前世凡人 今凡神 作:カンピオーネ二次復権派
「僕を構成する神格は、大黒天と熊野夫須美。仏教ではマハーカーラとサハスラブジャ。ヒンドゥーではシヴァとパールバティ。伊舎那天は伊邪那岐と伊弉冉に派生する……ルドラ時代には牝牛プリシュニー。プリシュニーもまた、大地母神の系譜。つまりシヴァと呼ばれる神格には、絶対に大地母神が付き纏うんだ」
ゆえに愛多き神格。そして我がパパを代表とする現象は、破壊と再生。これはルドラ時代の嵐が壊す様と、その後に嵐が齎す雨の恵や雷による豊富な土壌の示すがゆえに。
そんなシヴァの信仰の特徴とも言えるのが──
「
シヴァを代表とする象徴には彼が使う武器である
だがその中でも、これぞシヴァと言えるのはおちん〇んになるだろう。
「なんでだ? 美殊の父親の象徴が、どうしてその……男性器になるんだよ」
「天空神だから。地母神は大地で女性とするなら、天空神は空で男性。
「だから……シンボルが男性器に?」
「そうだよー。それにシヴァにとって、股間の剣こそ鋼の劔だ。地母を倒されるべき蛇とするならば、数多の女神をアヒンアヒン言わせるあれこそ竜蛇殺しの『鋼』と呼べる代物だね!」
いやぁ、懐かしい。幽世にいた頃に、僕が産まれる前の話を一度聞いたことがある。熊野夫須美を毎晩毎晩啼かせたとか言う、聞きたくもない親の情事エピソードを。
「一神教や仏教では、姦通や邪淫は忌むべきこととして忌避される。でもヒンドゥーや神道では、これらは決して邪なものでも、邪悪なものでもない。むしろ宗派によっては、積極的に取り入れているところだってある。それがシャクティ派。シヴァ神の妃が持つ、女性の性的エネルギーなどを利用して、宇宙の真理を解き明かさんとする信仰だ」
「シヴァ神の妃……美殊のお母さんか」
「そうなるね。そしてシャクティ派が纏めた経典がタントラ。この中には様々な修行方法があるけれど、その一つに性行為もあるんだよ……強烈な
全てのシャクティ派がそのタントラを実践しているわけではないが、事実として性的なエネルギーを活用する術は存在する。そしてその信仰の元となるのが──
「シヴァ神とその妃たち。
「な、なんだって! ……ところでそのマジカルチ〇ポってなんだよ」
「どんな女性でも快楽の虜にする魔法の杖」
「快楽の……俺が異常に感じたようにか!!?」
「そうなる……と思う。僕がもし男として生まれていたら、父親の性質を引き継いで、僕のもそうなっていたかもしれない。でも護堂が知るように、僕の体は100%女の子だ。だからタントラ思想に端を発する、性的エネルギーの強化は無いと……思っていたんだけど……」
いまだに膨張覚めやらぬ護堂のそれ。服の上からでも張り詰めていると
護堂の体はそれだけで劇的に反応する。
「……僕にもマジカルな力が宿ってる。異性をまつろわす性的な力が。……ううん下手をしたら父上よりも強いかもしれない。なにせ僕には、シヴァだけじゃなくシャクティ側の神力も含まれている。もしかしたら異性だけに限らず、誰であれ強制的に
護堂の元気になったそれを掌でくるくるするだけで、護堂の顔が紅潮し汗が浮き出て苦しそうな顔になる。僕は元男だったからこそ分かる。幾ら異性に撫でられたからと言って、服の上からでここまで感じられるわけがない。
明らかに尋常ではない快楽を護堂の体は受け取っている。
「こ、れ……オフにとか……できないのか」
「難しい……と言うよりも不可能だよ。これは僕の任意で切り替えられる権能ではなく、闇の神格が光明に弱いとか、地母神が『鋼』に弱いとか、そう言った呪いに近い性質。僕と言う神格が性的な行為に興じようとすると、相手に強い影響を与えてしまう権能だもの……」
「権能……なら。呪力で防御……すれば……」
グッと護堂が丹田に力を籠めて、神殺しの強力な耐性を一気に強くする。すると多少はマシになったのか、護堂が一息ついていた。
「少しは大丈夫になった?」
「体の芯がゾワゾワする感覚はかなり減ったな……まだ少しは残ってるけれど。俺の体は権能でも弾くのに、どうして美殊のこれには抵抗し難いんだ?」
「それは対象物となったのが、粘膜部位になるからだよ。キスで護堂の体内に直接術を作用させたりしてるけれど、あれは口からが手っ取り早いからそうしてるだけ。ようは体の中に直接干渉できるなら、どんな手段でも問題ないの。それこそ御尻の穴からでもいけるし、今みたいに──」
護堂のをツンツン突く。
「鈴口からでも行ける。それに性器接触による性病が感染しやすいように、これは内臓と言い換えてもいいんだ。他の魔術や権能ならまだしも、これに作用することに特化した権能相手となれば、神殺しの呪力耐性でもかなりきついよ」
