アモスがモンストルの町で住人に会っている間、求司、バーバラ、スラリンは近くで金策と熟練度上げをした。
途中までは1ターン休みのおかげでほとんど攻撃を受けず、作業は順調だったが求司が足を痛めたため、彼とバーバラはアモスに会った後、ダーマ神殿に戻っていった。
(バーバラ達がホイミやベホイミをたくさん唱えてくれたおかげで足は回復しつつあったけれど、大きく逆戻りになってしまったな…。それに、知らず知らずのうちに左足をかばっていたせいか、右足まで痛くなってきたし、完治はまだまだ先になりそうだな…。)
自分の部屋にどうにかたどり着いた求司は、ショックを隠し切れないままベッドに横になった。
翌日。アモス、スラリン、ホイミンが求司とバーバラのところにやってくると、新たに購入した身かわしの服を差し出してきた。
「どうもありがとう。でも、僕はこの状態ではとても同行は無理だから辞退するよ。」
「えっ?でも、せっかく買ったのに。」
アモス達は求司の守備力を上げようとしていただけに、ショックを受けてしまった。
「本当にごめん。でも、ホイミンならそれを装備出来ると思うから、ぜひ使ってよ。」
「えっ?僕がですか?本当にいいんですか?」
「うん、頼んだよ。期待しているからね。」
「ありがとうございます!では、キュウジさんの分まで頑張ります!」
ホイミンは早速それを装備した。
「じゃあ、あたしは氷のやいばを君に貸してあげるわね。」
「バーバラさんまで、いいんですか?」
「うんっ!あたしはベホマを覚えるための修業に専念しようと思っているから、大丈夫よ。」
「ありがとうございます!では、通常攻撃やヒャダルコで頑張ります!」
ホイミンは武器を受け取ると、直後にメラミとラリホーをマスターし、次に盗賊に転職した。
そしてスラリンはバーバラから身かわしの服を受け取り、スライムの服の代わりに装備した。
その結果、彼らの装備は次のようになった。
・アモス … 破邪の剣、鋼の鎧、鉄の盾、鉄かぶと
・スラリン … やいばのブーメラン、身かわしの服、鉄仮面、おしゃれなバンダナ
・ホイミン … 氷のやいば、身かわしの服、貝がら帽子、祈りの指輪
次の金策スポットとしてバーバラのルーラで地底魔城の入り口に降り立ったアモス達は、彼女が再び飛び立っていくのを見届けた後、作戦を立て始めた。
「では、私はここで変身しようかと思います。」
「えっ?そんなことも出来るんですか?」
「あっ、はい。えっと、ホイミンさんはまだ見たことがないかもしれませんが、実は私…。」
アモスはそう言うと、早速モンストラーに変身した。
「こーーんなことも出来るんですよ!」
「わーーーっ!!」
初めてその姿を見たホイミンは、思わずビックリ仰天だった。
「アモスさん、お見事ですね。確かにその姿なら余計な戦闘を避けられそうですね。」
スラリンは全く驚く様子もなく、冷静だった。
「は、はい。そうなんです。というわけで、レッツラ・ゴーと行きましょう。」
「あっ、はい。分かりました。でも、途中で制御不能になったりしませんよね?」
「ホイミンさん、それは気にしないでください。まあ、多少ドキがムネムネしてますが…。」
「…ムネがドキドキ?」
「そうそれ。」
「まあ、とにかく、行きましょう。そしてたくさんのお金とアイテムを手に入れましょう。」
「はい。僕のブーメラン攻撃とホイミン君の通常攻撃で頑張りましょう!」
3匹(?)は気合を入れて城の中に入っていった。
少し進むと彼らはくさった死体に出会ったが、彼には敵対意識が感じられず、むしろあいさつをしてきた。
「よお、ホイミン、ホイミンじゃないか!久しぶりだな。」
「えっ?もしかしてだけど(×2)、前回ボツをくらったスミスさんじゃないの?」
「確かにスミスだが、ボツと言うのはやめてくれ!あの赤毛の嬢ちゃんのワガママでそうなっただけだ!」
「まあまあ。とにかく、久しぶりです。というわけで、スミスさん、こちらはアモスさん、そして彼がスラリン君です。」
「わ、私はアモスといいます。」
「スラリンです。よろしく。」
「そうか、よろしくな。それで、お前達は人間と接したことがあるよな?」
「あっ、はい。アモスさんもスラリン君もそうですが、それがどうしたんですか?」
「もしそいつらに会ったら伝えてくれ。ここにいるほとんどの連中はもう戦うつもりはねえってな。」
