前世凡人 今凡神   作:カンピオーネ二次復権派

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恵那と奥多摩と凡神と

 奥多摩山中。東京と埼玉の県境付近に、僕は転移魔術でお邪魔していた。見渡す限りの木と森と土しかない。

 僕がここに来たのは、普段山に籠ってばかりのお嬢様に会うためだ。

 

 どう見ても鬱蒼とした森で、現代日本人が暮らすには不向きにもほどがある場所だが、今から会おうとしているお嬢様は小さな頃からこんな環境に慣れている。なので、今更不便にも思わないらしい。

 

「ええと、ここを行けばいいんだったね」

 

 転移場所は目的の人物がいる場所から、少し離れた場所にした。なぜ直接すぐ傍まで転移しないかと言えば、いきなり何もない場所からやぁ! するのは向こうも驚くだろうと言う配慮だ。

 護堂のところに転移した時に、一度非常にびっくりされたのでそれを学んだ。ごめんね、護堂……着替え中のところにお邪魔しちゃって。それともあれは着替えじゃなくて、思春期男子特有の……やめておこう。これは護堂の尊厳に関わる問題かもしれない。もしも僕が前世で知り合いの女性にその現場を見られたら、一生のトラウマになる。

 ん? そうなると護堂は神経が図太いのか? 流石は神を返り討ちにする神殺しだ。僕が従属神をするに相応しい男だね!

 

 護堂はさておき、僕は山を歩いて目的の場所に向かう。中々藪が深く、地面もぬかるんでいて普通なら歩きにくいことこの上ない環境だ。

 しかし僕が歩くと、藪や草は自ら退き道を作ってくれる。地面は自分が濡れていて、下手に歩くと僕の脚を汚すのを申し訳ないのか一瞬で乾き硬くなってしまう。

 

 これは僕が何かをしているわけではなく、藪や土に宿る精霊が自らを変化させているのだ。

 大地母神とは文字通り、大地の母。なので自然に存在するものは全て、僕ら地母にとって子供であり、自らそのもの。

 母が自らの庭である山や森を歩く際に、困るようなことがあっていいだろうか? 駄目に決まっている。大地とは僕であり、僕とは大地なのだ。僕が望まずとも水は僕を濡らさないよう歩きやすいように形を変え、もしも川の流れが早くて僕が渡れないなと少しでも困ったなと感じたら、川は自ら逆流してでも水流を変えてしまう。神とはそう言う存在なのだ。いるだけで周囲に変化をもたらし、簡単に環境を自分にとって望ましい物に変えてしまう。

 

「大丈夫だよ、そんなに乾いた土にならなくて。沼に足を取られるような足運びの使い手じゃないから」

 

 もっともそんなことをされなくとも、僕はこの程度の山であれば何の問題もなく踏破できる。幽世に住んでいたころはもっと木々の濃さが深く、大気が薄く温度も低い環境で暮らしていた。

 そもそも僕は鋼の相を持つ。つまり体をどう動かせば最適なのかを、本能が教えてくれるのだ。

 

 藪にしろぬかるみにしろ、大地の資質抜きにしても僕の足が止まることはない。曲がりなりにも、人類基準で最高峰の武芸の腕を持つのが僕だ。足元が底なし沼でも普通に歩けるし、なんなら空中にひらひら舞う木の葉の上を散歩することも容易い。やれと言われたら、水の上で一週間座禅を組むことも可能。

 もっともやる意味がないのでやらないし、武芸の腕にしてもいざ戦闘となるとSF兵器や古老から小賢しいと評価された戦術を駆使する方が多いため出番が少ない。そのせいで武芸百般や天下無双と謳われるような、鋼特有の格闘技能や剣術が腐っているような気はするが……

 

 そんなくだらないことを考えつつ、トコトコ歩いていたらようやく目的地が見えた。山籠もりするなら、ここを使いなよと僕が建てた庵だ。見た目は木で組んだだけの山小屋だが、中身はどこでもテントと同じで空間拡張してある。

