この世界に生まれてから常に差別ってのを感じて生きてきた。母さんが言うには、俺は赤ん坊の頃に母さん側の爺ちゃんと婆ちゃんに殺されそうになってたらしい。まぁ、そんなのはかなり極端な例にしても、やはり忌避の目で見られるのは日常茶飯事だ。それは一重に、俺の見た目が本当にもうどうしようもないくらい化け物だから。
今や世界人口の八割が持つとされる異能、「個性」その中でも能力とは別に見た目に特徴の現れる異形型。その中でも殊更特殊な部類の見た目をしているのがこの俺「
まず体高……うん体高だ。まぁ聞けって。体高は2メートル半ちょい。そんでまだ15歳なので多分伸びる。
顔は目のない竜のようで、歯がむき出しでありかなり怖い。
そんで二本の曲がり横に拡がった角がこめかみに相当する部位から生えている。
でも見えてない訳じゃない。なんか……全体的にこの角が感覚器官を全部担ってるっぽいんだよな、それもかなりの超精度で。俺は他人の視界を見たことは無いが不自由した覚えはひとつも無い。
頭から首周りにかけて大きく鬣が生えており、全身は白いカーボンのような手触りの甲殻に覆われている。延髄辺りから腰にかけては鋭くは無いが、突き刺さった杭のようにも見える背鰭が2列に配置されており、服を着るのが大変邪魔だ。
そして肩と腕にはスリットの入った追加の甲殻があり力を入れると隆起し刃となる(何度服の袖を破いたか)脚は肉食恐竜を彷彿とさせる強靭な腱を持つ逆関節であり鋭利な鉤爪を持つ。
そして、腰あたりから丸太のような太くしなやかな尾が生えており、全長は4m超えくらい。尾の先にも鋭い甲殻があり厚さ30cmの鉄板くらいなら紙のようにぶち抜ける。
そして身体能力はこの見た目のいかつさに見合うほどに強力であり、小学一年からずっと体育測定の異形系用記録をぶち抜き続けている。そこに加えて凄まじい力の「個性」そう、普通に個性無しでこのスペックなのだ。まぁ普通に見た目を加味せずともバケモンである
初対面の人間には必ず悲鳴を上げられたし、定期的に
だが強盗に人質に取られていた時ヒーローに間違えて攻撃されたのはどうなんだろうか。あの時火球をぶん投げてきたヒーローお前まだ本人から謝られてないの許してないからな……ゴホン、まぁ別に毛ほども効いてなかったし良いんだけどな。
あの時俺の見た中でいちばん母さんと父さんがブチ切れてたのを見て何となく嬉しくなってしまってもうどうでも良くなったのを覚えてる。
けどまぁ、正直ここまでグレずに育ったのはマジで両親が味方してくれたおかげだ。見た目のせいで喧嘩を売られてあしらってたら中学の番長みたいな扱いにされたりして、世間的にはバチコリ不良みたいなのなんだけどな·····でもまぁいいんだ、担任の先生はわかってくれてるし、ダチもいる。そして何より
「いやぁ持つべきものはデカくてふっといモノ持ってる彼氏だよねェ」
「言い方ァ·····まぁ俺の尾っぽでよけりゃいつでも貸すけどよォ」
俺には!可愛い!!彼女が!!!います!!!!!いぇーーーーい!!!!それだけでウルトラハッピーだぜ!!!!口では冷静に言ってるけど全然ドキドキしてまーーーーす!!俺の尾をハンモックのようにして寛ぐ彼女の名前は
当然こんな俺が自分からアタックできる訳もなく、ぬるま湯のような幼馴染関係を続けていた。だが、彼女が男子の中で人気があると知った俺は衝撃を受けた。当然であるこんな最高の女の子、男なら放って置くわけない。
他の男と切奈がくっつくところを想像した俺は途端にぶっ倒れ2日寝込んだ。なので受験やらで忙しくなる前に告白する事にした。外側の評価はしっかり把握してる俺は振られた後泣かれるくらいまでの想定と覚悟をサクッと決めて(嘘。その想像で3日寝込んだ)夏祭りに誘いそこで告白したのだ。
