そして放課後
明久達は、空港に居た
「で、なんで皆着いてきたのさ？」
と問い掛けたのは、呆れた表情の明久である
そんな明久の視線の先に居たのは、何時ものメンバーだ
浅葱、基樹、凪沙、雪菜、康太、雄二、秀吉である
本来ならば、明久と凪沙、雪菜の三人だけの筈だった
しかし気付けば、大所帯になっていた
「ん？ 明久が知り合いを迎えに行くって言うからな。暇潰しにな」
と言ったのは、雄二だ
すると明久は、そんな雄二を睨んで
「本音は？」
と問い掛けた
すると雄二は、いい笑顔で
「明久を弄るネタを入手しに来た！」
と答えた
その直後、明久は雄二にアッパーカットを見舞っていた
この時のことを、明久は後に語る
『吸血鬼の力が出なくて、良かったよ』
と
そして、気絶した雄二をベンチに放置
明久は基樹を見た
すると基樹は
「ん？ 暇だから、買い物ついでにな」
と言った
「あっそ……」
基樹に関しては、予想通りだった
そして明久は、浅葱に視線を向けた
すると浅葱は
「私もついでよ、悪い？」
と明久を軽く睨んだ
「いや、別にいいけどさ」
睨まれるとは思わず、明久は軽く驚きながらもそう返答した
すると、基樹が小声で
「ったく、お前は……もう少し、素直になれっての」
と浅葱に言った
すると浅葱は、顔を赤くしながら
「出来たら苦労しないわよっ」
と返答した
実は浅葱達が着いてきたのは、明久が会いに行くと言った相手が気になったからだった
浅葱の勘だが、女だと思ったのだ
そして迷っていたことに気づいた基樹が、一緒に行くことを提案したのである
それに便乗し、来たのである
すると康太が
「……それで、どういう奴が来るんだ？」
と問い掛けた
すると明久は、思い出すように
「ユウマって言ってね。まあ、僕たちの幼馴染みってところかな」
と言った
すると、凪沙が
「ユウちゃんはね、運動神経が凄いんだよ！ 明久君と二人で、バスケしてたし！」
と言った
明久も剣術に於いては有数な腕を誇り、それを支えた運動神経だ
その明久とバスケが出来たのだから、相当の運動神経だろう
その時だった
「アキヒサ！」
と上から、声が聞こえた
呼ばれた明久は、反射的に上に顔を向けた
そして見えたのは、今まさに落ちてくる一人の人物
「ちょっ！？」
明久は驚きながらも、腰を落とした
その直後、明久はなんとかその人物を受け止めた
そして、驚きの表情を浮かべながらも
「危ないでしょう、優麻！？」
と怒った
すると、驚きの登場をした人物
「ははは、驚いてもらえたかな？」
と朗らかに笑った
すると明久は、嬉しそうに
「ったく……まあ、変わってないみたいで安心したよ」
と言って、優麻を下ろした
すると、凪沙が
「久しぶり、ユウちゃん！」
と優麻に飛び付いた
優麻は、危なげなく凪沙を受け止めて
「久しぶり、凪沙ちゃん。可愛くなったね」
と凪沙を誉めた
すると、秀吉が
「のう、明久よ……まさか、そやつか？」
と明久に問い掛けた
すると明久は、呆れた表情で頷いて
「そ。今回のフェスタを一緒に回る相手」
と言った
すると、優麻が凪沙を撫でながら
「初めまして、仙都木優麻です」
と名乗った
すると、浅葱が
「あんた……女の子……よね？」
と優麻に問い掛けた
すると優麻は、朗らかに笑いながら
「そうだよ」
と肯定した
そう、大胆なことをしたが、優麻は正真正銘の女の子である
「先輩より、男らしいですね」
「どういう意味さ！？」
雪菜がポツリと言った言葉に、明久は思わず突っ込みを入れた
すると、それに同調するように
「確かにのう」
「……運動神経も凄まじい」
「なんていうか、言動も男の子っぽいし」
と一同が口々に言った
これが、彼等と優麻の出会いで、騒動の始まりだった