You're my hero   作:地球の星

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34. 君の盾 ~試練のボス3連戦~

 洗礼の洞くつにやってきたレック達一行は、途中で試練その1ことフウに出会い、スラリンとホイミンが受けて立つことになった。

(確かこのモンスターは以前、アモスさんをメダパニダンスで行動不能にしていましたね。それならこれの出番です。)

(キュウジさんの話ではドラクエ2のグールのように、マホトーンを使うと逆効果でしたね。僕は通常攻撃が良さそうです。)

 スラリンとホイミンは事前に聞いていた作戦を思い出した。

 そして勝負が始まると、スラリンは即座に踊り封じを使った。

「ムムッ!私の弱点を見事に突くとは!さすがだな。だが、これで勝ったと思うなよ!」

 フウは素早く踊りをキャンセルすると、代わりに激しい炎を吐いてきた。

「ぐわっ!これはすぐに回復をしなければ!」

 ホイミンは通常攻撃を取りやめて素早く自分にベホイミを唱え、次のターンではスラリンがゲントの杖で自身の回復をした。

 一方、フウはエネルギー充電のために、激しい炎の代わりにギラを唱えた。

 そしてホイミンはメラミを唱えたが効果が無かったため、以降は通常攻撃で対処することにした。

 その後、フウはメラを唱え、次のターンで再び激しい炎で攻撃したが、スラリンとホイミンに素早く回復されてしまい、しかも自身が回復手段を持っていないため、スラリンとホイミンの通常攻撃(スラリンはさらに氷のやいばでの追加攻撃)でHPをどんどん減らされていった。

 結局、勝負は少々長丁場になったものの、最終的にフウは観念した。

「うむ。なんじ、試練を超えたり。見事だ。というわけで諸君、今から証明書を手渡すことにしよう。」

「ありがとうございます。」

「では、通らせていただきます。」

 スラリンとホイミンは試練を乗り越えたことを示す証明書を受け取った後、氷のやいばをハッサンに、ゲントの杖をレックに返却した。

「あの、フウさん。1つお聞きしてもよろしいですか?」

「ムムッ。君は確かゴールドまきでいどまじんの行動を封じた人ですね?」

「はい、キュウジと申します。君は確かアモスさんとの勝負に勝って、炎のツメを手に入れましたが、それはどうしましたか?」

「あれか。あれは私がメラミを覚えるために手に入れたものだ。だが、道具使用は出来ても呪文習得まではいかなくてな。それがどうしたのかね?」

「実は結構貴重なものなので、出来ることなら買い戻したいんですけれど…。」

「では、誰か私にメラミとホイミの唱え方を教えてくれんか?そうすれば安く売ってやることにしよう。」

「じゃあ、僕が教えます。」

「僕も参加させてください。」

 スラリンとホイミンは迷うことなく名乗り出た。

「どうもありがとう。では、1000ゴールドで売ることにしよう。もしくはそれ相当のアイテムでもよいのだが。」

「では、このチェーンクロスと僕が身につけている金のブレスレットをお渡しします。これらを売れば1000ゴールドを超えますよ。」

「分かった。それで取引き成立にしよう。」

 フウは求司の提案を受け入れると、早速スラリンとホイミンから呪文の唱え方を教えてもらった。

 

 しばらくしてこれらをマスターした彼はアイテムと引き換えに炎のツメを返却してくれた。

「どうもありがとうございます。では、僕は先に進ませていただきます。」

「うむ。ドルマとパラルは私よりも手ごわいので、気を付けるんだぞ。」

 フウはそう言い残すと、まるで瞬間移動するかのように姿を消した。

 そして炎のツメはスラリンが装備することになった。

 

 次のボスは試練その2ことドルマだった。

 彼は物陰からじっと様子を見ているフウと同じことを言った後、やはり2対1での勝負を申し込んできた。

「では、バーバラとレックで行かせていただきます。」

 求司が迷うことなく指名をすると、彼らは気合を入れながら引き受けた。

 そしてゲントの杖と星降る腕輪をレックが、力のルビーをバーバラが持つことになった。

(ムムッ。てっきり男性の方がルビーを身につけると思ったら、女性の方だったか。何かあるようだな。)

