ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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ん?
なんか、TRPG本書きませんかって、スカウトが来た……

え?


脱獄者達

「あれが……書記(ノタリア)の魔女……」

 

雪菜と明久が視線を向けた先に居たのは、少女にも見える着物姿の一人の女性だった

それが、優麻の母親

仙都木阿夜だった

 

「ふむ……ようやく、外に出れた」

 

阿夜はそう言うと、まるで物を見るように倒れている優麻に視線を向けた

すると優麻は、ゆっくりと阿夜を見上げて

 

「お……お母、様……」

 

と呼んだ

しかし、阿夜は

 

「貴様の役割も終わりだ……」

 

と言って、右手を上げた

その直後、優麻の後ろに青が現れて

 

「あ……が……やめて! お母様!!」

 

と優麻が、まるで苦痛を堪えるように叫んだ

しかし阿夜は、何も答えない

そして

 

「返してもらうぞ」

 

と言った

その直後、まるで布を引きちぎるような音が響き渡った

 

「アアアァァァァァァァ!?」

 

そして優麻は、絶叫を上げて倒れた

すると、優麻の騎士

青の装甲の色が黒に変わり、阿夜の背後に現れた

それを見て、雪菜が

 

「なんてことを!? 魔女にとって契約者は、魂を別けた自身の半身! それを、無理矢理奪うだなんて!?」

 

と叫んで、阿夜を睨んだ

すると、阿夜は

 

「もともと其奴は、我が脱獄するための人形……その役割が終わったのだから、どう扱おうが、我の勝手だ」

 

と言った

それは、優麻を娘としてではなく、道具としてしか見てない証拠だった

その時

 

「あんた……いい加減にしろよ……」

 

と明久が、地を這うような怒りの声を漏らした

そして、明久の全身から膨大な魔力が溢れだした

 

「先輩!」

 

「その魔力……そうか、貴様が第四真祖か」

 

雪菜は驚き、阿夜はようやく気付いたという感じで言った

しかし明久は、それを無視して

 

「優麻は、あんたを助けようと一生懸命頑張ったんだぞ……それを労いもせずに、まるで道具みたいに……!!」

 

と阿夜を睨んだ

すると、阿夜は

 

「其奴は、我の娘ではない……確かに遺伝子上は娘かもしれんが。其奴は、我を脱獄させるために、単一性行為により造り出されたにすぎん人形だ」

 

と言った

つまり優麻は、クローンなのだ

だから、優麻と阿夜は瓜二つだったのだ

 

「だからって、あんたは……つっ!?」

 

怒りから明久は、魔力を高めた

しかしその時、明久が放出していた魔力が霧散

明久は、片膝を突いた

 

「先輩!?」

 

それに驚き、雪菜は明久に駆け寄った

それを明久は片手で制して、立ち上がった

それを見て、阿夜は

 

「ふむ……我が計画の前に、貴様を葬るとしようか」

 

と言って、片手を上げた

そこに

 

「ふむ……中々の光景ですね」

 

と新たな声が聞こえた

そして現れたのは、中国系の民俗衣装を着て、眼鏡を掛けた一人の青年だった

いや、一人だけではない

更に、数人の男女が姿を見せた

それを見て、阿夜が

 

「貴様らだけか……他はどうした?」

 

と問い掛けた

すると、ドレッドヘアの男が

 

「どうしたもこうしたもねぇ!! こいつだ!」

 

と言って、片手を掲げた

その手首には、ゴツい金属製の手錠が嵌められていた

そしてその男は、片手を近くに居た紳士服の男に振るった

すると、その男の左肩から右腰辺りから激しく出血した

 

「シュトラ・D! 貴様あぁぁ!?」

 

その紳士服の男は、憎しみを込めた声でそのドレッドヘアの男

シュトラ・Dを睨んだ

その直後、その紳士服の男の左手手首の手錠から一気に鎖

束縛の鎖(レージング)が伸びて、その男の体を縛った

そして男は、虚空に姿を消した

それを見て、阿夜は

 

「なるほど……監獄結界のシステム自体は、まだ生きてるのか」

 

と言った

それを聞いて、雪菜と明久の二人は気付いた

その男女は、監獄結界に収容されていた普通の監獄では収容出来ない超凶悪犯達なのだと

 

「ええ……それにより、魔力や体力が弱くなれば引き戻されます」

 

「そもそも、力が弱いと出てくることすら出来ないわ」

 

と言ったのは、明久とそんなに然年齢が変わらないだろう二人の少女達だった

それを聞いて、阿夜は

 

「なるほど……他の者達は、出ることすら叶わなかったか」

 

と言った

すると、先に姿を見せた青年が

 

「つまり、完全に自由になるためには、南宮那月を葬るしかありません」

 

と言った

すると、阿夜が

 

「今の那月ならば、簡単に殺せるはずだ」

 

と言った

それを聞いた、女性が

 

「どういうことかしら?」

 

と問い掛けた

すると、阿夜は

 

「今の那月は、この魔導書……個人歴史(パーソナル・ヒステリー)の書により、魔力だけでなく、経験した時間を失っている」

 

と語った

すると、アジア系の民俗衣装を纏った老人が

 

「なるほど……今ならば、容易く殺せるか」

 

と呟いた

すると、明久が

 

「させないよ……あんたらは、全員……もう一度監獄結界に放り込んでやる!」

 

と言った

それを聞いて、脱獄者達の視線が明久に集まった

 


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