前世凡人 今凡神   作:カンピオーネ二次復権派

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馬鹿対策会議

 僕が馬鹿なのか否かについては突っ込むとこちらの心が傷つきそうなのでさておいて、問題はサルバトーレと、日本に向かってばく進しているであろうアテナをどうするかだ。

 護堂に何があったのかを全て伝えておく。

 

「──と言う訳で、向こうは僕が護堂の権能じゃないことを確信してる。スミスさんやアレクと同じだね」

「神殺しが美殊に会うと、宿敵だと察して本能が察知するか……美殊じゃなくて、俺が顔を合わせた方が良かったか?」

「どうだろう? 僕が話した限りでは、サルバトーレさんは自分がやりたいようにするタイプだ。つまり歴史が語る、神殺しらしい神殺しだね。もしも護堂と顔を合わせていたら、それはそれで楽しそうに斬りかかると思う。向こうは一ヶ月の森生活でストレスが溜まっているのは本当だろうし」

「鬱憤が溜まったら、強そうなやつに喧嘩を売る剣士とか存在しちゃいけないだろ。しかもなんでも切り裂く魔剣なんて、物騒な武器を持ったやつが」

「僕もそれには同感。噂には聞いていたけれど、まさかあそこまで無茶苦茶な性格だとは考えてもいなかったよ……さてと。まずはどこから手を付けようか?」

「馨さん達にも伝えるのはどうだ? 向こうにも待機して貰ってるんだろ?」

「そうだね。そうなると……それならサルバトーレさんのお目付け役と言われる、アンドレア・リベラさんにも連絡を取りたい。出来ればあの迷惑な神殺しを引き取ってくださいって」

「一番穏便なのはそれになるか……よし。馨さんの方には俺から連絡を入れておくから、美殊はリベラさんに話をして貰えるか?」

「了解。とは言え、アンドレアさんの連絡先は知らないし……仕方ない。エリカさんに聞くか」

 

 護堂は携帯を取り出し、馨さんと話始めた。僕の方もエリカさんに通話しますか。現在の時刻は日本時間が15時だから…向こうは6時ぐらいか。エリカさん朝が弱いけれど、起きているだろうか。

 すぐには出てくれなかったので、かけ続けること15分。

 

「一体誰かしら。私の安眠の邪魔をする不届き者は?」

「エリカさん! 僕だよ、熊野美殊!!」

「……みこと……美殊……美殊様? 一体どうされたのですか?」

「大至急お願いしたいことがあるんだ。実は──」

 

 そちらの魔王様がなんか神具持参で日本来て、いきなり喧嘩を売って来た。まつろわぬ神様も近づいているし、すぐにそちらでサルバトーレさんを引き取って欲しい。

 これを全部伝えたら、エリカさんが電話の向こうで一瞬黙ってしまった。サルバトーレのあれさ加減に呆れているのだろうか。

 

「またあのお方は、なんてことをしているのかしら。一ヶ月ほど前にゴルゴネイオンが、サルバトーレ卿に預けられたことは知っているわ。その後どこそこの森に消えたことも。それがよりにもよって日本に行って、護堂や美殊様に決闘を申し込む? またアンドレア・リベラの胃を痛めつける案件が増えたのね。嘆かわしい事に……美殊様の要件は、王の執事との面会かしら?」

「うん。出来ればすぐに連絡を取って、日本に来る準備をして欲しい旨を伝えて。飛行機だと時間がかかるだろうから、僕が転移で迎えに行くから……それと一応聞いておくけれど、この要望はイタリアの魔王様が望む、僕や護堂との決闘に真向から歯向かうことになる。その辺はイタリアの魔術結社として大丈夫?」

「問題ありません。私は草薙陛下から栄誉を賜った事で、『紅き悪魔(ディアヴォロ・ロッソ)』の称号を得るに至りました。恩義に報いることこそ、騎士として当然の務めです。またあの時、あの場所で私が御身らと接触し、私が命を長らえたことを総帥であるパオロ・ブランデッリは感謝しております。それに御身らの活躍により、サルデーニャの神話騒動は早期解決致しました。そんな御身らに恩を返すことは、我ら赤銅黒十時として当然の義務です。それにサルバトーレ卿は我らが崇める王ではありますが、草薙陛下もまた我ら魔術師が王と仰ぐべき尊き御方。王が我ら騎士に命じられるのであれば、それに応えるのは当然のことですから」

