダモン達は突如毛皮のフードを取り出して、受け取るようにお願いをしてきた。
「えっ?本当に?そんなこと言って、まさかG-Backするわけじゃないわよね!」
「しません、しません。ボクちゃん達、素直に降参します!」
「だって下書きではこの後、メラミ2発で撃沈だったんですもの!」
「だから、どうか『命』はお助けください。」
「許してくれなきゃ、ホントにG-Backよ!」
ケダモンカップルの真剣な顔を見て、バーバラもそれ以上手出しすることはなく、彼女は毛皮のフードを受け取って正式に戦闘は終了となった。
次の相手はバットマジックとヒートギズモ3匹ずつだった。
「『ヒート』ギズモってことは、これが役立ちそうね。」
バーバラは先制でヒャダルコを発動させて早速退散させた。
続けざまに求司はまた大音量を流した。
「な、何だ?この騒々しさはっ!?」
「援軍だ!援軍に違いないぞ!」
「ど、どうすればいいんだ!?」
バットマジック達はビックリするあまりに腰を抜かしてしまった。
スラリンはその隙を見逃さず、やいばのブーメランで全員にダメージを与えた。
求司は次のターンでも大音量を聞かせ続け、すっかり戦意を喪失した相手は一斉に撤退をしていった。
この後は何度か連続でヘルボックルとフェアリードラゴンとの戦闘になったが、ここでも炎の1ターン休みに加えて、ヒャダルコとブーメラン攻撃であっさりと勝負がつき、求司は旅人の服と絹のローブを手に入れた。
すると、間髪入れずにダンスキャロット2匹が現れ、Aは不思議な踊りで求司のMPを奪い、Bはバーバラに通常攻撃をしてきたが、彼女はうまくかわした。
バーバラとスラリンはお返しとばかりにヒャダルコとブーメラン攻撃で即座に決着をつけたため、求司の出番は回ってこなかった。
次の相手は踊る宝石2匹で、Aが先制マホトーンでバーバラとスラリンの呪文を封じ込めた後、Bがルカナンで守備力を下げてきた。
(確かこの敵はメダパニ完全耐性でしたね。)
スラリンはとっさに誘う踊りを披露し、求司の大音量と合わせて次のターンでのノーダメージを確定させた。
そしてバーバラはヒャダルコを使ったが完全耐性だったため、今度は通常攻撃をAにたたき込んだ。
その後は求司が多少ダメージをうけながらもスラリンと協力して相手の動きを妨げ、バーバラが地道に攻撃をしてどうにか残りを1匹にした。
するとここでマホトーンが解除されたため、相手のギラに続いてバーバラとスラリンは連続でメラミをBにヒットさせ、ようやく決着がついた。
「やったーっ!どちらも宝石盛りだくさんだ!」
「これを売ればきっと大金が手に入るわね!」
「僕でもこうして役に立てて、うれしいです!」
求司、バーバラ、スラリンは袋を開けるなり大喜びだった。
しかし、ここで別の踊る宝石が雪辱とばかりに現れ、先制メダパニでバーバラとスラリンが混乱してしまったため、求司はとっさに逃げることを決断した。
幸い、踊る宝石はまわり込んでこず、戦闘終了を受けてバーバラとスラリンも正気に戻ったが、求司はいきなり走り出したことがあだとなり、痛みでその場に倒れ込んでしまった。
「イタタタ…。せっかくここまで左足を治したのに…。」
「キュウジ、ごめんね。あたし、今からベホイミを唱えるわ。」
「僕もごめんなさい。MPは1桁しかありませんが、ホイミを唱えます。」
正気に戻ったバーバラとスラリンは即座に呪文を唱えてくれた。
「大丈夫。メダパニをかけられたんじゃ仕方ないよ。とにかく無事でよかった。でも、この足じゃ今日の金策はここまでかな…。」
求司が痛みをこらえながら彼らをなだめていると、そこにホイミンがやってきた。
「あっ、みなさん、ここにいたんですね。こんにちは。」
彼は月鏡の塔でヘルホーネットの駆除に貢献してくれたことのお礼を言った。
「どういたしましてよ。あの時はあたしとキュウジが途中離脱しちゃったけれど、君達の目的を果たせて良かったわ。」
「こちらこそ、氷のやいばを貸してくれて本当に助かりました。でも、キュウジさんはどうしたんですか?また足を痛めたんですか?」
「はい、そうなんです…。イタタタ…。」
「じゃあ、僕も今から治療に加わります。」
ホイミンは早速患部にホイミを何度も唱え続け、MPが底をつくと持っていた祈りの指輪でMPを回復させて、また唱えてくれた。