 そんな小屋の前で黒髪の少女が一人、木刀を手に振り回していた。

 

「やぁ!!」

 

 流麗な太刀捌きは堂に入ったものだ。スゥッと遅く見えるのに、実際には恐ろしい速度で振り抜かれている袈裟斬り。並大抵の剣士であれば、肩口から刀が入って腰まで一気に両断してしまうだろう。

 木刀はそこで止まらず、足を前に出す勢いを使って突きこむ。握りの緩みを自在に操作することで、突きの距離を僅かにだが見誤らせるようにしている。おー上手、あれなら『撃剣会』の人達でも、7割くらいは避けられない筈だ。

 撃剣会とは裏側の武術家が集まるサークルだ。発足自体は第二次世界大戦の直後。当時GHQが過激すぎる体罰指導などを取り締まっていた影響により、戦前の血生臭い達人達は行き場を無くしてしまった。

 そんな彼らを正史編纂委員会が指南役として雇い入れたら、せっかくこれだけ強いやつらが集まったんだから、全員で技を共有し研鑽する研究会を創ろう! となった。

 

 が、彼らはGHQの人権的な考えに反発するアウトロー達。梁山泊かな? と思うような思考の達人達だったので、昔ながらの痛くなければ覚えません! 怪我の数だけ強くなれるのです! 流した血の数がお前の強さだ! な理念で、当然のように殺人技などを脈々と受け継がせる物騒な研究会に仕上がった。殺したかっただけで死んでほしくはなかったの思考を持つ、活殺自在の達人集団。こわいねぇ……

 

 ちなみに僕も撃剣会の練習に参加したことがある。軍神の教えを請いたいと言う事で直接招かれたのだ。そこで百人抜きなんかもしたけれど、結果は僕の圧勝。剣術だけ、組技だけなら……と言った風に、数名は専門分野では僕に近いか同等の技量の人もいたけれど、それでも総合力では『鋼』との差は歴然。

 しかし殺人上等な空気が怖くて、それ以来あそこには近づいていない。血の匂いが普通にする道場とか、2000年代の日本であってはいけないだろ。当時のGHQはもうちょっと頑張ってくれ。

 

 ともかく撃剣会は物騒かつ殺しの技も受け継ぐようなやばいところで、所属している連中も大抵強い。馨さん直属のエージェントである甘粕さんも大分強いが、近接技能だけで言えば6割以上があの人より上。つまりみんなすごいのだ。

 しかし僕が見たところ、恵那さんはそんな彼らと比べても遜色がない……どころか、普通に上位に来るだろう。元より太刀の媛巫女と呼ばれる日本最強の媛巫女。全能力を使った時の実力は、間違いなく日本国内では最上位に君臨する。

 そんな彼女には、よく僕が稽古をつけてあげている。それもあってかますます腕に磨きをかけているようで、めきめきと太刀の切れ味が増しているようだった。

 

 しばらく観察していたら稽古も終わったのか、ふぅと息を吐いて真剣と同じ重さに調整された木刀を片付けていた。そうしていたらこちらに気が付いたのか、やっほー! と手を振りながら近づいてきた。

 

「早かったね、師匠! いつから見ていたの?」

「最後の方だよ。僕の体内時計で言えば、5分34秒前」

「じゃあ本当に最後の方だね。どうだった、恵那の剣技。前に会った時よりも、少しは上達したと思ってるんだけど……」

「人間、三日も会わなきゃ成長してるもんとは言うけれど、恵那さんの場合にはそれが顕著だよ」

「つまり上手になった?」

「もちろん」

「やった!」

 

 恵那さん──清秋院恵那。四家の一つ、清秋院の娘さんで、世界でも唯一の神を降ろす降臨術師。降ろす神は幽世に居座る古老、つまり僕のお兄さんだ。偶に僕の力も貸してあげている。

 鴉の色をした漆黒の髪に、日本人らしい黒目。背は僕よりほんの少し高く、媛巫女の例に漏れず可愛さ美しさは、そこらのアイドルが相手にもならないレベル。

 

 そんな彼女は僕に褒められたのが嬉しいのか、もう一度やった! と拳を握りしめて喜んでいた。そんなに嬉しいもんなのかねえ、僕に褒められるの? 鋼の軍神擬きな凡神だよ、僕?

