前世凡人 今凡神   作:カンピオーネ二次復権派

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熊野美殊の準備教室

「まず前提の話。今回の一件を纏めようか。イタリアの海岸に神具『ゴルゴネイオン』が打ち上げられた。ゴルゴネイオンは、力を剥奪された地母神に旧き時代の力を取り戻させる。アテナさんが手にしたら、彼女は原始回帰する」

「それを止めるためには、ドニとやらから神具を取り上げないといけない」

「でもサルバトーレの王様は、アテナと戦いたい。あわよくば王様や、師匠とも。だから師匠はあまり会いたくなくて、あえて京都をうろうろしてるイタリアの王様を放置してるんだよね?」

「そうだよ。本当は今すぐにでも国外に放りだしてやりたいけれど、それをするには気絶するぐらいボコボコにしないといけない。でも残念なことに、相手は神殺し。殺す難易度もさることながら、気絶させる難易度も大概ハードルが高い。せめて山奥にでも行ってくれれば、宇宙兵器か──」

 

 僕は自分の胸を叩く。僕の中に眠っている、最後の王としての武装()を指さす。

 

「これを使う」

「これ? 師匠には、まだ宇宙兵器以外にも武器があるんだ」

「あるよ。とびっきり凶悪なやつが……サルバトーレさんは神殺しだから、使う相手としては不足なしだよ。それと恵那さん。恵那さんは護堂から加護を授かったんだよね?」

「うん……その……貰っちゃった……」

 

 つんつんと指と指を合わせながら、恵那さんは恥ずかしそうに顔を俯かせていた。ううむ、この顔写真に撮りたいな。しかしそんなことをしたら、お前はまた! と護堂に怒られるかもしれない。

 仕方ない、僕の心のフィルムだけにこの顔は転写しておこう。

 

「どんなことをしたのかは、詳しくは問わないよ。ともかく恵那さんは護堂から加護を得た事で、手札としてはかなり強くなった。神獣よりも上。神がかりと合わされば、従属神や半神の領域に手が届く筈だ」

「それは光栄だけれど、でも師匠や王様達には届かない……よね」

「うん。それは無理。どうあがいても恵那さんは人間で、神の力も古老や護堂からの借り物。むしろ半神級に成れるだけでも御の字だ……なんてのは、常識だけに生きる人の発想。恵那さん、手を貸して。僕からも加護を渡しておくから」

「う、うん。分かったよ」

 

 恵那さんが手を出してくれたので、僕はそこを通じてとある武器を渡しておく。自分が何を貰ったのか理解して、恵那さんは目をまん丸にして驚いてくれた。

 

「これ……伊豆諸島騒動の時の!?」

「護堂から天叢雲を借り受けられるだろうけども、それだけだと不十分。それを通じて、僕の加護や神力を渡す。古老の神力と僕の神力。二重神がかりを可能とする鍵だから、持っておいて」

「それは分かったけれど、これ……お爺ちゃまや師匠の力。それに王様の力を借りたとしても、恵那に振れるのかな?」

「いけるよ。普通なら絶対に呪力が足らないけど、今回の相手は()()()がいるから」

 

 恵那さんは首を傾げているが、サルバトーレさんが神殺しなのは僕にとって良くも悪くもある。

 次は──

 

「護堂にはこれを」

「指輪か。何に使えるやつなんだ?」

「それは山羊の化身用に作った魔術具だよ。それがあれば、いつでも山羊を使えるから。それとこれも」

 

 僕が渡したものを見て、護堂がうげぇ! と反応してくれた。

 

「手榴弾とか手渡しするものじゃないだろ!」

「安心して! それ、中身は火薬とかじゃないから」

「そう……なのか? だとしたら、これは何が入っているんだよ」

「それはサルバトーレさんみたいな、鋼の体を持つ相手を殺すための武器だよ。どう言う効果があるかと言うとね──」

 

 僕の説明を聞いた護堂と恵那さんは、うんうんと頷き……護堂は──

 

