前世凡人 今凡神   作:カンピオーネ二次復権派

60 / 70
https://syosetu.org/novel/396920/2.html

前話と今話の間にあったR18短編


詰問と言う名の観光旅行

 一ヶ月の眠りから目覚めて無事復学した僕は、7月14日の月曜日から学校に再び通い始めた。が、時期が時期なので、一学期の登校可能な時間は残りたったの一週間。

 その間、僕は期末試験を特別に受けさせて貰ったり、護堂と教室でエッ〇したり、図書館で〇ックスしたり、再び教室でタントラ的交わりをしたり、学校の廊下を僕を抱えた護堂が歩いたり──最後のはすごく恥ずかしかった。

 なにせ護堂が僕を抱っこするために持ったのは、僕の太いとも細いとも言えない太ももだ。要するにショーツ丸出しで、もしも誰かに見つかったら僕の見られちゃいけない場所が見えてしまう状態で持ち運ばれた。

 

 ……あれは本当に恥ずかしかった。放課後かつ僕が術式レーダーで人がいないルートを選んだとは言え、人払いの結界を使ったり、他者の認識をずらす事を護堂が赦してくれなかったから……護堂には僕はドスケベサキュバスだからねなんて言ったり、護堂からはお前はかなりエッチは性格をしているよなんて言われるけれど、女性としてから20年も経つのだ。

 それだけの時間があれば、女性的感覚はおのずと身についてしまう。薄布一枚を隔てて、僕のヨーニが衆目に晒されるかもしれないなんて恥ずかしいに決まっている。

 護堂には一緒にお風呂に入ったりしてるから羞恥心が薄いと思われているけれど、人並みならぬ女神並みの恥じらいは搭載しているのだ。護堂相手だから頻繁に見せているだけで、それ以外に見せたいとは微塵も思わない。

 

 なお、これらは最後には祐理さんに見つかって怒られている。学校ですることではないと。でもこれらをしたおかげで、爪の先分ぐらいは僕の呪力は強化された。神殺しに反発する討滅神の神格が、敗北させないために僕の力を強くするのだ。

 先代最後の王であるラーマさんも、神殺しに敗北することはあった。彼の不死性は救世の神刀がある限り、肉体が破壊されてもいずれは復活できるだ。

 では僕の不死性とはなんだろうか? たぶんだが、敗北しても生きているならば鉄を鍛えるが如く強化されて、肉体が回復する……かもしれない。

 僕の『鋼』としての本体はトリシューラの形をした救世の神戟だ。これを使用出来るようになったのは、東京でのウルヴルとの闘いからだ。あの狼たちに殺されかけ、僕の肉体はとうとうその力を解放しないといけないと判断して、救世の武具を解禁してくれた。

 

 あの時と同じだ。負けたから僕の肉体は強くなることを選んだ──神殺しと敗北エッ〇をしたら、僕はさらに強くなれるとこの一週間で判明した。だから護堂と楽しく、毎日〇ックスするのだ。僕と言う『鋼』を理性や本能ごと溶かして、新たな劔として鍛え直すために。

 他に他意は……まぁあるけれど。だって護堂とエッ〇するの楽しいし……僕、潜在的だったから表に出て無かっただけで、本質はMだから護堂にねちっこく責められたら気持ちいいし……エッ〇してる間だけ普段とは違いSッ気たっぷりな鬼畜護堂に調教されるの、脳みそ焼けそうになるぐらい快楽だし……なんて正直な本音を言うと祐理さんに御説教なので、強くなるためですとしか説明はしないけれども。

 

 そんな感じの一週間を過ごし絶〇しまくった僕は、一学期の終業式を得て夏休みに突入する。御休みに入った僕たち四人が行なったのは、言うまでもなく夏休みの宿題を終わらせようだ。

 なにせ僕らは神殺しと神三柱。どこでトラブルに巻き込まれるのか、分かったもんじゃない。下手をしたらアイーシャ夫人の権能にうっかり巻き込まれて、数ヶ月単位でどこかの時代にこんにちはする可能性だってあり得る。

 そこで帰って来てみたら、夏休みは終わっていて宿題は手つかずのまま残っていますでは話にならない。学校で護堂と学生らしくないエッ〇をしているけれど、それはちゃんと学生の本分を果たした上でやることだ。

 〇ックスし過ぎで留年しましたなんてことになれば、流石に言い訳も出来ない。護堂には学年上位で卒業して貰うのが、僕の理想の一つである。

 

