ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

203 / 204
ある意味ホラー映画

 

 

 

リディアン絃神の地下層に、那月とアスタルテは居た。人工島管理公社のセンサー類が、その場所にスワニルダが居ると報せたからだ。

しかしその地下層は、一面が霧で真っ白になっていた。

 

「アスタルテ、どうだ?」

 

「検査完了……人体に有害な物質は確認されません。ザカリー・アンドレイドの人形が、魔導具を発動した際に発せられる霧と推測します。資料と一致」

 

「魔導具か……どんな魔導具かは知らんが、ここにスワニルダとやらが居たのは間違いなさそうだな」

 

アスタルテの報告を聞いた那月は、魔術で周囲を捜索した。しかし、生体反応は無いから、スワニルダは居ないのは分かった。

 

「しかし、何故こんな位置で魔導具を……」

 

『緊急報告! 正面から近付く反応あり! 数は80!!』

 

「80だと!?」

 

通信機から聞こえた予想外の数に、那月は驚愕しながら空間魔術で霧を吹き飛ばして、接近してくる敵を見た。

 

「しまった!? そういう事か! スワニルダが、リディアン絃神の地下層で魔導具を発動したのは!?」

 

那月はスワニルダが使った魔導具に気付き、更にスワニルダの狙いに気付いたが、最早遅かった。

その頃、リディアン絃神の婦人服売り場では

 

「うーん、雪菜ちゃんには何が似合うかな……」

 

「凪沙……分かったから、その手つきを辞めようか……表情と合わさって、完全に変態の領域だからね……」

 

雪菜の為に服を考えている凪沙なのだが、その手の動きと表情から、どう見ても変態にしか明久には見えなかった。

すると、雪菜が

 

「先輩……霧から、魔力を感じませんか?」

 

と小声で言ってきた。

確かに、足下に漂っている霧から、何らかの魔力を薄っすらと感じる。明久が警戒し始めた時

 

「ひっ!? 今、窓の外を裸の何かが這ってた!?」

 

と凪沙が驚きの声を上げた。

 

「窓の外って、ここは二階だよ? 何を言って……」

 

「!? 悲鳴!?」

 

凪沙を明久が落ち着かせようとした時、何処からか悲鳴が聞こえた。それは、半開きになったスタッフスペースから聞こえてきている。

雪菜は近くにあったポールを2本掴むと、一本を明久に投げ渡した。受け取った明久は、雪菜と一緒にスタッフスペースに突撃した。

すると、マネキンが女性店員に掴みかかり、押し倒していた。

 

「せあっ!!」

 

明久はそのマネキン目掛けて、ステンレス製のポールをフルスイング。マネキンは頭部を破壊され、壁に叩きつけられて、壊れた。

 

「雪菜ちゃん!」

 

「……大丈夫です、息はしています。しかし、酷く衰弱しています。恐らく、精気を吸い取られたのかと」

 

明久の呼び掛けに反応し、雪菜は素早く女性店員を軽く診察。命に別状は無さそうではある。

 

「精気を? さっきのマネキンに?」

 

明久は壊れて動かなくなったマネキンを見て、首を傾げた。

 

「……確か、人形遣いにはそういった能力があるとは聞いた事があります……」

 

人形遣いというのは、魔術師の大系の一つである。

一人で一体から複数の人形を操り、様々な事を成す魔術師だ。

 

「けどこれ、店に置いてある普通のマネキンだよ? 人形遣いだったら、専用の筈……」

 

明久は壊れたマネキンが、中が空洞タイプの展示用マネキンと気づいていた。

人形遣いはやはり拘りからか、自身で製作した人形を使う事が大半だ。

 

「はい。しかし、それしか考えられません……」

 

「大変大変! 店全体のマネキンが、人を襲ってるみたい!」

 

そこに、顔面蒼白の凪沙がスタッフスペースに駆け込んできて、リディアン絃神の案内アプリを見せてきた。

そこには、避難警報と表示されていて、文章でマネキンや様々な人形が人を襲っており、避難してください! と避難経路も表示されていた。

それを聞いた明久と雪菜が凪沙と一緒にスタッフスペースから出ると、そこかしこから悲鳴とスタッフ達が避難誘導している声が聞こえ、更にはマネキンが走ったり、壁や天井を這っているのが見えた。

 

『緊急事態発生! 緊急事態発生! スタッフはお客様を避難誘導してください! お客様は避難誘導に従い、避難を開始! 防衛スタッフは、人形の無力化を!!』

 

スピーカーからは、放送スタッフらしい慌てた声が聞こえる。その時、数体のマネキンや人形が明久達の方に向かってきた。

 

「先輩!」

 

「ああもう!! 何処のB級ホラー映画だよ!?」

 

明久はそう言って、間近に迫ったマネキンを叩き壊した。

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