「そういう建前だね……ならお願い。すぐにアンドレアさんを捕まえて、日本に来た馬鹿の件を伝えておいて」

「シー・セニョーラ。仰せのままに」

「……それ奥様って意味だよね?」

「ええ。だって美殊様は、護堂の愛人でしょ? 神様だから愛神? リリィが聞いたら、さぞかし胸躍る文章を書くでしょうね。まつろわぬ神がまつろう身となり、神殺しの傍に侍る物語だなんて」

「……愛する人と書いて愛人? ははは、何を言ってるんだい、エリカさんは」

 

 僕が護堂に侍る愛人だって? ははは、エリカさんは冗句が上手いなぁ……あとリリィって誰?

 

「……こんな時に聞く事じゃないかもしれないけれど、一つ聞いていい?」

「どうされましたか?」

「エリカさんは何を見て、僕が護堂の愛神だと思ったの」

「美殊様の態度です。御身は護堂と話をされる時だけ、声のトーンが高くなっていますもの」

「え? そうなの!? ……それは気のせいじゃないの? ちょっと声が高く聞こえることぐらい、普通で──」

「2トーンは高いのを、普通とは言わないと思うわ」

「そんなに?……貴重な情報と意見をありがとう」

 

 エリカさんとの通話を終えたら、護堂の方はまだ電話していた。そんな護堂を見ながら、僕はいましがたの内容を反芻する。

 え? 僕護堂と話すときに、そんな2トーンも高いウキウキボイスなの?

 女の子は好きな人といる時声が高くなると言うけれど、それだと僕が護堂のことが好きで好きでたまらなくなり、テンション高くなってる浮かれポンチみたいじゃないか。

 ……よし。今考えるべきはサルバトーレ何某と、来る可能性が非常に高い対アテナ対策だ。護堂への僕の感情とは、一旦心の引出にポイしておく。後で考えよう、後で。

 

 護堂が通話している間に、僕は僕で準備をする。まずは宇宙兵器の用意だ。

 掌を前に突き出すと、SF映画などによく出てくる空中投影式のディスプレイが表示される。それをポチポチ操作して、小笠原海溝の水深9000mに沈めてある戦艦を水深500mまで浮上させておく。

 僕専用装備である宇宙兵器『獣と弾倉』。これは大別して四つに分けてある。

 一つはサルデーニャでも使用した衛星──ただし向こうに持って行ったのは、大型衛星に付随する小型衛星だ。残りの三つは、地上戦用の多脚要塞、海戦用の大型戦艦、空戦用の空母(マザーシップ)だ。これらにブラックテクノロジーによる諸々の凶悪な弾頭や、機動兵器をこれでもかと詰め込んである。

 これらは日本に置くには危なすぎるので、普段は別々の場所に保管してある。衛星と空母は宇宙に浮かべ、戦艦と要塞は海の底だ。なんせ搭載兵器が反応兵器などの危険物。僕の神力がない限り機能はしないが、全兵器を投入すれば最後日本を焼く……どころか、ユーラシア大陸を100回焼いてもお釣りがくる破壊能力を持つ。

 

 造っといてなんだが、そんなもん日常の傍においておけるかと言う話だ。

 

「馨さん達は俺たちに任せるみたいだが、向こうは向こうでいつでも動けるよう……おい。何普通に、宇宙兵器を使おうとしてるんだ!?」

「何って言われても、相手は神様と神殺しだよ? 備えはしておかなくちゃ」

「でも向こうに引き取りをお願いしたんだろ? なら別に、そんな物騒な兵器を用意しなくても……」

「これが普通の相手ならそうしたいけれど、相手は話の通じない馬鹿と価値観が紀元前の神様。前者はもしかしたら帰ってくれるかもしれないけれど、後者の説得は絶対に無理」

「……それはそうかもしれないが……」

 

