インフル明けで部活動すると本当にキツいですね。
最近リアルが忙しくて更新遅れてます。申し訳ありません!
それでは、第28話、始まります。
考える暇はない。すぐに俺は日本刀を取り出し、グロック17を地面に置く。
俺達の戦いでは、音速など話にならない。銃弾なんて、亀が歩いているようなもんだ。
「ハァッ!」
そのまま駆け出し、ネリーに向かって刀を振るう。
それをネリーは二対の『風月』で舞うように受け流す。
キン、キィン、と金属と金属がぶつかり合う音がし、俺とネリーの位置が何度も入れ替わる。
「成る程、刀の腕は鈍っていないようね」
「そりゃどうも、全部受け流されている中で言われても説得力皆無だが」
「何言ってるのよ、本当に全然衰えてないわ……でも、
そう言ったネリーは俺の攻撃を受け流した後、スッ、と懐に入ってきた――ヤバい!
『風月』は腕の周りに刃があるので、リーチが自分の腕の長さとほぼ同等だ。だから拳銃がメインの現代では使われることは少なく、使われたとしてもあくまでサブウェポンなのである。
しかし俺達のような音速の銃弾が効かない者は、必然的に近接戦となる。
そして剣の間合いより更に中に入られると、そこはもう『風月』の独壇場。剣ですら充分な威力を発揮できない、超近接戦になるのだ。
「懐ががら空きよ」
ネリーが懐に入った瞬間にそれを察知した俺は全力で後ろに飛ぶ。
シュッ、と空気を切り裂く音を聞きながら自分の容態を確かめると、防弾・防刃である制服の腹の部分がキレイに斬られていた。
「ヘェ~、ギリギリだけど
「やっぱりバスジャックの負傷はお前の仕業だったのか……」
「あら?気づいてたの?それに、口調が変わっているわよ、零は女子相手に『お前』って言わないはずじゃないの?」
「斬ってくれやがったくせによく言うな。それにお前相手だと女子と戦っているって感じじゃねーんだよ、ネリー」
「それはショック」
――全然何とも思っていない顔で良く言うぜ。
心の中で愚痴を言いながら距離を詰める。とにかく、ネリー相手の時は近づき過ぎないように細心の注意を……
「遅い」スッ
「なっ!?」
目の前から突然いなくなったと思ったら、背後に廻られていた。
そのまま後頭部を蹴られて壁まで吹っ飛ばされ、衝突した衝撃で息が詰まる。
「私が『リバースランカー』内でスピードが桁違いだっていうこと、忘れたの?音速なんて目じゃないわ」
そう言ってファサッと髪を払うネリー。
「忘れる訳ないだろ……ただ、俺が目で追えなかったのが驚きでな……」
「何で零の目が追いつけるスピードに合わせなくちゃいけないのよ」
「なら本気を出せば良いじゃないか?まだ加速できるんだろ?」
俺がそう言うと、ネリーはやれやれ、と言いたげな顔をする。
「┐(´∀`)┌ヤレヤレ」
「口にしなくていいから!そして顔文字使うな!」
「だって冒頭で零が使わなかったじゃない」
「メタ発言すんなって……」
「まぁ、弱い相手には使いたくないって訳……出させてみなさいよ、『Sランク内最強』さん?」
クイクイッ、と指で挑発してくる。
……嘗めやがって。
「――剣技!一式・四節『瞬爆』!」
俺はすぐさま立ち上がり、ネリーの元まで思いっきり地面を蹴りあげて近づき、その勢いで刀を振るう。
ネリーは力の籠った刀をなんなく受け止め、刀と『風月』を押し合う形になる。
「――剣技!一式・五節『
そこで俺は手首を最大限までクネクネと動かしてネリーの『風月』から刀を外し、同時に膝を折りながら足下を狙う。
それを察知したネリーはバックステップで避ける。
「――剣技!一式・三節『乱心絶牙』!」
ここぞとばかりに俺は跳び上がり、ネリーに無数の刀を浴びせようとするが――
「――剣技。三式・三十七節『
――ネリーは俺の刀を受け流し始めた。違和感を感じない、自然と流れるような動きで。
そして全て受け流すと、最後に空中で膠着している俺に一閃。
シュッ、という音の後に腹から電気が走るような痛みを感じた。
「グッ!」
思わずうずくまる俺にネリーが近づき、俺の腹に目掛けてソバットを見舞った。
「ガッ!」
再び俺は壁まで吹っ飛ばされる。腹を見ると、この前のバスジャックの時と同じ場所に同じような傷痕ができており、大量の血が流れ始める。
「『技神』の私に、技で勝てる訳ないでしょ?それにその剣技は、私が教えたモノ。どうくるかなんて、手に取るように分かるわ」
「クッ……『錐椰 零の――』」
「遅いと言った!」
ドゴッ!と更に頭に蹴りを入れられて脳が揺さぶられ、詠唱が途切れる。
「ゴフッ……」
「相手が能力を使う時に待つバカはテレビの中だけよ……どう?勝てる気がしないでしょ?早く本気になりなさいよ」
――チッ、ヤバイな……
俺は心の中で舌打ちしつつ、現状を確認する。
アリアは理子と戦っている。若干アリアの方が圧しているみたいだが、今ネリーが理子の支援に入ったら太刀打ち出来なくなる。
ならやるのは……ネリーの足止めだな……
「……それ、は……どう、かな……」
俺は痛みを堪えつつ、立ち上がってネリーに刀を向ける。
「いく、ぜ……ハァッ!」
そのままネリーに向かって駆け出した。
ーside零outー
ーsideキンジー
視点は俺に変更するぞ……な、何だよ。何か文句あるのか?