 ドルマは2人を見ながら自身も作戦を考えた。

 勝負が始まると、レックははやぶさぎりをヒットさせ、バーバラは通常攻撃をしたがかわされてしまった。

 最後に行動したドルマはここで力ためを選択した。

(あのモーションはもしや?ということは…。)

 レックは気合ためと似たような動作を見て嫌な予感を察知し、はやぶさぎりから作戦を変更した。

 すると次のターンでドルマはバーバラの攻撃を受けた後、彼女をターゲットにしてきた。

「きゃあっ!」

「危ないっ!」

 レックはバーバラの前に素早く立ちはだかり、身代わりになって大ダメージを受けた。

「な、何だと!まさか男性がこんな行動に出るとはっ!」

「レック、あたしのためにどうして…。」

「君を守りたいんだ。守れてよかった。」

 バーバラは想像もしていなかったことを目の当たりにしてどうしていいのか分からず、行動出来ないままだった。

 ドルマは次のターンでバーバラめがけてかまいたちを放ったが、これもレックが身代わりになった。

 それを見たバーバラはすかさずベホマで回復をさせた。

 レックはその後もドルマの攻撃を受け続け、バーバラは攻撃と回復を交互に行う形になってしまった。

「お前はどうしてそこまでしてその女性をかばう?」

 ドルマは勝負を一時中断すると、レックに向かって質問をしてきた。

「理由はただ1つ。バーバラを守るためだ!そのためなら、僕は迷うことなく彼女の盾になる!彼女には1ダメージたりとも与えさせないぞ!」

「おおっ!そうか!!」

 ドルマは今まで聞いたこともないことを言われて、驚きを隠せなかった。

「でも、レック。あたしのためとはいえ、お願いだから喜んでダメージを受けに行くのはやめて。」

「喜んでいるんじゃない。悔しいんだよ。ムドー討伐前に君にひどいことを言って戦力外にしてしまい、君の心に大きな傷を背負わせてしまった罪の意識が、今も僕の心から離れようとしない。、それが悔しいし、怖いんだ。だから、僕は君の盾になる。たとえこの体がどうなろうと、君を守る。それが今の僕に出来るせめてもの償いだと思っている。」

「もう自分から過去のことを蒸し返すのはやめて。あたしは気にしていないから。」

「でも僕はまだ自分を許したわけじゃない。だからバーバラ、約束する。君が涙を流すのなら、君の涙になってやる!」

 レックはすでに立っているのも精いっぱいの状態になりながらも言い切った。

(この者。ここまで仲間を思いやるとは。その思いやり、ムドー様やジャミラス様に従うモンスターには見られなかったものだな。)

 ドルマはレックの姿を見て心が大きく揺れ動き、このまま勝負を続けるか迷いだした。

 するとそこにバーバラが隙ありとばかりに通常攻撃を浴びせてきた。

(ムムッ!一度は戦力外になった者がここまで成長して巻き返してくるとは。この者はこうだというやり方が定着しているモンスターの世界ではまず見られないだけに、これは見事としか言いようがない。)

 ドルマは彼女の姿に思わず魅了されてしまい、とうとう戦闘終了を宣言した。

「えっ?本当にいいんですか?」

「まだHPに余裕ありそうなのに?」

 レックとバーバラは意外過ぎることを言われて、思わずワナなのではないかと警戒した。

「安心しろ。私は相手をだましたりはしない。レックの勇気ある行動と、バーバラの能力に免じて、ここを通すことにしよう。」

 ドルマは勝負時とは一変して晴れやかな表情になり、試練を乗り越えた証となるアイテムを発行してくれた。

「どうもありがとう。」

 バーバラはペコリとお辞儀をしてそれを受け取ると、レックとドルマにベホマをかけた。

「かたじけない。では、私が試練その3こと、パラルのところに案内しよう。」

 ドルマはまるで仲間に加わったかのように親しく話しかけると、求司達と一緒に歩き出した。

 そして、次の勝負はハッサンとミレーユで確定したため、力のルビーとゲントの杖はハッサン、星降る腕輪はミレーユの手に渡った。

(※物陰で様子を見ていたフウはここでパラルのところに瞬間移動をしていきました。)

 

