緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも。幼稚園児と思われる女の子が笑顔で、『血祭り~♪』といって親が『お祭りでしょ~?』と笑っていたことに軽くドン引きした、鹿田(ろくた) 葉月(はづき)(*`・ω・)ゞデス。

まず最初に。

たけぞうさんに評価6。

風邪ひきさんに評価8。

太刀風の二刀流さんに評価10!

を頂きました!ありがとうございます!
また、きら@さんも評価1→4にして頂きました!ありがとうございます!

そして、アンケートを活動報告にて行っていますので、是非ご参加をお願いいたします!

それでは、第60話、始まります。



60話~雷と異変~?

(*´∀`)ノヤァ、零だ。『大泥棒大作戦』から数日間たったが、いろんなことがあった。

アリアがメイド服の格好で鏡の前でポーズとってる所を目撃したり(見た瞬間直ぐにそっ閉じした)、キンジが骨の髄まで沁みている執事(ドレイ)スキルをいかんなく発揮したり。

そんな中でも着々と仕事をこなしながら――紅鳴館(こうめいかん)の状況を調べていった。

事前に理子が調査してくれていた防犯カメラの視界を避けつつ、館内にある防犯設備や小夜鳴先生の行動パターンを観察していた。

 

(……防犯カメラの量が少なければ、小夜鳴先生の行動パターンを見ずとも能力を使えるんだけどなぁ)

 

思わず溜め息を吐きつつ、自分の部屋として割り当てられている部屋のベッドに入る。

現在の時刻は10時半過ぎ。今日は深夜2時から理子との定期連絡をする予定があるから、今から少し仮眠をとるつもりだ。

大粒の雨が降り、ゴロゴロ……。と遠雷の音も聞こえる中、意識が薄くなっていく――

コン、コンッ。

前に、部屋の扉からノック音が聞こえてきた。

誰だ……?こんな夜中に。

眠ろうとしたために頭が回らず、見当がつかないまま扉を開けようとすると……。

ピカピカッ、ガガーン!

と、先程の遠雷よりも遥かに近いと思われる場所に雷が落ちた。

 

『きゃっ!?』

 

それと同時に、ドテーン!

扉の向こうから可愛らしい悲鳴と、何かが倒れこむような音が聞こえてきた。

それで扉の前に立つ――今は座り込んでいるようだが――人物が誰か、そして何をしに来たのかが分かってしまった俺は、ガチャッ。

 

「ほら、入れよ――アリア」

 

廊下に座り込んでいる、薄いピンク色のネグリジェ姿である少女――アリアへと手を差し出した。

いつもはキリッとしているツリ目が、何かに怯えるように不安を帯びている。

体は不自然に強張っており、持っている枕を両腕で抱き締めていた。

 

「れ、零……あの、その……」

「みなまで言わなくていい。分かってるから」

 

強襲している時は鬼武偵と言われ、『双剣双銃(カドラ)のアリア』と二つ名がつくほど強いアリアだが……そんなアリアにでも、弱点はある。

その一つが、雷なのだ。

幼少の時から雷が鳴るとアリアはパニックを起こして誰かにくっつき、離れなくなってしまう。それが例え、就寝中であっても。

本人はなんとか堪えようとしたこともあったが、やはり本能には逆らえないらしく、今も続いている。

まぁ、何が言いたいのかというと……。

 

「――ご、ごめんね、零……」

「いいよこのくらい。それより深夜2時前まで体を休めるぞ」

「う、うん」

 

――いっしょに寝る、ということになるのだ。

用意されていたキングサイズのシングルベッドの中に、俺とアリアの二人がくっついて入っている。

まぁくっついているというよりは、アリアが俺の腕にしがみついている、と言った方が正しいか。

アリアがラッコのように俺の腕にしがみついているので、アリアの体温が直に伝わっている。

――まるでここにいるということを、俺に教えてくるみたいに。

 

