You're my hero   作:地球の星

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21. 一緒に行けない仲間

 カルカドの町に足(?)を踏み入れてからダーマ神殿に戻ってきたスラリンは、レック、ハッサン、ターニア、アモスを連れてカルカドに向かっていった。

「どうもありがとうございます。本当に助かりました。」

「アモスさん、どういたしまして。でも、ここから先は油断しないでください。そして、装備を万全にするために、これをお返しすることにします。」

 スラリンはそう言うと、それまでアモスから借りていた鉄仮面を差し出した。

「いいんですか?」

「はい。どうぞ。」

「…分かりました。」

 彼の真剣な表情を見て、アモスはそれを受け取り、その場で装備した。

「みなさん、くれぐれも甘い言葉に惑わされないようにしてくださいね。」

「その甘い言葉というものがよく分からないんですが、とりあえず頭には入れておきます。とにかく、送ってくれてありがとう。」

「レックさん、こちらこそ。でも、僕はルーラが使えませんし、ここの道具屋にはキメラの翼が売っていないので、どうやって戻ればいいのか…。」

「それじゃ、僕がルーラで送ってあげるよ。」

「いいんですか?」

「うん。遠慮はいらないよ。」

「分かりました。では、お願いします。」

 スラリンはレックのルーラでダーマ神殿に戻ってくると、再び飛び立っていく4人の姿を見送った。

 

 カルカドの町の前に戻ってきたレック達はたまたま近くで叫び声が聞こえたため、その場所に向かっていった。

 するとそこにはスーパーテンツクのツンツン、バーニングブレスのバブル、女性ようじゅつしのアリアがいたため、勝負を挑んだ結果、鉄仮面を手に入れた。

 思わぬ形で装備を強化出来た彼らは、いよいよ町に入っていき、色々な情報を聞くことにした。

「確かにみんな生活に困っていて、何かにすがりたい気持ちが出ているな。」

「この状態で豊かな生活という言葉を聞いたら、それは乗ってしまうでしょうね。」

「でも、みなさん。だまされてはなりませんよ。気を確かに持ちましょう。」

「気をつけよう。甘い言葉といばらプレイ、なーんてな。ハハハ…。」

 レック、ターニア、アモスが気を引き締めている中、ハッサンだけは相変わらず遊び人の気分を浮き彫りにさせていた。

 

 やがて日が暮れてたくさんの星が夜空をいろどり始めると、レック達は町を後にし西の岬に向かって進んでいった。

 すると、そこには人々から聞いた情報の通り、何やら島らしきものが到着していた。

「では、みんな、行こう。」

「ええ、行きましょう。」

「ガッテンです。」

「ふあ~っ、俺、眠いぜ。」

 レック達が真剣な表情をしている中、ハッサンだけはあくびをしながらうとうとし始めていた。

 そして島に乗り込むと、ハッサンだけが真っ先に特技を発動させる形で寝てしまった。

(全く、これだから遊び人は…。)

 レックは言いたいことを我慢しながらターニアと一緒に行動し、中にいる人達に話しかけることにした。

 その頃、アモスは1人で牢屋の方に向かっていき、鉄格子の向こうに宝箱を発見した。

「あの中身は何でしょうか?何だかすごくいいものが入っていそうな気がするんですが、開きませんね。どうすればいいんでしょうか…。」

 彼は変身も含めて色々試してみたものの、どうにも解決策が浮かばなかったため、仕方なく引き返すことにした。

(※中身はまじんの鎧です。)

 

 翌日。4人がたどり着いた場所は、それまで人々が言っていた「不安も心配もなく、明るい未来だけがある世界」、「帰りたくなくなるほど幸せな国」とは真逆で、「ワナにはめられ、不安や絶望しかない世界」、「帰りたくても帰れない国」という現実だった。

(来る前に用心はしていたけれど、まさかここまでひどい状態とは…。それに、僕達は誰もリレミトを唱えられないし、回復呪文もホイミかゲントの杖のベホイミしかない。悔しいけれど、ここは一旦撤退しよう。中に取り残されている人を助けたいけれど、もしものことを考えるとやむを得ない…。)

 幸いモンスターとのエンカウントこそないものの、あまりにも不気味な雰囲気を感じ取ったレックは、来た道を引き返すことを提案した。

 すると他の3人も即座に同意をしたため、彼らは後ろ髪をひかれる思いを抱えながら撤退をしていった。

 