「お前、なんてものを作ってるんだよ」

 

 ──と呆れた顔をしてくれた。

 

「鋼の弱点を突くには、これを作るのが一番良かったんだよ。あ、効能は期待して良いよ。僕の鋼体に効果を及ぼすぐらいには、強力に仕上げた兵器だから」

「宇宙兵器以外にも、師匠て色々と作ってるけれど……その気になったら、一人で世界中の大陸を滅ぼせそうだよね!」

「なんで清秋院は、若干嬉しそうなんだよ。あ、そうだ。先に聞いておくが、今回は宇宙兵器の何を使うつもりなんだ?」

「アテナさんが闇の神格だからそれに対抗するためなのと、念のためにサルバトーレさんを焼き殺すためにご用意した太陽兵器が幾つか……ええと……これとか」

 

 僕はエアウィンドウを開いて、護堂らに用意した兵器群を見せておく。大量の弾薬に爆弾、それと用意した中では一番の大目玉を見せる。

 

恒星の群れ(ニュークリアクラスター)。クラスター弾の中にある小型爆弾を、全部核融合反応弾に置き換えた超兵器だよ」

「……それ、使うとどうなるんだ?」

「ええとね、まず戦艦に搭載されたミサイルポッドから、マッハ20の速度でクラスターミサイルが発射されるの。これが敵の上空にまで来ると、大量の小型爆弾を散布。爆弾は全部推進剤付きで、ミサイルのマッハ20の慣性を乗せたままブースターの加速と併せてマッハ50にまで到達。それが敵の逃げ道を無くすようにばら撒かれて……ドカン! 神様や神殺しであろうとも、呑み込まれたら一巻の終わりだよ」

「ねえ師匠。その小型爆弾、どれぐらいの威力で、どれぐらいの数を散布するの?」

「今回用意した弾頭だと、最大は666個。一個当たりの火力は、長崎型原爆のエネルギー量の……ざっと7倍ぐらいだね」

「つまり……長崎型原爆は名前がファットマンだったけ? あれを666個降らす兵器? ……それ地上で使っても大丈夫なやつなの?」

「そこは問題ないよ。破壊計算だけはしっかりした上で使うか──護堂? 脇腹をつねらないで?」

「あのなぁ……なんでお前の造る兵器は、神の杖とかもそうだが、地上をやたらと破壊するようなやつしかないんだ!?」

「そりゃぁ……ねぇ? 僕みたいな神や、護堂みたいな神殺しを真正面から叩き潰すことをコンセプトにしてるから。核弾頭を雨のように降らす兵器ぐらいご用意しないと、僕らを殺し切れないよ」

 

 僕が『獣と弾倉』の作成に利用したのは、数千年、数万年先の黒科學(ブラックテクノロジー)。人類が地球圏を脱し、遥かなるフロンティアを目指す時代の産物だ。

 恒星間を移動するために開発された電磁パルス加速式プラズマブースターだの、核融合発電とMHD発電を組み合わせた動力炉など、2000年代初頭ではSF小説しか出てこないような技術が未来では実用化されている。

 戦闘用の兵器にしても、宇宙に漂う直径10キロはある小惑星や隕石を破壊したりするために開発された物ばかり。宇宙空間と言う、地球よりも遥かに広大かつ巨大なフィールドで使用することを前提としている。

 それら未来の技術を組み込み、僕の神力や魔術と組ませたのが宇宙兵器達だ。そもそもが地球上で使う事が想定されていない。

 

「ふぅん? ……あれ? でも王様はまだしも、神様は兵器で傷つかない性質があるよね。それなのに、どうして師匠の造った爆弾や銃弾が通じるの?」

「それは神の防御が概念防御だからだよ。人が作成した武器は通用しない……この概念に守られているからこそ、人間が神を殺すのが難しい。魔術にしても対神用の術以外はこの概念により防御される。でもこの概念、あくまでも適用されるのは『人』が造った武器に対してのみ。僕みたいな神の手によるものならば、この概念防御を突破できるんだ」

