あたし、ツインテールをまもります。   作:シュイダー

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本編がどうもスランプ気味なので、頂いたご感想にあった添い寝ネタで短編を。
すぐには無理とか、IF編の方でとか言っておいて、これか俺。

時系列はフォクスギルディ戦後、ドラグギルディ戦前。
あくまでもIFの話です。なんかややこしい。


if-ex-2 添い寝

「え? あたし、聞いてないけど―――?」

 総二の言葉を聞いて、愛香は不思議そうに答えを返した。

 

「総ちゃん。母さんね、今日、夕方から出掛けて帰りは遅くなると思うから、夕飯は愛香ちゃんの家で一緒させて貰ってくれないかしら?話はしてあるから」

「ああ、分かったよ、母さん」

 学校から帰宅した総二は、母、未春と挨拶をし合った後、そう未春から説明され返事した。

 愛香と一緒に食事することは多いが、基本的にはアドレシェンツァか、総二の家の食卓で食べることが多く、愛香の家で食べることは久しぶりだった。

 半ば趣味でやっているとはいえプロである未春には敵わないが、愛香も、愛香の姉である恋香も、料理の腕は中々のものだった。

 特に愛香の料理は、昔から何となく総二の好みに合っているため、出来れば愛香の料理が食べたいな、と思ったが、今日もアルティメギルと戦いに行った愛香にそこまで甘えるわけにはいかない、と思い直し、むしろ恋香と共に料理を作って愛香を労おうと総二は思った。

 

 そして自分の部屋に戻った総二は、椅子に座り愛香の無事を祈っていた。自分に出来ることはこの程度しかない、と半ば自嘲しながらも、それでもこれで、少しでも愛香が無事で帰ってきてくれる可能性が上がってくれれば。そんな風に思いながら祈り続ける。

 少し経って、窓の方からコンコン、と音が聞こえた。

 総二が窓の方に目を向けると、外に愛香の姿があった。愛香が帰ってきたことに安堵した総二が席を立って窓に向かおうとしたところで、愛香が窓を開けて総二の部屋に入ってくる。

「おかえり、愛香。怪我とかないか?」

「ただいま、そーじ。うん、ひとっつもないわよ」

 総二の、挨拶と無事を確認する言葉に愛香が笑顔で返してくると、ようやく総二は心から安心することができた。

「もう。心配性なんだから。―――でも、ありがと、そーじ」

「ああ―――」

 愛香の呆れたような、それでいてどことなく嬉しそうな言葉と微笑みに、総二は一瞬見惚れ、無意識に彼女のツインテールに触れる。

「―――ん」

「―――」

 気持ち良さそうな愛香の声を聞いて総二は我を取り戻したが、愛香のツインテールの感触と表情、声を堪能したくなった総二は、そのままツインテールを撫で続ける。

「―――あ、そういえば―――」

「―――ん? なに? そーじ」

 しばらくしてから母の言葉を思い出した総二が声を漏らすと、ツインテールを撫でられて気持ち良さそうに目を細めていた愛香が不思議そうに聞き返してくる。

「いや、今日、俺の母さん夕方から出掛けるらしいんだ。それで、夕飯は愛香の家で一緒させて貰え、って言われててさ。だから恋香さんと一緒に料理作って、愛香に食べてもらおうかなって思ってるんだけど―――」

