前世凡人 今凡神 作:カンピオーネ二次復権派
サルバトーレの撃退及びアテナの討滅完了。
直接の被害としては舞鶴市の三浜と小橋の破壊。それと隕石魔剣を迎撃した時に、鳥取カントリー倶楽部のゴルフ場付近が墜落した隕石の欠片により壊滅的な打撃を受けてしまったらしい。
僕らが戦場にした地域は、僕が言霊で命じて住民を避難させていたから問題なかったが、鳥取の方は違う。
かなり肝を冷やしたけれども、幸いにも夜中だったのと、ゴルフ場が山中にあったおかげで人的被害は出なかったようだ。
サルバトーレはかろうじて命を取り留めた。手足が取れて、全身の皮膚が爛れているので本当にギリギリで命だけは助かったとしか言えない。
僕としては殺しておいた方があと腐れもないのだが、護堂が手足が無く抵抗も出来ない相手をこれ以上殴るのは性に合わないのでそれは取りやめ。
ただしこちらにまた喧嘩を売りにこないように、徹底的な処置はする。
まず手足が生えて治る前に、僕が造った義肢を嵌めておく。日常生活では支障なく動けるだろうが、戦闘に使えるような性能ではない。
それでも権能があれば、腕を通して魔剣化はさせられるかもしれない。なんだったら腕自体を魔剣にすることすらも。
簒奪した相手がヌアダなので、義手との相性はさぞかし良いだろう。
それが怖いので、造った義肢にはびっしりと封印の経文を刻んである。フルパワーで呪力を行使されたら流石に防げないだろうが、それでも魔剣の権能を振るうには燃費が悪化した筈だ。
護堂には何もここまでと言われたが、僕は臆病なので殺さない以上はこれぐらいしておきたい。
「これでアナキンがダース・ベイダーになったぐらいには弱体化したよ!」
「あの映画か?」
なんて会話をしつつも、僕はさらなる処置を施しておく。脳に針を刺して僕らに敵意を剥けたら爆発する術式を内部から刻む。心臓にも針を刺して、攻撃をしてきたら心臓が破裂する術式。喉には気道を潰す術式etc……
神殺しの肉体なら放置していても火傷ぐらい完治するが、こちらには僕が造ったスマートスキンを張り付けて処置する。
これでジークフリートの権能による、ルーンの鋼化を抑制できる……筈。神殺しが相手なので、確かなことが断言できない。
全ての処置が終わった頃に、アンドレア・リベラさんがようやく日本に姿を見せてくれた。
本当は転移で迎えに行きたかったのだが、僕は僕でサルバトーレの処置や戦場跡の修復作業などで忙しかったので断念。彼には普通に飛行機で来て貰った。
「この──大馬鹿者が!! お前はどこぞの森で、まつろわぬ神と死合うと決めていただろうが!! それなのに日本に来て、草薙王とその従属神にまで喧嘩を売るだと!? しかも返り討ちにあって……」
「久しぶりだねアンドレア!! 元気にしてたかい?」
「どんな性格してるんだよこいつ。手足切断されて義肢にされたやつの第一声じゃないだろ」
「サルバトーレさんは元気だね……あれだけボコボコにしたのに」
僕と護堂はげんなりする。サルバトーレ・ドニは、あっけらかんとした顔でヘラヘラと笑う。その表情には一切の陰りもなく、自分の手足が性能の低い義肢になったことなど微塵も感じさせない。
今の手足だと、全盛期のような滑るような足運びも、無形から繰り出す縦横無尽の剣も出せない。権能の行使もままならない……端的に言えば、イタリア最強の剣王は死んだのだ。
だと言うのに、彼は何一つ後悔も反省もしていない。
「僕は護堂と美殊に負けちゃったけど、こうして生きているからね。手足は前よりも動かし辛いけれど、別に剣が振れないほどじゃない。権能も使いにくいけれど、頑張ればなんとかなる。なら今の手足に順応できるような剣を、また一から編み出せばいいだけ。つまりなんの問題も無いわけだよ!」
「……ねえ護堂。やっぱり今の内に殺しておこうよ」
「それは駄目だ」
