前世凡人 今凡神   作:カンピオーネ二次復権派

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タントラ=少年化身 ~巫女を添えて~

「──以上の理由から、先ほどの行為は全て必要なことなんだよ。不健全さなんて欠片もない、神殺しが神を倒すための準備。僕らは何も遊びで胸を触ったり、リンガを捏ね繰り回していたんじゃないんだよ」

「……言わんとすることは理解しました。しかしながら申し上げます。今は護堂さんと同格であるサルバトーレ様が来日しており、ギリシャ神話に名高きアテナ様がサルバトーレ様の神具を奪還せんと日本を目指しているところ。そのような火急を要する事態に、お、御身と……らせつ、羅刹の君が……跨って、む、胸を曝け出して触らせるなど、あまりにも……あまりにも不健全です!!」

「え~そうかな。恵那はそう思わないよ?」

「恵那さん!?」

 

 どうしてイチャイチャしていたのかを説明したのだが、祐理さんはそれでもご立腹だった。確かに彼女の言う通り、神殺しを目指してまつろわぬ神がまっすぐに日本を目指しているところだ。

 そんな時に疑似セッ! をしていたら、真面目な祐理さんとしては御冠にもなるだろう。しかしその怒りに違うよと、恵那さんが待ったをかけた。

 

「王様と師匠が両想いだなんて、見てたら祐理にだって分かるでしょ? でも師匠ってほら、結構面倒くさい性格しているから、今までは王様の権能だからとか言って逃げてた。それをようやく撤回して王様の求愛を受け入れたんだから、雄と雌が盛り上がるのは仕方ないんじゃない?」

「だ、だとしても! ここはお寺です!! そのような欲望をむき出しにする場所ではありません!! それに護堂さんはまだ学生です!! これから高校生になろうと言う年齢で、不純異性交遊だなんて──」

「それは問題ないよ、祐理さん。不純異性交遊の対象となるのは、人間同士の場合だけ。僕はほら、種族としては神様だから、超自然的存在扱いで法には引っかからないんだ。それに人間同士だとしても、婚姻を前提としているような真摯な交際関係にある者同士の性行為は、処罰対象から省かれる……つまり僕と護堂には問題ないんだよ!」

「あ、それなら、恵那も王様から胤を頂いても、問題ないの?」

「ないよー。恵那さんのヨーニが、護堂のリンガに貫かれたとしても、ちゃんと籍を入れたりする関係になるなら問題なし!」

「籍を……師匠はそれでいいの? 恵那が籍を入れたら、日本の法律だと重婚できないよ? 恵那は別に側室さんでも、お妾さんでも問題ないけれど……」

 

 ん? 恵那さんの言葉が急に詰まったな。なぜだろうか……あ、もしかしてあれかな。この間、僕が激おこになった案件。

 整理してみよう。恵那さんは以前から護堂に輿入れするんだと宣言していた。しかしつい先日、僕は護堂のお嫁さん候補のことで委員会に苦情を入れている。

 清秋院の家に対して委員会は何も言ってはいないだろうが、それでも大地母神ブチ切れは伝わっているだろう。それなのに側室がどうとか肝心の地母神に問うなど、通常なら命がけの行為だ……不安なのだろう。

 

「側室かどうかとか、正室とか、それを決めるのは護堂だよ。僕が関与できることじゃない。それに僕の国籍は、しょせん偽物だからね。ちょっと悔しいけれど……護堂の法律上の妻の座は、ちゃんと人間として生まれた恵那さんに譲るよ。その代わり護堂の隣に居座る権利は、簡単に譲らないけどね」

「……師匠はそれでいいの?」

「もちろん! 恵那さんが護堂のために、すごく頑張ってくれたのは知ってるもの。それなのに蔑ろにしたら、護堂の名が廃れちゃうし、僕が信徒のために何もしない駄目な神様に成っちゃうから!!」

「師匠!」

「恵那さん!」

 

 恵那さんと手を取って、これから一緒に護堂を支えようね~と誓い合う。旨い汁だけ吸わせてくださいなんて舐めた輩には神罰だが、神獣らを相手に必死で斬りあう子に冷たくする気なんてない。