「―――?」

 総二が答えると、愛香はきょとんとした顔で、二、三回ほど目をパチパチとさせる。可愛いな、と総二が思ったところで愛香が口を開いた。

「今日お姉ちゃん、いないけど?」

「―――? 母さん、話はしてあるって言ってたけど」

「え?あたし、聞いてないけど―――?」

 愛香の言葉を聞いて総二も戸惑いながら答えると、愛香が再び不思議そうに答えてから携帯電話を取り出す。

「お姉ちゃんから、今日は友達の家に泊まるからってメールが来てるけど、未春おばさんの事はなにも書いてないんだけど」

「え―――?」

 話が入れ違いになったのか、それともどちらかが勘違いしているのか。こうなったら、自分一人で作ってみようか。そう考えた総二の耳に、愛香の声が届いた。

「―――それじゃ、今日はあたしが手料理をご馳走するわね」

「え、でも―――」

 アルティメギルとの戦いで疲れてるであろう愛香にそこまで甘えるのはどうだろう、と総二が考えたところで愛香が再び口を開いた。

「未春おばさんやお姉ちゃん程の料理は作れないけど、それなりには自信はあるし。それともそーじ、あたしの料理、嫌?」

「いや、愛香の料理は大好きだ。ただ、愛香はアルティメギルとの戦いで疲れてるんじゃないかな、って思って」

 最後に恐る恐る出された愛香の問いに即答した総二の言葉を聞いて、愛香が微かに頬を赤らめ、恥ずかしそうに言葉を紡いでくる。

「あ、ありがと、そーじ。でもへーきだから。それに、その、そーじにあたしの料理食べてほしいから、作らせてほしいな」

「そ、そうか。じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて、ご馳走になるよ」

 愛香の言葉を聞いて顔が熱くなった総二も、恥ずかしさを感じつつも口ごもりながら答えたのだった。

 

「ごちそうさまでした」

「はい、おそまつさまでした」

 愛香の、気合の入った手料理を全て平らげた総二がその料理に満足の挨拶を行うと、愛香もそれに笑顔で答えた。

 あの後、お互いに着替えてから再び総二の部屋に来た愛香。

 先程同様に総二は愛香のツインテールを触り続け、気が付くとそろそろ食事の支度をしなくては、と思う時間になっていた。愛香もそれに気付き、総二を連れて自分の家に戻ると、総二を席に着かせて料理の準備を始めた。

 手際よく料理を進める愛香の姿を見て総二が感心しながら、何か手伝う事はないか、と問うと、今日は自分の料理を食べてほしいからまた今度、という答えが返って来たため、総二はおとなしく席で待っていることにした。

 何か新婚夫婦みたいだ。頭に一瞬そんなことが思い浮かび、総二の顔が熱くなり慌てて頭を振る。

 そして出来上がる、愛香の手料理。

 愛香の実直な人柄を表すような、取り立てて豪勢なわけではないありふれた料理ばかりだが、一切手を抜いていないことが分かる、心の込められた料理。

―――おばあちゃんが言っていた。どんな調味料にも食材にも勝るものがある。それは、料理を作る人の愛情だ。

 いや、誰のおばあちゃんが言ってたんだ、と思いつつも、何となく頭の中をよぎった言葉に総二は深く同意する。愛情があればどんな料理でも上手くなるわけでは無いだろうが、愛情無くして本当に美味しい料理は作れないのではないか。そう思わせる料理だった。

「そーじ―――、美味しかった?」

「ああ、すごく美味しかった。それに愛香の料理って、昔からなんとなく好みの味付けなんだよな」

「そ、そう? 良かった―――」

 どこか不安そうに聞いてくる愛香の問い掛けに総二が本心からの笑顔を伴って答えると、愛香は顔を赤くして安心した様子を見せた。そこで総二は、何となく思い出したことを問い掛ける。顔が赤くなっていることを自覚して。

「そういえば、今日は、その、『ご褒美』。どうする?」

「あ―――、え、えっとね、きょ、今日はちょっと、して欲しいことがあって。寝る前、――時頃、お風呂あがったら、あたしの部屋に来てくれないかな?」

「え―――、わ、分かった」

 総二の問いに顔を赤くして口ごもりながら返された愛香の言葉に、総二の顔が更に熱くなる。

 そして、総二は一旦自分の部屋に戻ると、本を読んだりして時間を潰し、時間を見計らって風呂に入る。

 風呂から上がったところで店と未春の部屋に行ったが、まだ帰っていないようだった。

 心臓がうるさいほど高鳴っていることを自覚して部屋に戻り、窓から愛香の部屋を覗くと愛香もこちらを見たところだった。

 愛香が窓を開けたのを見たところで、総二も窓を開け愛香の部屋に向かう。

 愛香の部屋に入ったところで、総二は愕然と言葉を吐き出した。

「愛香、その髪―――」

「えっと、さすがに寝る時にはツインテール解かないと、髪が傷んじゃうから―――」

「そ、そっか」

 当然と言えば当然の愛香の言葉を聞いて気を取り直した総二は、納得の言葉を吐き出す。震えていたが。

 そこでふと、愛香の言葉の中にあった気になる部分を問い掛ける。

「あれ?寝るのか?」

「え? えーとね―――」

 総二の言葉に愛香はモジモジして顔を真っ赤にしながら、言葉を続けてくる。

「その、ね。そーじ、一緒に、寝てほしいなって―――」

「え―――」

 愛香の言葉を聞いて、総二の顔がまた熱くなる。

「へ、変な意味じゃなくてね、添い寝してほしいなって」

「そ、そうか、分かった、そ、添い寝だな。―――え」

 一瞬、変な想像をしてしまった総二に、愛香が慌てた様子で言葉を続けてくると、総二は落ち着いた後に愛香の言葉を確認したところで硬直する。

 いずれ来るかも知れない時のために、そして愛香に恥をかかせないために、総二は今まで興味の無かったある方面の知識も勉強している。

 添い寝程度これまでだったら、そんなことか、くらいで済んでいたかも知れないが、愛香を女の子として意識し始め、そういった知識を蓄え始めた現在、色々なことを考えざるを得ない。と言うか色々なことをしかねない。

