You're my hero   作:地球の星

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19. みんなの気持ち

 旅人の洞くつにやってきたレック、ハッサン、ターニアは、奥深くの場所でバーバラに鉢合わせした。

 以前から彼女に会いたいと思っていた彼らは声をかけようとしたものの、思わぬ状況で混乱状態になったバーバラがリレミトを唱えて外に脱出したため、それが出来なくなってしまった。

「バーバラさん、どうして…。手紙、読んでくれなかったの?」

「何だよ。俺達はもうあんな目には合わせねえって誓ったのに。」

「もしかして、もうバーバラとやり直せないということなのか?」

 ターニア、ハッサン、レックは仲直りが一筋縄にはいかないことを実感させられていた。

 彼らがバーバラ達のいたところにやってくると、そこには1枚の紙が落ちていた。

 その紙を開いてみると、そこにはムドー討伐前における彼女の悔しい気持ちがつづられていた。

(※内容は後書きで。)

 それを読んで、レック達はますます申し訳ない気持ちになってしまった。

 一方、アモスは動揺している3人に声をかけて、これからは自分がチームに同行しながら、バーバラとの仲介役になることを告げた。

「えっ?それは本当ですか?」

「はい、レックさん。私はこれまでバーバラさんと行動を共にしてきましたから、彼女のことはしっかりと理解しています。」

「では、ぜひ僕達にその気持ちを教えてください。」

「分かりました。後で包み隠さずに話すことにしましょう。でもその前に、私をみなさんの仲間に加えてくださいますか?」

「どうも、すいま1000ゴールド。」

「ごめんね、素直じゃなくって。」

「ダメだぜ~。ダメダメ。」

「そんな、ひどい…。」

 レック、ターニア、ハッサンの発言を受けて、アモスは途端に涙腺ウルウルになった。

「なーんてね。ビックリしたでしょ?」

「本当の答えは『はいよろこんで』よ。」

「何だ~。それは良かったです。って、こんな時に変な冗談はやめてくださいよヤダーッ!」

 アモスは苦笑いを浮かべながらも、仲間に入れてもらえたことを知ってほっとした。

 すると、かたわらにいたハッサンはかつて自分が真実を話してしまったことを思い出したため、即座に謝罪を始めた。

「それは気にしないでください。私は大丈夫です。あれから自分で理性のタネを手に入れて…。」

 彼はそこまで言うと即座に変身し、モンストラーの姿になった。

「こーーんなことも出来るようになったんですよ!」

「わあーーーっ!!!」

「キャーーーッ!!!」

「ぎょえーーーっ!!!」

 レック、ターニア、ハッサンはそれを見て、思わずビックリ仰天だった。

 しかし、アモスが実力に加えて面白さを兼ね備えた人だと知ると、彼らは喜んで仲間として迎え入れた。

 

 その後、4人はもぬけの殻になった洞くつを引き返していった。

 その中でレック達はバーバラの近況について詳しく知ることが出来た。

「そうか。バーバラは別世界から来たキュウジという人が率いるチームに加わったわけか。」

「そして、転職を通じて攻撃役、回復役、補助役と幅広く活躍出来るようになったのね。」

「まるで以前とは別人だぜ。俺達はそこまでの可能性を秘めた人をクビにしたわけか…。」

「とはいえ、転職のやり方次第ではあまり有用とは言えない職業ばかりにつかされて、ルイーダの店にも送れず、ほとんど能力も発揮出来ないまま、完全に馬車に缶詰めにされてしまうこともあるそうですよ。ですが、チームの監督をしているキュウジさんの采配のおかげで、バーバラさんはチームの主力になったんです。」

 彼らはバーバラの活躍ぶりを聞いてうれしくなった半面、ますます申し訳ない気持ちが込み上げてきたため、余計に彼女に会ってこれまでのことを謝りたくなった。

「でも、僕達を見た途端、逃げ出すようにリレミトを唱えたってことは、もう…。」

「そうね…。ここまで悔しい思いをしてきた以上、やり直したいと言ってくれるか…。」

「今、ミレーユとチャモロが別行動中だから、ぜひとも戻ってきてほしいが…。」

「あっ、言われてみれば、確かにミレーユさんとチャモロさんがいませんね。どうしたんでしょうか?」

 アモスの質問を受けて、レックはミレーユが療養中のため、そしてチャモロが体を鍛えるために離脱中であることを告げた。

「というわけで、私は今、ゲントの杖と炎のツメを持たせてもらっています。それに、ミレーユさんからホイッスルを貸してもらって、実戦で1ターン休みが出来るように練習をしているんです。」

 ターニアは全ステータスがバーバラよりも低い上に武器が少ししか装備出来ず、通常攻撃をしてもかわされてばかりで、特技も不合格だらけのため、事実上ホイミ、ニフラムと道具使用でしか役に立てなかった。

