You're my hero   作:地球の星

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2. ムドー討伐 ~それでも旅は終わらない~

 バーバラがゲームの世界を飛び出してしまった後、レック、ハッサン、ミレーユ、チャモロの4人は、装備を整えてからムドーの島に乗り込んでいった。

 しかし、ザコ敵との戦闘で予想以上に消耗してしまったため、一旦撤退を余儀なくされた。

 その一方である程度お金もたまり、チャモロが装備していたチェーンクロスを下取りすればモーニングスターが買える状態になったため、ゲントの村の武器屋で早速購入し、彼らの装備はその時点における最強状態になった。

 そして、宿屋で一晩過ごした後、再度ムドーの本拠地へと再度突入していった。 

 

 現地に乗り込んだレック達は後戻り出来ない恐怖に加え、次々と襲い掛かる強敵に苦戦しながらも、何とか歩を進めた。

 もう少しでムドーのいるところまでやって来た時、ハッサンはこれまで練習を重ねてきたせいけん突きをマスターし、さらに宝箱から炎のツメを手に入れたため、これで一層攻撃手段を強化出来た。

「みんな、いよいよだね。ここまで来た以上、後はやるしかない。使えるだけの対策を取って、最終決戦に備えよう!」

「そうですね。では、これまで私が使っていたゲントの杖はレックさんに渡しましょう。」

「どうもありがとう。それじゃ、代わりに炎のツメはチャモロに渡すことにするよ。回復だけでなく、攻撃面も頼んだよ。」

「分かりました。ここのボスを倒せば世界が救われるわけですから、私も全力を尽くします!」

 レックから攻撃の要になりそうなアイテムを受け取ったチャモロは、恐ろしいまでのプレッシャーを感じながら、今まで以上に気合を入れた。

 そしてこれまでみんなが持っていた薬草やアモールの水はハッサンが全持ちすることになり、彼も回復役になれるようにした。

 

「よく来たな。正直、待ちくたびれていたぞ。だが、これがお前達の人生最後の日だ。もはや2度と復活出来ぬよう、永遠の闇をさまよう状態にしてやるぞ!」

 ムドーはかつてレック達に勝っているだけに、自信満々に高笑いをしていた。

「そうはさせない!お前のせいで世界がどれだけの脅威にさらされてきたか!」

「ああ。俺達をあんな目にあわせたことは絶対に忘れてねえからな!」

「今度は私達が引導を渡してやるわ!覚悟しなさい!」

 レック、ハッサン、ミレーユは大きな因縁を抱えていることもあり、鬼のような表情だった。

「まあ、そんな怖い顔をするな。戦闘前に、わしから一つ提案がある。」

チャモロ「どんな提案ですか?」

「もしわしの味方になるのであれば、世界の半分をそなた達にやろう。」

ミレーユ「世界の半分?」

「そうだ。悪いことではなかろう。さあ、どうする?わしに協力をするか?」

 ムドーは途端に親し気な表情をしながら手を差し伸べてきた。

「んなことするわけねえだろ!な、レック!」

「ああ。断る!お前を、倒す!」

 ハッサンとレックはきっぱりと誘いを断った。

「ほう。貴様らがわしを、倒す?ならば良かろう。おろか者め!思い知るがよい!」

 ムドーは5・6・3気満々の表情をしながら切り裂きピエロ2人を呼び出した。

「お前達、あの野郎どもを血祭りにしてやれ。」

「了解しました。全力で叩きのめします!」

「数分後にはここを真っ赤にしてやります!」

 切り裂きピエロ2人もムドーに負けないくらい5・6・3気満々だった。

 そして、レック達にとって絶対に負けられない戦いが幕を開けた。

 

