前世凡人 今凡神   作:カンピオーネ二次復権派

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クソボケ女神の本音と本質

「オレ、マナンダ。ミコトチシキヤクダツスゴイ、スゴイ」

「護堂がロボットみたいになっちゃった……」

 

 全ての知識は伝授した。アテナの知識と、サルバトーレが弑した四柱の神々。それを伝えきったのに、護堂がカタコトから元に戻らない。

 流石にこのままだと問題だらけなので、どうにか戻す方法はないものか……とりあえずこうしてみるか。

 

「グゥ!」

「あ、少し反応が変わった」

 

 先ほど護堂が僕のジャージに手を突っ込んだので、反対に僕が護堂のズボンに手を突っ込んでみた。そのまま前尻尾を握って擦ってみたら、護堂の吐息が漏れてロボットから少しずつ元に戻っていく。

 うむうむ、やはり生ならぬ性こそ、生物と無機物を分ける性質だね。

 

「やめ……ろ、み、こと……本当に、次は、我慢……できなくなる」

「なんでそこまで我慢するのさ? 護堂の()()は準備万端みたいだよ? 確かにアテナさんやサルバトーレさんの件があるけれど、両名ともまだ本格的な動きは開始してない。アテナさんに至っては、まだ日本に到着もしてない。まだ時間はあるんだよ?」

「そう、じゃない……もしも、そういうことを、するなら……俺は、美殊、から……聞かなきゃ、いけないことが、ある……」

「それは?」

「……俺の気持ちは、ハワイで、知っただろ? なら、お前は? お前は、どうなんだ? どう思って……いるんだ、よ。それとも……どうとも、思っていない相手でも、美殊はこんなことが出来るのか?」

「……それかぁ」

 

 僕は護堂のブレードから手を離して、それなぁ……と呟きながら畳の上に寝転がる。僕がどう思っているのか。どんな感情を抱いているのか。何とも言えない気持ちのそれを、どう表現するべきなのか。

 ……本当の意味で、過去と決別すべきなのかどうか。なんとも言えない問題だ。

 

「……ちょっとこっちに来て」

「……なんだよ」

「ゆっくり話がしたいから来て」

「そんな時間があるのか?」

「さっきも言ったけれど、今回の元凶二名はまだ本格的に動いていない。アテナさんが来る前にサルバトーレさんをどうにかしたい気持ちはあるけれど、未だに元離宮二条城辺りで滞在中。下手にちょっかいを出しに行ったら、そのまま仏閣を破壊しまくる大怪獣バトルだよ」

「つまり現状は、静観を決め込むしかないのか」

「うん。中京区ごと破壊しても良いなら、メルカルトさんの時みたいに、空から『神の杖』でも使うんだけどね」

「それはやめろ、まじでやめろ……分かったよ。どんな話がしたいんだ?」

 

 僕が寝転がりながら腕を広げて待ち構えると、護堂は渋々と言った具体にこちらに来る。それを捕まえて、僕の胸に護堂の頭を抱え込んだ。

 

「ちょ、だから我慢が利かな──」

「僕はどうしたいんだろうねぇ?」

 

 僕が黄昏るようにそう言うと、護堂が暴れようとするのをやめる。大人しくする護堂は好きだよ~

 

「まず第一に一つ答えておくね。どうとも思っていない相手と、僕がそういうことをするのか? するわけないでしょ。唇と体を赦す相手ぐらい、僕でも選ぶさ」

「ならさ、少なからず俺のことを……想ってたりするのか?」

「ん~……我が背の君……だとは考えてるよ」

「なんだよそれ。清秋院のやつも俺のことをそう呼ぶ時があるけれど、一体どう言う意味なんだ?」

「これは僕の口から説明すると、些か味気ないんだよね……ほい。広辞苑。これを貸してあげるから、あとで意味を調べてみなよ」

 

 ふうん? なら後で読んでみるよと護堂は答えた。素直で可愛いのは良い事だよ、愛しい愛しい旦那様(我が背の君)。とりあえず広辞苑はその辺に放り投げておく。

 さ~てと。どこから話をしたものか悩むな。とりま、ここから質問しておくかな。

 

「……護堂は僕のことが、今でも好きかい?」

「……ああ」

「そっかぁ……変わらずかぁ……」

 

 こんな僕の、どこを好きになったのやら。前世が男なせいか、女の子らしい部分なんて全然皆無な僕の何処を好いたのやら。

 もっとましな子を見つけなよ……なんてのは、流石に護堂の気持ちを蔑ろにし過ぎだろうか?