あの時は本気で人生で最大の壁だと思った。こうして俺は最高の彼女を手に入れ勝ち組として中学三年生を迎えることが出来たのだ。おかけでこうして彼女と放課後にだべりながら買い食いという圧倒的青春の勝利者にしか味わえないイベントをこんな化け物が味わえているのだ!羨ましかろう
だが俺の試練は終わっていない、次なる戦いはすぐそこに迫っている。それは受験である。具体的に言うと彼女と同じ高校に入らねばならないという事である。そしてそんな彼女の目指す先は雄英高校。日本最強の倍率を誇るバケモン高である。そこのさらに1番難易度の高いヒーロー科に彼女はなんと推薦入学を勝ち取っている。
そらそうである。彼女はすこぶる頭がいいし明るく社交的でリーダシップもある。つまり、周囲にビビられる武力だけのシロムカデリュウヴィランモドキは大人しく一般入試でヒーロー科を目指すしかないのである。
先程も言った通りぶっちゃけ、実技試験なんぞどう手加減するかすら考えないといけない程余裕なのだが、問題は筆記なのだ。今の段階で模試はB判定。ぶっちゃけ実技で圧倒的な記録を出してもトントン·····つまりまだまだ頑張らねばならんワケだ。彼女との最高の高校ライフを送るためならいくらでも頑張れる!
尾の先にかかる重さを感じつつ彼女を眺めていればそんな気が起きるのだった。そんな視線(目無いけど)に気付いた切奈は
「何?いちごミルク飲む?」
とパックを差し出してきた。
「ン、飲む」
1口飲むとわざとらしい甘みが口に広がる。この今のやり取り青春ポイント高いな·····とか思っていると
「そういや獣兵衛はさ、視覚無いっていうか角でなんか色々感じ取ってるんだよね?ソナーみたいに」
「そうだけど?でもまあ多分皆が視覚とかで入れてる情報とか殆ど一緒だしなぁ、見えてるって言っても差支えは無いんじゃないか?むしろ目より高性能な気がする。360°カバーできるし」
「でもその割に毎回こっちに顔向けるよね?なんで?」
「まぁ·····気分?かなぁ。それにほら、一応顔はあるからさ、誠意ってのは硬すぎる気ぃするけど、コミュニケーション的にさ、気分悪いだろ?顔が明後日の方向向いてるのに会話するのってさ」
「まぁね?でも一々めんどかったら別に私にくらい気にしなくていーよ?私は獣兵衛が私の話雑に流さないって分かってるし」
そう言って俺の尾の上で器用に背伸びをしながら寝返りをうつ切奈。俺の尾で寛ぐようになってからはもう10年くらい慣れたものである。
「んーまぁでもクセづいたもんだしなぁ·····それに、切奈にこそそういう細かい所を甘えずに行きてぇな。これから付き合いも長いだろうし·····って何ニヤついてんだよ」
「べつにぃ?ふーんそっか、長いこと居てくれんだね」
尾の上ではにかむ切奈。自分の発した言葉を意識した途端に恥ずかしさが込み上げてくるが、気持ち的に別に嘘は言ってないので誤魔化したくなる思春期男の子心を落ち着かせ
「·····おう」
と一言つぶやく
しばしお互いに照れ隠しの沈黙が流れた後、切奈は尻尾から飛び降り、俺に向き直る
「さ!息抜き終わり!まだまだ雄英のA判定には遠いんだから帰って勉強しよ!教えたげるからさ」
そう笑って先を歩く切奈の後を追って帰路に着く。あと半年、絶対合格して夢の高校青春ドリームライフを掴むぜ!!
主人公の見た目はGEのハンニバルとKAKERU先生の作品に出てくるシロミミズリュウモドキとエイリアンキングをキエテカレカレータ(融合)した感じになります
あ、次回はサクッと入試やります