 戦闘はレック達がダメージを受けながらも、負けじと反撃をした。

 すると、ムドーはルカナンで守備力を下げてきたため、ミレーユはとっさに守備力を上げるやり方に切り替えることにした。

 レックとチャモロは攻撃をする傍ら、状況に応じて回復役をこなし、ハッサンはムドーにせいけん突きを使いまくってどんどんダメージを蓄積させていった。

 そうしているうちに部下をKOされ、自身もHPがかなり減ってきたムドーはどんどん顔が引きつっていった。

「き・さ・ま・らーーーっ!わしを怒らせてそんなにうれしいか!もうこんな奴などいるものか!全て消し去ってやる!ぬおおおー!かーっ!」

 ムドーはとうとう後先考えることなく本気を出した。

 その光景は4人にとって、まさに絶望以外の何物でもなかった。

 しかし、これが最終決戦と信じて疑わないレック達はこの身がどうなってもいいという覚悟を決めて、勇敢に立ち向かっていった。

「フハハハ。その調子だ。わしはとてもうれしいぞ。そうでなければ面白くない!これこそ、5・6・4がいがあるというものだ!そして、わしは怪しい瞳や稲妻、さらに2度攻撃も解禁するぞ。さあ泣け!苦しめ!絶望の中で永遠に石像と化すが良い!」

 ムドーはそれ以降、そこまでするかと言いたくなる程の無慈悲な攻撃をしてきた。

 一気に大ピンチに陥った4人はなかなか全員で行動出来なくなったため、誰かは必ず回復役になり、時には回復にまるまる1ターンを費やさなければならなくなってしまった。

(やっぱりダメなのか。本気ムドーが倒せないという事態になってしまうのか。でも、負けるわけにはいかない。世界の運命がかかっているんだ!今までお世話になったみんな!どうか力を貸してくれ!これで2度と戦えない体になっても構わない。どうか僕達を勝たせてくれ!)

 レックは絶望的な気持ちが漂う中で、すがるように祈った。

 すると、ここで身体中に力がみなぎり、会心の一撃を繰り出した。

「何っ?お主にまだそんな力が残っておったのか。それならお前の動きを止めてやろう。ゆっくりと休むが良い。永遠に目を開けずにな。フハハハ。」

 ムドーはかなりのダメージを受けながらも高笑いをし、怪しい瞳でレックを眠らせてしまった。

 そして彼に稲妻を浴びせてとどめをさそうとしたが、ここでミレーユが喉元に攻撃を当ててきた。

 その結果、ムドーはここでも会心の一撃を受けたが、両手で黒いオーラを漂わせながら彼女の両肩をつかみ、力いっぱいひねった。

 すると、辺りには「バキッ!」という音が響き渡り、ミレーユは両肩がそのオーラに包まれた状態でものすごい悲鳴をあげながら倒れこんでしまった。

チャモロ「大丈夫ですか?」

「早く…攻撃を…。」

ハッサン「でもよ、放っておくわけには…。」

「は…や…く…。」

「わ、分かりました…。」

「ああ…。やってやるぜ。」

 チャモロとハッサンは倒れたまま気を失ってしまったミレーユを回復させようとしたが、断腸の思いで立ち向かうことにした。

「くらえ!私の渾身の炎攻撃です!」

「俺は一か八かの捨て身攻撃だぜ!」

 2人は最後の力を振り絞って攻撃した。

「ぐおおおっ!こ、こんなバカな…。こんなはずでは…。」

 ムドーは苦しみながらその場にうずくまったが、チャモロはまだ決着がついていないと判断し、至近距離にやってきて炎のツメを構えた。

 すると、それを見たムドーはこのままやられると思うなよと言わんばかりに、再び両手に黒いオーラを出しながら稲妻を発動してきた。

「ぎゃあああっ!」

 顔に攻撃を受けたチャモロはかけていたメガネを壊され、さらに突然目の前が真っ暗になった。

 そして彼もミレーユ同様にHPを削り切られてしまったため、その場にバタリと倒れ込んだ。

「おのれ!」

「許さん!」

 レックとハッサンは2人のかたきとばかりにもろばぎりをするかのような攻撃を決め、ついにとどめを刺すことに成功した。

「こ…、こんな…、はずでは…。」

 動きの止まったムドーは、無念そうな表情をしながらその場に倒れ込んだ。

 そして彼の体は光に包まれていき、やがて跡形もなく消え去っていった。

(や、やった…ぞ…。)

 緊張の糸が切れたレックは勝利を確信した途端に意識が遠のいていき、その場にバタリと倒れ込んでしまった。

 するとハッサン人も後を追うように力尽き、その場に崩れ落ちていった。

 勝負は相打ちか!