 そんなことを言ったら喜びに釘を刺してしまうので黙っておく。その代わりに──

 

「御昼ごはんは食べた?」

「まだだよ。これから何か作って食べるところだった」

「じゃあ弟子の上達祝いに、僕が作ってあげるよ。リクエストはあるかな?」

「うーん……それじゃお肉や魚がいいな。そろそろ精進落としをしてもいい時期だからさ」

「了解。机に座って、良い子にして待ってるんだよ」

「はーい」

 

 恵那さんと一緒に庵の中に入り、台所を借りて簡単な料理を作る。精進落としとは言え、あまり肉の量を増やし過ぎたら穢れが付きまとう。なら挽肉に豆腐を混ぜて豆腐ハンバーグにするか。

 

 精進落としとは現代では初七日法要のあとに行うものだが、恵那さんは日常的に行っている。

 要は体を清めるために普段は獣肉などを断ち、四十九日が経ったら肉などを解禁しても良いとしている。なぜそんなことをしているかと言えば、降臨術師には俗世の穢れが致命的になるから。

 

 穢れ──これは仏教で言うところの十悪と呼ばれる概念を行うと溜まりやすい。十悪とは殺生・不与取・邪淫・妄語・綺語・粗悪語・離間語・貪欲・瞋恚・邪見の十個の悪徳。ようは殺すな・盗むな・不倫するな・嘘つくな・中身のない言葉喋るな・悪口言うな・仲違いさせようとするな・ケチで欲張りになるな・怒りに呑まれるな・誤解するな。これらは悪い事だから、しないように定められている。仏教徒でなくともこれらに似たようなことをすると穢れが溜まり、徐々に体に悪い気が蓄積されていく。

 

 これは人間である以上逃れ得ぬ業であり、媛巫女である恵那さんも同じ。十悪に該当することばかりしていたら体には悪が溜まっていく。それらは神の聖なる気を呼び込む際に邪魔になるのだ。

 特に肉や殺生は穢れが溜まりやすい。昔は獣の解体は穢多非人にさせていたように、死体の肉に触れる事ですら禁忌そのもの。被差別階級にさせるような汚れ仕事だ。それだけに術師の観点からしても、肉食に関する雑事は慎重に扱わないといけない。

 なので普段俗世から離れた山奥に籠り、肉や魚を断ち、時には五穀も断ち、清く美しく、そして正しく生きる事で神を降ろすに相応しい穢れなき巫女の体にしなければならないのだ。

 

「とは言うけれど、十悪を侵しまくる僕らを降ろすのに、清き体じゃないと駄目なのは納得いかないよね?」

「何の話?」

「恵那さんの神がかりの話。神様を降ろすには人間側に正しくあれ~なんて強要する割には、僕ら神々は普通に殺生するし、盗むし、不倫するし、嘘つくし、見栄っ張りで悪口当たり前で、離間の計は当たり前で、ケチで欲深く、怒りで洪水起こして、勘違いで息子の首切って象の頭に挿げ替えたりとやりたい放題してるでしょ? こんなのが神聖なる神の気だなんて笑っちゃうよ!」

「自分のことなのにボロクソだね、師匠は。おじいちゃまが聞いたらカンカンに怒るんじゃない? お前はまたそんなことを言って……みたいな」

「その時が来たら、僕は部屋に引き籠ることにするよ。嵐が過ぎ去るまでね」

「天岩戸隠れを現代でするの?」

「なんなら古老が呑気に神気を降ろしに来たら、捕まえてそのまま閉じ込めちゃおう」

「おじいちゃまを捕まえるだなんて、師匠か王様ぐらいしか出来なさそうだね……あ、そんなこと言ってたら、おじいちゃまから連絡が来た」

 

