(ガワだけ)胡乱なカードゲームおじさん   作:十田心也

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18枚目 溺れる自意識

 喜劇的に始まった御園(みその) (しげる)安治(あんじ) (ゆい)の2人によるバトル。

 観客は安治家の執事である仕換(しかえ)のみの対戦、先攻は結から始まった。

 

「デバイスの判定により先攻はわたくし! チャージし即座にエネルギー抽出、黄1点で【施しの慈愛像】を召喚!」

 

【施しの慈愛像】

カードコスト:[黄]

カードタイプ:ユニット

世界:黄

種族:リビングアート

戦闘力:0/生命力:1000

 

 フィールドに姿を現したのは、柔らかな微笑みを湛えた石像。

 慈母を彷彿とさせるその像はただの冷たき石ではなく、確固たる意思を持って動く彫刻(スタチュー)である。

 

「このユニットが召喚されたことにより1000点のSP(ソウルポイント)を得ますわ! わたくしはこれでターンエンド!」

 

 安治 結

 SP20000→SP21000

 

 遍く慈愛はプレイヤーである結にも降り注ぎ、その恩恵を身に受ける。

 だがこのユニットの真価はこれだけではない。

 結は自身のデッキにとって最善の滑り出しができたことにカード、そして敬愛する経津(ふつ) 重花(じゅうか)お姉様へ感謝を捧げた。

 さらに景気づけとばかりに、お姉様へ不埒を働いたとほざく対戦相手の繫へ結は宣言する。

 

「先に言っておきますわ! この試合、圧倒的大差をつけてわたくしが勝つと!!」

 

「おぉ、勝利宣言ですか」

 

 若い世代では最近あまり見なくなった()()に繫が嬉しそうに反応する。

 繁は元々そういうマイクパフォーマンスはしないが、昨今はコンプライアンスなどの影響なのか一定の年齢層以下の選手同士による挑発じみたやり取りはすっかり影を潜めていた。

 完全になくなったわけではなく今でも少数の若手選手が披露していたりもするが、昔と比べればその規模はごくわずかと言える。

 これも時代の流れといえばそれまでだが少々そのことを寂しく思っていた繫にとって、結の勝利宣言は懐かしい気持ちを呼び起こさせてくれるサプライズとなった。

 

「私のターン、ドロー! カードを1枚チャージしターンを終了します」

 

「あら、ずいぶんと大人しい立ち上がりですこと」

 

 自身のターンに何もしない対戦相手を見て結が揶揄する。

 1ターン目ならば何もカードをプレイしないことは特に珍しくないが、今の結にとってそのようなプレイングの話は重要ではない。

 

「それともわたくしに恐れをなしたが故の行動かしら!」

 

 少々頭が茹っている結は、今はとにかく目の前の男の全てが気に入らなかったのだ。

 今もこんなに挑発的な言動を自身がしているのに、胡散臭い対戦相手は何やら微笑ましそうな様子でこちらを見ているだけ。

 普通プロでもない小娘がこんな生意気な口を利いたら怒鳴られそうなものだが、そのようなリアクションを繫は一切してこない。

 それとも小娘風情の言うことにいちいち付き合うこともないとされているのか。

 激情に駆られながらも頭の片隅でそんなことを考えながら、結は返ってきた自身のターンを開始する。

 

「ふん、ならこのまま押させてもらいますわ! わたくしのターン、ドロー!」

 

 結は引いたカードを確認し内心で破顔する。

 このままうまくいけば、自身が握るこのデッキは理想的な回り方をすると確信したからだ。

 

「カードをチャージし、コスト2の【奮起する騎士団】を召喚!」

 

 召喚の宣言と同時、その身を結の盾とするように揃いの鎧を身にまとった騎士たちが駆け付ける。

 そうした騎士たちの参上を祝福するように、慈愛像より柔らかな癒しの光がもたらされた。

 

「自身のユニットが召喚された時、【施しの慈愛像】がフィールドにいればSPを1000回復! 更にわたくしのSPが回復されるたび【奮起する騎士団】は戦闘力生命力が共に強化されますわ!!」

 

 安治 結

 SP21000→SP22000

 

【奮起する騎士団】

カードコスト:[黄][1]

カードタイプ:ユニット

世界:黄

種族:騎士

戦闘力:1000/生命力:3000→戦闘力:2000/生命力:4000

 