 御社の中の時間を弄って、外の時間では一時間。中では一週間の時間が過ぎ、僕らは夏休みの宿題を完了させた。

 それが終われば七月末の本題。ミラノの<青銅黒十字>に顔を出して、君らのせいで僕たち被害を被ったけれどどうするの? の時間だ。

 前回僕と護堂はお忍びでサルデーニャにお邪魔した訳だけれど、今回は神殺しのカンピオーネ一行としてミラノにお邪魔する。

 そうなれば当然、向こうの魔術結社は最大待遇で護堂を迎え入れることになる。なにせ欧州魔術界隈にとって護堂とは、天上の王族のようなものだからだ。

 

 それにサルバトーレ卿にヴォバン侯爵、両名を続けて撃退したその手腕は間違いなく強者。となれば、向こうからプライベート・ジェットを飛ばして迎えに行きますなんて打診も来る。

 のだが、僕らはそれを断った。護堂がそこまでして貰う必要なんてないよ……といつも通りな発言をしたわけではない。

 単純に──それをしても良いのであれば、僕の持つ宇宙兵器から航空機を出す方がよほど早くミラノまで着くからだ。

 

「あと15分でミラノに到着するよ。全員降りる準備をしておいて」

「了解……東京からミラノまで30分で着くか。とんでもない速度の航空機だな、これ」

「そりゃねぇ? これに積んでるプラズマ推進発生装置は、恒星間を移動するためのエンジン。地球上で使うから出力を落としているけれど、最高速度は第四宇宙速度出るんだよ、これは」

「それってどれぐらいの速度なの? そもそも第四宇宙速度って何?」

「僕らが住んでいる天の川銀河を脱出するのに必要な速度が、第四宇宙速度だよ。大体秒速300キロから600キロぐらい。護堂に分かりやすく言えば、神速の約三倍は早いよ」

「あれより速いのかよ!?」

「速いよぉ……神速は確かに速いけれど、先行放電と同じ秒速150キロちょっとしか出ないからね。そんな神速使い達を殺し切るために開発した宇宙兵器もあるから、この推進発生剤ですら僕の手持ち兵器の中ではまだ遅いぐらいだよ」

「……本当に、今更の疑問になるんだが。一体何を想定してお前は宇宙兵器なんて作成したんだ?」

 

 何を想定して? 嫌だなぁ、そんなの決まっているじゃないか。

 

「護堂を死なせない。絶対に神様に殺させない。護堂をこの世で殺して良い権利を持つのは、対魔王討滅兵器の僕だけだ……それ以外の何物であろうとも、護堂を害させない。僕の愛する魔王を殺すと言うのであれば、その前に僕がそいつを殺す──僕が苦手な神格が相手でも、一撃で戦況をひっくり返して盤面を破壊するための決戦兵器。それが僕の『獣と弾倉』だよ!」

 

 どやぁと胸を張って誇らしげな顔をしたら──

 

「……俺の嫁の愛が重いなぁ……」

「前から少し思っていたんだけれど、師匠はヤンデレってやつであってるのかな?」

「なんですか、それは?」

「甘粕さんが教えてくれたんだけどね。大地母神は好きな相手が出来たら、病的に愛するんだって。ヤンデレには色んなパターンがあるけれど、師匠は王様を守るためなら、敵をどんな手段を使ってでも排除するタイプのヤンデレだって表現してたよ」

「こら、そこ。僕を勝手に分類するんじゃない。僕はツンデレかもしれないけれど、そこまでヤンデレじゃないからね。好きな人を守るために手を尽くすのは、愛神としては普通のことだよ」

 

 大切な護堂()が困っていたら転移で駆け付け、大切な護堂()が死にかけないよう常に監視して、大切な護堂()がいざ戦いとなれば傷つかないように超戦力を用意して敵対者を塵にする。

 それがパンドラさんのお眼鏡に適わないのであれば、僕がこっそり神力を奪ったりして護堂の力になるように加工する。

 それぐらいしてあげたいと心から力が湧いてくるのを、きっと好きや愛と呼ぶのだ。

 

 ……最近自分でも思うのだが、僕はひょっとして恋愛脳なんだろうか? 護堂のことが好きすぎて、彼が生活の中心になっているような気がする。

 でも護堂を全肯定しているかと言えば全く違い、彼がヴォバンみたいになるようであれば僕が倒す予定なのは変わらない。

 うーん、じゃあ、やっぱり恋愛脳ではないな! そういうことにしておこう。

 

 なんてお話をしていれば、自動操縦にしておいた航空機──と言う名目の、マルチロール機がミラノ・マルペンサ国際空港に到着する。

 僕は航空機を操作して駐機場にまでタキシングさせて、降機の準備を開始する。ゲートを開いて、タラップを創造して──良し、準備完了。

 

