You're my hero   作:地球の星

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20. カルカド

 旅人の洞くつに行った翌日。求司は大学の授業に遅れないようにするため、部屋で勉強に専念していた。

(今の僕は歩くだけなら支障が無くなってきたけれど、まだ攻撃をかわすといったような動きが出来ないし、足の状態を考えれば2日続けて出かけるわけにはいかない。それに勉強や家庭教師の仕事もあるから、十分にバーバラ達の役に立てないのが悔しいけれど、とにかく出来ることをやっていこう。)

 彼ははやる気持ちを抑えながら参考書を読み、ノートにメモを取りつづけた。

 一方で僧侶のバーバラと魔法使いのホイミンは外でトレーニングをしていた。

「へえ、ホイミン君はベホマをマスターするための勉強に励んでいるのね。」

「そうなんです。何としても早くベホマを覚えて、回復役としての立場を確立したいんです。」

「あら、実はあたしもそうなのよ。」

「えっ?本当ですか?」

「うんっ!戦闘での回復だけでなく、キュウジの足を完治させるために覚えたいの。」

「ということは、まだ完治していないのですか?」

「旅には同行出来ているけれど、完治はまだと言うしかないわね。」

「なるほど。では、お互い頑張ってベホマを覚えましょう。そして、僕もバーバラさんからルーラ、メダパニ、リレミト、マホトラを教えてほしいんですが、よろしいでしょうか?」

「ええ、いいわよ。お互い頑張りましょうね。」

「はい、よろしくお願いします。」

 彼らは地道に経験値や熟練度を稼ぎながら、お互いのことを色々話し合った。 

 

 その頃、スラリンはモンスター達がすっかり撤退してしまったアークボルト周辺で作業をしていた。

 するとそこにムドーの城から長距離移動をしているバーニングブレスと女性のようじゅつしが通りかかったため、声をかけてみることにした。

「あっ、こんにちは、旅の方。僕はスラリンです。もし良かったら買い物か何かいかがですか?」

「おっ、いいですね。ちょうど食料と水がほしかったんですよ。」

「ついでに薬草や毒消し草、聖水もあるとうれしいわね。」

「分かりました。」

 スラリンは穴掘りなどの作業で手に入れた薬草、毒消し草、聖水を用意した。

「どうもありがとう。では遠慮なく買わせてもらうわね。」

 ようじゅつしは自分のことをアリアと名乗った後、ムドーの城の宝箱からおろしてきたお金を払ってそれらを買った。

 スラリンはお金をもらった後、今度は水と生の状態の肉を用意した。

「ブレスさん。今すぐ用意出来るものとしてはこれくらいなんですが、いいですか?」

「まあ、いいでしょう。では、買い取らせていただきます。」

 バーニングブレスは提示されたお金を支払い、自分をバブルと名乗った。

(※この肉が何の肉なのかは読者の想像にお任せします。)

 商品を手に入れたバブルとアリアは早速水を飲み、さらに薬草を使用してHPを回復させた後、それぞれ火炎の息とメラミで肉を焼き始めた。

 スラリンはすでにメラミを使えるものの、火炎の息を初めて見たため、すぐに興味を持った。

 

 食事が終わった後、彼はバブルにその特技を教えてもらえないか問いかけてみた。

「この息ですか?」

「はい、そうです。何だかイオラに似ているなと思って。」

「確かに効果はそれに近いけれど、マスターするにはそれなりに時間がかかるし、イオラよりダメージが低いですよ。いいんですか?」

「大丈夫です。見た感じMPを消費しているわけではなさそうなので、たとえ1体当たり30ダメージであっても身につける価値はあると思います。ですから、僕に教えてください。」

「そうですか。では、カルカドに向かいながら教えることにしましょう。」

「わーい!ありがとうございます!」

 スラリンはその場で飛び上がって喜んだ後、一緒に旅に同行させてもらうことになった。

 

 砂漠の抜け道ではマッドロンやぬけがら兵などのモンスターがいたが、彼らはアークボルトでテリーにコテンパンにされてここに避難しているためか、どこかおびえているようだった。

