お久しぶりですみまさんが、実はしばらくの間、執筆活動ができません。詳しくは活動報告の方で。今回は話も短め&後書きなしです。
では、第50話、始まります。
「……ということだ」
「いや、『ということだ』じゃねぇよ!」
(*´∀`)ノヤァ、零だ。突然だけど、『がっこうぐらし!』が面白い。めっちゃ嵌まった。
さて、今何をしているかというと、俺の部屋でキンジとシェイに昨日起きたことについて説明中だ。
白雪はいない。だって白雪に『
「……えーと、つまりだ。理子とネリーがやって来て、色々バトッた挙げ句、犯罪者の家に泥棒しに行くのを勧誘されたということか?」
「そういうことだ」
「……零、なんでそんな平然としているんだよ」
「俺だからな」
「意味分かんねぇよ!」
「まぁまぁキンジ君。少し落ち着いた方が良いよ~」
抗議してくるキンジに自制を促すシェイ。その顔は満面の笑みを浮かべている。何故かというと……
「シェイ?もうそろそろ離してくれないか?」
「あとちょっと~」
シェイが俺の
この前能力で出したはずの羽が何故か常時出せるようになったことをシェイが知ってから、だいたい朝はモフモフされているのだ。
イヤなら羽を出さなければ良いじゃないかと言われるかもしれないが……出さなかったらまるで子犬が捨てられたような顔をするため、仕方無く出している。
「モフモフ~♪」
シェイはモフモフしていて気持ちがいいみたいだか、この羽にも感覚があるため、少しくすぐったいのだ。
「……」
なお、シェイがモフモフしているとき、アリアはずっと無言&無表情なので、凄く胃がキリキリと痛む。
は、はやく終わってくれ。この年で胃薬が相棒とかイヤだぞ俺は。
なんとかシェイに離してもらって学校に着き、教室で一息つく。
「よーう、零。何か疲れているみたいだけどどうした?」
「あぁ……剛気か。自室で朝から色々とあってさ……悪いけどHR始まるときに起こしてくれないか?」
「お、おう。大変なんだな」
剛気が若干引きながらも了承していたので、そのまま机に突っ伏して寝た。
……寝ているときに横向きになり、寝顔を女子に撮られていたことは別の話である。
しばらくして……
「――い。おい零。起きろ。始まるぞ」
「……ああ」
剛気が高天原先生が来たときに、自分の席に戻る前に俺を起こしてくれた。
別にキンジかアリアに頼んでも良かったのだが……キンジは忘れる可能性が高いし、アリアは今日の朝からずっと無言。頼める訳がない。
ならシェイは?頼めると思うが、そうしたら昼休み辺りにまたモフモフされるだけだ。
「はい、HRを始める前に、皆さんに二つ朗報があります。一つ目は、4月から長期の極秘犯罪捜査でアメリカに行っていた理子さんですが……」
高天原先生がそう言った瞬間、がらりらっ。
「たっだいまぁー!みんなー、おっひさしぶりー!りこりんが帰ってきたよー!」
教室の扉が開いて、理子が廊下から飛び出してきて教壇に上がる。
クラスの奴らは理子が入ってきた瞬間に集まっていく。キンジ曰く、集まった順がアホランキング上位なのだとか。
「理子ちゃんおかえりー!あーこれなにー?」
「えへへー。シーズン感を取り入れてみましたー!」
赤ランドセルにてるてる坊主をつけていることで会話に花を咲かせている女子達。男子達も理子が帰ってきたことに喜んでいるようだ。
まぁ、理子は人気者だからな。おバカで美少女でフリフリな改造制服で金髪で。もう本当狙ってやっているとしか思えないくらいに。
……さて、何故犯罪者である理子がクラスメイトに受け入れられているのかという疑問が出てくるかと思うが、これには訳がある。
――武偵少年法。
犯罪を犯した未成年の武偵の情報は公開が禁止されている。
そのプロフィールをやり取りすることは武偵同士の間でも禁忌とされ、知ることができるのは被害者と限られた司法関係者のみ。
よって現状、理子が『武偵殺し』だと分かっているのは、ハイジャックに乗り合わせた俺・アリア・キンジと、『GOW』のネリーが絡んでいたということでシェイの四人だけなのだ。
「はいはいみなさーん。理子さんが帰ってきたことが嬉しいのは分かりますが、もう一つのお知らせを聞いてからにしてくださーい」
そのまま理子と数人の男子でヲタ芸をやりだそうとした時に、高天原先生がパンパンと手を叩く。そういえば二つって言っていたな。一体何だ……?
クラス全員が高天原先生に『空気読め』みたいな視線を送り、先生がそれで涙目になると……こんこんっ。
理子が開けっぱなしにしていた扉をノックする音がして、
「……お楽しみのとこ、失礼します」
と、
(……は?)
クラスの奴らは勿論、俺も驚いた。その隣で、シェイが「……え?」と声を漏らす。
クラスが静寂に包まれる中、黒板にチョークで名前を書き、
「始めまして。ネリー・リチャードです。以後お見知りおきを」
と少女――ネリーは言うのであった――
「……シェイ、ネリーが転校してくるって知ってたか?」
「……いや、知らなかったよ。そもそも、ネリーちゃんが『リバースランカー』じゃなくなったのだって、さっきメールくるまで知らなかったし」
「……どっちにしろ、これから騒がしくなるだろうな」
「……間違いないと思うよ」
授業が終わり、自室に戻って俺とシェイは二人揃ってため息を吐いた。
人のことをからかうのが好きなネリーのことだ。これから大変なことになるだろうな。
「……ねぇねぇ零くん」
「どうした?」
「羽出して♪」
「……イヤと言ったら?」
「……」
「分かった。分かったからそんな表情するなって」
バサッと背中から羽を出す。
シェイは羽を出した瞬間に俺の羽を抱き、「モフモフ~♪」と言っている。
「……あー、零。その、えっと……」
「言うなキンジ。分かっているから」
実は最初からいたキンジとアリア。そして羽を出した瞬間にアリアがまた無表情にこちらを見ている。
(普段表情豊かなアリアなだけに、無表情が怖すぎる……!)
この状況をどうしようかと考えていると、シェイが小声でボソッと
「……アリアちゃんを羽で包んでみたら?」
と言ってきた。そんなことで直るのか……?
試しに恐る恐る羽をアリアに近付け、包んだ。
「……!」
すると、どうだろうか。先程まで氷のような表情を浮かべていたアリアが、見る間に周りがキラキラしだした。
そして、もふっ。もふふっ。
見事に羽に食い付き、もふもふしだした。
「あー……えっと、アリア?」
「……もふもふ~♪」
――アリアもかい!
俺は心の中でそう叫んだ。
しばらくの間、シェイとアリアの間でモフモフされていたのであった――