ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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雪菜の異変

襲撃してきた相手は、明久の前に素早く布陣した雪菜に対して、体術で戦闘を始めた。

雪菜の近接戦闘能力の高さを、明久はよく知っている。

霊視による近未来視、雪霞狼による霊力・魔力無効化能力。そこに、剣巫特有の体術。それらにより、雪菜の近接戦闘能力は獣人にも互する程になっている。

しかし相手は、雪菜を圧倒していた。

雪菜の放った突きを体を低くして槍の下を通る形で回避し、更には槍の下を通る事で死角を作り、一気に雪菜に肉薄し

 

「ぐうっ!? がはっ!!」

 

なんと、雪菜の腹部に一撃を叩き込み、そこから立て続けに襟を掴むと背負い投げの要領で地面に叩き付けたのだ。あっという間の早業とまさかの展開に、明久は驚きながらも袖から小太刀。鉋切長光を抜刀して構えた。

すると、襲撃者の左手に青く光る弓が現れた。

 

「霊弓術!?」

 

予想していなかった技に明久は驚き、襲撃者は霊弓を鳴らした。霊弓術は霊力で矢を形成して攻撃するのがよく知られた攻撃方法だが、実は他にも霊力で形成した弓の弦を鳴らして攻撃する方法もあるのだ。

そして、今回襲撃者がしたのは後者だった。

明久は最初、前者を予想して身構えていたのだが、予想が外れてしまい、霊弓の弦を鳴らして鼓膜を攻撃され、平衡感覚を失いそうになってフラついた。

その瞬間に懐に入り込まれ、明久は攻撃しようとしたが避けられて、鉋切長光を持っていた左腕の肘関節を外されて刀を取り落とし、次の瞬間には肋骨部分を大きく抉られて、倒れた。

 

「あがっ……ぐっ……!」

 

「先輩……!」

 

雪菜は何とか立ち上がり、雪霞狼を構えた。しかし次の瞬間

 

「あ……ぐっ……ああぁぁぁ!!」

 

雪菜の体から、凄まじい霊力が溢れた。

それは、明らかに人に扱える範疇を超えた力だった。

 

「ゆ、雪菜ちゃん!?」

 

「ちっ!? 予想より早かったか!!」

 

襲撃者は舌打ちすると、雪菜に近寄り

 

「はっ!」

 

と指で雪菜の全身の何ヵ所かを突いた。

すると、雪菜から溢れていた霊力が収まり、雪菜は膝を突いて倒れた。

 

「雪菜ちゃん!」

 

そんな雪菜を明久は助け起こすが、実は襲撃者のフードが外れていて、襲撃者の顔を見た雪菜が

 

「……し……師家様……!?」

 

と驚いていた。

 

「え……師家様って……この妖精種(エルフ)が!?」

 

襲撃者の正体はなんと、明久も初めて見た妖精種の一つ。エルフであり、雪菜を含めた獅子王機関の講師役の師家様こと、縁堂縁(えんどうゆかり)だったのだ。

 

「雪菜……なぜ、報告しなかった……」

 

縁は静かに、しかし怒った様子で雪菜に問い詰めていた。

 

「一体、雪菜ちゃんに何が……」

 

「……つっ……!」

 

「雪菜……あんたは……!」

 

縁が何か言おうとした時、雪菜は札を取り出して

 

「先輩! 目を閉じて下さい!!」

 

と言った直後、凄まじい閃光を発した。

縁からしたら予想外だった為に視界を奪われ、戻った時には雪菜と明久の姿はなかった。

しかし、縁は慌てた様子もなく、自分の手の中のモノを見て

 

「必ず助けるからね、雪菜……あんたを、    なんかに、させるものか」

 

と呟くと、人払いの結界を解除すると同時に姿を消した。

その頃、何とか脱出した雪菜と明久は近くの廃屋に居た。

 

「雪菜ちゃん……雪菜ちゃんに、何が起きてるの」

 

流石に先ほどの霊力が尋常ではないと分かる明久は、雪菜に問い掛けた。しかし雪菜は答えず、雪霞狼を仕舞い

 

「お願いします、先輩……今は、何も聞かないでくだかい……そして、私を最期まで先輩の近くに居させてください……」

 

と泣きそうな表情で告げた。

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