 仕える主の繁栄に応えるように騎士たちが奮起する。

 このターンでのカードの動きを見て、繫は結の使用デッキに大体の当たりつけた。

 おそらく結のデッキは黄の世界が誇る一大勢力、【キュアビートダウン】と見ていいだろう。

 

「これでわたくしの騎士団は、ただ自陣が増えていくだけで無限に強化されていくのですわ!」

 

 黄の世界のカードはプレイヤーを回復する術に長けているだけではなく、回復をトリガーとした効果が豊富に存在する。

 本来は防御的な回復という手段を攻撃的な行動に変換し、それらを駆使したビートダウンで盤面とSPレースに競り勝つ。

 それが【キュアビートダウン】というデッキ。

 手堅いゲームメイクを得意としながらも使い手の色を出しやすいという懐の広さから愛用者は多く、その層は初心者からランキングプレイヤーまでと幅広い。

 

「ターンエンド! ふふ、次のターンには一気に強化したユニットで」

 

「おっと失礼、青1点で【まとわりつく潮風】を発動します。【奮起する騎士団】を手札へ」

 

 青のバウンスカードにより瞬く間に手札へと送られる騎士たち。

 水を差された結が睨んだ先、繫は常と変わらぬ曖昧な笑みを浮かべているだけであった。

 もちろん繫に相手を小馬鹿にするような意図はなかったが、そうした態度をどう受け取るかは結の都合である。

 

「私のカード処理を挟んだので、まだ何かあるようなら」

 

「何もないですわよ! 早くそちらのターンに移ってくださる!?」

 

 結果、結は繫からの挑発と受け取り、その返礼は喧嘩腰であった。

 

「それではありがたくターンをもらいましょう」

 

 一方そのような敵意を受ける繫としては、元気があって大変よろしいという感想である。

 まだ学生の年齢であり、今回の依頼主でもある結。

 そのような前提条件を備えた対戦相手に繁は何ら含むところなどなかった。

 もちろん勝負は勝負であり手を抜くことはありえない。

 当初の依頼通り講義であったのなら違うやり方もあったが、依頼主が望むのはそれではない。

 対戦相手を微笑ましく見ながらも全力で叩き潰そうとする繁、まさにお利口なバーバリアンの本領発揮と言えた。

 

「カードをチャージ、青緑の2点で【雨と木々の輪舞】を発動します。カードを1枚ドロー、その後手札に青か緑のカードがあるのなら1枚選びエネルギーフィールドに置くことができます。私は緑のカードをエネルギーフィールドへ」

 

 雨粒は手札へ、落葉はエネルギーへ。

 青と緑のいいとこどりとも言えるカードにより、露骨にリソースを稼ぎにいった繫。

 次のターン繫は4コストへ届くという事実に、結の中のプレイヤーとしての勘が少し頭を冷やせと警鐘を打ち鳴らす。

 単純明快な脅威として、重コストのカードを相手の方が先に使用できる状況は看過できない。

 

「私はこれでターン終了です」

 

「ならばわたくしのターン、ドロー!」

 

 結は自身のデッキで、繫のデッキにリソース勝負で勝てるとは思っていなかった。

 黄の世界のカードは他の世界と比べれば割と器用に動けるが、得意分野で勝るほどでは当然ない。

 ここはブレずに自身のデッキが得意とする盤面勝負に持ち込むのが最善と結は判断する。

 

「チャージし全エネルギー3点、【人望厚き司祭】を召喚! 慈愛像の効果が誘発しSP1000回復!」

 

 安治 結

 SP22000→SP23000

 

【人望厚き司祭】

カードコスト:[黄][黄][1]

カードタイプ:ユニット

世界:黄

種族:聖職者

戦闘力:1000/生命力:1000

 

 コストの割には貧弱な、人の好さそうな司祭がフィールドに現れる。

 しかしこのユニットの真価はステータスに非ず、注目すべきはその効果。

 

「更にSP回復に誘発し【人望厚き司祭】の効果! わたくしのSPが回復した時、【信徒】トークン1体が召喚されますわ!」

 

【信徒】

カードタイプ:ユニット(トークン)

種族:大衆

戦闘力:1000/生命力:1000

 

 敬虔な司祭の下に信徒が集い、その信仰の表れが慈愛の像を再び目覚めさせる。

 

