那月達が去った後、四人は別れて雪菜を探す事にした。
早く見つけて、少なくとも雪霞狼を回収しなければ、雪菜が消えてしまうかもしれない。
四人はそれぞれ、東西南北に別れた。
しかし、そんなのは広大な砂漠に落ちている小石を探すようなものだ。中々見つからず、焦燥だけが募っていく。
「何処に居るんだ、雪菜ちゃん……」
明久は汗を拭きながら、一生懸命に視線を巡らせて雪菜を探していた。
ふとその時、近くのビルの壁面モニターに浅葱の新作MVが流れている事に気がついた。
「浅葱もどうにかしたいけど……」
と明久が汗を拭い、自販機で買った飲み物を飲んでいた時、周囲に居た一般人達が何やら騒ぎ始めた。
視線を追ってみると、先ほどまで新作MVが放送されていた壁面モニターに砂嵐が表示されている。
珍しいが、そんなに騒ぐ程ではない。そう考えた明久は、雪菜を探す為に移動しようとした。
その時
『明久……助けて……』
と聞こえて、明久はバッと振り返った。
既に壁面モニターは砂嵐から、《少々お待ちください》と表示されている。
「……待ってて、浅葱……!」
明久はそう言って、駆け出した。
場所は変わり、電脳世界。
「はぁ……この世界、イメージすると直ぐに出てくるし、太らないのは便利なんだけど……味気無いわね」
そこで浅葱は空中に浮いた状態で、ラーメンを食べていた。そのラーメンどんぶりは、絃神島で出店している有名店のものだ。
だがどうやら浅葱からしたら、不満らしい。
「やっぱり、料理は本物を食べてこそよ……そう思わない?」
そう言いながら視線を向けた先には、身体中に痛々しい縫合痕だらけの巫女が居た。
その巫女の服は血で赤黒く染まっていた。
巫女は浅葱からの問いかけに、何も答えない。
そんな巫女に浅葱は肩を竦めて、残っていたラーメンを啜り
「はぁ……明久、私が仕掛けたメッセージに気付いてくれたかしら……」
と呟いた。
電脳世界に閉じ込められた浅葱は、どうにか明久や誰かにメッセージを送ろうと色々と試し、その結果として、明久の近くの携帯や壁面モニターに、MVが流れた時にメッセージを流すようにプログラムした。
そもそも、電脳世界でプログラミングするのは初めてだったので、本当にプログラムが上手くいっているのかすら分からず、流れていたとしても、明久が気付くかは分の悪い賭けになっていた。
ラーメンを食べ終わった浅葱がラーメンどんぶりを投げ捨て(空中で消えてる)、どうしようか、と考えていた時
『収まらぬ……!』
「え……?」
初めて聞く声に、浅葱は電脳世界に居るもう一人に視線を向けた。視線を向けた先の巫女は、怒りからか目を真っ赤にし
『我が怒りは収まらぬ! この身に詰まる恨みを晴らすまでは!!』
と怒声を上げた。
その声音から分かるのは、並々ならぬ恨みを抱えているということ。
それを理解した浅葱は、驚いた様子で
「貴女、一体……!?」
と呟いた。