「ふふ……僕は改めて強くなる。それまでは、君たち二人との勝負は預けておくよ」
「……それしたら、サルバトーレさんは死ぬんだけど?」
「それすらも克服するぐらい強くなるのさ」
やっぱり殺しておきたい欲が出てくるが、護堂の言葉は裏切りたくないのでグッと我慢する。
その代わりとしてアンドレアさんに、いくつかの書類を渡しておく。
「これが今回の予想被害総額です。剣の王の一声があれば、イタリア魔術結社は払えると期待していますから」
「貰っておこう……う!」
うわぁ、金額を見て一瞬すごい渋い顔をしていた。都心部でやりあう事を思えば安いが、それでも賠償金としては非情な高額だ。
テンプル騎士団の流れを汲む金満結社が多いとは言え、それでも多額の出費は懐がさぞ痛むことだろう。
この馬鹿しっかり歩け! そんなに引っ張らないでよアンドレア~とやり取りをしながら、騒動の発端である神殺しはイタリアへと帰っていった。
それを見送れば、僕は舞鶴に速攻で戻る。
「うぉおおおおお!! 土木作業じゃぁ!!」
大量の式神と共に、術も織り交ぜて街や森、島を修復していく。早く終わらせないとGWが無くなる。そうなると護堂の御休みが無くなり、一緒に遊べなくなるのだ。
「頑張れぇええ!! 燃えろ僕の
委員会から派遣された術師らと一緒に全力全開で頑張り、それが終われば次は鳥取へ。山やゴルフ場を必死で元に戻す。
全力の末に3日で戻し、東京に転移で帰還する。
向かう場所は護堂のもと……ではなく、僕の自宅にいる恵那さんのところだ。
「帰って来たよ!!」
「あんな戦いがあったのに、師匠は元気だね」
よいしょと布団から起き上がりながら、恵那さんがこちらに手をひらひらと振ってくれた。
「体の調子は……問題なさそうだね」
「最初に比べたらばっちりだよ。体の気怠さなんかも、全部どっかに行っちゃったから」
……疑似スサノオ。あれは恵那さんの肉体に、相当の負担をかけることが判明した。なにせ神殺しでもない人間を、まつろわぬ神の領域へと到達させるチートモードだ。
僕が従属神に与える不滅の加護や、護堂の『少年』の化身による肉体防御。運命神としての権能による、世界からの支援。これらで肉体の負荷を最小限にまで減らしていてもなお、恵那さんの心身には負荷が強すぎた。
疑似スサノオを解いた直後、恵那さんは気を失って倒れてしまった。かなり消耗が激しかったので、以前から社の中に造っておいた恵那さん向けの聖域部屋に連れて帰り、そこで療養して貰ったのだ。
「熱は……うん。ないね」
「師匠の式神が、滋養強壮料理をたくさん造ってくれたからね。むしろ元気があり余り過ぎて、困るぐらいだよ」
僕の滋養強壮とは、地母神特製の野菜や米を大量に使用した料理のことだ。一皿食べるだけで、引き籠りのニートがフルマラソンを2時間で完走するぐらいのエネルギーが湧いてくる逸品。
食べ続けたら護堂のように身長がぐんぐん伸びる……でも静花さんは伸びなかったんだよね。なぜだろうか……
「……ごめんね、恵那さん。よかれと思って恵那さんを強化したけれど、そのせいで寝込む事態になっちゃって……」
「良いよ別に。あれのおかげで王様のお役に立てたんだから……疑似スサノオ、あれはいつでも恵那は使える?」
「無理。あれは僕がスーパーモードじゃないと、成り立たない。草薙劔の真価にしても、僕の呪力供給があって初めて成立する」
「残念だなぁ……いつでもあれに成れるなら、王様の劔としてお役目を果たせるのに」
「まずは体を治してからだよ、それは。まずはもっと基礎を強化して、疑似スサノオになっても耐えられるようにならないと」
「はーい」
恵那さんは部屋で寝かしつけておく。社の中は僕の聖域。その中でも恵那さん用に調整した部屋なので、人里離れた山奥並にここは俗世から切り離されている。
あと一週間もゆっくりしていれば、自由に歩き回れるようになるだろう。