 恵那さんが携帯を取り出し、どうする? と目で問うてくる。携帯は鳴ってもいないしマナーモードで震えてもいないが、それは物理的な見た目のお話。霊的に目を凝らせば、微かにパカパカ携帯が神気を帯びているのが視える。

 霊的な存在が物理的に話をしようとすれば、人の口など音を出す器官を借りて行うのが一般的。しかし現代には電話然り、ラジオやスピーカーなど声を出せる機器や方法は幾らでもある。

 これが魔術神などであればそこまで手順を踏まなくても直接啓示を与えたりできるが、古老はあまりそう言ったことが得意ではない。やろうと思えばできるらしいが、面倒なのでやりたくないのだとか。

 なので今のように、携帯なりに伝播させて声を伝えたりしてくる。

 

 つまり恵那さんの携帯に来ているのは神からの啓示だ。となれば、食事中でも即座に出るのが人間の術師たる者の勤めではある。

 けれど僕は神なので、まぁ無視しても問題ないだろう。最悪ごめんね、おにいちゃーんと言っておけばいい。ブチッと着信を切断しておいた。

 

 ふぅ……これで平和に食事ができると言うものだ。僕と恵那さんの、久しぶりの団らんを邪魔しないで欲しい。

 

「今の切っても大丈夫だったの?」

「良いんじゃない? 本当に大切な内容であれば、僕に直接伝言を届けるだろうから」

「それもそうか。なら大丈夫そ──また着信が来てるよ?」

「ええい、食事中の出れませんメッセージに対してしつこいなぁ……」

 

 恵那さんにもう一回携帯貸してとお願いする。

 

録音(セット)急急如律令(オーダー)! てい!」

「何したの?」

「携帯が音を伝える機器なのを利用して、留守番メッセージを送っておいた。僕の子守歌付のやつ」

「師匠の子守歌ってあれだよね? 王様から聞いたけれど、耳にしたら呪われそうって評価の。恵那は聞いた事がないけれど、そんなにすごいの?」

「あとで聞いてみる?」

「聞きたい!」

「ようし、それなら後で聞かせて上げよう。それじゃとっとと、ハンバーグを片付けちゃおうか」

 

 流石に古老もこれには懲りたのか、三度目の着信は無かった。やったぜ、妹の強さを思い知ったか!

 

 それから仲良く御昼ごはんを食べ終えたら、恵那さんにもお土産を渡しておく。渡したのは向こうにしか売っていないようなフルーツドリンク。これなら俗世の気も溜まりにくいし、渡す前に僕が祓い清める儀式を行っているので、恵那さんが呑んでも安全だ。

 そうしたら、ようやく僕の唄を披露だ。適当にねんねんころりやを歌って見たところ──

 

「師匠……恵那を呪い殺すために歌ったの?」

 

 そこまで言うか! 確かに自分で録音して聞いても、中々酷いとは思ってるけど! 護堂に声は綺麗なのに、なぜか聞いていたら精神が不安になるとまで言われたけど! でも真剣に歌っているんだよ、こっちは!