「駄目、かな?」

「い、いや、分かった」

 断るべきだろうかと考えていた総二だったが、真っ赤な顔で上目遣いに、かつ恥ずかしそうに訴えてくる愛香の可愛さに負けて承諾し、共に愛香のベッドに向かうのだった。

 

「―――」

 寝れない。

 幼い頃は愛香と一緒に寝ることもあったが、あくまでも幼い頃の話。共に成長してそんなことも無くなり、かつ今は憎からず思っている女の子。

 更に風呂上がりの愛香からは良い香りが漂ってくる上に、触れ合う身体と、愛香からのお願いで握っている手から伝わってくる熱。

 寝れるわけが無い。寝れてたまるか。

――――愛香の手、柔らかいな。それにこの匂い、落ち着くのに、なんか落ち着かなくなる。でも、もっと嗅ぎたくなってくる。抱き締めても良いんだろうか。抱き締めても良いよな。いや、ここは抱き締めるべきだろう、男として。って、待て俺。この状況で抱き締めたら歯止めが効かなくなりかねない。ここは心を強く持って、抱き締めるんだ。って、だから―――

「―――そ、そーじ、寝ちゃった?」

「―――! い、いや、起きてるよ」

 愛香から囁くような大きさの声を掛けられ、色々葛藤――多分――していた総二は一瞬驚いた後、なんとか冷静に応答した。

「ひ、久しぶりだよね、二人でこんな風にするの」

「そ、そうだな、俺もそう思ってた」

 考えていたのはそれだけでは無いが、口ごもりながら掛けられる愛香の言葉に総二も口ごもりながら答えると、愛香が恥ずかしそうに言葉を紡いでくる。

「そ、そーじ、あのね。だ、抱き締めてもらって、良いかな―――?」

「え、い、良いのか?」

 愛香からの渡りに船と言える言葉に、総二は内心嬉しいものを感じながらも戸惑いつつ聞き返す。

 暗くてはっきり見えないが、恐らく顔が真っ赤になっているだろう愛香は、更に恥ずかしそうに言葉を続けてくる。

「うん。ぎゅっ、てしてほしいな」

「わ、分かった」

 総二は愛香の声に答えると、繋いだ手と逆の手を、愛香の肩から背中に回して自分の体に引き寄せると、強く抱き締める。

「―――」

「―――」

 更に強く感じられる愛香の体温と匂いに、増々総二の熱が上がり、気持ちが昂ってくる。冷静になれ、と総二が自分に言い聞かせていたところに愛香が総二の背中に手を回してきたことで、冷静さが吹っ飛ぶ。既に、暴発しないのが奇跡的と言えた。

 暴発する水際で止まっている理由は、唯一つ。自分は愛香を利用しているのではないか、という悩みのため。

「そーじ―――。あたしってそんなに、魅力、無い―――?」

「え―――?」

 ぎりぎり踏みとどまっている総二の耳に、愛香の悲しそうな声が届く。

 総二が戸惑いの声を漏らすと、愛香は悲しそうな声のまま言葉を続けてくる。

「こんな状況なのに、そーじ、なにもしてくれないから、あたし、やっぱり女の子としての魅力無いのかなって―――」

「―――違う、愛香。愛香は滅茶苦茶可愛い。正直、このまま襲いたいくらいだ」

 愛香の言葉に慌てて総二は答える。言った後に、表現を考えろ、と自分に突っ込むような言葉を出すくらい慌てていた。

「じゃ、じゃあどうして、なにもしてくれないの?」

「―――悩んでるんだ。俺は愛香を利用してるんじゃないか、って」

「え―――?」

 総二の答えに、今度は愛香が戸惑いの声を上げると、総二は振り絞る様に言葉を吐き出す。

「俺は、愛香への気持ちがはっきり恋なのかどうか分からない。ずっと一緒に居たいとは思っているし、大切に思っていることも嘘じゃない。付き合ってくれ、って告白することも考えた。だけど、俺の愛香への気持ちが恋じゃなかったら、俺は、愛香の気持ちを利用して戦わせているってことになるんじゃないか。そう思っちまうんだ―――」