 

「それはハワイの時から、一切変わらない?」

「ああ、変わってない。何一つな」

 

 ハワイの時と言うのは、火山神ペレと戦った時のことだ。僕が地元住人の避難を優先している間、ペレの事は護堂に任せていた。そうしたらなぜかこの男、向こうに不意を突かれて洗脳されたのだ。

 洗脳内容は、己の殻を打ち破りすごく素直になると言えばいいのか。いつもの建前とかはどこかに消えて──

 

「すまないな、俺の愛しい美殊。向こうの術にかかってしまったよ」

「今日も愛らしい顔じゃないか。ん? どうしたんだよ、俺の顔をそんなに見て」

「何言ってるんだ。俺の愛する人は美殊だよ。あ、いや少し違うか。美殊は人じゃなくて、ヴィーナスのような女神様だものな」

 

 僕は盛大に舌打ちしたものだ。俺様系や分かりやすい気障な台詞は僕の癇に障る。僕は言葉が下手で少ないながらも、行動で示すタイプの方が好きなのだ。素直に可愛いとか口にされるよりは、とりあえず傍にいてくれる方が好ましい。

 だというのに我が背の君はあろうことか、俺様系と王子様系のミックスになりやがった。最後は護堂が自分の手で決着をつけると言うのでペレの討伐は譲ったが、それが無ければあの火山神は、僕の手でハワイ火山国立公園諸共地上から消滅させていた。

 

 それは置いといて。

 

 護堂が僕の事を、女の子として好いていたのはそこで知った。その気持ちを受け取ったが、僕はすぐに答えを返さなかった。少し待って欲しいと。それまでは、今まで通り友達を続けようと約束して。

 護堂の方も洗脳状態で口走ってしまったのは後悔していたので、これを承諾。かくして僕と護堂は、恋人などの関係になることはなく、親友として今に至る。

 

 その間に心変わりして、護堂の気持ちが別の子に向かう事を期待していた。だと言うのに──

 

「初志貫徹とは立派なことだよ」

 

 全くどうしてこんな面倒な女神を……周りの好意を向けてくれるような女の子達じゃなく、護堂を神殺しにしてしまったような疫病神に好意を向けてしまうのか。

 ……もっと僕を憎んでくれてもいいのにさ。

 

「……最近さ。会う人会う人、僕を見てこう言うんだよ。草薙護堂の正妻とか……正室とか……僕と護堂は友達なのにね……」

()()()()()()()()()()()()

 

 ああ、もう……この言い方をしたら引いてくれると思ったのに、そんなもん建前だろと護堂が言っちゃうのか。

 

「お前は……美殊は嫌なのか? 俺の正妻とか、正室とか言われるの」

「…………………………………………」

「答えてくれよ」

「……………………嫌じゃない」

 

 護堂の頭を抱える腕に力を籠める。嫌なもんか。それが嫌だなんて思ったことはない。

 嫌じゃないからこそ、僕は嫌なんだ。

 

「嫌なもんか。嫌なことがあるもんか……だって君がいないと、護堂がいないと、僕はあの日死んでいた。あの日、くだらない運命とやらを背負わされた僕は死ぬ筈だった……僕は死んでいたんだ」

 

 ……どうして僕は、あの日ウルヴル達に襲われたのか。あまりにもピンポイントに、僕を殺しうる属性の狼が出現したのか。

 それは定められた運命から逸脱したから。僕が持つ鋼と蛇と天空、そしてもう一つ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 二代目としてのお役目を持つ僕は、それを使い神殺し討滅なんて定めから隠れ続けていた。

 けれどそれは、世界からすれば見過ごせないイレギュラーだ。神殺し以上に見過ごせないとびっきりのイレギュラーとなった僕を抹殺するため、世界の修正力は働いた。

 

 だからあの日、襲われた日に僕は死ぬ運命だったんだ。でもそうはならなかった。運命なんて蹴り飛ばす、反運命の象徴に出会ったことで──

 

