ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

115 / 204
出会いから

翌日、明久はまた凪沙のお見舞に寄っていた。

しかし、明久より先にクラスメイトが来たらしく、凪沙はそのクラスメイトと楽しそうに会話していた。

それを邪魔するつもりは無い明久は、ふと据え付けられていたテレビに視線を向けた。

すると、欧州のネプラシ暫定自治区で未知の病気が起きているらしく、民間人達が次々と倒れては吸血鬼化している。と報道されていた。

それを見た明久は、激しい頭痛に襲われた。まるで、忘れている何かを思い出せ、とでも言うようだった。

その後、見舞いが終わった明久は帰り際に凪沙から洗濯物を預かった。

 

「ん……なんだ?」

 

それを感じたのは、病院の階段を降りていた時だった。

明久が居たのは、丁度一階に到着した時だ。何やら一度、胸が高鳴った。

それが気になった明久は、軽く周囲を見回してから、背後を見た。

その先には地下に続く階段があったのだが、そこに一人の少女が居た。

腰辺りまで伸ばした長い金髪に、赤い目が特徴の一人の少女だ。

 

「き、みは……」

 

何故かその少女に既視感を覚えていた明久だったが、威圧しないようにと片膝を突いて、少女に視線の高さを合わせながら問い掛けた。

すると、少女は

 

「……我の名前は……アヴローラ……アヴローラ・フロレスティーナ」

 

と名乗った。

 

「ん、アヴローラでいいかな?」

 

明久の問い掛けに、アヴローラが頷くと

 

「それじゃあ、親御さんは?」

 

と問い掛けた。

アヴローラが出てきた地下区画は、所謂特別区画と言われており、簡単には入れない区画になっている。

 

「我に、血族は有らず……我は、孤独……」

 

「そっか……」

 

アヴローラの言葉に、明久は頷きながら

 

(この感覚……この子、魔族か……けど、登録の腕輪が無い……なんなんだろ?)

 

と内心で首を傾げた。

すると、アヴローラは

 

「我は衣を替えたい……」

 

と言ってきた。

 

「着替えたい? 着替えは……無いよね……」

 

今アヴローラが着ているのは、所謂病人服と言われる簡易的な服だ。

さて、どうしようか。と明久が考えていると、アヴローラはジッと明久が持っていた紙袋を見ている。

その紙袋の中には、凪沙の洗濯物が入っている。

 

(アヴローラの身長は……凪沙より少し小さい位か……)

 

そう目測した明久は、深々と溜め息を吐いた。

そして、数分後

 

「最後に……よしっと」

 

明久はアヴローラに、凪沙の制服を着せていた。

最初はアヴローラに着替えてもらおうかとも考えたが、アヴローラが制服の着方が分からないと言ったので、仕方なく明久が着させたのだ。

ただ無心で着替えさせた明久は、今居る多目的トイレのドアをゆっくりと開けて、外を見回した。

幸いに、人は居ない。

 

「よし……アヴローラ、静かに着いてきて」

 

「う、うむ……」

 

アヴローラが頷いたのを見て、明久はアヴローラの手を握って歩き始めた。

そもそも、何故明久はアヴローラと一緒に行動することを決めたのか。

明久はアヴローラが、違法研究の被害者ではないか。と考えたのだ。

魔族特区たる絃神島だが、時々魔族に対する違法研究をやって捕まる研究者が出るのだ。

そう判断したのは、まずアヴローラが血族すら居ないと言ったこと。つまりは、違法研究施設に捕らえられても、探してくれる人が居ない。

そして二つ目は、魔族登録章が無かったこと。

この魔族登録章にはGPSを含めた様々な機能が備わっていて、対称の魔族が何処に居るのか、体調はどうなのか、どういった状態なのか、ということを常に人工島管理公社に伝えている。

それが無いということは、後ろ暗いことに使われていると思ったのだ。

だから明久は、アヴローラを一度自分の家に連れていくことにしたのだ。

 

(大丈夫……これは人助け……犯罪じゃない……堂々としてれば、怪しまれないはず……)

 

明久はそう自身に言い聞かせながら、まず受付で面会許可証を返却。

そして、出口に向かった。

今のアヴローラは、先の病人服から凪沙の制服を着ていて、更に革靴も履いている。

革靴は少し歩きづらいようだが、明久はなるべくアヴローラに歩調を合わせた。

そうして病院から出て、暫く

 

「だあぁぁぁ……緊張した……」

 

周囲に人が居ないことを確認した後、明久は深々と溜め息を吐きながらそう言った。

 

「さてと……買い物に行かないと……アヴローラ用の服もだけど、食料買わないと……アヴローラ、何か食べられないのある?」

 

「……分からぬ……」

 

明久の問い掛けに、アヴローラは首を振った。

 

(うーん……これは、かなり厄介事に首を突っ込んだかなぁ……けど、やらないで後悔よりマシかな……)

 

明久はそう思いながら、よく行くスーパーに向かった。

その頃、ある場所では

 

「はあ……はあ……はあ……やったわ……十二番目を解放出来た……!」

 

と霧化から本来の姿に戻った、少女吸血鬼。

ヴェルディアナが、嬉しそうに呟いた。

宴への参加を拒まれて、親族の遺品だった聖鎗。

古代の遺物、魔力殺しの鎗も没収されてしまったが、その鎗はヘッドホンを着けた少年と三白眼が特徴の少年達により、取り戻せた。

その後ヴェルディアナは、一度拠点としていたクルーザーに戻り、その物置の中から牙城が用意していたボウガンを持ち出し、アヴローラが収容されていた病院の地下に、霧化の能力で侵入。

ボウガンに装填した鎗を使って、アヴローラを縛っていた封印を破壊。アヴローラを外に出したのだ。

その後、再び霧化の能力で地下から脱出。

今居る区画まで、何とか逃げてきたのだ。

そこに

 

「なんとか、無事みたいだな」

 

とヘッドホンを首に掛けた少年、基樹が三白眼の少年、康太と一緒に現れた。

 

「それで、本当なんでしょうね……私の隠れ家を用意してくれるって……」

 

「ああ……つーわけで、掴まりな」

 

基樹はそう言いながら、ヴェルディアナに手を差し出した。

それを見たヴェルディアナは、僅かに躊躇ったが今は二人しか頼れる人物が居ないからと、基樹の手を握った。

 

「いいぜ、康太……あの店に」

 

「……分かった」

 

基樹の言葉に頷き、康太は自身の能力。影を発動。

三人の姿は、そこから消えた。

こうして、物語は加速していく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。