You're my hero   作:地球の星

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 求司がゲームの世界にいる間、セリフ中での彼の表記は「キュウジ」とカタカナになります。
 その点をご了承ください。


6. ダーマ神殿に来た2人

 グランマーズからもらった転送アイテムを使ったバーバラは、松葉杖をついた状態の求司と一緒にゲームの世界にやってきた。

 彼らの目の前にはドラクエ6の(上の世界にある)ダーマ神殿がそびえたっていた。

(これがムドーを倒したことで利用可能になった、あの神殿か。)

(ここで転職すれば、あたしがメラミやホイミを使えるようになるのね。)

 2人が建物に見とれていると、ふと正面の入り口扉が開き、金髪の女性が姿を現した。

「あら、いらっしゃい。転職を希望される方達ですか?」

 そう問いかけた彼女は髪を後ろで縛っており、自身の名をビアンカと名乗った。

「あっ、はい。あたし達、そのつもりで来たんですけれど、大丈夫でしょうか?」

 バーバラは安奈から話を聞いただけでまだ転職をよく知らないため、不安げに問いかけた。

「はい。奥の場所に行って、お祈りをすれば望む職業に就けますよ。でも、男性の方はMPをほとんど持っていないようですね。」

「えっ?僕ですか?」

「はい。あなたはレベル7で、HP90、MP6の状態です。私達の神殿では最大MPが20以上なければ、魔法使いと僧侶には就けませんが、よろしいですか?」

「そ、そんな…。」

 求司は自分の足を治すために何としても僧侶になり、患部にホイミを唱え続けるつもりだったため、思わず固まってしまった。

 しかし、他に盗賊(MP10以上)以外の職業であればOKだったため、彼は悔しさをこらえながら商人(MP5以上)を選び、バーバラが僧侶に転職することを申し出た。

「分かりました。では、バーバラさん。私と一緒に来てください。」

「あっ、ちょっと待って!ビアンカさん!」

「どうしましたか?」

「あの、キュウジも一緒に来てほしいんだけれど。」

「彼はまず宿屋で休む必要があります。インパスを身につけるための試験であればそこで受講出来ますが、それ以外はまず歩ける状態になってからになるでしょう。」

 ビアンカが申し訳なさそうな表情で言うと、そこに青い髪の色をした女性がやってきた。

「あら、どうしたんですか?それに、そこにいる2人はどなたですか?」

「あっ、フローラ。ちょうどいいところに来てくれたわね。」

 ビアンカは求司の事情について話すと、彼を宿屋に連れていくようにお願いした。

「分かりました。では、キュウジさん私と一緒に行きましょう。」

「僕の呼び方はキュウジでいいです。フローラさん、僧侶になれなくて悔しいですが、よろしくお願いします。」

「私もフローラでいいいですよ。それから、私はベホイミが使えますので、今から唱えることにしましょう。」

 彼女は腰を下ろすと、早速左足の患部に向かってその呪文を唱えた。

 しかし、見た感じではほとんど足の状態が変わらなかった。

「やっぱり、呪文じゃダメなのかな…。」

 求司はそれにすがる思いだっただけに、がっくりと肩を落とした。

「呪文はケガの治療に関してはすぐに効果を発揮するわけではありません。これから時間をかけて何度も何度も唱え続けることになるでしょう。」

 フローラはそう言うと、合計6回ベホイミを唱え続けてくれた。

「それではキュウジさん…、いえ、キュウジ。今から宿屋に案内しますので、ついてきてください。」

「はい、分かりました。」

 求司は松葉杖をつきながらゆっくりと歩きだし、フローラについていった。

「それではバーバラさん。あなたは私と一緒に祭壇へと行きましょう。」

「分かったわ。それから、あたしのことはバーバラでいいからね。」

「あら、そうなの。ではさんを付けずに呼ぶことにしましょう。それでいいですか?」

「うんっ!」

 バーバラは大きくうなずき、ビアンカについていった。

 

 その後、祭壇にやってきた彼女はミレーユがホイミを唱えている姿を想像しながら、心を込めて祈り続けた。

「もういいでしょう。これであなたは今から僧侶という職業に就きました。頑張ってくださいね。」

「はーい!分かりました!それで、あたしはこれでもうホイミが唱えられるの?」

「いえ。これからフローラから呪文の唱え方を教えてもらった後、試験に合格すれば正式に唱えられるようになります。」

「なるほど。そういうことなのね。分かったわ。」

 ビアンカのアドバイスを受けて、バーバラは気合を入れた。

 