「マジか……そうなると、どうなるんだ? 俺は無意識の内に、まだ美殊を……その……抱いたらまずいと認識していた。もしもこのことを知らずに、情事に及んでいたら──」
「──分からない。僕が性的な行為を行うことが、そのままタントラの権能の発動に繋がっている。手で護堂のリンガに触れたり、唇どうしの接触だけで護堂の強力な呪力耐性を貫通──姦通して、神殺しの神へ反抗する本能すら溶かしかける、性的チャクラの二重掛け。その本体は間違いなく──」
護堂の手を取り、僕の下腹部を触らせる。
「ここだよ。ここが権能の本体。僕のヨーニは、シヴァの鋼であるリンガの特性も持っている。迎え入れた他の鋼を、まつろわし溶かしきる快楽の鳥篭。護堂は鋼の理性を持っているけれど、それをあっさりと溶かして壊す……と思う」
「思うとしか言えないのか?」
「だってこんなことをする相手、前世を含めて護堂が初めてだから……予想するとしたら、護堂は人類が初めて味わうぐらいの性的快楽を覚える……かもしれない。権能による性的快楽と
名器なんて言葉が存在するけれど、それで例えるなら僕のこれは神器だ。どんな雄の『鋼』でも捕えたが最後、破壊し尽くす『究極の鋼』。おそらくだが神話に名高い性豪達ですら、まともに耐えきれるとは思わない。なんせ僕の権能は一柱ではなく、二柱の合算だ。
薬を使った性行為は何十倍も感じると言われているけれど、それすら遠く及ばない史上最凶の快感……
「だから分からない。行為に及んだら最後、護堂がどうなるのか。もしかしたら大丈夫かもしれないし、そうじゃないかもしれない。理性を壊す快楽が人格に影響を及ぼすかもしれないし、下手をしたら神殺しの頑丈な体でも負荷が強すぎて腹上死するかもしれない……」
「雄羊が活躍しそうだな」
雄羊の化身には自動蘇生がある。だから死んだところで大丈夫ではあるが、神殺しが腹上死する快楽とか人格に多大な影響を与えること間違いなしだ。
僕はう~と自分の頭を抱えてしまう。なんだよこの体質!? 好きな人とセッ! したら殺すかもしれないとかどうなってんだ!!? 僕の体には不思議しかないなぁ!!!
何かないか……打開する方法。タントラが扱えることを知った今なら、護堂の体をキリスト教系列の不姦通の『奇跡』で保護すれば……駄目だ。この方法でやったとしても、二重権能の制圧力ならぬ性圧力は桁が違うはず。
せめて精力に関する権能とかが護堂にあれば、あるいは──
「美殊を抱くのが危険だと俺は思っていたのか……でも不思議だな」
「何が?」
「俺の本能は、今は危険だと思ったんだろ? でも不可能だとは、何となく感じなかった。牙さえあればなんとかなるんだと──」
「……牙……鋼すら貫く牙……」
────────あ! 確かにそれなら!!
「そうか牙だよ!! それさえあれば何とかなると、護堂の本能は読んだんだ!!」
「……どういうことだ?」
「護堂は僕を辱めて、犯したかったでしょ? あれは神殺しの本能が、僕と言う神をどうすれば攻略できるのか嗅ぎ分けたんだ。護堂が僕を蹂躙して、僕の中の『鋼』を屈服させればいいんだって」
「……詳しく説明してくれないか?」
「もちろん! 僕のヨーニが持つ特性は、シヴァのリンガが持つのと同じだって言っただろ? 地母神を屈服させて、喘がせる力──鋼が持つ他の神をまつろわさせる、神殺しとしての力が備わったものだ。それがゆえに、本来であれば迎え入れるであろう他の『鋼』を、逆に屈服させてしまう可能性がある。それを防ぐためには、護堂が僕を分からせたらいいんだ。お前は雌だって……僕は護堂に分からされるだけの、地母神だと思い知らせる。それが攻略法なんだ!!」
「……つまり?」
「護堂は
うんうんと僕は頷く。突拍子もない発想に聞こえるかもしれないが、『鋼』は『鋼』に倒されてきた歴史がある。リグ・ヴェーダで讃えられたインドラは、ヒンドゥー教の時代になればトリムールティにその地位を奪われた。
大国主と呼ばれた強き『鋼』は、同じ『鋼』である武御雷の手により国を譲り渡した。
すなわち『鋼』とは『鋼』で征服できる。護堂がするべきはたった一つだけ。
「僕と言う『鋼』を、その『鋼』で倒す。それが護堂が得た結論なんだ!」
「……………………で?」
「で?」
「美殊の言い分としては、要するに……俺にそう言った方面で、上手になれ……てことだよな?」
「そうなるね」
「それは……普通にハードルが高いんだが……そもそも牙を育てるとは言うが、どう育てるんだよ……」
「一番確実なのは、慣れていくしかない……かなぁ? 僕の手とかでも快楽が産まれるのであれば、そこから徐々に護堂の『鋼』を鍛えて、同時に小技や『鋼』を使う技術を高めていく。要するに本番はせずとも、僕でいっぱい練習するしかないね」
