ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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レヴィアタン

「れ、レヴィアタン!? あれって、実在したの!?」

 

浅葱が告げた名前を聞いて、明久は驚いた

レヴィアタン

その名前は、確かに欧州の神話に刻まれている

しかし、実在するかしないかは長い間議論されていた

すると浅葱は

 

「約一ヶ月位前に、実在することが証明されたわ……他ならないクスキエリゼによってね」

 

と言った

約一ヶ月ほど前、クスキエリゼは水棲魔獣を調べるために、深海7000mに探査挺を送り込んだ

しかしその探査挺は、ある映像を最後に、帰ってこなかった

その映像というのは、全長200mの探査挺を一飲みにする巨大な口だった

そんな巨大な生物、魔獣でも中々居ない

それこそ、伝説クラスでなけれは

そしてこの映像が、レヴィアタンが実在するという証明になったのだ

 

「レヴィアタンはどうやら、深海7000m付近を遊泳しながら寝ているみたい……そこを、LYLって代物を使って支配するようね」

 

「LYL?」

 

「ええ……詳細は分からないけどね」

 

浅葱はそう言うと、カバンを手繰り寄せた

LYL

読みとしては、リルだろう

それは、結瞳のもう1つ名前

偶然とは思えなかった

 

「浅葱……そのLYLってヤツの対処、お願い出来る?」

 

明久がそう言うと、浅葱が

 

「何するつもりよ」

 

と明久に視線を向けた

すると明久は

 

「拐われた結瞳ちゃんを、助けてくる」

 

と言った

確かに、嘘は言っていない

ただし、ついでにクスキエリゼの企みを跡形もなく破壊することにはなるだろう

そのために、あらゆる手を尽くすつもりだ

すると浅葱は、カバンの中から取り出したゴムで髪を纏めて

 

「いいわ、やったげる……私も、なんか気に入らないのよね、コレ」

 

と言って、パソコンに向かった

そして、明久、雪菜、沙矢華の三人がカートに乗ろうとした時

 

「なんじゃこりゃ!? 何が起きた!?」

 

と声が聞こえた

後ろを見てみれば、基樹が穴を見て驚愕している

そんな基樹に、明久は

 

「寝てろ!」

 

とカートに残ったペットボトルを投擲

 

「ぶべら!?」

 

見事に、顔面に直撃させた

 

「先輩……」

 

「い、いくらなんでも……」

 

それを見た二人は、驚いているが

 

「騒がしくされるのも、面倒だから」

 

と言って、カートを進ませた

その頃、水族館の海に面している区画

そこには、ブルエリも知らない港湾があった

 

「よし……あとは、レヴィアタンに取り付くだけだが……レヴィアタンの進路は、大丈夫なのかな? 妃崎降魔官?」

 

と霧葉に問い掛けたのは、スーツ姿の40代半ばの男だった

その男ころが、現クスキエリゼの社長

久須木惣元(くすきそうげん)だった

すると、暗い場所から滲み出るように

 

「ええ……間違いありませんわ……」

 

と霧葉が、現れた

それを聞いた惣元は、狂気的な笑みを浮かべて

 

「君たち太史局のおかげで、私の望みも叶う……世界の王となるのは、私だ……ああ、勿論見返りはキチンとするさ。それが、ビジネスマンの基本だからね」

 

惣元はそう言いながら、一隻の船を見た

そこに

 

『ヨダカの準備は万全にござる……LYLの調整も済んだ……後は、社長次第にござる……』

 

と幼い声が聞こえた

それを聞いた惣元は

 

「ああ、君にも感謝しているよ。戦車乗り……流石は、名だたるディディエ重工のデザインチャイルド……まさか、半月程でシステムを構築するとはね……しかも予想外だったのは、まさか戦車乗りが子供だったとは……これでは、電子の女帝もかな……」

 

と呟いた

その呟きに、戦車乗りことリディアーヌ・ディディエは答えない

そうする理由も、義理も無いからだ

そうしている間に、惣元は船

高速挺たるヨダカに乗り込み

 

「さあ……新たな時代の幕開けだ……世界よ、私にひれ伏すがいい……」

 

と成功を確信した様子で、そう言った

自分が使われているとも、気付かずに


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