You're my hero   作:地球の星

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33. 洗礼の洞くつへ

 修業のために別行動中のチャモロを除く一行はカルカドや地底魔城で金策に励み、お金や色々なアイテムを手に入れた。

 それを受けて翌日。レック、ハッサン、ミレーユはカルカドで月のおうぎを購入した。

「それを装備すれば攻撃力が一気に上がるね。」

「これでお前も通常攻撃で戦力になれるぜ。」

「確かにそうだけれど、私は今魔法使いだし、遠慮させてもらうわ。」

「えっ?いいの?キュウジがせっかく考えた作戦なのに。」

「いいの。これはスラリン君かホイミン君に渡すことにするわ。」

 ミレーユはせっかく買ってもらった武器を自分で装備しようとはせず、破邪の剣のままで行くことを告げた。

「分かったぜ。では、そいつらのところに行こうぜ。」

「ええ。では、今から行くことにしましょう。」

 ミレーユは早速風の帽子を使い、彼らのいるモンストルの町に行くことにした。

 

 現地ではスラリンとホイミンがおり、ミレーユは購入したばかりの月のおうぎを彼らに差し出した。

「いいんですか?僕達が使っても。」

「何だか恐れ多いんですけれど。」

「大丈夫よ。大事に使ってね。あなた達ならきっと戦力になれると信じているから。」

「分かりました。」

「では、遠慮なく。」

 スラリンとホイミンはミレーユに説得される形でその武器を受け取った。

 そして現在僧侶についているホイミンが装備することになった。

「それじゃ、代わりに僕の氷のやいばをお渡しします。」

「えっ?スラリン君、いいの?」

「はい。僕にはやいばのブーメランに加えて火炎の息がありますから。」

「分かったわ。ご親切にどうもありがとう。」

 ミレーユはありがたく氷のやいばを受け取ると、早速それをハッサンに手渡した。

「ありがとよ。現時点でこれが俺にとっての最高の攻撃力だから、遠慮なく使わせてもらうぜ。」

 彼はそれを装備するとバトルアックスをレックに手渡した。

 

 その頃、求司とバーバラはあちこちをまわりながら小さなメダルを作るための材料を集めていた。

「何とか僕がここにいられる間に力のルビーが手に入るといいんだけれど…。」

「それってどういうアイテムなの?」

「装備すると力が20上がるんだよ。」

「えっ?20も!?」

「そう。」

「じゃあ、あたしでもアタッカーとして活躍出来るってこと?」

「うん。君は武闘家の状態ではがねのムチを持っているし、それと合わせて攻撃力が85上がれば、きっと文句なしのアタッカーになれるよ。」

「ホント?最初は通常攻撃どころか呪文でも役に立てなかったあたしがそうなれるなんて!こうなったら絶対に手に入れてみたいわ!」

 バーバラは夢みたいなことを聞いて、途端に目をキラキラと輝かせた。

 

 その後、必要な量の材料が手に入った彼らは武器を作るための鍛冶屋へと向かっていった。

 そこではチャモロとアモスが職人のコブレとサリイ親子の指示のもとで準備をしていた。

 それを見た求司とバーバラは早速材料を彼らに渡し、メダルを作る作業を依頼した。

「かしこまりました。では今から娘と一緒に頑張って作業をします。」

「必ず立派なメダルを作ってみせるから、楽しみにしていてくれ。」

「よろしくお願いします。」

「私達に任せてください。」

「期待に応えてみせるぜ!」

 求司の依頼を受けて、親子はチャモロとアモスとともにいよいよ本格的な作業に取り掛かった。

 作業場の奥にある台所ではターニアが長丁場の作業に備えて食事の準備をしており、バーバラはお手伝いをすることになった。

 そして求司は力のルビーが手に入った時の作戦を考えながら、まき割りで多少のお手伝いをした。

 

 翌日。メダルがついに完成したため、求司とバーバラは疲れ切って眠ってしまったチャモロ、アモス、ターニア、そしてコブレとサリイにそっと声をかけた後、メダル王の城に向かっていき、念願の力のルビーを手に入れた。