 

 感覚としてはインドラのヴリトラ退治みたいな話だ。ヴリトラは──

 

 木、岩、武器、乾いた物、湿った物、ヴァジュラのいずれによっても傷つかず、インドラは昼も夜も自分を殺すことができない。また昼にも夜にも、私がインドラや神々に殺されない

 

 ──と言う法則を手に入れたが、インドラのトンチで夕方に泡を投げつけられたヴリトラは死亡した。

 僕も同じ。人の手による兵器が通じないのであれば、人じゃない僕が造った兵器なら通用する。概念防御による不死身とは、得てして破られるためにあるのだ。

 その他ご用意した武装を御見せしていたら、ふと気づいたことがある。先ほどから護堂や恵那さんは反応してくれているが、祐理さんがすごく静かだ。

 なぜだろうと思い恵那さんから祐理さんの方に顔を向けたら、彼女は真剣に聞いてくれているが、同時に僕ら三人に冷ややかな視線を送っていた。

 

「どうしたの祐理さん? すごく絶対零度な目つきだけど」

「どうしてだと思いますか、美殊様?」

「うーん……分からないなぁ……」

「分かりませんか。では今一度、御身らがどのような状態なのか振り返ってみてください」

 

 祐理さんの言葉に従い、僕らが何をしているのか見てみよう。

 まず僕。僕は護堂の左隣に座り、彼の手を腰に回して貰ってからしなだれかかっている。

 次に恵那さん。恵那さんは護堂の右隣で、僕と同じような形で護堂の右手に抱きしめられている。

 そして護堂。あぐらをかきながら、両手を使って僕と恵那さんをがっちりホールドしている。

 

 ……はて? 何かおかしなところがあっただろうか?

 

「どうしてそこで首を傾げられるのですか!? 真面目なお話をされる時に、そ、そのような体勢を取られて……」

「両手に花だね!」

「両手に花だね……ではありません! どうして美殊様は、真面目な態度が続かないのですか……」

「ま、まあそう言わないでくれよ。美殊のやつは、これが真面目よりな態度で──」

「護堂さんは甘すぎます! 美殊様が──よし! 今日という日に、僕と恵那さんは正式に護堂のお嫁さんになったわけだし、せっかくだから両手に美少女をやってみよう!! ──なんて言い出して、それを実践されるだなんて」

「そう怒らない怒らない。僕がこういう性格なのは、祐理さんも良く知っているでしょ」

「………………」

「王様と正式に結ばれて落ち着くかと思えば、ぶれないなぁ師匠は。祐理の眼が一層怖くなると分かった上で、その態度をお出ししていくんだから」

 

 そう言われても、僕と言う人格ならぬ神格はこんなんだ。これが僕であり、僕とはこれである。アイデンティティの強さが神の強さなのだから、護堂と付き合おうが付き合わなかろうがこれが変わることはない。

 そこからもいくつかの打ち合わせをしておく。

 

「リベラさんから連絡は?」

「まだない。王の執事はサルバトーレさんが本当ならしないといけないことを一身に引き受けているから、けっこう多忙なんだ。エリカさんが捕まえてくれるのを待つしかないよ」

「そうか。なあ、万里谷。こっちに来る前に馨さんは何か言ってたか?」

「特になにもありません。アテナ様やサルバトーレ様との対決は、電話口で護堂さんに御話されたように、全てお任せするとのことです……申し訳ありません、護堂さん。正史編纂委員会も、媛巫女も、大半が御身の御役に立てずに……」

「別にいいよ。悪いのは神様が狙ってる神具を持って、日本に来たドニのやつだ。万里谷が謝るようなことじゃないだろ。それに少しでも助けになればと、清秋院と一緒に来てくれたんだろ? それだけでも、俺は嬉しいよ」