 護堂は若干渋い顔をするが、強くは否定しない。たった一日とは言え行動を共にできたウルスラグナさんですら、まつろわぬ性に呑まれたら結局はああなった。そんな事実がある以上は、あまり強くは拒否できないだろう。

 

「美殊に斬りかかって来た阿保はともかくとして、アテナが狙っているのは、ドニが持つゴルゴネイオンとか言う神具だろ? それを渡したら大人しくは……なってくれないよな」

「なってくれたらいいんだけど、なった試しがないからね。神具を手にしてまつろわぬ地母神としての力を取り戻したら、アテナさんは文明を崩壊させると言った。先史時代の地母神が望む人間の文明レベルは、朝日が昇れば起き、日が沈んだら眠る。彼女が人間にさせようとする生活は、僕の予想だと旧石器時代のそれだよ」

「授業で習ったけれど、旧石器時代は一万年以上前の話だろ? アテナがギリシャ神話に統合される以前は大地母神なのは聞いたが、どうしてそんなに前の生活に戻らせたがるんだよ」

「それはアテナさんが相当に古い神格だから。より正しくは、地中海の女神は大体古い神格になるんだよ……その話はちょっと詳しくやろうか」

 

 僕がそう言いながら護堂にゆらりと近づくと、何かを察したのか護堂が身構える。流石に何度もされていたら、護堂も警戒するようになるか。

 でもね、護堂。護堂の性格上、御仕置なら僕をアイアンクローとかで止めるとしても、それ以外なら手を出しにくいよね?

 

「うわ……」

 

 足裏が摩擦でも無くなったかのように、僕の足が急につるりと滑る。すると当然倒れそうになり、顔から地面に向かって動き始める。

 すると当然──

 

「あぶなっ!!」

 

 護堂が素晴らしい反射神経で僕の体を支えに入ってくれた……ありがとう護堂。君ならそうしてくれると思ってたよ。

 たとえ警戒していたとしても、いざこうなれば助けに入ってくれると。

 

「はい、つ~かまーえたー」

 

 そのまま護堂の腰に手を回せば拘束完了。武の心得が無い護堂では、反応任せで打撃は避けられても、組技や関節技への対処方がない。

 僕が重心を操作して少し腰を落とせば、そのままコロンと体が横になる。あとはマウントポジションを取れば制圧完了だ。

 

「何をするんだお前は!?」

「そりゃ、何って……これだよ?」

 

 僕の唇をちょんちょんと突き、護堂の唇も片方の手で突く。何をやるかと言えば、当然精神感応の経路作成と教授の術だ。

 

 僕たちが現在いるのは、護堂のために委員会が急遽用意してくれた部屋だ。護堂が東京で待機となれば、家にいるよりも委員会のところでいつでも動けるようにしておいた方が良い。

 そんな理由から、護堂は委員会が管理する建物──自宅のある根津近くのお寺を選んだらしい。草薙護堂が来るとなれば、どんな理由があれ顔パスで通される。そして神殺しの魔王を邪魔をする勇気は、住職や職員らには無いらしく部屋の周りには人の気配が一切しない。

 つまり僕らが長い口づけをしたとしても、誰にも見られる心配はない。これで遠慮なく護堂に教授の術や、精神感応のパス繋ぎが出来ると言うものよ。

 

 するとそれを察してくれたのか、護堂は──

 

「そ、そんなことをしている場合じゃないだろ!? 今はアテナをどうするかの話で──」

「だからするんじゃないか。 今どのあたりにいるのかは不明だけれど、アテナさんは日本に近づいている。ゴルゴネイオンを渡さないのであれば、戦闘は確実。なら黄金の剣の準備と、火の言霊を使うための魔導力を用意しておかないと。この二つはアテナさんだけでなく、サルバトーレさんにも有効な手札だから」

「べ、別に黄金の剣はいらないだろ! 狼たち(ウルヴル)もいるし、弓もある。右手の鋼(こいつ)だっていて、ウルスラグナから貰った十の化身は戦士がなくても、あと九つも強力な武器になる。魔導力にしても、山羊になれば足りるんだから──」

「……山羊の連続使用は15分が限界でしょ? それを過ぎたら、護堂の魔導力はポンコツになっちゃう。ならもっと長時間維持可能な、僕とのパスを繋げる方がよほど役に立つよ?」

