ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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編入生

「……オシアナス・ガールズ?」

 

「……ああ、最近動画サイトで有名になってきているユニットが、彩海学園に編入してきたんだ」

 

明久が首を傾げると、康太がそう教えた。

それが、今朝のリムジンで来たらしい。

正確に言えば、編入してきたのはそのユニット含めて七人らしい。

 

「……なぁんか、嫌な予感がする……」

 

そう呟いた明久は、早く帰ろうと帰る準備を始めたのだが

 

「あ、居た!」

 

「居たわ、吉井様よ!」

 

と聞き覚えのある声が、明久の耳に入った。それを聞いた明久は、天井を見上げながら

 

「遅かったかぁ……」

 

と額に手を当てた。

そんな明久の教室に入ってきたのは、五人の少女達。

その少女達に、明久は見覚えがあった。他ならぬ、ヴァトラーの船たるオシアナス・グレイヴⅡに居た少女達だ。

 

「……はぁ……」

 

この後起こる事態を予想して、明久は深々と溜め息を吐いた。その理由は、至極単純。

明久に、凄まじい殺気が向けられているからだ。

そんな時

 

「どけ、貴様ら……邪魔だ」

 

と若いが、厳しい声が聞こえた。

ふと見てみれば、欧州系の少年二人が教室に入ってきた。

その二人もまた、明久には見覚えがあった。

その二人は、オシアナス・グレイヴⅡに居たヴァトラー配下の吸血鬼だった。

 

「君たちは……」

 

と明久が、その二人に視線を向けると

 

「ふん、絞まりのない顔だな……ヴァトラー様は、何故こんな奴を気に入るのか……」

 

と一人が、鼻で笑った。

するともう一人、キラ・レーベデフが

 

「まあまあ、トビアス……閣下の命令ですから」

 

とその吸血鬼を宥めた。

その吸血鬼。トビアス・ジャガンは、キラの言葉に舌打ちした。

 

「キラ君、何があったの?」

 

「それが、閣下……ヴァトラー様が手紙を残して姿を眩ませたのです」

 

明久の問い掛けに、キラは苦笑いを浮かべながらそう告げた。

それを聞いた明久は

 

「ヴァトラーが、居なくなった? あの吸血鬼(ヒト)、領主兼駐在大使なんでしょ? いいの?」

 

とキラに問い掛けた。

するとキラは、苦笑いを浮かべたまま

 

「まあ、何時ものことですから……慣れています」

 

と答えた。

どうやら、過去に何度かあったらしい。

 

「そして、その手紙には……貴方を護衛せよ……と書いてありました」

 

「僕の……護衛……?」

 

キラの言葉に、明久は眉を潜めた。

なぜ、明久の護衛を命じたのか。

 

「ヴァトラー様の命令だから従うが、我々の仕事を増やしてくれるなよ。貴様は、大人しくしていろ」

 

トビアスはそう告げると、オシアナス・ガールズを撮影していた男子達を蹴散らし、教室から去った。

そんなトビアスを見送り、キラは

 

「護衛は、僕達以外にも多数投入するつもりですが、基本的には僕達が当たります。彼女達は……まあ、オマケ程度に思ってください……では」

 

と頭を下げると、オシアナス・ガールズを引き摺るように連れていった。

それを見送った明久は、一度深々と溜め息を吐くと

 

「……さて……鬼ごっこの始まりだ……!」

 

と言ってカバンを掴み、一気に駆け出した。

その直後、数多くの男子達がまるで、幽鬼のように明久を追いかけるのだった。

 


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