ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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接敵

山小屋に向かっていた明久達は、目的の山小屋を見つけた。

 

「あそこだけど……」

 

「誰か、居ますね……」

 

明久と雪菜は、その山小屋に誰か居ることに気付いた。

この季節に、山小屋を使う人が居るのはおかしい。そう考えながらも明久は、山小屋に近付いて、ドアを開けた。その直後、明久に銀閃が迫ったが、当たる直前で刃は止まった。

 

「……誰?」

 

「吉井明久……って言えば、分かるんじゃないのかな? 獅子王機関でしょ?」

 

唯里が驚いていると、明久の横から顔を出した雪菜が

 

「唯里さん! 私です!」

 

と簡易的に名乗った。すると唯里は、目の前に居る明久が日本に現れた第四真祖だと気付いて

 

「あ、貴方があの第四真祖でしたか! 失礼しました!!」

 

と謝罪しながら、六式剣改を納めた。それを見た明久は

 

「……本当に、獅子王機関の人?」

 

と雪菜に問い掛けた。

 

「そうですが……なんで不思議そうなんですか?」

 

「だって、謝罪してきたよ……? 今まで居なかったよ……? いきなり攻撃されて、殺されかけたりはしたけど」

 

「ぐっ」

 

「ゆっきー……?」

 

明久の言葉に雪菜は反論出来ず、唯里は困惑した表情で雪菜を見ていた。明久が言ったのは、主に紗矢華と古詠の事である。

 

(しかし、ゆっきーか……彼女、中々に剛の人かな?)

 

そして明久は、唯里が言った雪菜のアダ名らしいのに驚いた。そして明久は、もう一人居ることに気付き

 

「あの子は……?」

 

「えっと、この近くで保護した子で……名前はよく」

 

明久の問い掛けに、唯里は少女を見ながら返答した。その時、外から異様な気配を感じた。そして明久は、直感で

 

「外に出て!!」

 

と警告を発した。その言葉に従い、唯里は少女を抱えて、そしてオシアナスガールズと一緒に明久達も外に出た。

そして、上空にそれを見つけた。幻想種の一体、ワイバーン。そのワイバーンに乗った一人の騎士。

 

「誰だ……」

 

「グレンダを、渡せ……」

 

明久の問い掛けに騎士は答えず、唯里が抱える少女を見ながら引き渡しを要求してきた。すると、明久は

 

「……あんた、なんでこの女の子がグレンダだって分かった? 僕達だって、今初めて知ったのに……それに、怪しそうな人物は他に何人も居るのに……」

 

と騎士に問い掛けた。明久が言っているのは、制服姿の雪菜や唯里もだが、オシアナスガールズである。全員が様々なカラーリングだが迷彩服を着ていたり、武器を携帯したりしている。怪しさでは、かなりの物だ。

しかし騎士は、唯里が抱えてる少女がグレンダだと断言した。つまり、知っていたのだ。

視界の端に見た少女、グレンダは不安そうに唯里に抱き付いている。

 

「あんたに、この女の子を渡す訳にはいかないな……抵抗させてもらうよ」

 

明久がそう言いながら構えると、雪菜やオシアナスガールズも構えた。それを見て、騎士は

 

「たかが第四真祖風情が……邪魔するな!」

 

そう言って、持っていた突撃槍を突きつけた。その直後、突撃槍が変形し、長大な銃。機関銃になった。それを見た瞬間、全員は一斉に散開。放たれた黒い弾丸を回避した。

 

「普通の弾じゃない!? なんだ!?」

 

「死ね!!」

 

騎士は明久に狙いを定め、集中的に射撃してきた。明久は刀で弾かずに、避けることに集中した。当たれば、無事では済まないと思ったからだ。そして明久は、避けながら

 

「獅子の黄金!!」

 

獅子の黄金を召喚し、騎士とワイバーンに向けて突撃させた。普通ならば、これで終わるのは確実だ。しかし、ワイバーンに当たる直前に、黒いオーラのようなのを纏ったかと思えば、獅子の黄金が掻き消された。

 

「なっ!? 獅子の黄金が!?」

 

予想していなかった光景に、明久は驚いた。すると、オシアナスガールズの一人が小銃を構えて、ワイバーンを狙って撃った。放たれた弾丸は対魔獣を想定した弾丸で、幾らワイバーンといえども無事では済まない。

だがその弾丸は、金属質な音をたてながら弾かれた。

 

「なっ!?」

 

「どんな皮膚してるのよ!!」

 

撃った本人は目を見開いて固まり、別の一人が悪態を吐きながらロケットランチャーを構えた。その直後、巨大な爆発が起きた。

 

「なんだ!?」

 

「先輩! もう一人来ました!」

 

雪菜が指差した先には、もう一人のワイバーンに乗った騎士が居た。そのワイバーンの口から煙が上がっていることから、先ほどの爆発はそのワイバーンの攻撃だと分かった。だが、ただの火球だとも思えなかった。

 

「まずいな……一体でも勝てるか分からないのに……」

 

明久がそう言っている間に、後から来た騎士が最初に交戦していた騎士に近付き、何か耳打ちした。少しすると、最初の騎士が

 

「……今はグレンダを一時預けるぞ、第四真祖……」

 

と言って、後から来た騎士と共に離れていった。状況では有利だったのに、離れていった。

 

「……何か、優勢すべきことがあった……のか?」

 

「先輩、状況の整理と把握する為に、一度話し合いましょう」

 

雪菜の提案に、明久は頷いて山小屋に向かって歩き始めた。後に、聖殲派と分かる相手との初戦だった。


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