「そ、それは……そもそも、どうしてドニの相手まで検討してるんだ? リベラさんが来てくれたら、そいつはイタリアまで帰ってくれるんじゃないか? それにゴルゴネイオンが日本から無くなれば、アテナだって来ることは無くなるじゃないか」

 

 護堂の言い分も良く分かる。問題はサルバトーレに全てあるから、やつさえ日本から出て行ってくれたら当面の問題は解決するのだ。

 だが僕は護堂の願望が混ざった疑問に、ふるふると首を横に振る。

 

「サルバトーレさんの説得を、アンドレアさんには期待しているけれど……実のところ上手くいくかは分からない」

「なんでだよ? そのリベラさんであれば、ドニとか言う阿保を説得できるんだろ?」

「平常時ならいけるかもね。でもお相手は神殺しだよ? それも神と戦いてぇ~なんて気持ちを抱いたまま、日本にフラフラと遊びに来た。本気でサルバトーレさんが僕らとの闘いを望むなら、王の執事が嘆願しても効果は薄いと思う。アイスマンさんがアレクを説得できないように」

「……はぁぁ……なんでまたそんな、面倒なやつが日本に来るんだか」

 

 本当にね。普通に観光する分にはどうぞと言いたくなるけれど、これは流石にやり過ぎだ。正直なところ、こんなのが神殺しのデフォルトなのであれば、僕は今すぐ運命とタッグを組んで二代目のお役目とやらを全うしたい気持ちになる。

 

「なら、どうあがいてもドニとの喧嘩は避けられない可能性の方が高いのか……そういえば今更なんだが、そいつはいまどこら辺にいるんだ? もしかして、もう東京付近にまで来てるとか?」

「そんなに近くないよ。夢洲から出た後、北上して京都方面に向かったみたい。京都御苑辺りをうろうろしてるよ」

「……そこまで分かるのか。まさかとは思うが、誰でもそんな風に監視してるんじゃないだろうな?」

「そのまさかは杞憂だよ。それほど詳細に、かつ誰でも感知できる結界なんて張ったら、地脈が枯渇しちゃう。今回のサルバトーレさんみたいに、巨大な呪力の持ち主以外は無理」

 

 ははは、護堂は心配性なんだから。僕が結界で動向を探れるのは、神殺しや神ぐらいの大きな力の持ち主だけだよ。護堂とか。だから安心してね! 国内に限れば、護堂に何かあれば速攻で駈けつけるからさ。

 

「しかし京都か。なんでまたそんなところに? それに時間が経った割には、あまり長距離を移動していないな。神殺しなら、何かしらの高速移動が出来るんじゃないのか?」

 

  護堂の疑問は尤もだ。神殺しは大抵、高速移動に使える手段を持っていることが多い。護堂であれば狼に乗ったり、弓の霊力を使えば銃弾より早く動ける。

 スミスさんなら魔術で身体強化をして疾走。アレクなら神速と言った具合。

 他の神殺しにしても、転移術を扱えるだろう羅豪教主。狼に変身して疾風のように疾走するらしいヴォバン侯爵。あとはあんまりこの時代にいないアイーシャ夫人は、特に高速移動権能は持たないが、もっと凶悪な移動権能を保有している。

 でもサルバトーレについては違う。

 

「サルバトーレさんに、高速移動能力はない筈だよ。かの剣王は、神殺しになる前は呪力が体に溜まらない体質だったんだ。そのせいか魔術師としての実力は最低以下で、それは神殺しになってからも同じ。顔を合わせた時点での直感になるけれど、魔導力は護堂とどっこいか、それ以下だと思う」

「俺以下って……つまり火の魔術で火を熾そうとしたら、山火事になるのか」

「懐かしいねぇ……」

 

 せっかく神殺しになり膨大な呪力が手に入ったので、一時期僕は護堂に術を教えようとした。別にいらないとか最初言われたが、僕が教えたがりだからお願いと頼み込んで。

 結果? マッチ棒サイズの火を灯す筈が、近くにあった木が次々燃え始めた。僕が消していなければ、あのまま樹海は火の海になっていただろう。

 