「よくぞ来た。私はパラルと申す。話はすでにフウから聞いておる。さあ、そこのモヒカンマッチョマンと金髪美女よ。私と勝負をしてもらおう。」

 そう言い放ってお辞儀をしたパラルの背後には応援という形でフウとドルマがいた。

「言われなくてもやってやるぜ。だが、そのモヒカンマッチョマンという言い方はやめてほしいが…。」

「私を金髪美女だなんて、立派なほめ言葉ありがとうございます。でも勝負は全力でいきますよ。」

 ハッサンとミレーユは儀式とばかりにペコリとお辞儀をした。

 そして勝負が始まると、ミレーユは即座にスクルトを唱えた。

(この相手の行動パターンはすでに把握しているわ。きっとアレで来るわね。)

 彼女の読み通り、パラルは早速ルカナンでスクルトを打ち消し、さらにいなずまで大きなダメージを与えてきた。

(うおっ!こいつはいてえな。だが、俺の怪力だって負けてねえぜ!)

 ハッサンはあいさつ代わりと言わんばかりにせいけん突きを仕掛けたが、パラルもフウからこれをくらうと危険ということを事前に聞いているため、素早い動きでうまくかわした。

 次のターンではミレーユとハッサンがそろって回復をしたため、彼らは結果的にルカナンで守備力を下げられた上で、ハッサンが通常攻撃を受けた。

 その後はミレーユがひたすらスクルトをかけ続け、ハッサンが通常攻撃と回復を兼任する形になった。

 そしてパラルは最初のいなずまでエネルギーを多く使ったためか、以降はルカナンに加えて通常攻撃、ツノ攻撃、マホターンのどれかというパターンになった。

(マホターンならこっちにダメージが来ないから、かえって儲けものね。)

(その隙に俺の通常攻撃でどんどんダメージを蓄積してやるぜ!)

 2人はうまく連携を取りながら地道にダメージを重ねていった。

 一方のパラルはドルマほどではないものの、タフなHPを誇るため、勝負は長丁場になった。

 その影響でミレーユはMPが大きく減ってしまい、ハッサンは肩で息をしていた。

(正直、私も攻撃に参加したいけれど攻撃力は低いし、呪文で攻撃が出来ない以上、結局スクルトしかないわね。)

(このままじゃ俺達の体が持たねえぜ。せいけん突きは警戒されているし、かくなる上はこれで決着をつけるぜ!)

 2人が焦りの表情を見せる中、覚悟を決めたハッサンは捨て身で突撃していった。

 すると、パラルは大きなダメージを受けた上に突き飛ばしのような格好になってしまい、ダウンを奪われる形になった。

 かたわらではドルマと求司が審判を名乗り出て一緒にカウントを数え始めた。

 もし10カウントになる前に立ち上がってファイティングポーズを見せなければ負けになってしまうため、パラルは懸命に体を起こし、立ち上がろうとした。

 そしてカウント9の時に一旦はポーズを見せたものの、その直後にガクッと崩れ落ちてしまったため、無情にも勝負は決してしまった。

「む、無念だ。なんじ、強いな。私の負けだ。」

 フウの連続ホイミでHPを回復してもらったパラルはようやくまともに立てるようになり、ペコリとお辞儀をした。

「どうもありがとうございました。」

「ありがとうなんだぜ。」

 ミレーユとハッサンもつられるようにお辞儀をして、レック達のチームに戻ってきた。

 するとバーバラがベホマを唱えたため、2人はやっと元気な状態になった。

 一方、レック、スラリン、ホイミンはフウ、ドルマ、パラルと言葉を交わした後、3つ目の証明書を受け取った。

 

 目標を達成し、試練のモンスター達と別れた一行は魔法のカギをもらいにホルストックへ行くため、リレミトで洞くつを脱出することになった。

「みんな、ここまで本当にありがとう。君達が仲直り出来ただけでなく、一緒に協力しながら頑張る姿を見られて、本当に良かったよ。」

 求司は洗礼の洞くつでのイベントをクリアしたことを受けて、自分が同行出来るのはここまでであることをはっきりと宣言した。

「えっ?じゃあ、キュウジは…。」

 バーバラは心の中では覚悟していたとはいえ、彼の発言とその吹っ切れた表情を見て、腕が震え始めた。

 

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