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では、第31話、始まります。
目を開けると、そこには知らない……いや、最近見たことがある真っ白い天井があった。
「病院か……」
俺が体を起こすと、ガララッと病室の扉が開いた。
「やぁ、起きたのかね?」
「はい」
入ってきたのは、顔にメスの傷痕がある黒髪の前だけ白髪の男ではなく、顔がカエルに似ているわけでもない、いたって普通の医者がきた。
「体の具合はどうかね?」
「悪くないですね」
「それは良かった。君のような有名人の手術をするのは緊張するからね」
「そうですか……あの、ここに見舞いに来た人はいますか?」
アリアやキンジのことが気になるのでそう聞くと、医者は少し苦笑いしながら俺の右側を指さした。
俺が吊られて指差された方を見ると、
「……うわぁ……」
と唸らざるを得ない程、見舞品だと思われる物が
流石に花などは机に置かれているが、それ以外はほとんど机に乗りきらなくて、下に置かれている。
「ええっと……医者さん」
「はい」
「俺がここに来てからどれぐらい経ってますか?」
「まだ半日だよ」
半日でこれだけとか……ヤバすぎだろ。てか、『WE LOVE 零様♡』て書いてあるTシャツとかあるんだけと。誰がこんな手のかかったことしたんだよ。
(※零は自分のファンクラブがあることを知りません)
「まぁ良いか……医者さん」
「はい」
「見舞いに来た人の中で、ピンクのツインテールの少女と、いかにもネクラそうな男子が来ませんでしたか?」
「ああ、それなら……」
医者が何か言おうとすると、ガララッと扉が開いて、アリアとキンジが入ってきた。
「(*´∀`)ノヤァ」
「零、起きたのか」
「おう」
「それじゃあ僕は出ていくね」
「あ、はい。ありがとうございます」
そうして医者は去っていった。
「具合はどう、零?」
「大分良いよ。それにしても、手術大変だっただろうな。めっちゃ怪我してたし」
「それについてはそこまでだったらしいぞ?キレイに切られてたからやりやすかったとさ」
「そうか……でも、めっちゃ血を流してたけどな」
俺がそう言うと、アリアの顔が赤くなった。何故だ?
「零、何も聞いてなかったのか?」
「何をだ」
「今回で失った血液を、アリアから輸血したんだぞ?」
「……え?」
「本当は病院が管理しているやつを使おうとしたけど、アリアが『あたしのを使って!』ってきかなくてさ」
キンジにそう言われて、俺はアリアの方を見た。
アリアは顔を赤く染めながら、自分の髪の毛をせわしなく触っている。
「え……えっと……零と血液型が一緒って覚えてて……頑張ってくれた零に少しでも恩返しがしたくて……その……」
俯きながらゴニョゴニョ言うアリア。それを見て思わずアリアの頭を撫でた。
「ありがとな」
「ッ!うん!」
お礼を言うと、アリアがとても良い笑顔で頷いた。
「ところで、俺が気を失った後どうなったんだ?」
「ああ、それは……」
気になったので聞いてみると、キンジが教えてくれた。
何でも、キンジは操縦室に向かい、剛気と連絡を取って羽田空港に降りようとした。
しかしそこで何故か剛気との通信が途絶。代わりに防衛省が通信に入ってきて、羽田空港が使えないと言い、 海の上で不時着させるように命令してきた。戦闘機の案内つきで。
だがそこで剛気との通信が戻り、防衛省はキンジ達が着陸出来ないと踏み、海の上で戦闘機で攻撃、被害を最小限にするという魂胆だった。
そこでヒステリアモードのキンジは防衛省に、『戦闘機を撤収させなければ紅電を仕向けるぞ』と脅しをかけた。それを聞いた防衛省は慌てて戦闘機を撤収させた。俺は猛獣か!
それでキンジは羽田空港ではなく、武偵高のある学園島の隣り、『空き地島』を使うと剛気に宣言。剛気は滑空距離がギリギリで雨も強いし、発煙筒がないから危険だと言うが、キンジがもう一度言うと剛気は通信を切った。『墜落したら轢いてやる!』という言葉を残して。
そして『空き地島』まで来たが、やはり何も見えない。キンジは如何に被害を最小限に抑えるかということを考えた時、突然『空き地島』が明るくなった。剛気達が
それで着陸を開始。雨のせいで距離が足りなかったが、なんとキンジは『空き地島』にある風力発電にぶつけて止めるという荒業を成し遂げ、無事生還できた、ということらしい。
「……なんか、俺が気絶している間に恐ろしいことがあったんだな」
ていうか、一歩間違えたら俺、知らない間に死んでたんだな。そう考えるとぞっとする。
「もう二度とこんなことはしたくない」
「そうね」
キンジとアリアも同じことを考えていたようだ。
「じゃあ俺はもう行くぞ。アリアは?」
「アタシはもう少しここにいるわ」
「分かった」
キンジは俺の具合の確認と報告が済んだので帰っていった。キンジも疲れてるし、部屋でゆっくりさせてやろう。
キンジが帰って数分後、アリアと何気ない話をしていると病室の扉が勢いよく開いた。入ってきたのは――
「零先輩!」
「おお、あかり「零先輩ッ!」ちゃグホォッ!?」ドスッ
名前を呼ぼうとしたらいきなりタックルされ、そのまま抱きしめられた。だから俺は腹を負傷しているってイタタタタッ!