えっ?顔文字はどうしたって?知らねぇよそんなもん。そんなことより今は勝負の方だ。
現在、アリアと理子は至近距離で拳銃の撃ち合いをしている。
そこで戦っている零達のような人外はともかく、常に防弾服を着用している武偵同士の近接戦では、拳銃弾は一撃必殺の武器になりえない。
そして武偵法9条。
武偵は
そのためアリアは理子の防弾制服の上しか狙えず、また理子はアリアと対等にしたいためか、同じように防弾制服の上しか狙っていない。
まるで格闘技のように、アリアと理子の手が交差する。
武偵同士の近接拳銃戦は、射撃戦を避け、躱し、あるいは相手の腕を自らの腕で弾いての戦いだ。
バッ!ババッ!
放たれる銃弾は、お互いの小柄な体を捕らえず壁に、床に撃ち込まれていく。
その流れ弾が、零とネリーの方にもいくが――キィン!という甲高い音とともに弾かれる。その間二人はずっと目にも留まらぬ剣劇をしている。二人にとって邪魔にもならないのだろう。
どちらかの加勢になりたいが、アリアの方に入っても
「――はっ!」
ガキンッ!と弾切れを起こした次の瞬間、アリアはその両脇で理子の両腕を抱えた。
二人は抱き合うような姿勢になり、理子の銃撃が止む。
ここだ!と俺は思い、兄の形見であるバタフライ・ナイフを、手のひらの中で回転させて開く。
非常灯の下で、刀身が赤く光る。
「そこまでだ理子!」
アリアの背後に突き出た拳銃に注意しつつ、慎重に近づこうとした時――
「
理子が、言った。
「理子とアリアは色んなところが似てる。家系、キュートな姿、それと……二つ名」
「?」
「あたしも同じ名前を持ってるのよ。『
俺の足が、止まった。
その、ありえない、不気味な光景に。本能的に。
なんだ……あれは!?
「アリアの
しゅら……しゅるるっ。
笑う理子の、ツーサイドアップの、テールの片方が――まるで神話にあるメデューサのように、動いて――
シャッ!
背後に隠していたと思われるナイフを握り、アリアに襲いかかった。
「!」
それを何とか躱したアリアだったが、不意の一撃を急に避けたため、体制が崩れる。
そこを狙ってもう一度理子が――反対のテールに握られたもう一本のナイフで狙ってる!回避は間に合わないし、ヘルプにも入れない!
そのままなすすべもなくアリアをナイフが襲う――
パァン!
――と、そこで一発の銃声。その後にキィンと理子のテールが握っていたナイフを銃弾が撃ち落とした。
慌てて銃弾が来た方向を見てみると、そこには全身に傷痕があり、制服の胸元が開いている零が、紅色のガバメントを握ってこちらに正対していた。そして、その後ろにはネリーが刃を無警戒な背中に向けていた。
ザシュッ!
とネリーが後ろから一閃。次の瞬間に背中から血が大量に出てきた。
「ッ――!」
零は口からも血を吐き出し、その場に片膝立ちになる。
「零!」
それを見たアリアが取り乱しそうになったが、零が何か懐から取り出して地面に放り投げた瞬間、辺りが光で被われた――フラッシュグレネードか!
「キンジ……一旦引くぞ……」
予告なしで投げられたので、俺も目がやられたが、零が俺を引っ張って連れていく。アリアも一緒のようだ。
(――ちくしょう!……何も、何も出来なかった……ただの役立たずじゃないか……!)
俺は自分が何も出来なかったことに怒りを覚えつつ、零に腕を引っ張られていった……
どうでしたでしょうか?
『Sランク内最強』と謳われている零が完敗状態。このハイジャック事件、一体どうなる!?
誤字・脱字・ご意見・ご感想・質問などかありましたら、是非感想の方へ。
それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。