「分かりました。そう伝えておきます。でも、ほとんどってことは、まだ戦いを続ける者もいるんでしょうか?」
「ああ、そうだ。しかも、そいつは新たなボスを連れてきて、そろいもそろって独裁者のようになっちまったもんだから、手に負えなくなっちまってよお。」
スミスは自分達が本気で悩んでいることを打ち明けた。
「それは放っておけませんね。何とかしたいです。僕達は氷のやいばをはじめ、結構装備も充実していますし、協力をしてもいいですか?」
「ああ、ぜひ手を貸してくれ。今からメタルスライムのメタリンをはじめとする仲間のところに案内してやるからよお。」
スミスはそう言うと、早速城内の隠し部屋に案内してくれた。
それからしばらくして、今度はレック達が入り口付近にやってきた。
「それじゃみんな。今日はここで金策を頑張ろう。そしてお金をたくさん稼いで行こう。」
「確かにここが良さそうですね。他にはもうムドーの島や城しかありませんし。」
「あそこはもう2度と行きたくねえぜ。ムドーに2回もコテンパンにされたからよ。」
「私もおばあちゃんから提案されたけれど、絶対に首を縦には振りたくないわ。」
4人はあの時のトラウマを思い出しながらも、気合を入れて城内へと足を踏み入れていった。
(※ターニアは熱を出したため、炎のツメといかずちの杖をミレーユに渡した上で、マーズの館で休むことになりました。)
彼らは特にモンスターと戦闘をすることもなく、順調に奥へと進んでいった。
すると、ある場所でいくつかの石像が並んでおり、見るからに不気味な雰囲気が漂っていた。
「これらって、ストーンビーストに似ているわね。」
「確かにそうですね。出来れば素通りしたいですが。」
ミレーユとチャモロが小声で会話を交わすと、レックは持っている破邪の剣に手をかけ、いつ戦闘になってもいいように準備をした。
すると、ここでハッサンが1体の像のところに行き、あろうことか立ち○○○を始めてしまった。
「バカ!こんなところで何やってんだよ!」
レックが思わず大声を出すと、その像は石化を解除していった。
「わーーーっ!お前はまさか、…何ビーストだっけ!?」
ハッサンは大急ぎで用事を済ませてズボンを元に戻した。
「我こそはストーンビーストだ。またおろかな人間どもがやってきたか。ちょうどいい。お前らをギッタギタにしてやるぞ。そして、全アイテムを奪い、俺達がこの世界を支配するための足掛かりにしてやる!ハーッ、ハッハッハッ!」
ストーンビーストは威勢こそいいものの、足元が濡れているせいでレック達からすれば雰囲気台無しだった。
(とにかく、戦闘になるのは間違いないわね。ここは先手を取るわ。)
ミレーユはあらかじめ口にくわえていたホイッスルをフライング気味にふいてみたが、相手は完全耐性だったため、効果はなかった。
すると他の像も石化を解除し、結果的にストーンビースト3匹と戦闘をすることになった。
(この敵はベギラマが厄介でしたね。だったら、これで行きましょう。)
チャモロはとっさにマホトーンを唱え、運よく全員の呪文を封じた。
すると最初に石化を解除したAがハッサンに通常攻撃をたたき込んだ。
「わーーーっ!てめえ、かかったじゃねえか!」
思わぬハプニングに怒った彼はお返しとばかりにせいけん突きをヒットさせた。
その後はレックのグループ攻撃でAを倒した後、BとCが反撃とばかりにそれぞれハッサンとレックに通常攻撃を当てた。
次のターンではミレーユが炎のツメのメラミをBに当て、さらにレックがグループ攻撃をして残りを1匹にした。
そのCはハッサンを攻撃したため、彼はとっさに反撃をしようとしたが、足を滑らせて転んでしまい、ダメージを受けた。
それを見たチャモロは、とっさにゲントの杖で彼のHPを回復させた。
3ターン目になると、ミレーユはメラミを再度ヒットさせて、どうにか戦闘は終了した。
「ふう…。僕達は以前より強くなったとはいえ、やっぱり手強いな。」
「しかも、ホイッスル攻撃が効かないとなると、面倒ね。」
「また出てきた時に備えて、しっかりと対策を取りましょう。」
レック、ミレーユ、チャモロが話し合っている一方、ハッサンは自分のお尻をAに近づけて、ガス噴射の刑をお見舞いした。
その後、彼らがアイテム集めをしていると何度かストーンビーストと戦闘になり、どうにか勝利は収めた。