「あ、あかりちゃんstop! stop! 俺腹を負傷しているから!」
「あ!す、すみません!」
俺が言うとあかりちゃんは慌てて離れた。
イテテ……この前はアリアにやられたし、この
「零先輩、大丈夫ッスか?」
「零先輩、ご無事ですか?」
「零様、大丈夫ですの?」
俺が腹を抑えていると、ライカ、佐々木、
「あ、ああ。大丈夫だよ」
俺がそう言うと、全員ほっとしたような表情になった。
「それで、夾竹桃は?」
「はい!無事捕まえられました!」
俺が聞くと、あかりちゃんが元気一杯にそう言ってきた。
「もう、お姉ちゃん。ココ病院ってこと忘れてない?」
と言いながら入ってきたのは、目に巻き付けていた包帯がとれ、しっかりと歩いているののかちゃんだった。
「ののかちゃん、無事解毒できたのか」
「はい」
「そっか……『独唱曲を照らす清き水』。先輩と後輩の立場が逆転しちゃったかな?」
「い、いえそんなこと!」
「でもねあかりちゃん、
俺がそう言うと、あかりちゃんはギクッとした表情になった。図星だな。
「な、何でそんなこと……」
「佐々木の怪我を見れば分かる」
そう言って俺は佐々木を見る。佐々木の体は、あちこちに包帯が巻かれていた。
「佐々木が怪我したことによって怒りを覚えて、死んでも夾竹桃を捕まえてやる。そんな感じだろう?」
「……はい」
「バカ」
そう言って俺はあかりちゃんの頭を撫でる。
「この世に死んでもいい戦いなんてない。その人が亡くなってしまったら、残された人が悲しい思いをする。だから、二度と死んでもいいなんて思ったらダメだ」
「ハイ……」
「それに、俺も悲しくなるからな」
「ハイ……ハイ!?」
ん?どうしてそこで驚く?
「え……えっと……れ、零先輩。それって……///」
「ん?何だ?」
「……いや、なんでもありません///」
「?」
不思議に思いながら頭を撫でていると……
「あかりばっかりズルいですよ!あたしも撫でて下さい!」
「えっ?」
「私もです!ていうか、私も名前で呼んでください!」
「
「じゃあ私も!」
「ええっ!?」
ライカがズイッと頭を出してきて、それに続いて佐々木……志乃や
「あんた達!一体何してんのよ!」
アリアが顔を赤くしながらそう叫ぶと……
「すみません、他の患者さんの迷惑になるので、なるべく静かにしてください」
と、開きっぱなしになっていた扉から、ナースが笑顔でそう言ってきた。ただし、顔は笑っていない。
『申し訳ありません』
全員がすぐさま謝った。てかまったく気配感じなかったけど。めっちゃ怖い。
「まったく……あの子達は……」
「まぁまぁ」
それから暫くして、あかりちゃん達は用事があると言って帰り、今は俺とアリアだけと言う状況だ。
ポスンッとアリアが俺が座っているベットの隣に腰掛ける。
「……ママの公判が延びたわ。今回の件で『武偵殺し』が冤罪だったって証明できたから……弁護士の話では、最高裁、年単位で延期になるんだって」
「そっか。良かったな」
「うん……ねぇ、零?」
「何だ?」
「これからも、アタシのパートナーで――」
「当たり前だ」
「……そう」
俺が即答すると、アリアは微笑みながら俺の肩に頭を乗せてきた。俺はその頭を撫でる。
「じゃあ、これからもよろしくね。アタシの
「こちらこそ。神崎・
――笑いあう少年少女を、窓から柔らかな日射しが包み込んだ――
To Be Continued!!!
第一章、完結!
私が執筆活動してから二ヶ月半といったところでしょうか。
読んでくれている読者さんの感想や評価を、いつも心待ちにしながらも、自分の趣味を続けられる。これって本当に素晴らしいですね。
長くなりましたが、次章もお楽しみに!
それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