「ユニットが召喚されたことにより再び慈愛像の効果発動! さらに司祭の能力は1ターンに2回まで発動しますわ!」

 

 安治 結

 SP23000→SP24000→SP25000

 

 いよいよ結のデッキ、【キュアビートダウン】が回りだす。

 このターンにプレイしたのは司祭1枚のみだが、結果はSP3000回復に【信徒】トークンが2体追加。

 ユニットが増えれば加速度的に盤面を形成していくのがこのデッキの強みであり、ビートダウンでありながらコンボ染みた動きが可能なのが【キュアビートダウン】なのである。

 

「ターンエンド!! さぁさぁ、このままだとわたくしの陣営がどんどん増えていきますわよ! お姉様を敬愛する、わたくしと志を一つとした同胞たちが!」

 

 何やら言いたげにしている司祭たちを尻目に、結は自身のデッキを上手く回せている現状を喜んでいた。

 その顔は先ほどまでの繁への憤り十割のものではなく、バトルワールドプレイヤーとしての色が確かに浮かんでいる。

 結のそんな顔色の変化を容赦なく見抜いた繁は、現状自身のピンチであるはずなのにどこかほっとしたような笑みを浮かべていた。

 

「……何ですの、そのより胡散臭い顔は。下手なブラフなどわたくしには無駄ですわ」

 

「いえいえ、ただの現状確認のようなものでして。私のターン、ドローします」

 

「意味深なことばかりっ!」

 

「たいしたことではないのですよ。カードをチャージし緑2点含む4点、【そそり立つ生命】を発動。デッキの上から4枚を公開し、ユニットカードを2枚までエネルギーフィールドに置くことができます。4枚中3枚がユニットカードのため、私は2枚をエネルギーフィールドに置きます」

 

 繁が気にせず自身のターンを進めるが、何やら意味ありげな言動で気もそぞろにさせられている相手はたまったものではない。

 これがプロの盤外戦術かと歯噛みする結。

 

「言いたい! ことが! あるのなら! はっきり仰ったらどうですの!! そうですこれは依頼主命令ですわさあ素直に吐きなさい!!」

 

 ついに爆発し雇用主としての立場で攻めてくる結。

 

「残った2コストで【芽吹く命】を発動し、デッキの上から1枚チャージします。申し訳ございません、本当に大したことではないのですが……」

 

「だから煙に巻くような物言いは!」

 

 

「バトルワールドを、自身のデッキを大切にしている方だと。ようやくそのことに気付けた己の察しの悪さを自嘲していただけなのです」

 

 

 繁のその言葉に、思わず固まってしまう結。

 そしてどのような意図でそんなことを言ったのかと、結はまじまじと繁の顔を見る。

 

「……そんなおためごかしが通じると思ってますの?」

 

「正直なところ、対戦前までデッキは経津プロを模したものを使うとばかり思っていました」

 

 プロの熱心なファンがそのデッキを模倣するというのは珍しい話ではない。

 もちろん日々調整されているプロのデッキを完全に模倣することなどは無理だろうが、その型を真似ることは人脈と財力があれば不可能ではないのだ。

 そして安治家、その長女である結ならば条件は達成しており、完全とはいかないだろうがそれなりの完成度のコピーデッキを手にすることは可能。

 現に世間の富豪の多くは有名プレイヤーの模倣デッキを所持することをステータスとして捉えており、繁も対戦前は結がそのような経緯のデッキを使用するのだろうと考えていた。

 

「しかし結様が実際に使用しているデッキはキュアビートダウンであり、私は対戦相手を色眼鏡で見ていた愚か者であることが証明された。そのような諸々をまとめて、自身の愚かさと結様のバトルワールドへの真摯さを噛み締めていたわけです」

 

 繁の、1人のバトルワールドプレイヤーとしての告白。

 ある程度の年齢を重ねた、ましてや日々鎬を削るプロにしてはあまりにもあけすけで真っ直ぐ過ぎる言葉。

 今まで周囲にいなかった、これまでの自身の人生では遭遇してこなかったタイプに結はたじろぐ。

 だがその衝撃は繁が色眼鏡を外したのと同様、結の相手を見る目を正常なものに引き戻していた。

 

「わたくしの、バトルワールドへの真摯さとは……?」

 

 それまでの刺々しさのある声音ではない。

 相手の真意を知りたいという、そんな声で結は繫へと尋ねていた。

 