「そーじ―――」

 総二の言葉を聞いた愛香が、さっきとはまた違う悲しそうな声で名前を呼んでくると、総二は再び言葉を続ける。

「この『ご褒美』も、愛香の気持ちを利用してるんじゃ―――」

「そーじ―――!」

「―――!?」

 総二の口が何か柔らかいもので塞がれ、言葉が途中で止まる。

「―――ん」

 暗闇に慣れた目が、間近にある愛香の顔を捉える。総二の唇が愛香の唇に塞がれていた。

 愛香の顔が離れていき、彼女の言葉が総二の耳に届く。

「そーじ。あたしね。そーじが好き。男の子として、ずっと好きだったの」

「愛香―――。でも、俺は―――」

「いいよ」

 愛香からの率直な告白を聞いて総二は嬉しく思うものの、さっき話した悩みを思い出し再び答えようとしたところで、愛香は優しい声で遮ってくるとそのまま言葉を続けてくる。

「あたしは、そーじにだったら利用されても構わない。あたしはそーじを守りたいから。そーじが戦えないなら、そーじの代わりに、そーじの分も戦うって決めてるから。―――それにね―――」

 そこで愛香は言葉を切ると、暗くても分かる綺麗な微笑みを総二に向け、再び言葉を紡ぐ。

「そーじはあたしを利用してなんかいない。そんな辛そうな顔で、あたしだけ戦わせていることで自分を責めているそーじを見て、あたしを利用してるなんて言う奴がいたら、あたしがぶん殴ってやるわ」

「愛香―――」

 総二を想ってくれる愛香の言葉に、総二の心が軽くなり、軽口が口を吐いて出る。

「それじゃあ、俺は愛香に殴られちまうな」

「あ! そ、そーじは別よ―――! つまり―――」

「分かってるって。ありがとう、愛香―――」

 総二の言葉を聞いて慌てて喋り出す愛香の言葉を、総二は優しい声を出して遮る。

 雑念が多い。師でもある、愛香の祖父に言われた言葉を思い出す。

 もう考えるのはやめた。愛香が全力で戦えるように、無事で帰ってこれるように、そのために自分が出来ることをする。ただそれだけを考える。

 愛香が総二を求めてくれるなら、総二もそれに応える。何より総二自身も、愛香と先の関係に進みたいと思っている。

「愛香―――」

「そーじ? ―――ん」

 愛香の名前を呼んだ後、今度は総二から愛香にキスをする。

 数秒の後、総二は唇を離して愛香を求める言葉を出す。

「愛香、―――いいか?」

「―――うん。―――あ、ちょっと待って」

「ん?」

 総二の言葉に肯いた後、静止する言葉を掛けてきた愛香は起き上がると、すぐ近くに置いてあったリボンを手に取り、ほんのわずかな時間でいつもの見事なツインテールを作る。

「そーじは、この方がいいでしょ?」

「愛香―――。ありがとう」

 微笑みながら確認の言葉を掛けてくる愛香の心遣いを受け、総二も微笑んで感謝の言葉を返す。

 何となく二人でベッドの上に正座して(かしこ)まると、心臓の鼓動が早くなってくる。

 愛香が、恥ずかしそうに小さな声で総二に声を掛けてくる。

「よ、よろしくお願いします―――」

「お、おう。こ、こちらこそ、よろしくな」

 その言葉の後、総二は愛香を抱き締めると、そのままベッドに押し倒した。

 