「キュウジ。それでは、あなたにはこの部屋を宿屋として用意することにします。ゆっくりしていってくださいね。」

「ありがとうございます。でも、僕はこの世界のお金を持っていないんですけれど、宿代はどうしましょう。」

「そうですね。何か家庭教師のような仕事が出来るといいのですが、あなたは何か得意科目がありますか?」

「んーーー、僕は理系の学部に所属していますし、あと姉同然の存在だった安奈こと、アンの影響で英語を熱心に勉強してきたから、これらなら教えられますけれど…。」

「あら、英語ですか!私もビアンカも勉強しているんですが、なかなか上達せずに困っていたんです!ぜひ私達に教えてくれませんか?それを宿代と食事代に当てますから!」

「えっ?本当ですか!?」

 求司は思わぬことに驚いたが、懸念していた問題が解決する状況になったため、喜んで了解した。

 すると、ここでビアンカが試験の問題用紙と回答用紙を持ちながらやってきて、バーバラにホイミの唱え方を教えてほしいと言ってきたため、フローラはしばらく留守にすることになった。

「それでは、今からインパス認定試験を開始します。時間は40分です。そして、私は時間になったらここに戻ってきます。」

「分かりました。では、今から試験を頑張ります。」

「よろしくお願いします。くれぐれもカンニングをしないでくださいね。」

「もちろんです。実力で合格してみせます。」

「では、試験開始です!」

 フローラは合図をすると、ビアンカと一緒に部屋を後にしていった。

 

 1人になった求司は早速問題用紙を開き、問題文を読み始めた。

(問題の一部は次のとおり。)

・星のかけらを道具使用すると、どのような効果がありますか?

・はやてのリングを装備すると、どのステータスがいくつアップしますか?

・通常攻撃で敵1グループを攻撃出来る武器を3つ以上あげてください。

・まんげつそうは、どんな状態になった時に使うアイテムですか?

・道具使用でギラの効果を発揮する武器は何の剣ですか?

・鉄の盾は、どんな攻撃を何ポイント軽減しますか?

 

(よし、これならいける!)

 事前にドラクエについて色々勉強していた求司はスラスラと問題を解いていき、見直しを含めて25分で問題用紙を閉じて待機することにした。

 

 一方、バーバラはあっという間に試験に合格してホイミをマスターしたため、今度はビアンカからメラミを教えてもらうことになった。

 そのため、フローラは時間を繰り上げて求司のところに行き、すでに試験を終えていた彼から問題用紙と回答用紙を回収して、その場で採点することにした。

 