「カードを触る手つきは慣れたものでしたし、プレイングもしっかりと相手を意識したものでしたから。バウンスを相手が使うと分かれば横並びができるユニットを出すなど、日頃デッキに慣れ親しんでなければ即座にそうしたプレイングはできません」

 

「まぁ、練習しましたから……」

 

 歯切れ悪く相槌を打つ結。

 先ほどまで相手を面罵していた激しい形相もすっかりなりを潜め、手持ち無沙汰気味に空いている手で髪をいじっている。

 

 

 

 

 安治 結という少女は元来気性の激しい、熱しやすく冷めやすい性格であり自身でもそのことは自覚していた。

 そして冷静になった今、心の底から沸々と後悔の念が湧き上がってくるのを結は感じていた。

 仮にも良家の令嬢である結は家の教育により本来自身はどのように振舞うべきかを知っており、今回の行動がその規範から逸脱してしまっていることは明らか。

 

「御園プロ……、1つご相談があるのですが」

 

「何でしょう?」

 

 かしこまった態度の結は言葉を探すように口元を動かす。

 やがて決心したのかこの日初めて繁の目を真っ直ぐ見つめ、結は静かに告げた。

 

 

「この勝負、わたくしのサレンダーを認めてくださるかしら」

 

「……はい?」

 

 

 結の思いもよらぬ提案に繫は首を傾げる。

 何故そんなことをする必要が?

 まだ勝負は始まったばかり、いくらなんでも時期尚早としか繫には思えない。

 

「理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」

 

「身勝手な理由でこれ以上御園プロにご迷惑をお掛けするわけにはいかないからですわ」

 

 繁への激情に駆られていた時とは打って変わり、いま結の内心は後悔で満たされる寸前であった。

 いくら敬愛する人物に関わることだったとしても、私情で家の力を使い他人に迷惑をかけるなど。

 

「あってはならない……。そんなこと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 後悔の念で溺れそうな、酸欠で喘ぐように答える結。

 家の名を汚すようなことをした自分が許せない。

 そんな自分を今すぐ罰したいと考える結へ、繁は普段と同じ調子で答えた。

 

「申し訳ございませんがサレンダーは聞かなかったことにさせていただきます。さぁ、勝負を続けましょう」

 

「っ! もちろんこれで依頼料を返せなどと言う気はありませんわ! むしろご迷惑をおかけした分、報酬を更に上乗せさせていただきます」

 

「必要ありません。既にいただいた分だけで十分です」

 

 強く拒絶しているわけではない。

 しかし決して結の提案を受ける気はないだろうと思わせる繁の声音。

 そんな様子の繁に、まだ子供である結はいよいよ追い詰められてしまった。

 

「お願いです、認めてくださいまし! プロとしての矜持があなたにあることはもちろん承知しておりますわ! しかしどうかここはそこを曲げて、同じようにわたくしにも安治家の一員としての責務があるのです!」

 

 結の心へ容赦なく注がれる後悔の念。

 このまま注がれれば彼女は間違いなく溺れてしまう。

 息ができない錯覚にも襲われる結。

 結の頬をそんな感情の結露が一筋濡らそうとした、そんな時であった。

 

 

「いまここで私と対峙しているのは、バトルワールドプレイヤーとしての結様ではないのですか?」

 

 

 繁の言葉に、注がれ続けた後悔が一時止まる。

 

「ど、どういう意味ですの?」

 

「私を倒し経津プロに近づけさせない、そう決意しその手段としてバトルワールドを選んだ。結様の言う安治家の権力ではなく、ご自身の力であるバトルワールドで」

 

「だから安治家は関係ないと? そんなの詭弁、子供騙しの屁理屈ですわ!! これはそのような話では」

 

「いいえこれはそういう話です。動機も手段もバトルワールドであり、他の何事もそこにつけ入ることは許されない」

 

 強い口調で断定され固まる結。

 同時に少しだけ、息がしやすくなった。

 

「どうやら結様は勘違いをされているようなので訂正させてください」

 

「勘違いって、一体何を……」

 

「結様は何やらもう後戻りできないほどの失態をご自身が犯してしまったように言いますが、本当にそうですか? 私はもちろん気にしていませんし、危惧されているような事態ならばそうなる前に家の方々が止めてくださるのではないですか?」

 

「あ……」

 

