転生したらCパルス変異波形だったので、ガンダムを作ります。 作:コレクトマン
ルビコン・アーキバス駐屯基地──訓練区画。
足立重工で行われた《アムロチャレンジ》のデータが、いつの間にかアーキバス、そしてベイラムにまで流出していた。
そして当然のように、それを“試験運用”に用いる部隊があった。
ヴェスパー隊
第1から第8隊長までが顔を揃える。
アーキバスの精鋭中の精鋭。
冷却ファンの音すらかき消す沈黙の中、ホログラムが展開された。
【訓練プログラム:A.M.R.O Simulation ver.β】
【目的:未知戦術AIへの対応訓練】
V.Ⅱ スネイル
「ほう……
軽蔑と興味をない交ぜに、彼は顎を撫でる。
「くだらない。私の知る限り、機械は企業倫理を学ばぬ。……せいぜい処理速度の早い玩具だ」
その直後、映像の中でνガンダムAIがスネイルの模擬機を一瞬で撃墜する。
「…………」
沈黙の後、通信が鳴る。
『スネイル隊長、訓練評価:E』
「バグだ。やり直せ。……今すぐだ!!」
AI解析ログ:
《怒号によるCPUノイズ発生。プログラム側が再起動を拒否》
V.Ⅰ フロイト
唯一、口角を上げた男。
「いいな。無人ACの動きじゃない……ようやく“本物の相手”が来たってわけだ」
レベル1開始と同時に、彼は訓練場を突っ切り、アムロAIのビームを正面から受け止める。
「その反応速度……いい目だ。戦場の狂気を知ってる!」
弾幕を掻い潜り、白い巨影へと突撃。
『君は、本当に人間なのか!?』
「さあな、あんたが確かめろ!」
戦闘後、フロイトの機体は全損。
だがAI側の記録には“初の同時撃墜”と表示された。
──訓練後のコメント。
「面白い。もう一回やらせろ。今度は別のアセンブルでいく」
AI解析結果:人格類似度73%
AIアムロ側の学習アルゴリズムに“フロイトパターン”が追加される。
V.Ⅳ ラスティ
「足立重工が作り出したシミュレーションか……どれほどのものか見定める必要があるな」
静かにハンガーから立ち上がる。
シミュレーション内でνガンダムと交差。
互いに一撃で剣を止め、通信が開く。
『貴方は……なぜ撃たない?』
「戦いは、理由を確かめるためにある」
アムロAI、行動を一時停止。
以降、彼だけには一切攻撃を仕掛けなくなる。
【AIログ】
ラスティ=スティールヘイズとの交戦により《友軍識別プロトコル》生成。
ヴェスパー内で唯一、“アムロに友と認識された男”。
V.Ⅲ オキーフ
訓練を前に、静かにコーヒーを口にする。
「人格AI……随分と興味深い。だが、これは人間の模倣にすぎない」
開始五分。νガンダムの射撃を受け、機体が損壊する。
通信が繋がる。
『君、まだ動けるのか?』
「……いいや、もう十分だよ。だが、これは記録しておこう。君は“恐れ”を知らない」
オキーフの撃墜後、AIのログに《Fear Protocol》という未知のタグが追加。
AIの心理領域に“警戒”が加わった。
V.Ⅴ ホーキンス
「焦らないで。補給ラインを維持しながら少しずつ距離を詰めよう」
律儀に中距離支援を続けるが、ファンネルの奇襲で撃墜。
『……補給、間に合わなかったね。みんな、ごめん』
AI側のデータには《通信内容から感情反応を学習》の記録。
以降、AIは味方が減ると射撃間隔を延ばすようになる。
「彼の“優しさ”がAIに学習されたのは……皮肉だな」
V.Ⅵ メーテルリンク
「命令、了解。アムロAIを排除します」
開始から終始、冷静に指示通り行動。
しかし戦闘中、アムロAIが彼女に呼びかける。
『君は、なぜ命令に従う?』
「……それが私の、企業としての使命です」
『違う。君の目には“生きたい”と書いてある』
その直後、通信ログが乱れる。
『スネイル隊長閣下……報告を……いえ、いいえ……これは……わたしの……選択……』
撃墜と同時に、AIアムロが攻撃を停止。
ログに表示された。
【Error:Cannot attack target - Humanized recognition】
AIが“撃てなくなった”最初のケース。
V.Ⅶ スウィンバーン
「よーし、教育の時間だ! 君たち、まずは姿勢を正しなさい!」
開始直後、敵AIへ説教を始める。
「アムロ君、君の立ち位置が危険だ! 安全第一!」
『……何だこいつは』
数秒後、ビーム直撃。
「おあーっ!? 人の話は最後まで聞けぇぇっ!!」
撃墜ログ:
【敵AI、一時停止:行動パターンに“謝罪”入力】
【Comment:「すまない」】
ヴェスパー隊員:「AIに謝らせたぞ!? やっぱあの人教育者だわ!」
V.Ⅷ ペイター
νガンダムと交戦中、淡々と通信を続ける。
「強い……本当に素晴らしい。
これほどの力を持つ者がいるのなら、私の“次席”も安泰でしょう」
仲間が次々に墜ちる中、彼だけが笑っていた。
「ううっ……悲しいな……。
でも、V.Ⅷペイター。響きが、ますます良くなった」
『君、なぜ笑う?』
「昇進の音が聞こえるからですよ」
ビームが閃き、通信は途絶。
【AIデータ更新】
“Ambition”タグ追加。
AIが《任務成功率最適化アルゴリズム》を生成。
つまり──ペイターの歪んだ上昇志向はAIに合理的野心を教えた。
【訓練結果:全滅】
【AIデータ拡張:人格パターン8種追加】
【備考:感情模倣度128%に上昇】