 キャッキャと手を取り合う僕らとは反対に──

 

「……え? 待ってくれよ! 俺は二股なんてする気はないぞ!?」

「二股じゃないよ王様。王様は王様なんだから、お嫁さんは何人娶ってもいいんだから」

「何人も、は……流石に僕が許せないかなぁ。それをすると僕が護堂と遊ぶ時間が無くなるし、護堂のプライベートな時間もないないになるもの」

「師匠でも、一応は王様のプライベートとか気にしてたんだね……」

「僕をなんだと思ってるのさ。それにもう一つ問題があるんだよね」

「……私には、今の美殊様と恵那さんの会話。もっと問題があるように思えましたが……」

「だからどうして、俺が浮気する前提なんだ! 俺は爺ちゃんと違って、そんなことは──」

「王様……恵那のことは駄目?」

「い、いや、そうじゃなくてだな……その問題ってなんなんだ、美殊」

「あ、恵那さんの上目遣いから逃げた……問題と言うのはね。これから鍛えまくる護堂の『鋼』。それが完成した時、恵那さんぐらい根性とか据わってる子じゃないと、護堂との性交渉に耐えられるとは思わないから。下手に護堂に侍ります……なんて子が来たとしても、よっぽどの子じゃないと僕をまつろわすほどに鍛えられた草薙カリバー、受け入れるなんて無理だよ~」

「……え?」

 

 三人の誰がその声を漏らしたのか知らないけれど、説教していた祐理さんも、護堂のお嫁さんになるんだと喜んでいた恵那さんも、肝心の護堂も目を丸くしている。なにさ、その反応は。

 

「……ねえ王様?」

「……なんだ、清秋院」

「……師匠のタントラ……だっけ。それって、どのぐらい凄いの?」

「……やばい。正直なところ、俺は……美殊が初めての相手だから、比較対象もないけれど、それでもやばいとしか言えない」

「あ、恵那さん気になる?あれなら、少しだけ体験してみようか……護堂がいずれ至り、そして通過点にしないといけない領域がどの程度なのかを」

「美殊様!! な、何を言っておられるのですか!? 護堂さんならまだしも、恵那さんまで御身の毒牙になんて──」

 

 祐理さんは一転顔を真っ赤にして、ごにょごにょと言い出す。どうやら、僕が恵那さんにちょっと悪戯する姿を想像でもしたのだろうか。祐理さん、前から思ってたけどひょっとしてむっつり?

 僕が祐理さんは可愛いねぇ……と頭を撫で、そんな風に万里谷を虐めるなよと護堂から頭をポコポコ叩かれている間に、恵那さんはグッと拳を握って何やら決心していた。

 

「……やるよ。通過点にする場所なら、それを超えた性技を王様は身に着けるんでしょ。なら今の内から、どのぐらいやばいやつなのかを、恵那も体で覚えておかないと」

 

 覚悟を決めた彼女に向かって恵那さん! と祐理さんは怒っているが、これは護堂のお嫁さんになるのであれば必須事項だ。僕が通過点になる以上は、護堂の対女性技量は人の域を超え、神の領域すら超えないといけない。

 それを直観で捉えているからこそ、恵那さんはふんすと意気込んでいた。

 

「よし! なら護堂と祐理さんの前では流石にあれだから、向こうの部屋でやろうか。じゃ、少し行ってくるね~」

「おい! ちょっとま──」

 

 護堂は何か言いかけていたが、僕は神速で恵那さんを担いで少し離れた部屋に移動。

 

「師匠! お願いします!!」

「よし来た!!」

 

 5分ほど経過したら、恵那さんを連れて部屋に戻ろうと考えていたのだが──

 

「か……かひゅ……か……ひぐぅ!! あ…………ぁ」

 

 大変だぁ!! 恵那さんが……恵那さんがぁ!!!?

