緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿(ろく)()()(づき)です。

今回は13話を別視点でお送りします。と言っても、サブタイトルで分かりますが笑

では、第13話ーsideAAー、始まります。


13話ーsideAAー

ーside間宮 あかりー

 

「アリア先輩来ないかな…」

 

あ、初めまして!あたしの名前は()(みや) あかりです!アリア先輩の戦姉妹(アミカ)です!

あ、戦姉妹(アミカ)と言うのは先輩の生徒が後輩の生徒とコンビを組み、1年間指導する二人一組(ツーマンセル)特訓制度のことで、男子の場合 『戦兄弟(アミコ)』、女子の場合『戦姉妹(アミカ)』と呼ばれるものです。

あたしはアリア先輩――神崎・H・アリアさんと戦姉妹(アミカ)の関係になってます。アリア先輩はあたしの憧れで、いつかパートナーとして一緒に武偵活動したいです!

まぁ今その話は置いといて。現在あたしがいるのは強襲科(アサルト)内のトレーニングルームです。

武偵高の強襲科(アサルト)でのトレーニングは最低限のノルマをこなした後は自由とされています。理由は武偵は自分がなんの訓練をすれば生き延びられるのか自ら考え自ら実践するもので、その習慣を早くから身につけさせるためである、ということなんです。

 

「志乃、行っちゃったな」

 

今喋ったのはあたしの友達で()() ライカといいます。ライカはあたしをよくからかってくるんだけど、金髪をポニーテールにしていてとてもスタイルが良くて身長なんかも160以上あって……良いなぁ……

ってそんなことはともかく、ライカが言った志乃ちゃんって子は()()() ()()ちゃん。まさに大和撫子って感じの子であたしの友達です。たまに過度な密着とか目が怖い時とかあるけど……すごく良い子です。

そして志乃ちゃんもすごくスタイルが良いです……ハァッ、身長139センチメートルのあたしへの当て付けかなんかでしょうか……羨ましい。

っておっと、考え事をしてたらライカの返事をするのを忘れてた。

 

「うん、そうだね……戦姉妹試験勝負(アミカチャンスマッチ)の形式にも色々あるんだね」

「恐山で山籠もりさせるなんてヘンな戦姉(アミカ)だぜ」

 

ちなみに志乃ちゃんがどこに行ったのかと言うと戦姉妹試験勝負(アミカチャンスマッチ)――戦姉が戦妹にだす採用試験みたいなもので、これに合格しなければ戦姉妹(アミカ)になれない――をするために戦姉が指定した場所、恐山に行きました。

プハーッと、ライカが腕立て100を終わらせた後、その場で寝そべる。あたしはトレーニングルームによくある、自転車をこぐようなやつをやっている。

 

「まあ志乃がいない間、あかりはアタシが独占出来るけどな……ウヘヘヘェー」

「……?」

 

どういう意味なんだろうと思ってライカの方を見ると、ライカは指で写真を撮るような形を作っていた。それがどこを向いているのかと言うと……

 

「うわー、白木綿(しろコットン)。ガキっぽ」

「ッ!?」

 

あ、あたしのスカートの中を覗きこんでた!

 

()()()と言うより()()()()だぜ」

「~~~!」

 

こ、この~///!

 

「こらー!」

「はんちゅ~~丸見え~~。キィーン」

 

あたしは逃げるライカを追うがライカはあたしより足が速いので同じスピードぐらいに保って遊んでる。

 

「バカライカ!ローアングラー!金払え!」

 

そんなことを言ってライカを追っていると、

 

「おい聞いたか?キンジが強襲科(アサルト)に帰って来るって!?しかも錐椰も来るってよ!」

「マジかよ!キンジって遠山キンジだよな?しかも錐椰もって……」

強襲科(アサルト)の首席候補って言われてたキンジと、『紅電』、『Sランク内最強』と言われてる錐椰か!」

 

その言葉を聞いたライカがいきなり止まる。当然追っかけていたあたしがぶつかる。

 

「ムギュッ……ライカ?」

「遠山キンジ……あの人が帰って来るのか……しかも錐椰ってあの錐椰 零のことか」

「キンジ……零?」

 