「何の力もないのに、ウルヴルの戦いに巻き込まれたのに、それでもあの時君は自分が何て言ったのか覚えているかい?」

「なんて言ったかな……俺が美殊を助ける……とか?」

「違うよ……そうか、あいつら俺も狙ってるのか。ならこれで分散させられる。美殊を狙う数を減らせるんだな……100回やったら99回は死ぬかもしれないけど、1回ぐらいならどうにかなるかもしれない……あの時君は死ぬかもしれなかった。なのに出てきた言葉は恨み言でもなく、ただ勝つことだけを見据えていた」

「そうだったか? そんなことを言ったのか、俺は……でも、それが普通じゃないか? 実際勝ったことで、こうして今も二人生きてるんだからさ」

「……そういうところだよ」

「何がだよ?」

「……それが当然だと思ってるところ。助けようとか、助けないとか関係なく。不都合も、不利益も全部蹴り飛ばして、しっちゃかめっちゃかにする神殺しの相。最後には辻褄をあわせてしまう強引さ……知ってるかい? 神殺しは蛇蝎の如く嫌う人もいるけれど、逆にそのカリスマに魅せられてしまう人も多いんだ」

 

 ……僕のようにね……ああ、業腹だが認めてやるよ、甘粕さん。僕はツンデレだ。

 護堂が好きかって? 大好きだよ! 愛してるよ!! 命を賭しても良いと思えるぐらいに、護堂を慕ってるよ! ウルヴルに殺されかけて地上に墜ちた直後に、戦う事に怯えてた僕に不器用ながらも──

 

 なら美殊さんが、もしもまた誰かに虐められてたら助けに行くよ。友達を助けるのは普通だろ?

 

 ──なんて言葉を投げかけて、本当に来てくれた護堂のことがなぁ!! 好きになっとるわい!! 脳を焼かれとるんじゃい!!

 

「……好きだよ。護堂のことが好き……護堂の好きに並べるぐらいの感情なのかは分からないけどね」

 

 嘘だよ。本当は超がつくぐらいには好きだよ。でもさぁ……年下の男の子にガチ恋しましたとか……言い出しにくいじゃん。それに──

 

「ならどうして、美殊は俺とのことをずっと友達……とか言い張るんだ」

「それは……護堂と約束したし。それに……」

 

 これはあまり言いたくない。だから僕も少し言い淀んでしまうが──

 

「言ってくれよ。なんでなのか、俺は知っておきたいんだ」

 

 僕の胸から頭を上げて、護堂が目を見て問うてくる。するなよー……そんな目を。

 

「……護堂には幸せになって欲しいから」

「なんだよそれ?」

「僕はね……好きだから。護堂のことが好きだから、僕以外を好きになって欲しい。護堂には普通の家庭を築いて欲しかった……神殺しなんかにならず普通の人として、普通の女の子と恋をして、普通の人生を……神殺しになるような人には難しくとも、それでも護堂には……僕の大好きな君には、幸せでいて欲しいんだ」

「……美殊といても幸せにはなれるだろ」

「かもね。でも、ほら、僕はさ……どうあがいても、こんな性格をしてるし。こんなのが隣にいたら、幸福の青い鳥は飛んでこないよ」

「性格はおかしいな、確かに。本気でイラっとさせられることもあるし」

「だろ? だから僕以外が、正妻になるべきなんだよ。護堂の権能という事になっているけれど、やはり神様なんて人間じゃない存在がお嫁さんになっちゃいけない。だから──」

「美殊といたら幸せだぞ、俺は。困らされることもあるけれど」

 

 そんなことを言いながら、護堂は僕のことを抱きしめて来ちゃった。やめろよ……そんなの。ズルいじゃんか。

 

「僕は普通じゃないんだよ? 最後の王なんて、とんでもない役目を持たされ開発された討滅兵器。それに……それに……」

「それに、なんだよ?」

「……僕を構成する素材に、人間の魂が使われた。それは知ってるよね」

「それがどうしたんだよ?」

「……僕に前世の記憶があると言ったら、護堂はどう思う?」

「え? そ、そうなのか?」

「そうだよ。そして……前世の僕は、男性だった」

「まじか!!」

「マジだよ……いいかい、護堂。僕は女神として誕生したけれど、元男なんだ。そんな僕が、護堂のお嫁さんに? 許せないでしょ、こんなの……」

 