「そ、そんな……護堂さんの感謝を頂けるほど、私は優れた者ではありませんから……」

「それは卑下し過ぎだよ、祐理さん。少なくとも、祐理さん以上の霊術師は世界を見渡しても、プリンセス・アリスぐらいだ。それも現時点ではと言う注釈付き。あと5年も修行を積んだら、祐理さんは世界最高峰の術者……そこから更に十年ぐらい研鑽したら、神祖の領域に近づけるよ」

 

 僕がそう言うと、恐縮ですと祐理さんは恥ずかしそうに顔を俯かせた。褒められるのが照れくさいようだ。

 

「とは言え、今回はお留守番かな? 流石に僕らの戦いに参加できるほどではないし……それか祐理さんも、護堂の少年を授かってみる?」

「え? ………………!!! む、無理です!! か、加護を頂くと言う事は、そ、その…………護堂さんと口づけなんて……畏れ多くて……」

「美殊? 万里谷を虐めるなよ。前々から俺のお嫁さんになると宣言してた清秋院ならまだしも、万里谷にそんなことをさせるなんて普通に考えたら駄目だろ」

「そう? ま、僕が無理強いすることじゃないしね。そこは祐理さんの心次第かなぁ~」

「それどういう意味だよ?」

「ん~……僕と似てるねぇって意味」

 

 全員僕を見て、また何か訳が分からんことを言い始めたみたいな態度をする。ひ、酷い……なんて冷たい視線なんだ……

 という冗句は心の中にしまっておいて、祐理さんについて。どうも彼女、心の奥底では護堂に気があるように僕には思えるのだ。

 なにせ祐理さんが下の名前で呼ぶような男性と言えば、護堂ぐらいしかいない……なんだったら、祐理さんの交友関係だと男性は護堂ぐらいしかいない。

 

 そんな環境の中で、もっと小さい頃の自分に恐怖を覚えさせた恐怖の大魔王『神殺し』。それと同類が日本に現れた。僕らと祐理さんが初めて出会ったのは、本当に護堂が神殺しなのかを確かめる場だ。

 そこで当初は護堂に対して内心では怯えていたのが祐理さんだが、護堂は表面上は普通の性格だ。護堂と話したりする内に気を許し、また中学校で妹さんの草薙静花さんが祐理さんと同じ茶道部に所属した。その関係もあり、静花さんの先輩として草薙家に祐理さんは何度かお邪魔している。

 

 そんなことをしている内に、なんとなく護堂に惹かれたのでは? と僕は睨んでいる。あれだ。不良が子犬を拾う現象。ゲインロス効果やヤンキー効果と呼ばれるやつ。

 祐理さんの中では、神殺しなんて酷いやつだ……と言う印象があったが、日本国の神殺しとしてお出しされたのが護堂。これで護堂が横暴なやつであれば話はまた違っただろうが、その辺については護堂は大丈夫だ。いざという時の爆発力はちょっと高いが、偉ぶりたいとかそんなのは無い。根っこの方には、神殺しらしい運命如きが俺の邪魔をするなの精神が見え隠れしているが、それ以外は割と真面目な少年だ。

 傲慢な態度を見せる事もなく、伊豆諸島や八丈島の時には率先して立ち上がり、民衆らを保護しようとした護堂。たぶんだが、祐理さんにはある種のヒーローにでも見えたんじゃないだろうか。

 

 それらを統合した結果、祐理さん護堂のこと好きなのでは問題が僕の中にある。とは言え、祐理さんは生真面目なタイプだ。恵那さんや甘粕さんが指摘したように、護堂の本命はどう見ても僕だったらしい。そんな状態で恋心とやらを御見せするような性格ではないので、当人も意識してないのでは? と僕は睨んでいる。

 ようするにあれだ。ツンデレの亜種……僕もそうだったが、大地母神に属する女の子は全員ツンデレなのか? 祐理さんなんて神祖の領域に到達可能な先祖返りだし。

 