「―――?」

 朝、何となく鳥の声で起きた気がした総二は、ゆっくり目を開ける。

「―――!?」

 愛香の顔が目の前にあったことで、総二の目が一瞬で覚める。

 そのまま良く見ると、愛香の首から下は肌色、つまるところ裸だった。自分の方も確認すると同じく裸となっていて、一瞬の混乱の後、昨晩あったことを思い出す。

 自分と愛香は一線を越えて互いの初めてを捧げ合い、親友から恋人になった。

 そこまで思い出して総二は落ち着きを取り戻すと、愛香の顔を見つめる。

「―――ん」

「―――ん?」

 可愛らしい寝顔を堪能することしばらく、何となくだが、愛香はもう起きている気がした。その上で何かを期待している様な気がする。

「―――」

 だんだん赤くなってきた気がする愛香の顔を見て、もう少し見ていたいと思うと同時、総二も一つの欲求が首をもたげ始め、その衝動のまま愛香にキスをする。

「―――ん」

 キスをしたところで、愛香が目を覚ます、いや、瞳を開いた。

 しばらくキスした後、唇を離し目覚めの挨拶をする。

「お、おはよう、愛香」

「お、おはよ、そーじ」

 顔が真っ赤になった愛香の顔を見て可愛いと思うと同時、自分の顔も真っ赤になっているだろうな、と総二は何となく思った。

「と、とりあえず、俺、シャワー浴びてくるな。また、朝食の時に」

「そ、そうだね、うん。また後で」

 抱き締めたいと言う欲望を無理矢理押し殺し、総二が愛香に言葉を掛けると、愛香も返事をしてくる。

 下手に抱き締めたりしたら、昨晩の続きを行いかねない。今日は平日であり、学校がある。おのれ、平日。おのれ、学校。

 かなりどうかと思う理由で暦と学校へ怒りを向け、脱いだ服を着込んだ総二は窓から自分の部屋に戻る。

 風呂場に向かい、再び服を脱ぎシャワーを浴びる。そして体を拭いて着替える。

 風呂場を出て、部屋に向かおうとした瞬間。

「おはよう、総ちゃん」

「―――! ―――お、おはよう、母さん」

 背中から掛けられた母の声に、一瞬、飛び上がるほど驚いた後、努めて冷静に、振り返ってから総二は挨拶を返した。

「ふふふ」

「ど、どうしたんだ、母さん。なんか、やけに嬉しそうだけど」

 満面の笑顔を向けてくる未春に総二が問い掛けると、母は嬉しそうに、どこかで聞いた様な言葉を返してきた。

「ゆうべはおたのしみでしたね」

「ちょっ―――!?」

 落ち着け。流石にこの母とは言え、全てを知る神ではない。適当に言ってるだけかも知れない。混乱する頭を回転させ誤魔化すための言葉を絞り出す。

「な、なにを言ってるんだ、母さ―――」

「避妊はちゃんとしないと駄目よ? 子供を育てるのって、本当に大変なんだから。二人とも高校生になったばかりなんだし、若さのまま突っ走りたくなるかも知れないけど、それだけは忘れないでね? ―――まあ、お祖母ちゃんって言われるのも悪くないかも知れないけど」

「おおおーい!?」

 最後は苦笑になっていたが、未春の言葉には確信があった。それを感じ取った総二は思わずツッコミの叫びを上げると、未春に質問する。

「なんで、知って―――」

「さっき外の掃除をしてた時になんとなく総ちゃんたちの部屋を見上げたら、総ちゃんが愛香ちゃんの部屋の窓から帰って行くのを見かけてね。これはもしや、と思って風呂場に行ったら、予想した通りシャワーを浴びてるじゃない。これはそういう事なんだろうなーって思ったのよ」

「うおおおおお―――」

 未春から返された言葉を聞いて、まさかそのタイミングで目撃されるなど予想してなかった総二は、恥ずかしさに悶えながら頭を抱えて呻き声を上げる。

「それで、愛香ちゃんの味はどうだった?」

「あ、味って―――!」

 母から息子に掛けられるものとは思えないその言葉を聞いて、総二は絶句すると共に更に顔が熱くなるのを感じた。

 楽しそうに笑顔を向けてくる未春の姿を見て、愛香が来たら更にからかわれるであろうことを予想した総二は、頭が痛くなるものを感じると同時に、愛香と先の関係に進めたのだという事を知り嬉しくなったのだった――。




この後、やっぱり滅茶苦茶からかわれた。
最後に付けようとしましたが、崩す形になるのでオミット。

甘く感じて頂ければ良いのですが。
添い寝ネタは、また他の形で使うかもしれません。

愛香が家事や料理できるかはオリジナルですが、原作で総二が『貧乳以外完璧』と言ってることと、愛香の性格上、女として磨ける部分は全て磨くだろうと思い、出来るものと考えています。総二が愛香の料理好きってのもオリジナルですけど。
むしろ料理の描写が出来ない自分が問題。愛読書の野戦料理の描写が浮かび掛けました。

幼い頃に一緒に寝ていたのもオリジナルですが、何故原作はこういう幼馴染キャラにありそうなことを書いてくれないのだろうか。書いて欲しいなあ。

それはそうと本編がどうにもスランプ気味。イチャイチャ部分は思い浮かぶんですが、どうにも文章と言うか表現が今一つ浮かばないのが。
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