僕があとしなければいけないのは、いつものように報告書を作成して馨さんに提出したりだ。もっと細かい作業ならいくつもあるのだが、その辺は全て委員会の方でやってくれるらしい。
そんなこんなで後片付けをしていたら、GWは残すところあと一日だけ。最終日は護堂が空けておくよと約束してくれていたので、待ち合わせ場所に向かう。
「お待たせ~」
「今来たところだよ」
「そうなの?」
なんて僕は問うが、実は護堂が15分前には着いていたことを知っている。その行動に合わせるべきか悩んだが、待つことを選んでくれたのなら好意に甘えることにした。
「それじゃ出発だぜ!!」
「テンション高いな、相変わらず」
いつも通りに出発──ではない。いつもなら僕の方から強引にしないとそうしてくれないのに、今日は護堂の方から僕の手を取ってきた。
そのまま渋谷の街をのんびりだらりと歩き回る。別段、僕も護堂もこれがしたいなどは特にない。
「あ、そうだ。一つ聞きたいことがあるんだが」
「どしたの?」
「クラスターを使った後、アテナは死んだんだよな? その時に俺の肩が急に重くなったんだ。あの瞬間にアテナが死んだとするなら、まさかとは思うが俺の権能が増えたのか?」
「そうだよー。あの時、死亡確認ついでに『簒奪の円環』も回しておいたんだ。行けるかどうかは正直、僕も半信半疑だったけど……成功したなら良かったよ」
「またパンドラさんから制御権を奪ったのか……でもどうやったんだ? 前に使ったバックドアとやらは、もう塞がれていたんだろ?」
「僕が使ったのは、神話綴りだよ──
屁理屈さえ通れば、僕の神話は盟約時に限り任意で追加・変更が利く。僕がパンドラさんであると誤認させれば、円環の制御権は僕の物だ。
「それともう一つ。恵那さんに言ったように、神殺しの権能が神を殺せば簒奪条件は揃う……
「……盟約の大法を使用時のお前は、なんか卑怯なぐらいなんでもありだな。パンドラさんもめちゃくちゃ怒ってそうだ」
「たぶんお冠だと思うよ。あの女神様にしてみれば神殺しは全員子供なのに、一名だけ贔屓されまくって、挙句にサルバトーレさんはあんなことになっちゃったし」
「あれはドニが悪い。リベラさんが怒った対象があいつなんだから、美殊が怒られる謂れはないだろ」
「そうかな? ……ああ、そうだそうだ。アテナさんついでに、護堂に渡したいプレゼントがあるんだ」
「なんだ?」
「アテナさんの神力」
「は?」
と言われたので、護堂に説明しておく。最後の王としてアテナさんの神力を吸い取りまくったのだが、あれはまだ僕の中に残っているのだ。
「護堂の中にある桃太郎から簒奪した鋼の原石。あれにアテナさん──蛇の力を混ぜる。鋼を鍛えるのは蛇の力だから、桃太郎の権能がどうなるにせよ、アテナさんの神力分が上乗せされた強力な物になるよ」
「つまりウルスラグナの権能に、メルカルトを混ぜた時と同じか……別に強力な権能とか、俺はいらないぞ? ただでさえ、どこかの女神が使う宇宙兵器なんて頭のおかしい物があるんだ。その神力、美殊が使えばいいんじゃないのか?」
「うーん。それは微妙。アテナさんから奪った神力で使えるような権能となると、僕は自前で全部使えるし。今のところ蛇の力が欲しい用途もないから……それに僕の中に置きっぱなしだと、その内『鋼』の餌になりかねない。なら無駄に消費される前に、護堂に貰って欲しいんだ」
僕が上目遣いで頼み込むと、護堂ははいはい、我が家の女神様は我儘ですよと言いながら、顔を僕に近づけてくれた。
「ん……」
口づけを通して、護堂の中にある桃太郎の神力にアテナの神力を注ぎ込む。蛇を貰い受けた鋼は歓喜して、己の糧にし始めた。
これでどんな権能になるかはまだ不明ではあるが、東方の軍神・弐式のように通常よりも凶悪な性能になる筈だ。
それが終われば洋服選びに付き合って貰う事に。
「これどう?」
「あー、可愛いんじゃないか?」
「ならこれは?」