治療が終わって求司がヨロヨロながらもどうにか歩けるようになると、ホイミンを含む一行は町の入り口でアモスと合流した。
「みなさん、お待たせしました。」
彼の表情にはどこか吹っ切れたようなすがすがしさが見られたため、町の人達に過去のことを許してもらえたことは明らかだった。
「良かったですね。これで、この町で再び寝泊まり出来ますよ。」
「キュウジさん、そうですね。町に入っていくまでは本当にビクビクしていましたが、それは全くの憂杞でしたね。」
「それは『杞憂』ですよ。とにかく、良かったですね。」
「はい。人生、酸味もうま味もありますが、みなさんと楽しんでいきたいです。」
アモスはまたセリフを間違えてしまったが、求司はそれ以上ツッコむことはしなかった。
そして、求司とバーバラは自分達の寝室があるダーマ神殿の宿屋に向かっていった。
一方のアモス、スラリン、ホイミンはモンストルで身かわしの服を買った後、ここで寝泊まりすることにした。
彼らはその後、町の人達と色々会話をかわし、その中でアモスとスラリンは住人からそれぞれもろばぎりとうけながしを教えてもらった。
求司とバーバラがダーマ神殿に戻ってから30分後。今度は武闘家のレック(はやてのリングを装備)、遊び人のハッサン、盗賊のミレーユ(星降る腕輪を装備)、魔法使いのチャモロ(ゲントの杖を所持)、僧侶のターニア(炎のツメといかずちの杖を所持)がこの場所にやってきた。
「ここで志朗さんからもらったホイッスルが火をふきそうね。」
「攻撃さえされなければ、魔法使いの私でも活躍出来そうです!」
「妹を守りながら戦うのは簡単じゃないけれど、やってやるぞ!」
「このツメがあれば私でもメラミが使えるから、役に立ってみせるわ!」
「おーい、みんな。8.2.8.2.って何だ?俺にも作れるのか?」
ミレーユはまだ左手をつり上げており、ホイッスル以外の行動が出来なかったが、その炎の1ターン休みで相手に隙を作りまくった。
そのおかげでレック達は本来なら「いばらの道だぜ」状態だったにもかかわらず、「楽ちんプレイ」も同然になってしまった。
「おのれ、人間め!大音量と踊りの次はこれで来たわけか!」
「何とかあのパツキンの笛を吹かせないようにしなければ!」
「でも、素早さで大きく劣る以上、どうしようもないです!」
「幸い、あのゴリマッチョが遊んでいるのが救いですが…。」
レック達によってコテンパンにされたモンスター達は最終的にお金とアイテムをスッカラカンにされたため、さんざんな1日になってしまった。
モンストル周辺に出現するモンスターは他にもいますが(※機種にもよります)、面接をした結果、いくつかカットさせていただきました。
・ようじゅつし(求司が面接を担当)
「あなたさんはすでにこの作品の第10話で出演しているため、申し訳ないですが、採用を見送らせていただこうと思います。」
「そうですか。無念じゃが、仕方ない。でもせめて、わしの娘を出演させてほしいのじゃが、いいかの?」
「いいでしょう。ドラクエ6の相手にも女性キャラが欲しいですし、女性のようじゅつしという形でいずれ出すことにします。」
・くさった死体(バーバラが担当)
「おれはスミスっていうんだ。どうか俺を出してくれ!そして仲間に加えてくれ!きっと頼りになるぜ!」
「でも、あんたが加わると、はがねのムチやグリンガムのムチを取られて、あたしの出番が無くなっちゃうから、却下させてもらうわ!」
「そんな、ひどい…。もう一度聞くぜ。俺を出してくれ!」
「ヤダ!絶対にヤダ!」
「そんな、ひどい…。」
・ホイミスライム(スラリンが担当)
「僕が敵役として登場し、スラリン君達と戦うなんて、何だか気が引けますね。」
「じゃあ、仲間として登場してくれますか?」
「えっ?いいんですか?」
「うん。お互い仲良くしていきましょう。」
「わーーい!ありがとう!」
・エビルポット(アモスが担当)
「あなたは1ターン休みに強耐性なんですね。」
「そう。多分、自分以外は全員無耐性か弱耐性だから、多少は脅威になると思うんだが。」
「でも、どの機種でも登場するわけではなさそうですし、話がややこしくなりそうなので、すいま1000ゴールドです。」
「そ、そんな…。」
(※その後、エビルポットは「あばよ!いい夢見ろよ!」と捨てゼリフを残して立ち去っていきました。)