 採点が終わり、求司が合格判定をもらった頃、バーバラはまたもあっさりと試験に合格してメラミを習得した。

「これであたしにも強力な攻撃呪文が身についたわ!」

 彼女は飛び上がって喜びながらビアンカと一緒に求司のところにやってきて、成果を報告した。

「良かったね。これで当分の間、その呪文だけでも十分な火力が出せるし、回復役にもなれるね。」

「うんっ!こうなる時をずっと待っていたの!じゃあ、早速ホイミをかけてあげるからね!」

 バーバラは求司のところにやってきて座ると、即座に呪文を何度も唱えてくれた。

「どう?効果あったかしら?」

「多分ね。きっとこれから少しずつ良くなるよ。僕はそう信じる。」

「ホント?じゃあ、あたし、これから毎日唱え続けてあげるからね!」

「ありがとう。ぜひ頼んだよ。」

 2人が喜んでいると、そこにフローラが割って入り、求司が家庭教師を引き受けてくれたお礼に何かアイテムを用意したいことを申し出た。

「どうでしょうか?何かお役に立ちたいのですが…。」

「そうですね…。僕はいいから、バーバラのために何か強力な武器がほしいんですが…。」

「あら、彼女のためにですか?」

「はい。バーバラは武器を更新してもらえずに攻撃面で苦しんでいたから、何とか少しでも装備を充実させてあげたいんです。」

 求司は自分の正直な気持ちを打ち明けた。

「でも、キュウジ。あたし達はろくにお金も持っていないわよ。どうするの?」

「そこでアンが教えてくれたアイデアを実行してみたいんだけれど。」

「何?アンのアイデアって?」

「彼女が言うには、リメイク版ではレイドックの井戸で1~2時間耐久でアイテム探しをすれば、この時点ではものすごい威力の武器が手に入るんだって。」

「へえ、あそこってそんなに魅力的な場所だったのね!ぜひ行ってみたいわ!」

「でも、そこは緊張感を要する場所だから、こまめにセーブが必要で、事故ったらすぐにやり直したって言っていたんだよね。」

 求司はもしバーバラがそこで戦闘に巻き込まれたら100パーセント勝ち目がないことを伝えた。

 するとそこでビアンカが何かいいアイデアを思いついたのか、急に「そうだわ!」と言い出した。

「何?急にどうしたの?ビアンカ。」

「私の仲間に協力してもらいましょう!」

「仲間って、アレ?」

「そう、アレよ!彼らならきっとやってくれるわ!だから私、今から早速呼んでくるわね!」

「分かったわ。じゃあ、私はここで待っているからね。」

 フローラが同意すると、ビアンカは飛び出すように部屋を後にしていった。

「アレって何かしら?」

 バーバラが期待を寄せる中で、求司はその「アレ」が果たしていどまじんやフロストギズモ達に勝てるのか気になっていた。

 

 それからしばらくすると、ビアンカが「お待たせーっ!」と言いながら部屋にやってきた。

「あら、早かったわね。そんなにすんなりと協力をしてくれたの?」

「ええ、そうよ。それに、ちょうどこの神殿を訪れていた人がいて、彼も協力してくれることになったの。今から早速お披露目するわね!それじゃ、みんな外に出て。」

 彼女に言われて求司、バーバラ、フローラが外に出ると、そこにいたのはキラーパンサーのゲレゲレとゴーレムのゴレムスに加えて何とテリーだった。

「わーーーっ!!!」

「キャーーーッ!!!」

 求司とバーバラはゲレゲレとゴレムスを見るなり、いきなり大声で叫んでしまった。

「ビアンカ!本当に連れてきたのね。」

「ええ。彼らならきっと井戸のモンスターに勝てると思ったから。それに、この少年はちょうど神殿にやってきて、見るからに強そうだったから、交渉を持ち掛けてみたのよ。そうしたら、交換条件と引き換えにOKを出してくれたの。」

「交換条件って?」

「お宝を分けてくれるのならっていう条件だ。協力してやるから、感謝しろ!」

 テリーは腕組みをしながらフローラに向かって言い放った。

「というわけで、バーバラも一緒に来る?」

「えっ?でもビアンカ。もし戦闘になったら、あたしは役に立てるかどうか…。」

「戦闘の合間にホイミで回復役になってくれれば十分よ。それに宝探しに協力すればきっと役に立てるわ。」

 バーバラは最初、どうしようか迷ってしまったが、これまでの自分を変えたいという思いから迷いを吹っ切り、一緒に同行することにした。

「じゃあ、キュウジ。あたし、行ってくるわね。」

「気を付けてね。そして、ビアンカをはじめ、みなさん、バーバラをよろしくお願いします。」

「任せといて!私が責任もって対処するわ!」

「フンッ!言われなくったってやってやるよ!」

「ガルルルル!ガルルルル!(お宝ゲットだぜ!やってやろうじゃねえか!)」

「グォッフォッフォッフォッ。オレ、ジャイアントスイングとゴレムスプレスでガンバル。」

 彼らは金策に燃えているのか、やる気満々だった。

 そしてバーバラは一旦フローラと一緒に神殿に行き、僧侶に転職してからみんなと合流し、ルーラでレイドックに向かっていった。

(※その後、フローラは求司に家庭教師をしてもらうため、フォズが神官を担当することになりました。)

 

 それから時間は2時間、3時間と過ぎていき、やがて夕日が沈んでいった。

(みんな大丈夫かな。無事に戻ってきてくれればいいんだけれど…。)