 そのため、ムドー討伐以前の考え方では間違いなく戦力外だったが、もう同じ過ちは繰り返さないというレック達の配慮もあって、チームに帯同し続けられていた。

「それは良かったですね。バーバラさんもきっとどこかであなたを応援していますよ。」

「はい…。でも、私は彼女よりも圧倒的に弱いですし、お兄ちゃん達のお情けで同行しているようなものですから…。」

「それでもいいじゃないですか。ホイミが使えるってことは、移動中に回復役になれるんですから。それを前向きに考えましょう。」

「そうですね…。では、そう考えることにします。アドバイスありがとうございます。」

 ターニアはまだ自分に自信が持てずにいたものの、アモスのおかげで少しは気持ちが前向きになった。

 

 次に近況を話したのはハッサンで、彼は遊び人をマスターするまで転職禁止(無職もダメ)というしばりを受けている状態だった。

 その影響でステータスが軒並み低下している上に、装備はムドー討伐時に身に着けていた鋼の剣、鋼の鎧、鉄の盾、鉄かぶと、金のブレスレットのまま更新してもらえない状況だった。

(※ムドーの城の宝箱にある鉄仮面は未回収です。)

「これじゃ思うような活躍は望めねえし、さらに俺は呪文を一切覚えていねえから、ホイミタンクにすらなれねえんだ。正直、早くマスターしてこんな職業とオサラバしてえんだが、皮肉にもレベルアップしたら熟練度が上がりにくくなっちまってよお。下手にこれ以上レベルを上げたら、いつまでたっても遊び人のままになるかもしれねえから、どうすりゃいいんだって状況なんだ。」

 彼はムドー討伐までは常に腕力に物を言わせて活躍をしていただけに、それ以降の転落ぶりが余計に痛々しかった。

「これはまさにドラクエ6を『いばらの道だぜ』でプレイしている感じですね。」

「やめてくれ!俺としてはうp主に抗議してえんだからよ!」

 アモスからのメタいツッコミを浴びてしまい、ハッサンは額から汗がにじみ出てきた。

(※参考までに言いますと、ハッサンはここに来るちょっと前にレベル24になりました。そうなるとSFC版とDS版ではムドーの島、ムドーの城、一部の海上、カルカド以降、旅人の洞くつ、アークボルトに行かないと熟練度が上がらなくなります。しかし、旅人の洞くつではエンカウントが無くなり、アークボルトではテリーが大暴れした影響でモンスターが撤退してしまいました。)

 

 次にレックは自分の近況を話すことになり、彼は転職解禁後、戦士と武闘家を掛け持ちしながら活動しており、いずれはバトルマスターに就きたいことを話した。

「何だか、あなたが1人で懸命にチームを引っ張っているようですね。」

「はい、そうです。正直大変ですが、やるしかありません。それがバーバラに対する償いですから。」

「そうですか。でも、あまり自分を責めるような言い方をしないでください。あなたがつらくなるだけですから。」

「そんなこと言っても、僕、バーバラを…。」

「彼女のことなら心配いりません。キュウジさんに出会ってから心の傷もいえていったようで、すっかり明るさを取り戻しましたよ。そして、彼女はあなた達がためた3000ゴールドを受け取ってくれて、そのお金で魔法の盾を買いましたよ。」

「えっ?本当ですか?」

「はい。ですから、もうこれ以上心配しないでください。私はこれから双方を行き来しながら、お互いの気持ちをしっかりと伝えていきます。きっと仲直りをさせてみせますよ。」

「ありがとうございます!アモスさん、どうかよろしくお願いしますっ!」

 レックは精いっぱいの感謝をしながら深々と頭を下げた。

 それを見ていたターニアとハッサンも頭を下げた。

 

 その頃、ゲントの村ではチャモロが自分にベホマを何度も唱えて目の治療をしていた。

 するとそこにセリーナがやってきた。

「チャモロ、ほらメガネだ。戦闘中に外れないようにしてやったぜ。」

「ありがとうございます!」

 チャモロはメガネを受け取ると早速かけてみた。

「確かにこれなら顔にムチ攻撃を受けても大丈夫そうです。セリーナさん、重ねて本当にありがとうございます!」

「それなら良かった。では、今から早速走り込みをするぞ。」

「えっ?今からですか?」

「そうだ。コーチを引き受けたからには、厳しくいくぞ。さあ、来い!」

「は、はい…。」

 チャモロはセリーナの気迫におされる形で彼女と走り込みを開始した。

 しかし、彼は魔法使いの状態だったためにすぐバテてしまい、途中でその場にへたり込んでしまった。

「オラオラ、どうした!そんなんで戦力になれるか!」

「すみません、セリーナさん。でも、この職業ではさすがに限界があります。私はすでにルーラを覚えていますし、ダーマ神殿に行って転職をしてきてもいいですか?」

「そうか。いいだろう。行ってこい!そして、通常攻撃でも戦力になれる職業になって戻ってくるんだぞ!戻ってきたら走り込みの続きと、いかずちの杖での素振り200回だ。いいな!」

「はい、分かりました!」

 チャモロは了解をすると即座にルーラを唱えて飛び立っていった。

 

 彼は神殿に到着すると武闘家に転職し、即座に呪文を唱えてゲントの村に向けて出発した。

(何としても、呪文以外でも活躍出来るようにならなければ。思えば、アークボルトでサラさんと勝負した時、私はマホトーンにかかった途端に圧倒的不利な状況に立たされてしまった。あの時は彼女が兵士の情けを見せてくれたから助かったものの、そうでなければ間違いなく滅多打ちだった。そうならないためにも、別の攻撃手段を身につけなければ。)