しかし、ミレーユが患部である両肩に攻撃を受けたために腕がほとんど動かせなくなり、戦闘に参加出来なくなってしまった。
「ごめんなさい…。私がこんな状態になったために、足を引っ張ってしまって…。」
「気にしないで。君はこれまでホイッスルで十分過ぎるほど活躍してくれたじゃないか。」
「でも、私がベホマを唱えても、このケガはすぐには治りませんから、これは撤退ですね。」
「まあ、仕方ねえか。他にリレミトが使える奴もいねえしよお。せめてバーバラがいれば…。」
4人は重い足取りで来た道を引き返していった。
その間、チャモロは何度もミレーユにベホマを唱え続けていた。
出口までやってくると、レックとハッサンは扉を開けようとしたが、どういうわけか押しても引いても扉は動かなかった。
「えっ?どうしてなんだ?来た時には普通に開いたのに。」
「誰かがムドーの時のように不思議な力でもかけたんじゃねえか?」
彼らが焦りの表情を浮かべていると、背後から不気味な笑い声が聞こえてきて、ホラービーストが姿を現した。
「フッフッフッ…。人間が罠にかかったか。ちょうどいい獲物が手に入ったな。」
その姿を見て、過去に散々な目にあわされたことがあるレック、ハッサン、そして呪文も特技も道具も使えないミレーユは思わず息をのんだ。
戦闘になるとホラービーストは即座にヘルビーストを呼び出し、しかも間髪入れずにメダパニダンスでハッサンを混乱させた。
そしてハッサンがチャモロにせいけん突きを当ててしまったため、魔法使いで最大HPが大きく減っている彼は気絶してしまった。
続けざまにヘルビーストはラリホーマを唱え、3人とも眠ってしまったため、彼らは一気に窮地に陥った。
もはやこれまでか!
そう思われた時、モンストラーに変身しているアモスやスラリン、ホイミン、そして彼らに協力を要請したスミスとメタリンが姿を現し、背後から一斉に不意打ちを食らわせた。
「何だお前らは!戦うのか?潔く俺達の言いなりになっていればいいものを!」
「向かってくるのであれば、たとえモンスターといえど、容赦はせぬぞ!」
ホラービーストとヘルビーストは先程と同じく、それぞれメダパニダンスとラリホーマの動作に入った。
(混乱されてたまるか!一度も練習したことがないけれど、これで封じてやる!)
彼らよりも先に行動したスラリンはぶっつけ本番で踊り封じを使い、見事にメダパニダンスを無駄行動にした。
しかし、次の瞬間ホラービーストがラリホーマを唱えたため、アモスとスラリンが眠ってしまったが、ホイミンはかろうじて持ちこたえ、スミスとメタリンは完全耐性だったため、無事だった。
そして彼らはすかさずレック、アモス、ミレーユをたたき起こした。
「おのれ!みんなで俺達に歯向かうのか!」
「ならば、全員木っ端みじんにしてやるぞ!」
怒ったホラービーストはツメ攻撃でレックに大ダメージを与え、ヘルビーストは高い声で仲間を呼ぶ行動に出た。
それに続いてレックは大きく息を吸い込み、アモスは噛みつき攻撃をホラービーストに浴びせ、ホイミンはMPを7消費してレックにベホイミを唱えた。
「メタルスライムさん、起こしてくれてありがとう。でも、私はとても戦えないから、これらのアイテムを使ってください。」
「えっ?いいんですか?」
「ええ。頼んだわよ。」
「ありがとうございます!私、遠慮なく使わせていただきます!」
メタリンは即座に炎のツメといかずちの杖を受け取り、後者をスミスに渡した。
(※メタリンはメスという設定にしてみました。)
一方、ホラービーストとヘルビーストは仲間のヘルビーストとストーンビーストが現れないことが気になった。
「な、なぜだ?なぜ誰も現れぬ?」
「一体あいつらに何があったんだ?」
彼らが不思議に思っていると、スミス達が前者を、レック達が後者をすでに倒したことを打ち明けた。
「というわけで、援軍は来ませんよ。」
「どうかおとなしく降参してください!」
「そして、2度とここに来ないでほしいわね!」
レック、アモス、メタリンをはじめ、みんなは鬼のような形相でにらみつけた。
「誰が降参などするものか!俺達はムドーに代わって世界を侵略するのだ!」
ホラービーストは明らかに動揺しながらも、ヘルビーストとともに歯向かってきた。
(それなら仕方ない。全力で倒すまでだ!)