 ルーラでゲントの村にやってきた彼らは現地でチャモロに出会い、力を貸してもらえないか聞いてみた。

「そうですか。分かりました。私はすでにイオラに加えてリレミトを覚えましたし、喜んで協力させてもらいます。」

「どうもありがとう!君はベホマも唱えられるし、貴重な戦力だから、ぜひ力を貸してほしい。」

「では、喜んで。」

 チャモロはレックの誘いをしっかりと受け入れ、仲間に復帰してくれた。

 それを受けて彼はセリーナのところに行き、これから大きなボス戦が控える場所に向かうことを告げた。

「そうか。私としては危険な目にはあわせたくはないが、お前が望むのであれば、引き留めはしない。気を付けていってくるんだぞ。」

「はい。きっと無事に帰ってきますので、心配しないでください。」

「分かった。その言葉を信じることにしよう。戻ってきたら、またコーチとして色々指導をしてやるからな。」

「ぜひお願いします!」

 チャモロはセリーナに向かって深くお辞儀をした後、レック達と行動を共にすることにした。

 

 彼らが次にやってきた場所はマーズの館で、彼らはミレーユにも声をかけようとした。

「レックよ。残念じゃが、彼女は肩をしっかり治すために別世界に行っておる。しばらくは戻って来ないと思うぞい。」

「えっ?治療中ですか?」

「そうじゃ。彼女は今の状態では道具使用しか出来ないし、バーバラに言った『戦力外』という言葉に自分が打ちのめされていたからのう。」

 館にいたグランマーズは自分の勧めで彼女をその場所に向かわせたことを告げた。

「じゃあ、いつ戻ってくるんだよ。教えてくれ。」

「私達、ミレーユさんにも加わってほしいんです。」

「彼女はホイッスルで戦力になっていましたよ。」

 ハッサン、ターニア、アモスはこれまで炎の1ターン休みのおかげで、通常攻撃も、呪文も、ほとんどの特技も使えないハンデを埋めて、余りあるほどの活躍を見せていたことを話した。

「それはわしも分かっておる。じゃが、言い換えれば、1ターン休みが効かなければ、彼女はすることがないから防御するしかない状態になってしまうぞい。」

 グランマーズは冷静な表情をしたまま、みんなのアピールをひと蹴りした。

 そして、多少レベルや熟練度で遅れを取ってでも万全な状態で復帰させる方針であることを告げた。

「じゃあ、それまではミレーユさん抜きで頑張るしか…。」

「バーバラさんに続いて、これは私達にとって痛いですね。」

 ターニアとアモスをはじめ、4人は現実をすぐに受け入れられずにいた。

「さらにはっきりと言ってしまえば、ターニアよ。お前さんもこのまま同行すれば多分足手まといになってしまうぞい。」

「えっ?私ですか?」

「そうじゃ。わしもこんなことを言いたくはないが、お前さんは素のHPが100に届いておらんし、攻撃力も守備力もムドー討伐前のバーバラより低いからのう。」

「……。」

 グランマーズから針のような言葉を浴びてしまい、ターニアは何も言えないまま立ち尽くしてしまった。

「ばあさん!彼女に何てこと言うんだよ!」

「わしは現実を言っただけじゃ。文句があるならかかってくるがよい。」

「何だと!」

 ハッサンは思わず頭に血が上り、思わず駆け寄ろうとした。

 するとレックが「よせ。」と言って立ちはだかった。

「何だよ!邪魔すんなよ!」

「いや、確かにそれが現実だ。」

「お前なあ、ターニア本人がここにいるんだぞ!」

「分かってるよ。」

「彼女が傷つくだろ!」

「確かに、グランマーズさんの言う通りだと思う。」

 レックはハッサンをなだめた後、ターニアの方を向いた。

「お兄ちゃん…。」

「ごめん、ターニア。こんなことを言うのは本当につらいけれど、君を幸せの国には連れていけない。どうか、安全なところにいてくれ…。」

「ごめんなさい…。私が弱過ぎるせいで…。」

「いや、君のせいじゃない。精一杯頑張っているよ。それは痛いほど伝わっているから。」

「でも、私…。」

 ターニアはこれまで懸命にバーバラの穴を埋めようと努力をしてきたが、思うように結果が出ず、そして今回、ムドー討伐前のバーバラと同じような結果になってしまった。

 すると、彼女の両腕はわなわなと震えだし、目からは涙があふれ出してきた。

(ターニア。僕の実力が足りなかったせいでこんなことになって、本当にごめん。でも、君を思ってこその決断なんだ。思えば、バーバラを戦力外にしてしまった時も、彼女はこれくらい悔しかったんだろうな。罪の意識もないままあんなことを言ってしまって、本当にごめん…。)