 気休めではない、確かな指摘に結は執事の仕換(しかえ)がいる設備室の方へと顔を向けた。

 そもそも今回の繁への依頼は彼に頼んで手配してもらったのだ。

 結が生まれる前より安治家に仕えている経験豊富な執事が、はたして今のような状況になることを想像できないなんてことがあるだろうか。

 2人の会話も聞こえているだろうに出てこない現状は、ますます繁の提言を補強しているように思えた。

 

「家のことを考える姿勢は立派ですし、安治家としてのご自身を否定する気は毛頭ありません。ですが今回の行動を起こしたプレイヤーとしてのご自身も、同じくらい大切なものではないのですか?」

 

「それ、は」

 

「……まぁ、バトルワールドはあくまで二の次ということでしたら」

 

 繁のその呟きに、俯いていた結が劇的に反応する。

 

「違います!」

 

 咄嗟に出た否定は、それ故に結の心底を如実に表していた。

 

 

「バトルワールドはわたくしにとってかけがえのないものですわっ!!」

 

 重花に対する敬愛に噓をつきたくなかった。

 自分のデッキを突き放すようなことはしたくなかった。

 1人のプレイヤーとして自分を尊重してくれた繫の気持ちを、無下にしたくなかった。

 全て偽らざる結の本音である。

 

 また、少しだけ息がしやすくなった。

 

 

「どうかご自身を嫌いにならないでください。全て含めて、それがあなたなのですから」

 

 そう言う繁の目がどこか見守るような、柔らかい光を湛えているように結は感じた。

 

「さて、迷いは晴れましたか?」

 

「……ええ、おかげさまで」

 

 完全に年の功で転がされた結。

 これがプロの世界で生きる者の力かと、内心で妙な納得をしていた。

 そして繁の言う迷いと一緒に、本人に対する敵意なども結の中から消えかかっているのを自覚する。

 

「そこまで単純じゃないと思っていたのですけど……」

 

「はい?」

 

「いえ、こちらの話ですわ」

 

 思っていたより分かりやすい自分に呆れる結だったが、その表情はどこか満足気である。

 

「ではバトル再開といきましょうか。さぁ、そちらのターンからです」

 

 ついさっきまでの相手を気遣う表情はどこへやら、既に繁の顔は結への闘争心で彩られている。

 呆れると同時、結はどこまでも対等にプレイヤーとして接してくれるその態度を心地よく感じていた。

 そうして己の信じるデッキに手をかけ、力強く宣言する。

 

 

「わたくしのターン! ドローッ!!」

 

 結はもう、息苦しくなどなかった。

 

 




近年、一部の富裕層によるバトルワールドのカード独占が問題となっています。
有名選手の判明しているデッキレシピに沿ったコピー、強力なカードや稀少価値のカードの収集などで個人の元へ極端に集められ、正常なカードの広がりとは言えない状態が多発。
しかもそのような富裕層に限ってカードを所持しただけで満足してしまうので死蔵となっているカードも多く、コレクションにしても度が過ぎていると批判の声が多くあがっているのが現状です。

イラッとくるぜ!

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【施しの慈愛像】
カードコスト:[黄]
カードタイプ:ユニット
世界:黄
種族:リビングアート
戦闘力:0/生命力:1000


このユニットが召喚された時、SPを1000点回復する。

自分バトルフィールドにユニットが召喚されるたび、SPを1000点回復する。


幾億年、幾億人に与えようとその慈愛が尽きることはない。
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・なんかお手軽に毎ターン回復してる
・なんだったらこっちのターンなのに相手が回復してたぞ
・いつもの
・初手に来い初手に来い初手に来い初手に来い初手に来い
・↑お祈りしてて草
・↑キュアビート使いにとってお祈りは必須技能だぞ
・除去薄いデッキで1ターン目にこいつ出てくるともうそれだけでげんなりだわ
・↑大丈夫? お祈りする?
・(このコメントは削除されました)
・分かりづらいけどやっぱり他のやつに施すくらいだし巨○なのが自然だよな
・↑いかにも浅はかな上っ面しか見れない派閥は哀れだな貧○に決まってんだろ○すぞ
・↑貧しい心の持ち主はやっぱ同じようなのに惹かれるもんなの?
・↑異端が調子乗ってんじゃねえぞ肉まんでも愛でてろや
・(このコメントは削除されました)
・(このコメントは削除されました)

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