TS無口少女はしゃべりたい 作:スゥーム岡田
「ねぇ、ムイちゃんってどうして喋らないの?」
赤茶色の髪を頭の後ろにまとめて縛った年18ほどの少女が、見下ろす形でもう一人の少女にそう言った。
『喋れないから』
ムイと呼ばれた頭ひとつ小さい少女は、慣れた動作でテレパシーの魔法を発動し、
「喋れない? それってどういう……? もしかして…」
『…っ』
「って、余計な詮索は冒険者のマナーに反するね! ごめん!!」
赤茶色の髪をした少女は疑問を撤回し、マナーに反する行動であったことを手を合わせて謝罪した。
『別に気にしなくていい』
少女はそれがいつものことであるかのように、態度を変えることなく言った。
◆◆
(あっっっぶねぇ〜! 転生者なのが何かの拍子にバレたのかと思った〜!)
そう、俺は日本生まれの日本育ち。交通事故で死んでこの世界に生まれ変わった転生者だ。
この世界では転生者は悪の象徴や信仰の対象として扱われ、現地人の不和の原因となることがほとんどだ。
当然、その不和の原因である転生者はこの世界においてまともで平穏な人生は送れないだろう。
転生者は何かしら特徴的な要素を持って生まれてくることがほとんどであり、転生者は10歳になるまで前世の記憶を持たないことがほとんどなので、大抵の場合は10歳になるまでの間に施設に引き取られたり処分されたりすることがほとんどだ。
そして俺は声に特徴が出ているのに加え、その特徴が特徴故に喋れない。そのことが判明したのは現在から5年ほど前、俺が10歳になった時のことだ。
◆◆
(ん…?)
俺は車に轢かれ気がつけば森の中、崩れた小屋の前で突っ立っていた。
(なんだ、これ!)
俺は驚いて周りを見渡し、目線の高さの違和感から足元を見下ろした。
そこにあったのは薄地のゴワゴワとした布をポンチョのようにして被り、そこから細く伸びた子供のような足が見えていた。
そして俺は不意に気になって、股間へと手を当てた。
(っ!!!!)
そこには長年の相棒の姿はなく、寂しな空間が広がっていた。
転生したのか憑依したのか定かではないが、どうやら俺は女の子になってしまったようだった。
俺はその事実にひどく驚きを覚えしばらくの間動揺していたが、時期にそれも落ち着いた。
そして平静を取り戻した俺は一つ疑問に思った。
(そういえば今の俺はどんな声なんだろうな…)
この場所で目を覚まし今に至るまでに声を出していなかった俺は、検証がてら自分の声を聞くべく適当に声を出してみることにした。
「
ドヴァーン‼︎‼︎
自らの口から予想だにしなかった巨大生物の咆哮のような音が飛び出した。
それと共に生じた衝撃波が目の前にあった山を廃小屋ごと吹き飛ばし、山の崩れる音が辺りに響いた。
声は山に穴を開け、地図を変えてみせた。
俺は自らが作り出したであろう光景に、口をあんぐりと開けて唖然と見つめることしかできなかった。
Skyrim面白いですね