 レックは結果的に同じことを繰り返すことになってしまい、心の中で2人に謝り続けた。

 そして、ターニアが泣き止むまでそばにい続けた後、レック、ハッサン、チャモロ、アモスはルーラで飛び立っていった。

 ダーマ神殿にやってきた4人は、しばりを受けているハッサンを除いて全員職業を解除した。

 するとバーバラと求司が近くを通りかかり、レック達が祈りをささげている姿を見かけた。

「キュウジ、隠れましょう。」

「分かった。そうしよう。」

 2人は小声で会話をすると、物陰に隠れて様子をみることにした。

「レック達、いよいよジャミラスの城に向かうのね。果たして、勝てるのかしら。」

「それは僕にも分からない。確率としては50%かな。」

「じゃああたし達、どうすればいいのかしら。」

「僕もアンとの約束があるし…。」

 バーバラはレック達との仲にどうやって入ればいいのか分からず、求司は「絶対に元気な姿で元の世界に戻る。」という約束が引っ掛かってしまい、表に出られなかった。

 そして、ターニアを置いてきたレック達が、悔しそうな表情で神殿を後にする姿をじっと見つめていた。

 

 アイテムを買いそろえて準備を整えたレック達は、ルーラでジャミラスの城に飛んでいき、いつ戦闘になってもいいように、気持ちを引き締めながら進んでいった。

 すると、そこに現れたのはカルカドの住人達だったが、彼らの目つきは明らかにおかしく、憎しみに満ちた表情だった。

「君達はもしや…。」

 レックは彼らに何があったのか聞き出そうとしたが、住人達は一斉に戦闘態勢に入った。

「ちょっと!やめてくださいよ!」

「私達は戦いたくはありません!」

「男ばかりのむさい連中と戦いたくねえだろ。」

 チャモロ、アモス、ハッサンは説得を試みたが、彼らは聞く耳を持たなかったため、戦闘になってしまった。

 しかし、下手に攻撃して倒してしまうわけにもいかないため、レック達は防戦一方になってしまった。

「こうなったら、これで行かせてもらうぜ!」

 ハッサンは腹をくくると、とっさに「フレイムマン カモン!」を歌いだした。

 すると、その音痴な声を聴いた住人達が驚いて耳をふさいだ。

 一方でハッサンのリサイタルはその後も続き、それに耐えられなくなった彼らは戦闘を放棄して逃げ出してしまった。

 結果的に戦闘は誰も被害者を出さずに済んだものの、音痴な声を聴かされ続けたレック達は、まるでドン・モグーラのリサイタルに付き合わされたヤンガス、ククール、ゼシカのように不満タラタラの状態だった。

 

 城の奥深くまでやってくると、カルカドからやってきた人達がいけにえになっており、さらにはジャミラスが大勢のモンスター達を前に演説をしていた。

 演説を聞いた後、モンスター達は大声で「ジャミラス!ジャミラス!」と声をかけ、ボスをたたえていた。

(まさか、住人達を守りながら、これだけの数のモンスターを相手にしなければならないのか?そして、あのジャミラスというボス、ムドーにも引けを取らないくらい手ごわそうだ。果たして勝てるんだろうか。)

 物かげから顔だけ出して様子を見ていたレックをはじめ、4人の顔には冷や汗がにじみ出ていた。

 

 一方、ダーマ神殿の宿屋では、求司がバーバラにジャミラスの特徴について話していた。

「へえ、その敵は炎のツメを持っていて、メラミで攻撃をしてくるのね。」

「うん。もしこれを手に入れれば今後、大いに役立ちそうなんだよね。」

「そうね。MP消費無しでメラミ放ち放題になるから、ぜひ欲しいわね。」

「あと、バギ系無耐性だから、かまいたちが火をふくと思うよ。」

「分かったわ。色々教えてくれてありがとう。」

 バーバラは求司にお礼を言った後、宿屋を後にしてスラリンとホイミンのところに行き、彼らにも情報を提供した。

 

 果たして、カルカドの件は無事に解決するのだろうか?




 ハッサンがリサイタルで歌った曲の歌詞は次のとおりです。
 ぶっちゃけ、これを発表するのは3回目です。


 タイトル:フレイムマン カモン!

 盗賊に転職してから 地底魔城に来たよ
 狙うのは 木の実だ
 フレイムマン フレイムマン カモン!
 熟練度も上げておきたいし 経験値も欲しいけど
 狙うのは 木の実だ
 フレイムマン フレイムマン カモン!

 でも 来たのはいいけれども 彼らは
 僕らから 逃げるように 毎日生きてる

 盗賊に転職してから 地底魔城に来たよ
 狙うのは 木の実だ
 フレイムマン フレイムマン カモン!
 今 彼らは どこにいるの?
 逃げ出していったの?
 隠れて過ごしているの?
 フレイムマン フレイムマン カモン!

 今 熟練度や経験値は
 二の次でいいから 木の実をちょうだい
 命の木の実 恵んで
 フレイムマン フレイムマン
 バーバラのHP伸ばすため 頼むよ

 命の木の実 恵んで
 フレイムマン フレイムマン
 せめて木の場所だけでも教えて
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