ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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一次交戦

 

 

 

アスタルテが足止めでスワニルダと交戦を始めた直後、浅葱は玄関の方に駆け出し

 

「モグワイ!」

 

『分かってるぜ、嬢ちゃん! すでに警備隊には連絡済みだ! 後は、何とか時間を稼げれば……けど、ネットワークに接続されてる機材は……』

 

モグワイの言葉を聞いた浅葱は、窓から外を見た。

 

「何言ってるのよ。ここ、伝説のフェンス(・・・・・・)の目の前よ」

 

『……あん?』

 

浅葱の言葉に、モグワイは思わず首を傾げた。

アスタルテの人工眷獣には、神格振動波駆動術式が刻まれている。

雪菜の持つ雪霞狼を解析し得られた、極めて高度な魔術機構の一つだ。

これは魔力を完全に反射する事で、魔術に対して絶対的と言える防御と攻擊になる。

だが殺人人形、スワニルダは魔力の無いホムンクルスとオートマタの融合体であり、アスタルテの薔薇の指先の攻擊は、スワニルダには効果は薄い。

しかもこれは、紗矢華と那月が回収した資料から発覚した事だが、スワニルダはアスタルテの薔薇の指先を無力化するような、かなり特殊な装置を持っている事が分かっている。

恐らく今のスワニルダは、アスタルテも目標にしている。

 

「融合する……試験体と融合するゥゥゥゥゥ! お前が手にした永遠をォォォォォ!!」

 

まるで、歯車が軋んだような不快な声で、スワニルダは喚いている。

そんなスワニルダの連続攻擊に、アスタルテは次第に押され始めていた。

よく見れば、アスタルテが纏っている薔薇の指先の輪郭が、ボヤけ始めていた。

スワニルダの蜘蛛のような下半身に、眷獣の実体化を阻害する特殊な妨害電波を発する機材が埋め込まれていて、それが薔薇の指先を徐々に蝕んできていた。

アスタルテは頭痛に悩まされながらも、必死にスワニルダの攻擊を捌いていた。だが、今のままでは敗北は確実だ。

どうするか、アスタルテは考えていた。

まさにその時だった。

 

「アスタルテさん! これを使って!」

 

と予想外の声が聞こえ、アスタルテは振り向いた。

すると廊下の先に、段ボールを積んだ台車を押し出した浅葱の姿があった。

戦闘力が無い浅葱が戻ってきたのと、段ボールをどうすればいいのか分からず、困惑していると

 

「投げて! あいつに!!」

 

とスワニルダを指差した。

 

「……命令受諾」

 

取り敢えずアスタルテは、台車に積まれていた段ボールの一つを掴み、スワニルダに投擲した。

勿論だが、スワニルダはそれを両断した。すると、中から真っ白な粉が溢れてきて、スワニルダを真っ白に染めた。

 

「……これは……」

 

「プールの消毒に使う、次亜塩素酸カルシウムよ! アスタルテさん、もういっちょ!」

 

困惑しているスワニルダに、浅葱の指示に従ったアスタルテが、再度段ボールを投擲。それも半ば反射的に、スワニルダは両断し、スワニルダは全身に次亜塩素酸カルシウムを浴びた。

 

「理解不能……何故、このような非合理的な行動を……」

 

「さて、ここで問題よ。ホムンクルスの培養液の主成分は、医薬品や化粧品に使われるグリコールエーテル……それ自体はありふれた薬品だけど、次亜塩素酸カルシウムに触れさせるとどうなるか、知ってるかしら?」

 

浅葱が説明すると同時に、アスタルテはもう1台の台車にあったポリタンクを掴んだ。

 

「危険性把握! 排除する!!」

 

スワニルダは目を見開き、右腕をアスタルテと浅葱の方に向けた。

だが

 

「モグワイ!」

 

浅葱が相棒の名前を呼んだ直後、学園中のあらゆる照明がスワニルダに集中照射され、スワニルダは視界を奪われた。

その瞬間、アスタルテが投げたポリタンクがスワニルダに命中し、中から液体。グリコールエーテルが溢れ、スワニルダに掛かった。

その直後、スワニルダの全身を橙色の炎が包んだ。

 

「アアアアアァァァァァァァァ!?」

 

次亜塩素酸カルシウムとグリコールエーテルが科学反応を起こし、スワニルダの全身を襲う。

確かにダメージもあるが、それよりもスワニルダを恐怖が襲った。

この時スワニルダは、明久の獅子の黄金によるダメージを思い出し、錯乱していた。

だが逃げようとしたのか、反対側に駆け出した。

しかしその逃走ルートの先から、一つの人影が恐るべき速度で迫って

 

(じゃあ)っ!!」

 

と一閃した。

その瞬間、スワニルダもだが、廊下が崩壊した。

そして斬った人物は、凄まじい煙を発しながらアスタルテと浅葱の横に止まり

 

「眩しいのと炎でよく見えなかった……逃がした」

 

と呟き、刀を鞘に納めた。

 

「あ、明久? なんでここに?」

 

その人物。明久を見て、浅葱はへたり込みながら問い掛けていた。

 

「ん? 基樹から、電話が掛かってきたんだよ。学園に行って、浅葱を助けろって……まったく、お風呂入ったのに、また汗だくになったよ……」

 

明久は刀を壁に立て掛けて、右手を背中に回し

 

「これ、浅葱のでしょ」

 

「あ、あたしのプールバッグ!」

 

明久が差し出したプールバッグを見て、浅葱はプールバッグを受け取った。

 

「プールの入り口辺りに落ちてたから、回収しといたよ……ところで、さっきのはなんだったのさ」

 

「殺人人形……噂の殺人人形よ」

 

「殺人人形? アレが?」

 

明久も殺人人形の噂は知ってたらしく、崩壊した廊下の方を見た。

 

「ちっ……感覚重視にしとけば良かったか……」

 

明久は逃がした事に舌打ちしながら、頭を掻いた。

その後明久は、取り敢えず基樹に電話しながら浅葱を背負い、那月を呼びに行ったアスタルテと合流した。

 

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