 タラップは僕が先行し、護堂の手を取りながら降りていく。護堂の両脇に付いていくのは、祐理さん恵那さんだ。

 傍目には年若い日本人の少年と、そんなに年齢の変わらない女の子が三人航空機から降りて来ただけだ。

 なのに──駐機場にいた大勢の大人が、膝をついて臣下の礼を取る。僕らを出迎えために待機していた、<赤銅黒十字>の魔術師達だ。

 僕は実年齢アラフィフなので見た目通りではないけれど、残りの三人はまだ16歳。出迎えてくれた人の中には、僕より年上っぽいお爺さんなどもいる。

 

 それでも……彼らの動きに乱れはない。こちらを侮るとか、若造かとか、そんな空気は一切ない。ここにいる人達は、恐らく全員が訓練を積み、膨大な時間をかけて鍛え上げた歴戦の騎士達だ。大騎士と呼ばれる、天才しか辿り着けない領域に踏み込んだ人達だっている。

 そんな彼らは、だからこそ知っている。神とは人が敵う相手ではない。ここにいる神の中では一番戦闘能力の低い祐理さんでも、本気になれば彼ら全員を無傷で抹殺出来る。神と人とは、どこまで行ってもそれだけの差があるのだ。

 そんな僕ら神を返り討ちにして、権能を簒奪したのが護堂である以上──魔術師らは畏敬を捧げる。カンピオーネはイタリア語で王者と言う意味だが、決して伊達で王と呼ばれるわけではない。

 王と呼ばれるに相応しい偉業を成し遂げたからこそ、神殺しは魔王と呼ばれる。

 

 僕ら大地母神三柱は、護堂の権能による従属神と言う事になっている。従属すれども神は神。やはり人間の魔術師であれば、畏敬を捧げるだけの存在なのだ。それを抜きにしたって、神殺しの権能の産物に頭を下げない輩はこの場に呼ばれないだろう。

 ただでさえ、護堂はヴォバン侯爵とサルバトーレ卿を降した相手なのだから。

 

 僕らは地に降り立って脚を踏み出し、その人物の前に進む。その人物とは、彼らの先頭にいたエリカさんと──ナイスミドルな叔父さん。たぶんこの人が<赤銅黒十字>の総帥である、パオロ・ブランデッリさんなのだろう。

 

「ようこそお越し下さいました、草薙陛下、及び大母の御方達よ。御身の御来臨を、我ら〈赤銅黒十字〉一同、今か今かとお待ち申し上げておりました。このたび陛下がイタリアへと御赴きになるにあたり、南欧魔術師の代表として我らをお選び下さいましたこと、まことに恐悦至極に存じます」

「陛下は空の旅でお疲れ故、妾が代弁する……良い。そなたらは、我が身内に危険が及ぶ可能性があることを、誰よりも早く届けた。その行いには報わねばならん……ミラノ滞在に当たり、以前陛下が称号を与えた少女──『赤き悪魔(ディアブロ・ロッソ)』・エリカに案内役を命ずる。我らはこの都市に不慣れ故、案内せよ」

「は! <赤銅黒十字>筆頭騎士、『赤き悪魔(ディアブロ・ロッソ)』として陛下の御命承ります」

「よろしい……この場での問答を、これ以上は不要と断ずる。そなたらは礼を崩し、やるべきことに注力せよ。ではエリカよ。我らを先導せよ」

「御身らが望むがままに」

 

 駐機場で長々と話をしても他の旅客機に迷惑なので、とっとと解散してねとお願いしておく。極東の魔王が来ると言う事で、たぶんこの国際空港は現在僕らの貸し切り状態だ。

 ……うーん、めっちゃ迷惑。はい解散解散! 僕らがその場を離れたら、後ろの方で全員身体強化の魔術を使ってどこかに散っていった。

 

 彼らから見えなくなり、ようやく一息落ち着く。

 

「久しぶりーエリカさん。ちょっとだけ背が伸びた?」

「変わってはいないわ。貴女達の方は……なんだかメンバーが増えたわね。事前には美殊様から伺っていたけれど、貴女が清秋院恵那さんで、そちらの亜麻色の髪の子が万里谷祐理さんかしら?」

「そうだよー。清秋院恵那。恵那って呼んで」

「初めましてエリカさん。私は万里谷祐理と申します。イタリアにいる間、お世話になります。よろしくお願いします」

 

 恵那さんはいつも通りフランクに挨拶して、祐理さんは深々とお辞儀をしながらエリカさんに自己紹介。ええよろしくねとエリカさんは彼女らしい返答をしていた。

 エリカさんは二柱を見て、ふぅんと興味深げな視線を向ける。

 それにどうしたのですか? と祐理さんが言葉を投げた。

 