 そう自分に言い聞かせながらゲントの村に戻ってきた彼は即座にトレーニングを再開し、その日は徹底的に体を鍛え続けた。

 

 一方、肩の治療中であるミレーユは世界を移動するアイテムを使用し、蕨安奈のもとにやってきた。

 安奈は最初こそ突然の訪問者に驚いていたものの、兄の丈二とボーイフレンドの志朗が彼女に会ったことをすでに知っていたため、喜んで家の中に入れてくれた。

 彼女は食事を作ってミレーユに提供した後、求司の近況について心配そうに問いかけた。

「心配いりません。おばあちゃんの話では、バーバラがホイミやベホイミを唱えて彼の足を治療した結果、旅に同行出来るまでに回復しましたよ。そして主に1ターン休みを駆使しながら監督兼任で戦力にもなっているそうです。」

「それなら良かったわ。正直、無事でいるのかハラハラしていたから。でも私としては安全第一で行動してほしいわね。」

「きっとバーバラがそうしてくれると思います。そして私が彼らに出会えた時には、必ずお守りしたいと思います。」

「分かりました。ぜひお願いします。それで、ミレーユさんは今回、どのような用件でここに来たのですか?」

「実は、ホイッスルがもう1つ欲しいんです。」

「ホイッスルですか?」

「はい。私が実戦で使ったら思った以上の効果を発揮して、相手の攻撃頻度を大幅に減らせたんです。そうしたらターニアが使いたがるようになったため、彼女に渡したんです。」

 ミレーユは自分の両肩に不安を抱えているために武器も盾も装備出来ず、通常攻撃やほとんどの特技、そして呪文さえも使えないため、現時点では道具使用でしか役に立てないことを打ち明けた。

「これではバーバラに言った『弱過ぎて役に立たない。』、『戦力外』という言葉がブーメランになってしまいます。彼女に深い傷を負わせておいて言うのもなんですが、自分がこうなるのは耐えられません。そうならないために、どうしてもみんなの役に立ちたいんです。」

「そうですか。つらい思いをしたんですね。でも、正直な気持ちを打ち明けてくれてありがとう。私でよければいくらでも相談に乗りますので、遠慮しないでくださいね。」

「いいんですか?アンにこんなことを言っても。」

「いいんです。私はこれまで兄さんと志朗の仲介役として、お互いの気持ちや悩みなどを色々聞き、私なりの考えを踏まえた上でアドバイスをしてきました。その結果、けんかやいざこざがあっても仲直り出来ましたし、後に2人は心から信頼しあえる関係になって、切磋琢磨して、求司をはじめとするチームメイトの実力を底上げして、全国大会出場へと導いたんですよ。」

 安奈はその大会こそ残念な結果になったものの、チームがそこまで強くなることに一役買えたことが自分の誇りになっていることを話した。

「では、私もアンのようになりたいです。ここにいられる間にあなたから色々なことを学び、必要なアイテムを持って元の世界に戻りたいです。」

「分かりました。ぜひ色々話し合いましょう。それでは早速今からホイッスルを買いに行くことにしましょうか?」

「はい、よろしくお願いします。」

 ミレーユの同意を受けて、安奈は早速彼女を連れて出発していった。

 

 その頃、日本にいる丈二と志朗はというと…。

「ハーックション!」

「ヘーックション!」

「あれ?志朗も僕とほぼ同時にくしゃみですか。」

「誰か僕達のうわさでもしているんでしょうか?」

「もしそうだとすれば、一体誰なんだ?」

「まさか、監督の妹だったりして?」

「いや、ミレーユかもしれないぞ。」

「そんなわけないでしょう。」

 2人が会話をしていると、続けざまにスマートフォンに着信が入ったため、彼らは早速それをチェックした。

 するとそこには安奈とミレーユが笑顔でピースサインをしている写真が送信されていた。

「まさか本当に!?」

「アン、マジかよ!?」

 丈二と志朗は思いもよらないものを見て、ただただビックリするばかりだった。




 冒頭でレック達が読んだ紙に書いてあった内容は次の通りです。
 なお、バーバラ達がなぜこのような詞が書かれた紙を持っていたのかについてはツッコまないでください(汗)。
 ついでに言いますと、書いた時はもっと長い作品でしたが、何だか恐れ多かったので、短くしました。


 タイトル:暗闇

 今日もバトル 目指すのは
 打倒ムドー
 あの4人 いつもスタメン
 あたし 馬車の中

 誰かが倒れても
 見向きもしてくれない
 あたしが見えないの?
 すぐそばにいるのに

 武器はまだ いばらのムチ
 聞こえる声は
 弱過ぎる 役立たず
 もう 耐えきれない

 あたしは飛んでいく
 ルーラの暴走で
 世界を救っても
 あたしはそこにいない

 暗闇に染まった このあたし
 支えてくれる人は もういない
 もう2度と 戻らない この場所に
 幸せに 過ごしてね さようなら
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