誰それ?全然知らないんだけど。

 

「あかり……遠山先輩の方は分からないのはまだ分かるが、錐椰先輩のことは分からないと武偵失格だぞ?」

「ええっ!?そんなに!?」

「二人とも2年の先輩。遠山先輩の方は任務でいつもいなかったし、あかりがインターンで入って来た頃探偵科(インケスタ)に転科しちゃったけど、去年は強襲科(アサルト)でSランク武偵だった。入試で教官を倒したらしい、伝説の男だよ」

「い……一年でSランク!?」

「……プロ武偵に勝てる中坊なんてバケモノだろ」

 

あ、あたしなんかEランクなのに……しかも入試で補欠合格……

 

「錐椰先輩はもっと凄い」

 

もっと凄いの!?今のも充分凄いけど!?

 

「15才の時、海外で三大マフィアと呼ばれていた奴たちが抗争を始めたんだ。その時にわずか10分、しかも一人で鎮圧に成功したのが錐椰零先輩なんだ。その時についた二つ名が『紅電』。電流が流れるように素早く事件を解決させたことから、その外見を入れてそう呼ばれるようになったらしい」

 

その内容を聞いて、あたしは驚きのあまり声が出なかった。

さ、三大マフィアの抗争を10分で鎮圧!?しかも一人で!?普通そんなことになったら歴史に残る大事件になるよ!?

 

「しかもその時の一般人の死傷者はゼロ。マフィアの連中も死者はゼロだ」

 

ど、どうやったらそんなことできるのだろうか……コ、コワイヨ~~~!

今あたしの頭の中には武偵高の制服がはち切れんばかりになっているくらいの筋肉ダルマで頬に傷痕がある2メートルくらいの巨大男子2人を思い浮かべた。

 

「錐椰先輩のことは知らないけど、遠山先輩は顔だけ知ってる……あっ、あれだ」

 

ライカが一階の広場の方を指差す。そこにいるのは……

 

「おーうキンジぃ!お前は絶対帰ってくると信じていたぞ!さあここで1秒でも早く死んでくれ!」

「まだ死んでなかったか夏海。お前こそ俺よりコンマ一秒でも早く死ね」

「キンジぃー!やっと死にに帰ってきたか!お前みたいなマヌケはすぐ死ねるぞ!武偵ってのはマヌケから死んでいくもんなんだからな」

「じゃあなんでお前が生き残ってるんだよ三上」

 

と言い合いながら強襲科(アサルト)の二年生にもみくちゃにされている根暗そうな人がいた。

 

「あの人が遠山先輩だ」

 

え、ええっ~~!?ぜ、全然イメージと違う…… ん?

 

「零様ー!握手を、サインをお願いします!」

「あ、ずるい!零様私にも!」

「私にも!」

「え、えっと……ど、とういうこと?と、とりあえず並んで」

 

遠山キンジが囲まれてる集団の隣に、女子たちが一列に並んでいる。何事かと思ってよく見ると、女子たちの先頭には困った顔をしている男子生徒がいた。

外見はというと、とても整った顔に赤い髪と瞳。身長は175程度だろうか、足がとても長い。一言で言うと美男子だ。

……ん?今女子たちが零って言わなかった?もしかして……

 

「ね、ねぇライカ。あそこにいる赤髪赤目の人ってもしかして……」

「あ、ああ。どうやら錐椰先輩のようだな」

 

あ、あの人が錐椰零!?あんな穏和そうな人が三大マフィアを一人で鎮圧したの!?全然イメージできない……

 

「な、なんかイメージと違う……」

「遠山先輩はそう見えるんだよな。上勝ちすると大手柄だから狙ってる一年もいるけど……なんか、勝てなさそうな気がするんだよな……錐椰先輩は良くわかんないんだけど」

 

と、やり取りを行っていると、

 

「なんだよなんだよ、そんなヤツのどこが良いんだ?ええ?」

 

と、いかにも悪そうな複数人の男子生徒が錐椰零の前に出てくる。あれは確か、Aランクをとって天狗になっている一年生だ。

 

「いよぅ、あんたが『紅電』さんか?」

 

その天狗男子は錐椰零に聞くのも嫌になるくらい耳障りな声で喋る。

 

「ああ、そうだが。君達は1年生かい?」

「ああ?気安く話しかけてくんじゃねぇよ!」

 

錐椰零は出来るだけ穏便に話しかけていたのに、天狗男子はいきなり切れた。なんでだろう?