「こほん……魔術が使えない以上、脚の速さは人間の限界と変わらない。神殺しの肉体の筋肉リミッターが簡単に外れやすいことを考慮しても、時速50キロから60キロぐらいが限度だよ。鍛えていてもね」

「なら権能の方は?」

「それも大丈夫だとは思う。もしも使えるなら、もう使ってるだろうし」

 

 サルバトーレ・ドニが持つ権能は、僕の『眼』で見たところ四つだ。二つは賢人議会も把握している魔剣の権能と、僕と同じ鋼体になる力。残り二つは詳細やどんな権能なのかまでは不明だが、どの神から簒奪したのかは視えた。

 

「ま、そりゃそうか。移動能力があるなら、それを使って美殊を追いかけるか……」

「京都をウロウロしてるのも、僕がどこに行ったのか分からないからだと思う。魔術が駄目なら、探索魔術も駄目だろうから……つまり今がチャンスなんだ。アテナさんがまだ日本に到着していなくて、サルバトーレさんが彷徨っている今が、護堂に神力を裂く剣の知識と、魔導力を授けられる絶好の機会なんだよ」

「その理屈は、まぁ分からないでもないが……でもな、美殊。前から言おうと思っていたんだが、今の俺と美殊は、一応友達で通してるだろ? やっぱり、友達同士であんな……恋人みたいなキスはおかしいと言うか……」

「今更なことを言うなよ~」

 

 それは今更過ぎるやつだろうがぁ! ええい、妙なところで日和おってからに……仕方ない。僕が一肌脱ごうではないか。

 

「じゃあもう、僕が護堂にキスしたいからしてるとか、そんな言い訳で良いからしようよ」

「お前……それは建前を投げ捨てすぎだろ」

 

 うっさいクソボケぇ! こっちもこっちで色んな事情があるんだよぉ!! 地母神のツンギレデレを見せてやろうかぁ!!

 ……などと口にするのもなんだかあれなので、僕は護堂の胸に頭を預ける。そのまま何度かドンドン頭突きをしてやった。

 

「また珍しい反応を……なんでそこまで、教授や魔導力に拘るんだよ。そりゃ昔は狼しかなかったけど、今はそこそこ武器もあるから、別に美殊がそんなことをしなくても──」

「だって護堂に死んで欲しくないんだもの」

 

 僕がそう言うと、護堂が黙った。その沈黙が重くて、ドンドンと頭突きを繰り返す。

 

「だって護堂はけっこう死にかけたり、敵の罠に嵌ったりしてるじゃないか。神殺しになってからの初戦でクリシュナさんに殺されかけてるし、ハワイの時なんてペレに洗脳されて……桃太郎の時も、僕がアーサー王を速攻で処して駆けつけていなかったら、どうなっていたか……僕がどういう気持ちだったのか分かってないし……知ってる? 神殺しの死因はたった一つ。戦場での討ち死にしかないんだ。寿命を全うした神殺しは一人としていないんだ」

「……すまん」

「うっさいば~かぁ……ええい! こんないじけるのは僕らしくない!!」

 

 このままゆっくり護堂の胸に頭を預けていたかったが、時間がないのは事実。なので単刀直入に、護堂には僕の今伝えられる心情を伝えておこう。

 

「護堂にはたくさんの武器がある。でもどれか一つ欠けさせて、それで護堂がピンチになったら僕は僕を赦せない。あの日、護堂が神殺しになった時に誓ったんだ……僕は護堂と一緒にいる。その生涯が閉じるまで……それに君を死なせないとも約束した。僕は嘘吐きで軽薄で詐欺師だけど──」

 

 まっすぐに目を見て、これだけは覚えさせよう。何度でも、言葉にして。

 

「──この言葉だけは嘘にさせない」

 

 ……僕の言葉を聞いた護堂は、何度か目を閉じて開いてを繰り返し、息を吐いてから──

 

「うちの女神様は我儘だな、全く……頼む、なら俺に必要なものを全部くれ。美殊の言葉を嘘にさせないためにも」

「りょうかい!」 

 

 そういうところが好きだぜ、護堂!

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