 誰もがそう言いたくなったその時、現地にはグランマーズが後戻りが可能になったことを利用して、テレポートという形でやってきた。

「みんな、ご苦労じゃった。わしもハラハラしたが、本当に勝てて何よりじゃ。」

 彼女はすぐさまみんなにベホマを繰り返し唱えた。

 その結果、一時は危険な状態に陥りそうだった4人の容体は何とか安定した。

 グランマーズはそれを確認するとリレミトを唱え、全員で城を脱出していった。

 

「うっ…、こ、ここは…?」

 4人の中で最初に目を覚ましたレックは、意識がはっきりしてくると、横たわったままわずかに首を動かして辺りを確認した。

「おおっ!ようやく目覚めたか!結構時間かかったのう。」

 それまで付きっきりで看病していたグランマーズは安どの表情を浮かべながら彼を見た。

「おばあ…さん…。ムドー…は…?僕…達…、本当に…?」

「ああ、見事に勝利をおさめたぞい。じゃが、今のお前さんは絶対安静の状態じゃから、あまりしゃべらん方がいいぞい。」

「……。」

 レックは何か言おうとしたが結局黙ってしまった。

 そして彼が左隣を見ると、そこにはハッサンが胸と腹に包帯を巻いており、次に右隣を見ると、チャモロが両目を隠す形で顔に包帯を巻いていた。

(なお、ミレーユは別室で両肩をガチガチに固定された状態で横たわっていた。)

 

 翌日。4人はグランマーズの治療の効果もあってどうにか起き上がれるようになり、ムドーを倒した喜びを分かち合った。

 それを見ながらグランマーズは腕に寄りをかけて食事を作り、みんなに振る舞うことにした。

 その際、ミレーユは両手が使えず、チャモロは目が見えないため、彼女がスプーンで食べさせることにした。

 

 食事が終わった後、チャモロは目の治療のためにゲントの村に帰りたいことを伝えた。

「分かった。では、わしが送っていくことにしよう。」

『ありがとうございます。』

「では、行くぞい。」

 グランマーズに声をかけられたチャモロはコクっと深くうなずいた。

 そして、他の3人に向かってお辞儀をした後、現地を後にしていった。

 

 館に残ったレック達は、し烈な戦いが終わったことで心の底から安どの表情を浮かべ、元気になったらこれまでお世話になった人達に勝利の報告をしに行くことにした。

 そして、どこから行こうか話し合っていると、戻ってきたグランマーズにそのことを話した。

 しかし、彼女はうつむいていた上に表情が暗かった。

レック「おばあさん、どうしたんですか?」

「まあ、ちょっと言いにくいことがあるんじゃがのう…。」

「何だよ、ばあさん。もったいぶんなよ。」

「おばあちゃん、遠慮せずに話して。」

「そうか。分かった。」

 グランマーズは心の中では未だに迷いを抱えていたが、覚悟を決めて事実を話すことにした。

 その内容は、ムドーは大魔王に仕える四天王の一人に過ぎず、戦いはこれからも続いていくというものだった。

「それは本当なの?そんなの初めて聞いたわよ!」

「僕達はムドーが最終決戦と信じていたのに!」

「ばあさん、うそだろ?うそだと言ってくれよ!」

 あまりにも衝撃的な告白に、3人は今度こそ動揺し、その場で呆然と動けなくなってしまった。

「とはいえ、すぐに次の戦いが始まるわけではない。向こうもムドーが倒されて動揺しているじゃろうし、次の行動に移るまでには時間がかかる。じゃから、しばらくは治療に専念する時間が取れるはずじゃ。ゆっくり過ごすがよい。」

「……。」

「……。」

「……。」

 グランマーズは何とか彼らを元気づけようとしたが、呆然としたままの3人の耳にはもはや届いていなかった。

 それだけでもショックなことだったが、レック達は続けざまに、自分達がチャモロを仲間に加えた時に話していたことをバーバラが聞いていたことを知ってしまった。

 確かに自分達はバーバラはクビと言ったけれど、まさかそのせいで彼女が自暴自棄になり、行方不明になってしまうなんて…。

「おばあちゃん、彼女はどこに行ったの?」

「もう戻ってこねえわけじゃねえよな?」

「僕達、取り返しのつかないことをしたの?」

 3人は現実が受け入れられずにただ、呆然とするばかりだった。

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