 そのため、戦闘にはならず、スラリン達はHPを減らすことなく進み続けた。

 そして、洞くつを抜けるとカルカドはもう目の前だった。

「スラリン君、一緒に同行してくれてありがとう。おかげで無事に到着出来たわ。」

「どういたしまして。ムドーの城から鉄仮面などを持ちながら旅するのは大変だったと思いますし、ここでゆっくりと過ごしてください。」

「ええ、そうするわ。君も気をつけてね。」

「はい。」

 アリアはスラリンにお礼を言った後、バブルと一緒に住む場所を探すことにした。

 一方のスラリンは町に入っていき、情報を集めた後、キメラの翼を使ってダーマ神殿に戻っていった。

 

 現地で彼は求司、バーバラ、ホイミンに会い、カルカドに行ってきたことを伝えた。

「これで僕達は一気にその場所に行けるようになるから、助かるよ。本当にありがとう。」

「キュウジさん、どういたしまして。役に立ててうれしいです。」

 スラリンはうれしそうに答えると、そこで聞いた情報について話した。

「へえ。そこは以前、きれいな緑が生い茂る町だったのが、すっかり荒廃してしまったのね。」

「そして、住民達は悲しみも苦しみもない『幸せの国』に興味を持っているんですね。」

「はい、そうなんです。でも、バーバラさん、ホイミン。これって何だかうさんくさいと思いませんか?」

「確かにそうね。いかにもワナって感じがするわ。」

「僕もそう思います。キュウジさんはどう思いますか?」

「まあ、ネタバレ覚悟で言ってしまいますと、ワナです。僕としてはルビスの守りを持っていき、『だまされてはなりません。これらは全て幻です。』と伝えたいです。」

「あら、そうなのね。じゃあ、早速それを伝えに行きたいわ。」

「僕も一緒に行きたいです。スラリン、キメラの翼の準備お願いします。」

「分かりました。でも、さっき最後の1個を使ってしまったので、別の場所に行って買いなおさないと。」

「あっ、ちょっと待って!」

 求司は会話に割り込む形で止めに入り、カルカド以降でのイベントについて話した。

「というわけで、そこでは夜になると、ひょうたん島という島が現れて、もし人々の甘い言葉に乗せられてそれに乗り込んでしまうと、ジャミラスがいる居城に行くことになるんだ。しかもその敵は今の僕達では勝つのが難しいと思うから、下手に行かない方がいいと思うんだよね。」

「ふうん、そうなの。まあ、キュウジがそう言うのなら、間違いなさそうね。」

「確かに、僕達はアモスさんと比べれば、まだまだ実力不足ですし。」

「僕も勝てるかどうか分からない、厳しい戦いには出来れば行きたくないです。」

 求司の話を聞いたバーバラ、スラリン、ホイミンは思わず怖気づいてしまった。

(みんな、止めちゃってごめん。でも、僕は安全第一で行動したいから、その点だけはどうか理解してくれ。)

 彼は何とかしたい気持ちを我慢することにし、その後は再び各自で行動をすることになった。

 

 それから1時間後。神殿にはレック、ハッサン、ターニア、アモスがやってきて、アークボルトの次の目的地についてビアンカに質問をした。

 すると彼女は迷うことなくカルカドを指定した。

「聞いた話によれば、夜になると現れるひょうたん島に乗り込み、幸せの国と呼ばれるところに行けば、次のイベントに進むことが出来ます。でも、その前に、1つ注意することがあります。」

「何ですか?」

「ハッサンは今度レベルアップすると、カルカドのイベントをクリアしてさらに先に進むか、ムドーの城に行かない限り熟練度が上がらなくなりますが、よろしいですか?」

「そ、それはちょっと…。どうする?ハッサン。」

「俺はさっさとカルカドに行きてえぜ。ムドーの城は何が何でも行きたくねえからよ。なあ、レック。」

「ま、まあね。僕も絶対に行きたくないし…。」

「今のあなた達なら十分勝てる相手ですが、いいんですか?」

「だからヤダって言ってんだろ!」

「遊び人を卒業出来なくなってもよろしいですか?」

「まだそっちの方がマシだ!とにかく、絶対に行きたくねえぜ!」

「分かりました。では、早めにカルカドに向かうことにしましょう。でも、そこに行く途中で経験値を稼ぎ、レベルを25にしてしまったら大変なことになりますので、一気に行けるようにしてあげましょう。」