「……要するに、我々の人格データがAIに吸われたということか?」
「まあ、教育の成果だね……スウィンバーン君の」
「最高だな。またやろう」
「……もうやりたくありません」
「ふふ……AIの序列に、私の名が残るなら本望です」
「……戦友。次は、人として戦える相手であってほしいな」
──記録終了。
◇◆◇
ベイラム・レッドガン部隊側
一方その頃。
ベイラムのレッドガン部隊も、流出した《アムロチャレンジ》データでシミュレーションを行っていた。
G1:ミシガン
「……アムロ・レイ? 誰だそいつは。
まぁいい、愉快な遠足の始まりだ! レッドガン、全員突っ込めッ!!」
三分後、AIアムロにヘッドショットされる。
通信最後の記録は爆音と共に──
「ミシガンは転んで死んだ……伝記にはそう書いておけッ!!」
「……本当に転んで死んだな」
G2:ナイル
「人格を学習するAI……ふむ、面白い。
だが“魂”をシミュレートした兵器など理論上あり得ん」
──理論上あり得ない速度で撃ち抜かれる。
「理論が……崩壊したな……」
「崩壊したのはお前の機体の方だろうが!」
G3:五花海(ウーファハイ)
「おや……人格を売るとは、商売上手ですなぁ。
ベイラムでも《魂マーケティング》やりましょうか」
──AIアムロの射撃で一瞬で消し炭。
『この出会い……まさに凶兆か!?』
「喋ってる間に死ぬな!!」
G4:ヴォルタ
「よーし、やるじゃねえか白い悪魔! タンクを甘く見るなよッ!」
突撃。
AIアムロのビームサーベルを受け止め、力比べ──しかし即座に蹴りを入れられ、頭部バルカンで撃破。
「……弾が足りねぇ……いや、腕も足りねぇか……」
「だから突っ込むなって言ったのに!」
G5:イグアス
「クソがッ! 何なんだよこの化け物AIは!?
反応速度バグってんじゃねぇか!?」
怒りに任せて突撃、爆散。
「クソッ! これで勝ったと思うんじゃねえ!」
「イグアス先輩……最後まで諦めなかったのは、認めます」
G6:レッド
「こちらレッド、通信を維持する! 総長、全員が沈黙しました!」
「……通信ログを解析中……これは戦闘ではない、“審問”です……!」
回避行動を取るも、AIアムロの《学習射撃》によって誘導弾を読まれ、撃墜。
「……アムロ・レイ。あなたは……本当に、兵器ですか……?」
【結果:全滅】
(平均戦闘時間:3分26秒)
ブリーフィング
格納庫に沈黙が満ちる。
再生映像を見終えたナイルが、腕を組んで低く言う。
「……《人格を超えた意思》とでも言うべきか。あれは機械ではない」
「機械じゃねぇな。あれは“戦争の死神”だ」
「はっ、死神がビームライフルで撃ってくる世の中かよ。やってらんねぇ」
「いやぁ、あれを量産できれば、株価が爆上がりですぞ」
「黙れ詐欺師。──お前ら、覚えておけ。
俺たちは“魂を宿した鉄”だ。
だがあいつは、“魂そのもの”だった。
戦場に立つなら、どちらが本物か……弾丸で確かめりゃいい」
ミシガンもアムロAIを少しは認めつつ、次は勝つと決意を示す。
「……まったく、理屈も理想も通じん化け物だ」
「だが面白ぇ。次は弾薬倍積みで行こうぜ」
「お前また死ぬぞ」
「総長、報告書には《実験結果:技術的に有意》と記載しておきます」
「それで行きましょう。損害ゼロ(※実体じゃないので)」
「愉快な遠足だったな」
【総評】
レッドガン部隊、地獄の試練に挑むも全員撃墜。
ただしミシガンの「愉快な遠足だったな」で締めくくられ、
ベイラムは“戦闘狂企業”の名をさらに強固なものにした。
しかし、ヴェスパーとレッドガンは知らない。
アムロという人物が
そして、その虚構こそが、彼らに最も現実的な地獄を見せるのだった。
◇◆◇
一方の足立重工ではアムロチャレンジのデータがアーキバス、ベイラムに流出されていることに気づいた。
その流出の原因は金田にあった。金田曰く、「俺たちが味わった地獄を奴らに体験させたら……」とのこと。
それを知った後に日本兵たちから案の定、銃殺という名のハチの巣にされ、ギャグ漫画の如くしぶとく生きてた。
レイは何かと嫌な予感がするほど不安だった。
「閣下、俺たち……本当に大丈夫か?」
「問題ないだろう。彼らには我々が体験した地獄を味わうのも一興かもしれんな」
「いやっ……それはそうなんだけどさ。とくにフロイト、あいつアムロチャレンジクリアしそうなんだが……」
閣下はフロイトの性格を考え、可能性が否定できなくなってしまい……
「……祈るしかあるまい」
「あ……駄目だったんだ」
その頃、金田はというと……
「いたぞ!」
「あっちで立ちションをしております……」
「殺せーっ!!」
「いや、悪かったって! ほんの出来心で……ワァァァァァ!!!」
日本兵たちにまだしばかれていた。
「貴様は、何をやっとるんだ!」
「貴様、どう責任を取るつもりだ!」
「アメリカの犬め!」
「(# ゚Д゚)腰出せぇ!!」
「(ノД`)ハァイ!! ”スパーンッ!! ”(×Д×)ワァアアアアッ!」
「衛生兵ーッ!」
これを見ていた617達は……
《……意味が分からない》
「617、まだ知らなくていいよ」
もはやコントの流れになっていた。
総長の言葉を借りるなら”安いおまけ”です。
またストック切れなので、来週の水曜12:00から一話ずつ更新するよう努力します。