「似合ってると思うぞ」
「──ならこれは」
「ああ、そごふっ!!」
「おー、見事に咽た」
「ば、馬鹿野郎!! 下着一丁で試着室を開くやつがいるか!?」
「いやぁ、なんかなに着ても可愛いか似合うしか言わないからつい。でもこの下着どう? 今日のために新調してみたんだけど」
「可愛い可愛い! 可愛いからさっさと閉めろ!!」
「はいさい」
試着室のカーテンを閉めて、着替えたらいくつか服を購入しておく。これでまた一つ、服のコレクションが増えていくぜぃ。
「また服を買ったのか? 一回しか着ていないのがたくさんあるだろ」
「着飾るのが楽しくて、つい買っちゃうんだよね。ほら、僕ってお人形さんみたいとか、絵本から飛び出してきたお姫様みたいな形容詞がぴったり似合う美少女でしょ? 顔の良さとスタイルの良さで何着ても誤魔化せるから、ついつい増やしたくなるの……身長がもう少しあればなぁ……」
「ナルシストみたいなことを言い出したかと思えば、今度は悩みだしたな。女の子なんだから、今ぐらいでちょうどいいんじゃないか?」
「駄目駄目。あと10㎝ぐらいあった方が、様になることが多いんだよ。護堂は180後半もあるから、僕の悩みが伝わりにくいかもだけど」
「好きでデカくなったんじゃないからな。これはこれで、色々と悩みがあるんだよ。気に入った服のサイズが見つからないとか」
「あー、日本人向けの御店は、170前半を前提だからね」
「そうだよ……まぁ、悪いことばかりじゃないけどな。筋肉もつけやすいし、それに……」
「それに、なに?」
「こうしやすい」
そう言って、護堂が僕を後ろから抱きしめてくる。おー、大胆。確かにこの手のバックハグは、男性の身長が高くないと絶対に出来ない。
しかし意外だ。人目がある場所でなら、この手の行為を嫌がると思ってたのに。
「今日は珍しいことばかりだね。護堂の方から手を繋いでくれたり、お外であすなろ抱きなんて」
「……返事を貰ったからな。なら俺の方からもこうしないと、不公平だろ……あと──背が高くていいことが一つあるな」
──美殊を守りやすい。こうして色んなやつから覆い隠せるから
「────────────」
…………………………………………。
僕は何も言わない。代わりに護堂の腕を掌でゆっくりと撫でる。僕を守るか……ならもっと強くならないと駄目だよ。
まだまだ僕の方が、護堂の百倍は強いんだから。
護堂が勝利の申し子なら、僕は強さの化身だぜ? ……茶化す言葉は幾らでも出せそうなのに、僕の頭からそれらはどこかに消えていく。
ただ甘ったるい空気に浸りたい気持ちだけが湧き出てくる。雑踏は僕らに気づかない。神が誰も気づくなと、本気で心から望んでいるのだ。世界はそうあるように捻じ曲がる。
「それとな……さっきみたいに、俺をびっくりさせようとして、外で服を脱いだりするな」
「ああ、あれは護堂に見て欲しかったのは本当──」
「美殊のそんな姿を、他の男が見るかもしれないのは許せない」
「──……これかぁ。僕は生前の彼女にあったことがないけれど、千代さんが護堂のことが気がかりだったのは」
「なんだよ、急に婆ちゃんの話なんてして」
「ううん。なんでもない」
一郎お爺ちゃんに似てるね。なんて言葉が喉まで出かかるけれど、雰囲気が壊れそうなので黙っておく。代わりに指を鳴らして、転移術を発動。
僕らは渋谷の雑踏から、高層ビルの屋上に移動する。
「転移か……ここどこだ?」
「東京都庁の屋上。見晴らしのいい場所に移りたくてね」
「そうか……でも風が強くないか?」
「少し強いね。でも──もう静かになったよ」
天空神である僕が騒がしいと感じたのだ。大気はそれだけでピタリと大人しくなる。
急に凪いだ空を見て、護堂は呆れたように僕を見てきた。
「またそんなことに力を使って」
「これについては、僕は何もしていないよ。大気の精たちが忖度してるだけ」