「……美殊を本気で征服したい。その欲を抑えながら、ただ練習だけをして鍛える……のか?」
護堂の声が震えている。気持ちは分かるよ……今まで我慢する羽目になったと言う僕の所業、それらはしょせん
これから行うのは、恋人とかそんな関係の間でしか許されないような本気のイチャイチャ。それらを本番を我慢しながら、ひたすら自らの牙を研ぎ澄ませることに集中しないといけない。
それはどれだけの苦行なのか。下手をしたら護堂は悟りにすら到達するかもしれない。
「……一つ……いいか?」
「なぁに?」
「美殊は……俺とそういうことがしたい……のか?」
「まぁ……だいぶ? リンガが神格に含まれてると判明した今なら当然のことだけれど、僕の性欲とかは……たぶんかなり強い」
「それは少し……納得するところもあるな。お前の誘惑、無意識なのか意識的なのかは知らないが、かなり……だったし」
「ドスケベサキュバス?」
「そこまで言ってない!! ……はぁ……どうして俺は、こうも面倒な女の子のことを好きになってしまったんだろうな……」
「大変だね、護堂は」
「自分で言うな、自分で……分かった。やってやるよ……散々、今まで……我慢させられたんだ。美殊の口から、もう無理とか言わせてやるぐらいにはなってやるよ」
「それは楽しみだねぇ。ならさっそく、ちょっとやってみようか」
「え?」
僕は護堂の腕を取り、自分の腕を握らせる。そのまま両手を万歳させてから、護堂の左手だけで僕の両手首を捕まえさせた。
「どうしようか、護堂……こんなことをされたら、僕は抵抗できなくなっちゃうよ?」
僕は両手を握られていて、逆に護堂は右手が空いている状態になった。手を上にしたことで、僕の体は少し逆海老ぞりになる。そうなれば必然、胸が少し突き出された形になってしまった。
そのまま後ろに倒れれば、畳と護堂の手で僕の手は完全に抑えられ逃れられなくなってしまう。
動かそうと思えば実際には動かせるが、視覚情報としては護堂に抑えられてマウントも取られた女の子だ。ごくりと護堂の喉が動いた。
「……護堂だけ右手が空いちゃってるね……もしも今何かされたら、僕は何もできないけれど……どうする?」
そう言いながら、腰を揺すって護堂の雄を刺激させる。タントラが宿っていると理解した今なら、オフには出来ないが呪力を回して強化は可能。僕のタントラの概念がヨーニにあるのなら、下腹部で距離が近い護堂の『鋼』には、今までとは段違いの呪力を注いで強化した刺激は強烈だったのだろう。
護堂の体がブルブルと震えて、歯がガチガチとなるぐらいには感じていた。
「い……そっちが……その気なら……こっちもやって……やるよ……」
「へぇ? 今ので息が絶え絶えになっているのに、そんなに強がっちゃって……」
そこからちょっとだけ護堂と遊ぶ。ただし僕の方が圧倒的に優勢。相手に強制快楽を与える権能を体質として持ち合わせる僕と、神殺しとは言え人間の脆弱さが残る護堂。
どちらの方が上かなど言うまでもない……でもいつか、護堂は僕を屈服させてくれるのだろうか。
神と神殺しは、神の方が普通に強い。けれども、そんな当たり前を当然のように飛び越すのが神殺しだ。当然を覆し、不条理を体現するのが彼らの特徴。
ならば、きっといつか彼は僕を神殺しする。その日が来るのが楽しみで楽しみで仕方な──
「聞いたよ王様! 剣の王様が師匠を狙っていて──」
「護堂さん! 美殊様!! アテナ様がこの国に上陸する──」
「あら?」
「やべっ!!!」
僕と護堂がいる部屋の扉が開かれて、見知った女の子二人が顔を覗かせる。
二人は僕らを見て顔を凍り付かせていた。改めて僕と護堂がどうなっているのか客観視してみよう。
護堂は僕の上に跨り、僕を屈服させようと頑張っている。
僕は護堂の好きにさせていたので、白シャツが上に捲れ上がりブラも少しズレている。端的に言えば、片乳が外気に晒された状態だ。
さてさて、これを第三者視点からみればどう見えるのか。僕と護堂は真剣に訓練しているだけだが、外からみたら乳繰り合っているようにしか見えないかもしれない。
だってみなよ。
「御二人とも、そこに正座してください」
「はい」
「ち、違うんだよ万里谷。これには深いわけが──」
「申し開きはあとでお聞きします。まずは正座してください」
「……はい……」
護堂が僕の上から退き、僕は僕でブラを直してシャツも戻す。
……この説教、どれぐらい長くなるんだろうねぇ……
事情を聞いて神と神殺しの性戦に巻き込まれることが確定したのを察した巫女の一言
「……性の女神様である師匠をまつろわすほどに鍛え上げられた王様の『鋼』を恵那にも?…………え?」