「わあっ!装備したら何だか力がどんどんみなぎってきたわ!本当にエースアタッカーになれそうね!」

「それなら良かった。でも、自分だけで独占しないでね。」

「もちろんよ。チームワークが大事だからね。」

 バーバラはうれしそうにはしゃぎながらも、みんなと仲良く使いまわすことを約束した。

 そして2人はルーラでレック、ハッサン、ミレーユのところに向かっていった。

「ねえ、みんな!あたし達、こんなアイテムを手に入れたの。」

 バーバラは満面の笑みで力のルビーを見せて、効果を説明した。

「へえ、すごいものを手に入れたんだね。」

「ぜひ俺達にも装備させてくれないか?」

 レックとハッサンはアイテムを受け取り、順番に装備していった。

「これはっ!身につけただけなのに力がわいてきたぞっ!」

「まさにマッチョ、マッチョ、マッチョマーーンだな!」

 彼らはその効果に驚き、ぜひ実戦で使うことを申し出た。

 一方で、ミレーユは「私は遠慮するわ。」と言い出した。

「えっ?どうして?効果を実感するだけでもいいと思うんだけれどな。」

「いいの。私は代わりに素早さを上げた状態で、ホイッスルに加えてラリホーと今勉強中のメダパニでつなぎの役割に徹するつもりよ。アンのおかげでこのやり方に自信が持てるようになれたから。」

「分かりました。では、ぜひその役割をよろしくお願いします。」

「任せといて。他にアンから敵の特徴を色々学んだし、状況にあわせて使い分けていくわね。そして、メダパニを覚えたら盗賊になって、キュウジと同様に金策で貢献していくわね。」

「ありがとうございます。では、洗礼の洞くつを抜けたら、僕に代わって監督になってくれますか?」

「いいわよ。あなたをはじめ、別世界で出会った人達の考え方を参考にしながら、みんなの能力を立派に引き出してみせるからね。」

 ミレーユはすでに気持ちが固まっていたのか、いきなり監督と言われても冷静に引き受けてくれた。

(これで僕が抜けても安心して後を任せられる。バーバラ。どうかミレーユ達と仲良く過ごしてね。)

 求司は思い残すことが1つ減ったこともあって、その表情は晴れやかだった。

 

 その後、彼らはスラリンとホイミンを加えた後、ダーマ神殿に向かっていった。

 そして、求司を絶対に無事に元の世界に送り届けたいというミレーユの意向もあって、彼を除いて全員戦力として活躍出来るように、次のように転職をした。

 レック、ハッサン、バーバラ、スラリン … 武闘家

 ホイミン … 僧侶

 ミレーユ … 職業解除

(力のルビーはハッサン、はやてのリングはレック、星降る腕輪はミレーユが装備し、バーバラは金のブレスレット、スラリンとホイミンはおしゃれなバンダナを装備。)

 一方の求司はもう戦闘には関わらないことで武器を持つ意味が無くなったため、いかずちの杖をミレーユに、魔法の盾をハッサンに、風の帽子をスラリンに渡すことにした。 

 

 転職を済ませた後、一行はホルストックを経由して洗礼の洞くつへと向かっていき、ついに入り口にたどり着いた。

 するとそこにはまるで門番のようにストーンビースト3匹が立ちはだかっており、3対3での勝負を申し込んできた。

「では、ミレーユ、スラリン、ホイミン、よろしくお願いします。」

「任せておいて。」

「分かりました。」

「準備OKです。」

 求司の指名を受けた彼らは戦闘開始になるとそれぞれいかずちの杖の道具使用、火炎の息、イオラを浴びせ、あっという間に決着をつけてしまった。

「こっちが攻撃も出来ないまま、1ターンで負けるとは…。」

「あれだけ主人公達を苦しめた我らが、あっさりと…。」

「もう我らの出番はこれでおしまいということなのか…。」

 彼らは地底魔城での暴れっぷりがものすごかっただけに、今の状況があまりにも痛々しかった。

 

 次の相手はさまようへいたい2匹とユニコーン3匹で、こちらからはレック、ハッサン、ミレーユ、バーバラが参戦した。

 するとミレーユは先制ホイッスルで前者は2匹とも、後者はCをひるませた。

 続いてレックはひるまなかったAに通常攻撃を、バーバラはムチでのグループ攻撃をユニコーンに浴びせた。

 するとここでAは自身にホイミを唱え、Bはハッサンに通常攻撃をヒットさせた。

「ここで回復をさせようと、俺の攻撃の前では意味ねえぜ!」

 ハッサンは力のルビーの効果を上乗せした状態で通常攻撃をヒットさせ、Aにお釣り十分のダメージを与えてKOさせた。

(氷のやいばの追加効果はBにヒット。)

 ミレーユは次のターンでもホイッスルでさまようへいたいの行動を止め、その間に他の3人がユニコーンと決着をつけた。

 そしてさまようへいたいは何もさせてもらえないままサンドバッグと化してしまったため、レックは通常攻撃で肩の状態を確認しながら身かわし脚の練習、ハッサンは火炎の息や8.2.8.2.、バーバラはせいけん突きの練習をしながらおままごとをした(結果は失敗)。