錐椰零が呆れた顔をしている。当たり前だろう、穏便に話しかけていたのに切れられたら対処しようがない。そのまま無視して帰ろうとするが――

 

「こんなのが『Sランク内最強』?だったら俺がそ う言われることになっても可笑しくないな!」

 

その言葉を天狗男子が言った直後、

 

「訂正しろ」

 

錐椰零がとても低い声で言った。

 

「ああ?だから気安く――」

「訂正しろって言ったのが聞こえなかったか?一年」

 

さらに天狗男子が言おうとするが、錐椰零がそれを遮り、再び低い声で言い、さらに強襲科(アサルト)内に殺気が充満した。

 

「てめぇみたいな三下が簡単に名のれるほど、『Sランク内最強』は安くねぇよ」

 

何コレ……コワイヨ……

強襲科(アサルト)から音が消えた後、錐椰零は出ていこうとするが、

 

「なんやぁ、今の殺気は?」

 

誰かが入って来た。どうやら教師らしい。

 

「しかも滅多にない殺気やったでぇ……もしかして」

 

この声…蘭豹先生だ。

蘭豹先生は強襲科(アサルト)内を見渡して錐椰零の姿を見つけると、どんどん近づいてくる。

 

「やっぱりお前やったかぁ、『紅電』」

 

その後蘭豹先生は錐椰零と少し喋った後、強襲科(アサルト)内に響きわたるような声で言った。

「一年男子全員集合!今からお前たち全員と、『紅電』一人で勝負をしてもらう!」

 

ザワァッ

 

蘭豹先生の言葉にざわつく。

 

「一年男子全員対『紅電』の錐椰!?」

「蘭豹先生一体何考えてんだ!?」

「そもそも一年男子何人いると思ってるんだ!!」

「しかもAランクの奴も何人かいるんだぞ!?」

「いくら『紅電』でも、これは……」

 

そうだ、一年男子でさえ30人はいる。そんななか一人でなんて……

しかし、あたしは次に錐椰零が言ったことにさらに驚いた。

 

「はい、良いですよ。思い上がったバカどもを現実に叩き落としますよ」

 

ザワァッ

 

そ、それって楽勝で勝つって意味だよね!?一年なんか目じゃないってこと!?

 

「なめやがって……おい野郎共!こんなチャンスは滅多にないぞ!コイツを倒したら即Sランクだぞ!」

 

天狗男子が他の生徒に発破をかけ、一年男子がやる気になったようだ。

そんな中、錐椰零は一本の日本刀を取り出した。その日本刀を見て、あたしはとても綺麗だなって思った。

 

「おもしろい奴やなぁ、お前。では……始め!」

 

蘭豹先生の合図で一年男子対錐椰零の勝負が始まった――

 

 

 

 

 

結果を言うと、錐椰零の圧勝だった。

終始スピードで一年を圧倒し、銃弾は斬るか弾くというトンデモ技を披露した。

 

「ね、ねぇライカ、さっきから『Sランク内最強』がどうとか言っているけど、そもそもそれってどういうこと?」

「ああ、そのことか……あの人はな、ほぼ全部の専門科目をSランク――しかもそのすべてが最上位の実力だからそう呼ばれているんだよ」

 

す、すべてSランク!?しかも最上位!?今日のあたしは驚かされてばっかりだな……

 

「まああの人にはケンカを吹っ掛けたらダメだな。そもそもアタシは勝てないケンカはしない主義だし」

 

そう言って、ライカは帰っていく。あたしもノルマ終わったから帰ろうかな。

それにしても……とあたしは強襲科(アサルト)から出ていく二人の先輩を見る。

 

「遠山キンジ……錐椰零、か……」

 

そう呟き、あたしはバッグを手に出口へと向かった。




どうでしたでしょうか?

終わる前に一言、
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本当にありがとうございます!!これからも頑張って行きますので是非読んでください!

それでは、ごきげんよう。

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