 護堂から困惑の空気が少しする。そりゃあそうだろ。認めざるを得ないが、僕の性自認はもはや男性要素が殆ど残っていないような気さえする。

 それでも他人からすれば、僕と言う存在を正確に分解したら男性になるんじゃないか? 初恋の相手が元男で、それが正室だとかなんだとか……分かってはいる。これを明かすことに意味がないことぐらい。

 でもなんだかこう……隠したくないんだ。護堂には隠したくない。僕を全部知って欲しい。それで否定されるとしても、僕は知って欲しかった……もはや僕の記憶にしか残されていない、僕が僕だった記録を。

 

 さてと。護堂はどんな反応をするのだろうか。幻滅してくれただろうか? していてくれたら嬉しい。僕は変わらず護堂の権能をするつもりだけど、恋心とやらは別の方向に向けてくれたら御の字なんだ。だから──

 

「そうか。前世が男性か……だからか」

「何がだからなの?」

「なんか話しやすいなとは思ってたんだ。女の子と話してるよりも、男友達と話すような感覚になる事の方が多かったと言うか」

「それはあれかな。神殺し特有の直感が、自然と僕の性自認を無意識に読み取っていたとか?」

「美殊の感覚としては、まだ男なのか?」

「……分かんない。男性だった感覚なんて、もう二十年以上も前の話だから。自分がどんな声だったのか、どんな顔をしていたのか。どんな家族がいて、どんな生活をしていたのかも思い出せない。それは僕の記憶の中にしかないのに、思い出す手段が一切ないから」

「それはまた難儀な話だな」

「難儀だよ、本当に……ところでさ」

「なんだよ」

「いつまで護堂は、僕のことを抱きしめてるのさ。普通、元男なんて聞いたら引くでしょ。なのにハグしたままなの?」

「どう言えばいいんだろうな。カミングアウトされたところで、俺の知る美殊は可愛らしい顔をした女の子でしかないし。そもそも俺の知り合いなんて、変なやつばっかりだ。男同士で付き合ってる人なんてのも、珍しくはないだろ? それを思えば、男だった感覚が殆ど残ってない女の子。それはもう、ただの女性でしかないんじゃないのか?」

「それは草薙家の知り合いや、護堂の知人関係がなんか変なんだよ」

「だったら、美殊もその変な奴だな。今更変な子アピールを増やしたところで、お前はまぁまぁ頭のおかしいやつな評価なんて変わらないだろ」

「……人の悩みを大雑把に纏めよってからに……」

 

 だから──こんな訳わかんない僕を当然のように受け入れて、抱きしめてくる護堂のことが嬉しいんだよ……僕は。

 僕が割と心底では悩んでいた、元男性の現女神が年下の子に本気でベタ惚れしても良いのか? に対して、お前は変な奴なんだから、頭のおかしいやつのままで押し通せよと仰ってくる。

 ……全く。神様を殺す人間なんて、どうあがいても大雑把なのだ。僕の繊細な在り方に、その器の大きさを一千分の一でも良いから分けて欲しい位だ。

 

「……答えを聞かせてくれよ」

「……何のって返してもいい?」

「それは流石に腹が立つな。ここまで聞いといて、いつものお惚けをされたら頭を叩きたくなる」

「だよね~……ハワイの時の答え。少し遅れてしまったけれど……お慕いしております。末永くどうかよろしくお願いします?」

「最後の最後までお前は疑問形で締まらないことを……」

「でもそんな僕の事がぁ?」

「そこは嫌いだな」

「護堂が塩対応だぁ!」

 

 ウェーイとしてみたくなるが、護堂がハグしたままなので無理だった。仕方ないので、今度は教授とか精神感応関係なくキスをしてみる。

 そのまま僕が体重を後ろにかけて体勢を崩せば、護堂に押し倒されたような形になる。そのタイミングでジャージのファスナーを開けて、白いシャツを外気に晒しだす。

 

「護堂のそれ。実はまだパンパンに膨らんでるでしょ? これで僕は護堂と正式なお付き合いをすることになったんだから、そういうことをしてもいいんじゃない?」

 

 なんて言いながら、脚でそれを刺激する。護堂の体はビクンと跳ねて刺激されるが、護堂はなぜか歯を食いしばって耐えていた……なぜ?