 求司は1時間半フローラに家庭教師をした後、用意してもらった夕食を食べながら、バーバラ達の帰りをひたすら待ち続けていた。

 そして食事が終わって本を読んでいると駆け足での足音が聞こえてきて、次の瞬間、扉がバタリと音を立てて開いた。

「おっはーーーっ!お待たせーーーっ!」

 姿を現したのはバーバラだった。

「お帰り。心配したけれど、無事で良かったよ。それにしても、凄い喜びようだね。」

「うんっ!だって氷のやいばを手に入れたんだもん!どう?お目当ての武器が手に入ってうれしい?」

「確かにうれしいけれど、もっとうれしいことがあるよ。」

「えっ?なあに?」

「君がここに帰ってきたことだよ。」

「ええっ!?そんなことで喜ばれても…。」

「だって、旅で一番大事なのは、無事に帰ってくることだから。君の元気な姿が見られて良かったよ。」

「ありがとう…。そんなこと言ってくれた人、初めて…。」

 バーバラは意外なことを言われて思わず顔を赤らめた。

 その後、彼女は戦闘になった時、まずゲレゲレ(星降る腕輪を装備)がおたけびで相手の動きを封じ、ビアンカはラリホーやイオラと並行して、テリーやゴレムスにバイキルトをかける役割を担当。そのテリーとゴレムスはまるでアシュ○マンとサ○シャ○ンがコンビ技を駆使するような形で相手をKOさせたことを話した。

(※バーバラはホイミタンクをしながら、MPの少なくなったビアンカの代打でメラミ2発を放ちました。)

 そして戦闘や宝探しの結果、色々なアイテムやお金を手に入れたため、次のように分けることになった。

 

・氷のやいば:バーバラ

・おしゃれなバンダナ(×5):みんなで山分け

・はがねのキバ(×2):ゲレゲレ、テリー

・カメのこうら(×2):ゴレムス、テリー

・うつくしそう:ビアンカ

・お金:みんなで5等分

 

「というわけで、あたしはヒャダルコをぶっ放し放題になったし、これで防具も買いに行けるわ!」

「確かにそうだね。本当におめでとう。」

「どういたしましてよ。それから、あたし、まだMPが少し残っているから、ホイミを唱えてあげるわね。」

「ありがとう。早速お願いします。」

 求司が了解すると、バーバラは即座に実行に移し、MPが無くなるまでホイミを唱え続けてくれた。

 そして彼女は弾む足取りでフローラのところに行き、少し遅い夕飯を食べることにした。

 

 

(※予告:次回からしばらくレック達のエピソードを掲載する予定です。バーバラと求司がセリフ付きで再登場するのは第11話の予定です。)




 この度、本作品がアニメ化されたと仮定して、オープニングテーマソングとエンディングテーマソングの歌詞を掲載することにしました。
 前者はすでにYou Are Thereの第17話で発表していますが、後者はこの作品のための書き下ろしです。


オープニングテーマ:You're my hero

今 飛びだしていこう 見せてよ Your Power
さあ 武器で 呪文で 勝利をつかもう

目の前に強敵がいても
立ち向かおう
恐れることなく
勝てない敵などないから
さあ 行こう Here we go
ふたりなら出来る

君がくれた言葉を いつも覚えているよ
どんな壁もふたりで 乗り越えていけるよ
You're my hero

今 飛びだしていこう 新たな未来へ
さあ その特技で 扉を開けよう

目の前に暗闇が来ても
立ち向かおう
恐れることなく
明けない夜などないから
さあ 行こう Here we go
ふたりなら出来る

君のその背中を いつも見つめているよ
どんな壁があっても 乗り越えていこうよ
You're my hero



エンディングテーマ:Overcome

変えていこう 今の現実を
悔しい 日々から さよならするため
超えていこう 今の限界を
まだ 見たことのない 自分になるため

※Overcome your mental barriers
 Now is the time to change
 一人じゃない きっとできるから
 Overcome your weakness, sadness
 Good try, Better luck next time
 明日は もっといい日になるよ


前を向こう 振り返らないで
心のその傷 いやしていくため
走っていこう 光の方へと
まだ 見たことのない 景色を見るため

 Overcome your mental barriers
 I know you won't let me down
 一人じゃない 仲間がいるから
 Overcome your weakness, sadness
 Whatever will be, will be
 未来は 見捨てたりはしないよ

※Repeat
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