 

「……今度もう少し練習しておく」

「呪殺の?」

「それはもう間に合ってるよ……でも元気そうで良かったよ。去年の暮に比べたら、すっかり元気になったみたいだね」

「うん。師匠が治癒を施してくれたし、二週間も布団に転がっていたからね。流石に元気にもなるよ」

 

 去年の英雄神騒動──八丈島の大部分を海の塵に変えた戦いでは、恵那さんにも頑張って貰った。観光客の避難や、英雄神が呼んだ御供共の相手などだ。ただそれはかなりの無茶だったのか、暫くの間恵那さんには休養が与えられた。

 僕の治癒の加護などを施していたのでそこまで心配はしていなかったが、どうやら後遺症なども無いようだ。良かった良かった。

 

「ところで、これってどこのお土産?」

「イタリアだよ。ちょっと護堂のお爺ちゃんの知り合いに、神具を返しに行ってきたんだ」

「あ、そうだったんだ……王様と師匠のことだから、トラブルに巻き込まれたよね。何と戦った?」

「トラブルに巻き込まれる事前提なんだね……あと戦う事も。まぁ護堂が絡んだら、そう考えるよね、普通……」

 

 草薙護堂が──神殺しがほっつき歩くのだ。それはもう、トラブルが起きる事間違いなしと考えても良いだろう。そのことに僕はうんうんと頷くが、恵那さんは不思議そうな顔をしながら、僕を指さした。

 

「え? トラブルメイカーっぷりなら、師匠も王様に負けてないと思うよ?」

「ははは、またまたそんなこと言って……僕なんてしがない、ただの一般神だよ、一般神。そんな僕がトラブルを引き起こすと思っているのかい?」

「うん」

「……………………」

 

 恵那さんの眼に迷いと曇りはなかった。その眼を直視していると、ひょっとして僕は神殺しよりの頭をしていると思われている? と自分の自我に疑いや迷いが出そうだったので、見なかった事にする。

 こほんと咳をして気を取り直してから、改めて何があったのかを教えてあげる事にした。

 

「メルカルト──バアルの方が通りがいいかな? バアルとウルスラグナ、二柱の神様と争うことになったんだ」

「バアル!? てあれだよね? 聖書のハエの王。ウルスラグナは聞いた事がないけれど、どんな神様?」

「インドラやヘラクレスと習合している、ペルシャの軍神だよ……そのウルスラグナさんと護堂がね──」

 

 友情を築いた事や、それでもなお闘いになったこと。それとメルカルトさんと僕の、尊厳を賭けた熱いバトルについても話しておく。

 

 うんうん頷いていた恵那さんだったが、メルカルトさんとの闘いについては待ったをかけて来た。

 

「一ついい? 師匠のことだから、メルカルトを一方的にボコボコにしたんじゃないの? 戦いじゃなくて、処分とか処理とか言いたくなるようなやつ」

「そんなことはないよ、恵那さん。一手でも間違えていたら、やられていたのは僕の方だ。確かにメルカルトさんは弱っていたけれど、決して弱敵なんかじゃなかったよ」

「そう……なのかな? 恵那はその場にいたわけじゃないから、師匠の言うとおりなのか……な?」

 

 恵那さんは首を傾げているが、僕のような凡神がメルカルトさんを相手に楽勝勝ちなんて出来るわけないでしょ? あれは薄氷を踏むかのような勝利だよ。仮に目撃者がいて楽に見えていたとしても、それは事前準備あってこそのもの。それなくして、僕のような弱者が神王相手に勝てるわけがないのだ。

 

「とまあ、これが事の顛末だね。面白かった?」

「相変わらず王様と師匠はとんでもないことをしてるなー……次何処かに行くなら、恵那も一緒に連れてってよ」

「いいよ。ならまた計画して、護堂の休みとかがあうかを検討しておくね……そろそろ次の場所に行かなくちゃ」

「次は誰のところ?」

「裕理だよ。あの子に与えた宿題の進捗状況なんかも確認したいから」

「あ、裕理のところに行くんだ。それならさ、恵那が元気にしてることを伝えておいて。山に籠る前に電話で話したけれど、すごく心配してたから」

「了解。それじゃ、修行と清め頑張ってね」

「じゃあねー、師匠。ばいばい」

「ばーい!」

 

 お話もそこそこに次の場所へ。再び転移魔術を使い、今度は恵那さんに言った通りに、裕理さん──万里谷祐理のところに飛んだ。

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