 三十秒。三十秒の間、恵那さん相手にタントラを意識して発動し、ちょっと軽い悪戯をしただけ。その僅かな時間で恵那さんは半分白目を剝き、余韻だけで腰をガクガク震わせる小鹿になってしまった。

 始まった当初はなんだ~これぐらい……みたいな言動と表情をしていた。それが5秒を超えた瞬間に一瞬で消え去り、10秒で首から上が真っ赤っかに。辛いものを食べた時みたいな反応だと、僕は少し呑気だった。

 それでもなんとか恵那さんは息が荒いながらも堪えようとしていたので、僕はそんな彼女の後ろから護堂にするような首筋のキスや耳への甘噛みを。

 ついでに服の上からちょっとだけ軽く下腹部をトンと叩いて女性にしかない臓器を少し揺らし、もう片方の手で胸の先端をピンと弾く。それで恵那さんの理性は崩壊し、濁流に壊される防波堤のように一気に快楽に流された。

 

「し……し、しょ……たすけ……あ、ぁ……これ……むり……ひゃぅ!?」

「ぼ、僕はもう何もしていないのに、体に残るタントラの僅かな神気だけで恵那さんが……な、治さないと……」

 

 治癒の権能を使い、体からタントラを流し切る。これで多少はマシになったようだが、恵那さんはぜーぜーと息を吐いて体をピクピクと痙攣させていた。

 や、やばいよこれ……権能の二重掛けである以上効果は恐ろしいだろうとは予想していたけれど、護堂が大したことなかっ──違う!! まさか神殺しの理性で無理やり耐えていたから、大したことがないように見えていただけなのか!!?

 

「護堂……なんて凄い理性なんだ……」

 

 なんて言ってる場合じゃない。とにかく恵那さんの体が少しでも戻るように、地母神の生命活性で神経を治して……とりあえず立てるぐらいにまでは回復したので、恵那さんと一緒に護堂達のところに戻る。

 

「恵那さん!! どうされたんですか!! そんなに脚を震わせて……」

「気に……しないで。ちょっと……ちょっとだけ、師匠の……タントラが……予想……ぁ……すごくて……」

「……美殊? ちょっとこっちに来なさい」

「……はい」

 

 護堂の元に行けば、いつも通りアイアンクローで持ち上げられる。雄牛の力は使っていないが、微妙に体が発光しているので弓にはなっているようだ。

 おかげで頭がいたいぃいいいい!!!

 

「どうみても清秋院の奴が普通じゃないだろ! 一体どこまで無茶苦茶したんだ、お前は!?」

「三十秒しかしてないよぉ! それだけで、恵那さんのHPを削り切ってしまったんだよぉ!!!」

「そんなことあるわけないだろ! 俺が、なんとかではあるが耐えられるんだから」

「お、うさま。凄い……ね。ししゅおーの……あれに……たえるん……だから……」

「……なんだと。まさか本当に、僅かな時間美殊の神力に晒されただけで……清秋院はそうなっちまったのか!?」

「み……たい。そっぁ……王様に……侍る、なら。これより、もっとすごいのが、くるんた……恵那壊れちゃいそう……」

 

 顔を紅潮させ、よく見たら恵那さんの口の端から涎が垂れ落ちてる。神経は治し切った筈なのに、それでも体に影響が残るほどの性的快楽……これ、護堂以外に試せないぞ。

 ふと正面を見たら、護堂と祐理さんが僕の顔をじっと見ていた……ごめんなさい。部屋の隅で反省してます……

 

 すごすごと部屋の隅に退散した僕を見送った後、三人はどうしようか……と話し合っていた。

 

「これからドニとアテナへの対策を話したかったんだが、まさか美殊に清秋院が駄目にされるとは」

「現地でまつろわぬ神や、護堂さん達羅刹の君の戦いに割って入れる戦闘要員となると恵那さんぐらいしかこの国にはいませんし……」

「戦力だけなら、僕と護堂だけで足り──はい。反省してます」

 

 僕が声を上げようとしたら、護堂にちょっと黙っていなさいと目で訴えられた。はい……石になっておきます。

 