 

「あ、あの護堂? もう耐えなくてもいいんだよ? ……あ! もしかして、前に簡単に孕むとか言ってたのを気にしてるとか? それなら大丈夫。僕には冥府神、つまりアテナさんと同じく死の神としての資質もあるから、逆に孕まないようにすることも出来るから。子供が出来るのが気になるのであれば、その辺の配慮ぐらい僕はばっちりだよ!」

「……違うんだ」

「違う? 何が?」

「なんでかは分からないんだが……まだそう言う事を、美殊としたら駄目な気がするんだ」

「……なんで?」

「分からん。ただどうしてか、美殊とそう言う事をすると考えたら、本能とでも言えばいいのかな。それが、その──」

「精神感応で繋がってるから、護堂の雄としての本能が、僕を侵し犯し征服したいと考えてるのは分かるよ?」

「それをはっきりと言うな、この馬鹿!! ……それをしたい気持ちはある。あるんだが……今それをするには、俺の牙が足りていない……ような気がするんだ」

「……良く分かんないね? どう言う事なんだろう」

 

 牙? が足りていない? 抽象的過ぎて見えにくいな。

 

「牙ってなんなんだろ? そう言う事……つまり性行為で牙となると、経験値が足りていない? でも誰だって初めてはあるし、経験値なんてみんなゼロの筈だよ」

「だから性行為とかはっきりと口に……でもなぁ。足りてないのは確かな気がするんだよ。美殊とキスをするだけでも、尋常じゃないぐらいに気持ちが良くなるし」

「………………ん?」

 

 なんだろう。今の発言に、僕の直感が何かおかしいと囁いた。なんだ……一体何が僕の中で気になった。キスが尋常じゃないぐらいに、気持ちが──あ。あああ! いや、まさかそんな。そんな馬鹿なことが。だが確かめないと。

 

「ねえ護堂。護堂は僕とキスをした時に、最後には我を忘れちゃうことが多いよね。あれはどうして?」

「どうしてってお前、それは、まあ、好きな人と口づけをして、頭がふわふわしたり……体の芯からかぁと熱くなって、異常に心が昂るからだよ」

「……それはキスをしただけで?」

「そうだな。美殊はこう……滅茶苦茶上手いんだなと思ってたよ。それは前世で培った技術とかなのか?」

「それはない。前世の僕は童貞だよ……キスだけで、心の芯が異常に熱くなる? お互い好きな人同士ならそうなるのかな……護堂。ごめんね、もう一回そこを触るよ」

 

 護堂の下着に手を入れて、それを優しく触る。途端に護堂の顔が歪んだ。

 

「今の感覚、()()()()()()()()()()()()

「な、んで。そんあこと、き、きくんだ……」

「……そうか。この程度で、言葉がおかしくなるくらいには、護堂は快楽を感じてるんだね……ごめんよぅ護堂!! 僕が真っ先に気付かなきゃいけなかったのに、まさか僕の体質が()()()()()()()()()()()()()()!!?」

「……は? まさか俺のこれには、美殊の体質に絡む何かがあるのか!?」

「そうだよ!! 今の護堂の反応で、ようやくはっきりした!! リンガ崇拝とシャクティ派! タントラの概念が僕の体には適用されているんだ!!」

 

 シヴァ神とパールバティ神。この両名が何の神格に通ずるのか。両者を100%引き継ぐ僕が、どんな要素を保有しているのか。

 それに思い至った瞬間、僕は護堂が持つ鋼の理性に驚嘆してしまうと同時に、申し訳なさが爆発してしまう。

 

「僕の神格、合わさった神様から導きだせば、持つ職能の中に性交が含まれてるんだよ……相手をとんでもない快楽に導く類の奴が……」

 

 それを聞いた護堂は、ポカンとした顔をしていた。もしもこの場に甘粕さんがいたら、僕をこう表現したかもしれない。

 

「いやぁ、強制的に相手を感度三千倍にする権能ですか。流石はインド。数値のインフレが恐ろしいですね」

 

 なんて茶化して──

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