緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿田(ろくた) 葉月(はづき)(*`・ω・)ゞデス。
今気づいたんですけど、AAの4巻から5巻て、原作の小説の2巻を飛ばして3巻にいってますね。これは絡め方が難しいな……

さて、そんな個人的な話は置いといて、第33話、始まります。



33話~武偵校の日常~

(*´∀`)ノヤァ、零だ。昨日はアリアと白雪がケンカ(戦闘)をして、その後何故か仲良くなった。しかもアリアはそのまま部屋にいていいと言った。

ただでさえキンジの隣に女子がいるだけでもボコボコにする白雪が、一体どんな風の吹き回しだ?

 

「ていうかアリア、昨日からえらくご機嫌のようだけど、一体白雪と何があったんだ?」

「秘密~♪」

 

バイクで登校している最中に後ろに乗っているアリアに聞いても、アリアはニコニコしているだけで何も教えてくれない。キンジはサイドカーに乗って携帯イジッてる。

 

「まぁいいや……ついたぞー」

 

武偵高に着いたのでバイクを停める。

 

「あ、零せんぱ~い!アリアせんぱ~い!」

 

バイクから降りると、今登校してきたのか、あかりちゃんが手を振りながら駆け寄って来た。その後ろでライカや志乃、麒麟(きりん)ちゃんがゆっくりと歩いてきた。

 

「おはようございます!」

「チワッス」

「おはようございます」

「ですの」

「ああ、おはよう」

 

皆挨拶してきたので返す。

……おいキンジ、いくら女子の後輩だからってそそくさと逃げるなよ。あかりちゃんたちからも変な目で見られているし。

 

「そういえば、零」

「何だアリア?」

「いつの間にあかり達に名前で呼ばれてたの?」

 

……

 

「ああ、そういえばいつからだ?」

「自覚なかったの!?」

「いや、あまりにも自然だったから……」

 

そう言ってあかりちゃん達を見ると、見事に目を反らした。

 

「ま、まぁ良いじゃないですか!」

「そ、そうっスよ!」

「ええ、そうですね!」

「ですの!」

「お、おう……」

 

四人一斉に顔を近くに寄せてきたので、思わず身を引く。いや別に呼ばれ方は何でも良いんだけど……

 

 

 

 

 

あかりちゃん達と別れて、俺とアリアは教室に向かってる。

そういや、バスジャック以降、ハイジャックに向けての準備で忙しかったから、学校にくるの久し振りだな……

 

ガラリラッ

 

教室のドアを開けて中に入ると、さっきまでガヤガヤと煩かった音が急に止んだ。

そして、クラスの奴ら全員が俺を見る。

……え?何、俺なんかした?

 

「よーう零!久し振りだな!」

 

俺がどうしようかと悩んでいると、剛気が俺の後ろにまわって背中をバシバシ叩いてきた。そして……

 

「おう錐椰、生きていたのか!」

「ハイジャックの時に死にかけたんだろ?お前を半殺しに出来るやつって誰なんだよ!?」

「零様!もう動いて大丈夫なのですか!?困ったことがあったら何でも言って下さい!」

「『全学年の同士達に朗報!零様が帰ってきた!放課後に2-Aに集合!』」

 

ズラァッと俺のまわりに男女共に集まってきた。

……えっと、どうすれば良いかな?最初のは強襲科(アサルト)の挨拶だろうからスルーして、二つ目のは機密事項だから教えられないし、三つ目はノートとか借りようかな?

てか最後のポニテの子、トランシーバーで誰に何を言ってるんだ……

あ、担任の高天原(たかあまばら)先生が困ってる。そういや、もうHRの時間だな……後で謝るか。

 

 

 

 

 

 

「錐椰くん。ここ、いいかな?」

 

時間は映り、昼休み。がやがやとうるさい学食の中、キンジがハンバーグ定食を、アリアが持ち込みの桃まんと俺が作った弁当を食べていると、目が覚めるようなイケメン面の男が、話しかけてきた。

……ん?俺は何を食べているかって?自分の分の弁当忘れてきたから学食にしようと思ったけど、何故かクラスの女子が弁当を渡してきたからそれを食べてる。のりででっかく♡が作られていたのはびっくりしたが。これ何のイタズラだ?

 

「ああ、良いぞ不知火(しらぬい)

 

俺が言うと、イケメン――不知火 (りょう)がニコッと優男スマイルをしてきた。

不知火は強襲科(アサルト)のAランク。実はランクは何かずば抜けている物があれば高くなるが、不知火の場合はバランスが良い。格闘・ナイフ・拳銃、全ての能力が高い。拳銃はLAM(レーザーサイト)つきのSOCOMとこちらも信頼性が良い。

そして、モテる。今だってクラブサンドを乗せたトレイを置いた際に少しズレたキンジのトレイを、ちゃんと戻して謝るくらいの人格者だし。

……分かると思うが、武偵高には人格者が非常に少ない。

強襲科(アサルト)が良い例だ。挨拶で『死ね』。気に入らないことがあれば拳銃をぶっ放す&ナイフで斬りかかる。

他の科も、大抵は酷い。例えるなら、俺の幼なじみとのチャンネル争いで大型拳銃(ガバメント)をぶっ放すエリート武偵とか、好きな男子の周りに女子がいたら日本刀を振り回す生徒会長とか。

……え?好きな食べ物落とされたくらいで人を地獄に落とす奴は人格者じゃない?おいおい何を言っているんだ?俺は人外だぞ?