「特にどうと言う事は無いのだけれど、これが大地母神と化した元魔女の子達なのね……なんて思っただけよ」

「あ、それか……エリカさんは恵那達について師匠から聞いてるの?」

「少しだけね……私が伺ったのは、日本人の女の子が二人、護堂の権能で地母の末裔に名を連ねたことだけ。私が知るのはそれだけよ」

 

 エリカさんは、それ以上のことを聞くつもりも知るつもりもないわと口にする。

 その視線は僕に向けられていて、それで良いのですよね? と問うかのような目だ。

 ……深い詮索はご法度。踏み込んではいけないラインが世の中にはあり、これはその一つだ。嘘つきの僕が虚言を吐く時、そこには必ず意図がある。

 

 その意図を読み違えて踏み込むのであれば、僕は僕の流儀で相対しないといけなくなる。エリカさんはそのラインをちゃんと読み取り、こちらの嘘に付き合ってくれるのであれば甘えておこう。

 その代わりに、彼女と彼女が所属する<赤銅黒十字>には相応の見返りを用意する。護堂を王と崇め奉るのであれば、それには応えてあげないといけない。

 護堂が忙しかったら僕を呼びな。地球の裏側からやってきて、宇宙兵器で神様を爆殺するぜー。

 

 なんて物騒な思考はその辺に置いといて、まずは楽しい観光だ。今回ミラノに来た僕らだが、何も<青銅黒十字>への詰問だけが目的ではない。せっかくの夏休みなのだから、こちらでバカンスも楽しもうと来ている。

 初めて訪れる地で観光するのも楽しいけれど、勝手知ったる人の案内で異国を旅するのもやはり楽しい。ミラノは<赤銅黒十字>のお膝元なので、僕らが無碍にされることも無い筈だ。

 

 そんな風に思考を回していたら、護堂が一度背を伸ばしてから口を開く。

 

「<青銅黒十字>との話し合いは明後日だよな? それまでの間観光するつもりだけど、ミラノと言ったらどこが有名なんだ?」

「そうね……ミラノと言えば、やはりミラノ大聖堂かしら。あそこが観光地としては一番の目玉ね。それとスフォルツェスコ城も有名よ」

「ヴィスコンティ家のガレアッツォ2世が建設したお城だね。スフォルツァ公爵が再建し城塞化したり、ナポレオンが一部を破壊したり、20世紀初頭に建築家のルカ・ベルトラーミさんが修復したりと色んな歴史が詰まった場所……それとあれだね。ミラノに来たなら、せっかくだからB級グルメのパンツェロットを堪能したいな」

「パンツェロット?」

「揚げピザの事だよ。イタリア南部プーリア州で生まれた家庭料理で、第二次世界大戦後にミラノで広まった……とされているけれど、それって本当なの?」

 

 僕が説明するより、ミラノ産まれミラノ育ちのエリカさんに聞くのが一番確実だ。エリカさんは鷹揚に、けれど嫌味にならないように長い髪の毛をふさぁと翻しながらそうよと答えてくれた。

 ううむ、長い髪だとああいうのが様になるな……僕も、もう一回ロングやスーパーロングにしてみようかな? 恵那さんや祐理さん位の長さに。

 でも護堂の好みってどのぐらいの長さ何だろ? 今度聞いてみて確かめよう……

 

「揚げピザ……聞くだけでカロリーのお化けな予感がします」

「別にカロリーなんて気にしなくても良くない? 恵那達、もうどれだけ食べたところで体型が変化することも無いんだから」

「それはそうなんですが、なんと言いますか……人間だった頃の名残で、肌荒れなどがやはり気になってしまうんです。そんなことはもうないと分かっていても……です」

「ああ……だから祐理さん、僕がいっぱいご飯を御茶碗に装うと若干微妙な顔をしてたんだね」

 

 昔ちょっとだけ聞いた事があるけれど、祐理さんは女の子らしくもっと細く! を一時期目標にしていた時期がある。標準体重どころか美容体重だったのに、それでも太りたくないと健気だった。大地母神化前は体力の無さからあまり運動をしていなかったので、なおさらお腹周りが気になっていたとは聞いている。

 

 そんな心配しなくても良いんだよと僕は言いたいので、今後はもっと白米を食べさせよう。いっぱい食べる君が好きなんだよ……おまけしておくからね。

 

「じゃ、観光の時間だ! ゴー!」

「エリカが案内する予定なのに、美殊が一番乗り気なんだな……」

 

 当たり前じゃないか護堂。だって僕ムードメーカーを自称してるんだよ? ならば僕が、一番元気にしないと駄目じゃないか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。