「うーん……」

「師匠がなんかすごく悩んでるね」

「どうせいつもの如く、聞いたらお前と言う奴は……と言いたくなる類の悩みだと思うぞ」

「え~、そんなことないよ。僕はいつでも、真剣な悩みに生きてるんだぜ?」

「なら何に悩んでたんだよ?」

「僕ってツンデレとヤンデレ、どっちの方が属性として近いと思う?」

「すまん、なんて?」

「だからツンツンして素直じゃないのか、それとも嫉妬してヤンヤンしてるのか。僕の属性はどちらの方が近いんだろうかと思ってさ」

「またくだらなさそうな質問を……」

「師匠の性格だと、どっちもじゃない? 素直じゃないし、なんとなくの印象になるけれど、王様が師匠よりも他の女の子を優先するようになったら、びっくりするぐらい嫉妬しそうだから」

「僕、恵那さんからそんな性格に見えてい──動いた」

 

 僕がそう言うと、何が動いたのかを察した全員の空気がピりつく。何が動いたのかなんて言うまでもない。結界でずっと捕捉していたサルバトーレだ。

 

「どっちに向かった?」

「京都からもっと北の方。これは……山陰本線だ。電車で移動しているね」

「どこに向かってるんだろ?」

「ちょっと待ってね。ええと、地図で見たら亀岡方面に向かっているから……このルートだと……あ、そうか。なら……かしこみかしこみ──」

 

 日本地図を取り出して、僕は簡単な『星詠み』をする。占うのは日本海側の吉凶だ。果たして結果は──

 

「分かった。舞鶴だ。サルバトーレさんは舞鶴港に向かってるよ。そしてアテナさんも、恐らくはここを目指してる。舞鶴港に災いの相が出てるよ」

「……はぁ……ドニが動いた以上は、俺たちも動かざるを得ないか。あんまり、喧嘩なんてしたくないんだが……美殊を狙おうとするなら仕方ないか」

「珍しくも、最初からやる気だね」

「それはそうだろ。自分の身内を狙われて怒らなかったら、流石に駄目だろ。それに……あれだ」

「あれ?」

「美殊を虐めるやつがいたら助けると約束したからな」

「……ありがと。そんじゃま、まずはサルバトーレさんを説得できるか確認。それが駄目なら、手筈通りにやろうか」

「手筈ってのは、あれか? さっき教授の時に教えてくれたやつ」

「あれだよ」

「あれ? てのは何だろ。恵那にも教えてよ!」

「いいよ。何をするのか知っておかないといけないからね」

 

 恵那さんの耳元まで近づき、僕はそれを伝える。

 

「ゴルゴネイオンだけど、戦いになったらアテナさんの手に渡るようにしたいんだ」

「え? でもそれだとアテナが強くなるんじゃ?」

「大丈夫。普通に考えたらそうなんだけど、今回は例外。僕がいる以上は、そっちの方が都合がいいんだ」

「良く分からないけれど……その方が王様も師匠も戦い易いんだね。分かった……戦いになればだから、それって偶然に見える方が良いやつ?」

「良いやつだよ。あくまでも、自然とアテナさんが奪還した。そう見える方がいいね」

 

 僕がそう言うと、師匠は相変わらず何か企んでるんだねと恵那さんが笑う。残念なことに、僕の戦い方は臆病者のそれでね。確実に勝てる方法でしか、戦いなんてしたくないんだ。

 

「時間もないから、僕の飛行術と転移術を併用して飛ぶよ」

「ああ……万里谷! 馨さん達には、これから舞鶴港付近で戦いが起きるかもと伝えておいてくれ!!」

「分かりました!! ご武運をお祈り申し上げます!!」

「頑張ってくるね祐理!!」

「安心して祐理さん!! 勝利の()()は僕らにあるから!!」

 

 僕がそう言うと、祐理さんは運命をなぎ倒すのが羅刹の君ですよと苦笑していた。確かにその通りだ。運命はいつだって、神殺しの敵でしかない。でもね、祐理さん……護堂の傍に僕がいる限り、()()の女神の前髪はいつでも掴めるんだぜ?

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