……話が逸れたな。とにかく、不知火は良い奴だからすぐに馴染めた。しかもキンジの数少ない友達だから、剛気と一緒に四人でいることが多い。

 

「……今なんか、失礼なこと言われたような気がするんだが」

「気にすんな」

 

だが不思議なことに不知火には彼女とか、そういうのはいないらしい。意外だよな。

 

「いよう、零にキンジ」

 

噂をすれば影が差す。

キンジの隣に剛気がトレイを持ってやってきた。

剛気は、乗り物と名の付くものなら汽車から原潜までなんでも操縦できるという凄腕の持ち主だ。キンジは『ただの乗り物オタク』と言うが。

ちなみに剛気の拳銃はメンテが楽だからという理由で回転式弾倉(リボルバー)のコルトパイソン。

装弾数は少ない&減音機(サプレッサー)がつけられないので、武偵としては人気が低い。

大人の武偵は、『銃は女』。たまに触れて(メンテして)やらないと拗ねる(ジャムる)からと言うが、俺は『銃は性格』。その人の心を映す鏡だと思う。

 

「……で、不知火、何か話があるんじゃないのか?」

「おい零!無視するな!」

「うん、実は……」

「不知火まで!?」

「うるさいぞ武藤、他の人の迷惑になる」

「キンジまで……」

 

剛気がさめざめと泣いているが無視する。

 

「アドシアードのことなんだけど、錐椰くんや神崎さんは出場しないのかなって」

「あー……」

 

アドシアードとは、年に1度行われる武偵高の国際競技大会で、スポーツでいえばインターハイ、オリンピックみたいなモノだ。

話を振られたアリア(桃まんを食べている時は静か)はモキュモキュと可愛らしく桃まんを食べ終えて、

 

「アタシは競技には出ないわ。拳銃射撃競技(ガンシューティング)代表に選ばれたけど辞退した。閉会式の()()だけやる」

()()……?」

「アル=カタのことだ、零」

 

アル=カタとはイタリア語の武器(アルマ)と日本語の(カタ)を合わせた武偵用語で、ナイフや拳銃による演武をチアリーディング風のダンスと組み合わせてパレード化したものだ。ここではそれをチアと呼んでいるらしい。

 

「キンジもどうせ出場しないだろうし、手伝いくらいしなさいよ」

「あ、ああ……音楽、か。まあ得意でも不得意でもないし……それでいいか、もう」

「あ。皆がやるんだったら、僕もしようかな。武藤君も一緒にやろうよ」

「バンドかぁ。カッコいいかもな。よし、皆でやるかぁ」

 

アリアがキンジを誘い(強制)、不知火と武藤がそれについてきた。いつの間にか全員でやるみたいな雰囲気になってるな。だけど……

 

「悪い、俺はできないわ」

「えっ?何で?」

 

アリアが驚いた顔をし、他の三人も不思議そうな顔をする。

 

「選ばれたからだよ、『対高戦(クロスカントリー)』に」

 

一瞬の静寂、そして……

 

「「「『対高戦(クロスカントリー)』!?」」」

 

アリア、キンジ、剛気が叫んだ。不知火でさえ、目を大きく開けて驚いている。

 

「れ、零。『対高戦(クロスカントリー)』て、あの……?」

「ああ、5年に一度各学校から選抜された代表者一名による、何でもありのリアルファイトのことだ」

「う、嘘だろ……三年生のSランク武偵が出場するのが各学校の暗黙のルールだろ……」

「知らん、見舞品の中に蘭豹先生からの手紙があって、何かと思って見てみたら出場権が入ってたんだよ。その横に『強制参加』の殴り書きと共に」

 

ちなみに何で三年生が出るのが暗黙のルールかって言うと、実践経験を二年間積んできた三年生相手に、まだひよっこの一年・二年が対抗できる訳がないからだ。

 

「ま、俺に言わせりゃ三年もまだまだだけどな」

「……何でだろう、失礼なこと言っているはずなのに正論に聞こえる」

 

そりゃあ事実だからな。三年だって、一人でマフィアと正面衝突したことあるやつはいないと思うし。

 

「各学校の校長が焦る顔が目に浮かぶぜ……」

「アタシはそれより、対戦相手の絶望に染まる顔が視えるわ……」

「マジかよ零……俺、こんな変人が友達だったんだな……」

「ハハハ……錐椰くん、一般の人や報道陣の人もいるから、程々にね?」

 

四人がそれぞれ違う反応をする。まぁ今は『対高戦(クロスカントリー)』のことはどうだっていい。

そ・れ・よ・り・も……

 

「おい剛気、ちょっとこい」

「へ?」

 

ガシッ、と剛気の頭を掴む。

 

「俺は別にチートやら、化け物やら、人外やらと言われても別に怒りはしないさ。だけど、変人ってどういうことだ?ゆっくりとO☆HA☆NA☆SHIしようじゃないか……」

「イ、イタタタタッ!は、離してくれ!悪かった零!謝る、謝るから!キ、キンジ、不知火助けてくれ!」

 

剛気が必死にキンジと不知火に助けを求めるが、アリアも入れて三人で合掌していた。

 

「う、裏切り者~!」

 

 

 

――その後、体育館倉庫の裏から絶叫と、何かが潰れたような音が聞こえたという。




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