「そんなもんか」
「そんなもんだよ……眼鏡外しておこうっと」
外を出歩くとき用の伊達眼鏡を外す。これをつけておかないと、僕は外に出るだけで大変なことになる。
「あとはパパっと魔術でソファーを造って……さ、座ろ」
僕が先に座り護堂を促すと、はいはいと言いながら隣に座る──だけでなく、グイっと腰に腕を回され引き寄せられる。
簡単に抗える力と技だが、僕はされるがままにした。トンっと軽い音をさせて護堂の胸に頭を預け、目を細めながら東京の街を見下ろす。
「東京で一番偉い人がいる建物の屋上から、女神を我が物として下界を見下ろす。護堂も魔王っぷりが板についてきたねぇ~」
「人聞きの悪いことを言うな! そもそも都庁に来たのは美殊の転移だろうに……それに我が物でもないだろ。俺のいう事なんて全く聞かないんだから」
「え~、聞くよ。聞く聞く。なんでも聞くよ~」
「ほんとかよ」
「ほんとほんと……護堂がしたいこと、いまなら『なんでも』聞くよ?」
言葉ではなく『言霊』で護堂に囁く。神殺しであろうとも、敵意の一切ない言霊は良く耳に馴染む。ゴクリと護堂が喉を鳴らす音が、静かな空の下で良く聞こえた。
「護堂がそうして欲しいと言うなら──なんでも……だよ」
ライトアウターのボタンを外せば、薄手のシャツ一枚だけの胸が突きだされる。護堂の胸から頭を外して、僕は大きめのソファーにごろりと転がった。
「最後まではまだ護堂の経験値が足りてないから無理だけど……それ以外になら、護堂のしたいようにしていいんだよ?」
「たく……」
呆れたような言葉を口にしながら、護堂が僕に覆いかぶさる。顔が近づいてきて……ゆっくりと優しい口づけをされた。
「……ファーストキスだねぇ……」
「初めてじゃないだろ。今まで散々、何回やってきたと──」
「護堂からしたのは、だよ」
「……そういえばそうか。俺の唇はお前に奪われまくったが、俺から奪ったのは初めてか」
「そうだよ……僕は全部が初めて。護堂が最初の相手だよ──優しくしてね?」
……そう告げたら、護堂の空気が少し変わる。おやぁ? なんだろう、興奮してるのだろうか。
護堂に体を起こされて、ライトアウターを脱がされる。手は薄シャツにかかり──
「……先に言っておくぞ。あの時万理谷と恵那が入って来たからやめたが、俺は相当に我慢した分が溜まってる。散々焦らされたせいでな」
「……焦らし?」
はて? 何のことだ?
「そこは無自覚なのかよ……だから優しくできるかは……分からん」
「そっか……」
「あとこんなところでいい……のか? 都庁の屋上だぞ?」
「大気の精が気を利かせてくれてるから、外からは見えないよ。人も僕が望む限り、やってこない……」
つまり、今度こそ誰の邪魔も入らないんだ。
その言葉が引き金だったのか、護堂が僕の体で楽しみ始めた。
こんな時、天井のシミを数えていたら終わるなんて言うけれど。残念ながら、ここの天井はどこまでも青いスカイブルーだ。空にあるのはシミじゃなく雲になる。
ま、これもまた一興なのだろう。神殺しは地上の覇者である。ならばかの魔王らにとって、この星が己の家なのだ。
ならば天空が見つめるここは、魔王にとっての家に過ぎない。
護堂の誕生日までまだ数日あるが、僕は護堂にこの言葉を贈ろうじゃないか。
ハッピーバースデー! Cまでは無理だが、御卒業おめでとうだ!! ……あ、そこ──
熊野美殊
盟約時は無敵に近い怪物。なお今回のはまだ二人版盟約。完全版である七人版はもっと無法。
草薙護堂
これで七つの権能を持つことに。美殊抜きにしても羅豪やヴォバンに並ぶぐらいには権能に隙がない
清秋院恵那
美殊が盟約時のみまつろわぬ神の領域に踏み込める。盟約時でなくともオーネスの鳥羽梨於奈ぐらいの強さはある
サルバトーレ・ドニ
大幅に弱体化した。でもその内また強くなって帰ってくる可能性が大。この程度でへこたれないのが神殺し