「完全になめプをされるとは、何たる屈辱…。」

「現役続行をかけたトライアウトだったのに…。」

 野球で言うならアウトを1つも取れずにKOされた彼らは戦力外を覚悟しなければならなくなり、泣きたい気持ちをこらえながら引き上げていった。

 そしてバーバラはここで力のルビーを身につけたいと言い出したため、ハッサンと装飾品を交換することになった。

 

 次の相手は悪魔のカガミ2体とヘルゼーエン2匹だった。

「俺達には次のチャンスはない。死に物狂いで挑んでいくぜ!」

「絶対勝つために、事前に最大HPを上昇させてきたんだ!」

 ヘルゼーエンは悲壮な覚悟で勝負を申し込んできた。

 それは言葉を話せない悪魔のカガミも同じ気持ちだった。

 一方、こちらはハッサン、バーバラ、スラリン、ホイミンで迎え撃つことになった。

 最初に行動したのはスラリンで、火炎の息で全員に軽減なしでのダメージを与えた。

 すると、悪魔のカガミはモシャスでそれぞれハッサンとバーバラに変身し、ヘルゼーエンAとBはダブルでベギラマを唱えてきた。

(そっちにどんな理由があろうと、こっちだって負けてたまるもんですか!)

 アタッカーと化したバーバラは攻撃力に物を言わせてヘルゼーエン2匹に大ダメージを与えた。

 そしてハッサンは自身もどきとバーバラもどきに道具使用でヒャダルコを浴びせ、ホイミンはバーバラもどきに通常攻撃をして彼女(?)をKOさせた。

 次のターンになるとハッサンは捨て身で自身もどきをKOさせ、バーバラがヘルゼーエンにグループ攻撃をして決着をつけた。

(終わった…。これで戦力外だ…。)

(もはや我らでは力不足なのか…。)

 ヘルゼーエンと元の姿に戻った悪魔のカガミは緊張の糸が切れたのか、ガックリとうなだれながらその場を後にしていった。

 一方、減ったHPはバーバラが回復をしてくれた。

 

 次の相手はラリホーン4匹だったが、彼らはミレーユの先制ホイッスルの前になす術がなかった。

 そのため、バーバラがマホトラでMPを補充し、力のルビーを身につけたレックがはやぶさぎりを使っても問題ないことを確認するための格好の場になってしまった。

(ハッサンは最初のターンで晩酌をしてしまったため、スラリンに交代して火炎の息→ホイミンに交代して通常攻撃となりました。)

 

 その後、洞くつの中を進んでいくとそこには宝箱がいくつか置かれていた。

 一行は中身に興味津々だったが、求司がせめて少しは役に立ちたいと主張してインパスを唱え、安全を確認した上でチェーンクロスと小さなメダルを手に入れた。

(よし。次の景品であるプラチナソードに一歩近づいた。僕はそれを手に入れる場面を直接見られないけれど、レックにとっては待望の武器になるはずだから、大事に使ってね。)

 彼はメダルを大事そうに見つめた後で、それを袋にしまった。

 

 そして、さらに先に進んでいくと、そこには試練その1ことフウが待ち構えていた。

「よくぞ来た。私は待っておった。そなた達がここにやってくる時を。さあ、これから私が課す試練を乗り越えて、先に進むつもりか?」

「はい、もちろんです。」

 レックは相手の意気込みに臆することなく堂々と言い切った。

「よろしい。では、私と2対1での勝負をしてもらう。良いか?」

「いいですが、こちらで選んでもいいですか?」

「うむ。さあ、選ぶがよい。ただし、ここで選んだ2人(または2匹)は、後で登場するドルマとパラル(それぞれ試練その2と3)との勝負には関わらないことにしてもらう。」

「ええっ?それは困りましたねえ。」

 レックは思わず顔をしかめると、求司の方を向いてアドバイスを求めた。

「分かりました。では、スラリンとホイミン、よろしくお願いします。」

 求司は迷うことなく即答した。

「分かりました。ご指名、ありがとうございます。」

「頑張って、必ず試練を乗り越えてみせます。」

 スラリンとホイミンは早速気合を入れて勝負に臨むことにした。

 そして、スラリンはレックが持っていたゲントの杖とハッサンが装備していた氷のやいばを受け取った。

「分かった。では、両者前へ。」

「はいっ!」

「行きます!」

 彼らがフウと対峙すると、両者は「お願いします。」と言って礼をした。

(いよいよ僕にとっての最後のボス戦か。どうか、無事に切り抜けてね。)

 求司はスラリンとホイミンの後ろ姿を見ながら、彼らの勝利を願っていた。

 




 本来であればドラクエ6でサリイが登場するのはもっと後ですが、僕はマンガ版8巻でのコブレとサリィ(マンガ版ではイが小文字表記)のシーンが気に入っており、どうしても彼らを出したかったためこのような形になりました。
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