「美殊が言うように戦力は足りてはいる……んだが、清秋院はどうしたいんだ? 別にここで、俺たちの帰りを待っていても良いんだぞ?」

「そ、んなの……いやだよ。どうし、て、わざわざここに来たと思ってるの? 王様、が……戦いに、行くのに……待っているなんて……恵那は嫌だよ」

「……分かったよ。でもなぁ……そんな状態の清秋院を、神様や馬鹿のいる場所に連れて行くわけには……嘘だろ」

「どうされましたか?」

 

 急に嘘だろと呟いた護堂に対して、祐理さんが怪訝な反応をする。僕もどうしたんだろうと、護堂の顔を部屋の隅から観察する。表情を読む限りでは、そんな馬鹿なみたいな顔だ。

 

「……美殊」

「なーに?」

「ウルスラグナの権能。たしか少年だけ良く分からなかったよな」

「だね……もしかして、急に使えるようになったの?」

「あ、ああ。今の清秋院相手であれば、どうも使える……みたいなんだ」

「発動条件は何だったの?」

「……俺のことを英雄や王様のように想い心から慕っているか、俺のために傷ついた誰かがいて……一定以上のダメージや障害を心身に負っている時……みたいだ」

「僕のタントラ、権能の条件になるほどやばいやつなの!? そんでもって、その条件で使えるようになると言う事は、その傷ついた人を治す力を与える……みたいな内容?」

「それであってる……んだが……」

「どうしたのさ? この状況で使えるようになったのであれば、それで恵那さんを治せるんじゃないの?」

「そうなんだが……嘘だろ。なんでそんな条件でしか使えないんだよ……」

 

 何やら護堂が煮え切らない様子だ。まだ何か条件があるのだろうか。気になったので神速で近づき、手前でオフ。護堂がうわぁ! という前に、唇を奪って少年の加護を速攻で解析する。

 ふんふん……おー、なるほど。加護を与える権能なのか。でも加護を与える条件が二つあり、一つは傷を負っていれば、その傷口に護堂の血を接触させる。もう一つが──

 

「口移しかぁ」

「ど……いうこと?」

「護堂が新たに得た権能。その一つに、自らのために戦う従者に強力な加護を与える力があるんだよ。それを与える為の方法が、口移しで恵那さんの体内に直接インストール」

「こら! この馬鹿美殊!! 黙っていようと思ったのに、全部ばらすやつがあるか!?」

「ごめんね、護堂。他の人達ならまだしも、護堂のために戦いたい……て子を、見捨てるのは忍びなくてさ。でもその力があれば、恵那さんの体調不良を一気に治せるし、戦うための力も与えられる……あとは護堂がどうするかだけの問題だよ」

「う……それはそう……待てよ! 清秋院がこうなったのは、お前のしょうもない悪戯が原因だろうが!?」

「それを言われると辛いんだよね……辛いから、お詫びとして恵那さんを助けてあげてくれない?」

「………………やるさ。戦いに連れて行くかはともかく、俺の権能のせいで清秋院がそうなったんだからな。なら俺がどうにかするのが筋か」

「ふふっ」

「なんだよ」

「やっぱり護堂はこういう時、女の子を見捨てないなと思って。僕は護堂のそう言うところが──」

 

 護堂の耳元でこう囁いた。

 

「──好きなんだよ。愛しい我が背の君」

 

 それだけ伝えてから、僕は祐理さんの手を取る。

 

「え? え? あの……」

「少し離れようか、祐理さん。初めて口づけするところを、恵那さんも護堂も見られたくはないだろうし」

 

 祐理さんは戸惑っていたが、僕は神速を発動して彼女を連れ去る。20分ほど全くもう……とちょっと拗ねる祐理さんを宥めてから部屋に戻ったら──

 

「あ………………お、おかえり……師匠、祐理……」

 

 体調がすっかり元に戻った筈なのに、顔が真っ赤なままの恵那さんが護堂の膝上に座っていた。




美殊「恋のキューピッド役は任せな。エロースやカーマデーヴァとは僕のことだぜ」
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