レックは覚悟を決めると、強烈な通常攻撃をホラービーストに浴びせ、続いてアモスは再度噛みつき、スミスとメタリンはハッサンとスラリンをたたき起こした。
一方のヘルビーストは冷たい息でメタリンを除く全員にダメージを与え、ホラービーストはアモスにツメ攻撃をしたため、ホイミンが彼を回復した。
(ここはもう遊んでいる場合じゃねえ。迷惑をかけた分を取り返してやるぜ!)
これまで遊びが目立っていたハッサンはホラービーストにせいけん突きをヒットさせて、ようやく倒すことに成功した。
すると、残ったヘルビーストは突如ビーストモードを発動させてきたため、危機感を感じたレック達はみんなで総攻撃を浴びせてHPをかなり減らした。
一方、ヘルビーストはラリホーマを2回唱え、スミスとメタリン以外の全員を眠らせた。
「こうなったら、俺達で攻撃するしかねえな。」
「ええ。起こしている時間もなさそうですもの。」
スミスとメタリンは腹をくくると、いかずちの杖と炎のツメを道具使用することにした。
一方のヘルビーストは冷たい息を2度浴びせてきたため、メタリン以外のHPがどんどん減っていき、スラリンとホイミンが危険な状態になった。
しかし、次のターンでの行動がルカナン2回だったため、幸い誰もKOされずに済んだ。
メタリンとスミスはその隙をついてメラミといかずちの杖の炎を浴びせ、ようやく戦闘は決着がついた。
戦闘終了後は表の扉が開いたため、レック達は無事に城の外に出ることが出来た。
スミスとメタリンは彼らにお礼を言おうとしたが、ミレーユとチャモロを即座に治療をしなければいけない状態だったため、レックはとっさにルーラを唱えてハッサン達とともに飛び立っていった。
そのため、お礼はアモス達が受けることになった。
「今回は本当に助かったぜ。この恩は忘れねえからな。」
「良かったら、何かアイテムを持っていってください。」
「スミスさん、メタリンさん、いいんですか?」
「ああ、いいぜ。」
「どうぞ、遠慮なく。」
「ありがとうございます!」
ホイミンはみんなを代表してお礼を言った。
そして彼らは再びアジトへと入っていき、お金に加えてただの布切れ3つ、ブーメラン、鉄のツメ、魔法の聖水、石のオノ3つ、命の木の実、踊り子の服を手に入れた。
(その中で、命の木の実は後にバーバラの手にわたることになりました。)
「これでまた新たなアイテムが買えるといいですね。」
「うん。僕もやいばのブーメランが欲しいですし、今から行きましょう。」
スラリンとホイミンは期待に胸を弾ませながら、人間の姿に戻ったアモスと一緒に買い物に向かっていった。
一方、ダーマ神殿の宿屋では、MPを使い切るまで回復呪文を唱え続けたバーバラが、求司と手をつなぎながら2人並んで椅子に座っていた。
(キュウジと一緒にいると、本当に幸せな気持ちになるなあ…。でも、彼の足が完治したら、あたし達どうなるのかなあ…。)
(正直、こんなドキドキの気持ちになるのは良くないよね。だって、僕とバーバラは住む世界が違う人同士なんだから…。)
2人が一緒にいられることは、いずれ新たな苦しみを連れてくることも意味していた。
彼らはそんな不安を感じながらも、お互いの顔を見ながら微笑みあっていた。