「えっ?そんな方法があるの?それならぜひお願いします!」

「分かりました。では、少々お待ちください。」

 ターニアの要望を受けて、ビアンカは一旦その場を離れていき、しばらくするとスラリンを連れて戻ってきた。

「あれ?君はすでにカルカドに行ってきたんですか?」

「はい、アモスさん。僕でよければ現地まで案内します。ただし、今キメラの翼を切らしているので、どこかに行って新たに手に入れないと…。」

「それなら私が持っていますので、これを使ってください。」

 ターニアは会話に割り込むと、袋からそのアイテムを取り出した。

「スラリンさん、どうぞ。」

「ありがとうございます。では、ありがたく使わせていただきます。」

 彼は翼を受け取ると、早速その場で使用した。

 そして4人と1匹は戦闘をすることなく目的地へと飛んでいった。

 

 一方、カルカド周辺にやってきたバブルとアリアは、現地で出会ったスーパーテンツクのツンツンと意気投合し、彼のアジトに入れてもらえることになった。

「ところで、アリアさんは防御面が何だか手薄ですけれど、更新はしないんですか?」

「この服はパパ(※第10話の本編と第13話の後書きで登場したようじゅつし)に買ってもらったものだから、このまま着続けたいのよねえ。」

「でも、僕としてもそろそろ更新した方がいいと思うんだけれど…。」

「とはいえ、バブル君。あたし達はスラリン君から色々買い物をしたせいで、今はお金を節約したいんだけれど。」

「それなら、僕がいい防具を持っているので、これを着てみてはいかがですか?」

「なあに?いい防具って。」

「今から取ってきます。」

 ツンツンはねぐらの奥にある宝箱のところに行き、踊り子の服を持って戻ってきた。

「はい、これです。」

「何よそれ!あんたねえ!あたしに何て格好をさせるつもりなのよ!このドえっちいっ!」

 思わず頭に血が上ったアリアはその場でメラミをぶち当てた。

 ツンツンは一気にHPを削られてしまったが、素早く薬草を使ったため、HPが危険ゾーンに入りながらも何とかダウンはまぬがれた。

「アリア、やりすぎだよ。」

「だからってねえ!こんな格好で外を歩けるもんですか!」

「でも、もし人間と相手をすることになったら、男性キャラが見とれて、韓国語の首飾りになるかもしれませんよ。」

「あんたにもメラミ!」

「うおおっ!熱っっ!」

 このような感じでツンツンのアジトでは大声が響いたため、彼らは近くにいたおおイグアナやどれい兵士達から静かにするように忠告を受けてしまった。

「あっ、すみません。静かにします。ところでバブル君、『韓国語の首飾り』って何ですか?」

「詳しくは言えませんが、うp主はこの発音を聞いた時、人前でふき出したそうですよ。」(←実話です。byうp主)

「2匹ともやめなさいってば!とにかく早く休むわよ!HPとMPを全回復させないと人間に勝てなくなるからね!」

 アリアはまたしても大声を出したため、それが原因でレック達に見つかってしまった。

 

 勝負はレック達の圧勝だったが、決着がついた後、彼らは鉄仮面を欲しがったため、ハッサンの鉄かぶと、アモスのやいばのブーメラン、さらに魔法の聖水、キメラの翼2つ、薬草10個と交換することになった。

「よっしゃ!これでやっと俺に新たな防具が手に入ったぜ!」

 ハッサンは満面の笑みで鉄仮面を装備した。

 

「ううっ…。僕、彼らの仲間に加わりたかったのに…。」

「レックと申す者、ムドーの城の時よりかなり腕を上げたな。」

「あのモヒカンマッチョマン、あたしのタイプだわ…。」

 ツンツンとバブルが悔しがる一方、アリアは遠ざかるハッサンの後ろ姿に思わず見とれていた。




今回登場したキャラの名前の由来

・バブル
 「バ」ーニング「ブ」レスということで、スーパーマリオブラザーズの「バブル」から命名しました。

・アリア
 僕が別サイトに投稿したオリジナル小説に登場するくノ一キャラの名前です。
 そこには本作のバーバラをモデルにしたヒロインキャラに加えて、求司達も登場しています。


 作品を読んで気づいた人もいるかと思いますが、僕は登場人物達の集団をパーティーではなく、チームと表記しています。
 これは英語のpartyが飲食を伴う会合や政治の政党という意味合いが強く、僕がドラクエについて英語で話す時にはteamという単語を使っているためです。
 かといって、日本語で「パーティー」と言っているのを否定しているわけではありませんので、その点を誤解しないよう、お願いします。
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