「こうしていると、初めてアリアが雷でパニクった時を思い出すよ。近くにいた俺に抱き付こうと飛び込んできて、アリアの頭が俺の頭にダイレクト・アタックしてきたな」

「も、もう!いつの話をしているの?あれからアタシだって成長したんだから!」

 

アリアの雷の恐怖を和らげようと思い、少し軽口を叩く。

するとアリアは、ぷくぅ。

可愛らしい頬を赤らめながら膨らませて、俺を軽く睨んできた。

 

 

「どうだかな。現に今だって、俺の腕を掴んで離さないじゃないか」

「うぐ。そ、それは――きゃあ!」

 

――ガガーン!

光ってから一秒とかからずに、落雷の音が部屋に響き渡った。

完全に油断していたアリアが驚き、俺の腕をへし折りにきていると思えるくらいにしがみついている。

 

「うう~……」

 

目をギューと閉じており、体が萎縮しきっている。このままでは体を休めることなどできないだろう。

そう思った俺は、ギュッ。

アリアの頭を胸に抱き寄せて、頭を撫でた。

人間という生き物は、自分が信頼できる相手や好ましい相手、恋人などと一緒にいる時、幸せ物質なるものが発生するらしい。

それは人を安心させるもので、簡単に言えば、眠くなるのだ。

また、抱き寄せることで体を温めることができ、コチラも睡眠を促すことができる。

 

「大丈夫だ、雷はこない。だからお休み、アリア」

「……れ……ぃ……」

 

できるだけ穏やかな声で話しかけながら、アリアの頭を撫でる。

アリアはだんだんと目が閉じてきて――コクリ。

一回船をこいだ後、スゥスゥと規則正しい寝息をたてながら眠った。

これでもう大丈夫。後は深夜2時前に起こしてやるか。

胸に温かいものを感じながら、俺も意識を薄めていった――。

 

 

 

 

 

「――キンジ、理子、聞こえてるか?俺とアリアはOKだ」

『ああ、俺は大丈夫だ。理子、俺の方は聞こえているか』

『うっうー!ダブルおっけー!それにしても、アリアは何で――』

「それ以上追及するなら、それなりの覚悟をしておくことね」

「――そんじゃレイレイから中間報告よろ!」

 

現在の時刻は深夜2時。雷雲も無事遠ざかっていったところで、理子との定期連絡の時が来た。

起きた時間がギリギリだったため、アリアは未だに俺の部屋にいるが……理子が弄ろうとした時に携帯越しに理子に殺気を送るという離れ技をやってのけ、見事に本題へと話を戻した。すげぇな。

 

「……周囲の状況だが、やはり監視カメラの数が多い。俺自体が十字架(ロザリオ)の本体を確認する機会がない以上、監視カメラのないところから能力を使って盗るのは難しいだろう」

『むー、やっぱりかぁー。じゃあ次、アリアよろ!』

 

俺の情報が喜ばしいものではなかったからか、少し不満げにアリアに情報確認を促した。

俺の隣にいるため自分の携帯を使っていないアリアに携帯を渡し、携帯を挟むようにアリアと頭を並べる。

 

「……理子。あんたの十字架は、やはり地下の金庫にあるみたいよ。一度、小夜鳴(さよなき)先生が金庫に出入りするのを見たけど……青くてピアスみたいに小さい十字架よね?棚の上にあったわ」

『――そう、それだよアリア!』

『だが、地下にはいつも小夜鳴がいるから侵入しにくいぞ。どうする』

 

キンジが毛布でも被っているのだろう、ガサガサとノイズが混じりながら小声で囁いた。

 

『だからこそ、理子は三人チームに頼み込んだんだよ。超・古典的な方法だけど……「誘き出し(ルアー・アウト)」を使おう。レイレイは変わらず働きながら、周囲の状況の把握とバックアップに努めて。アリアとキーくんのどちらか先生と仲良くなれた方が先生を地下から連れ出して、その隙にもう片方が十字架をゲットするの。具体的なステップは……』

 

このように、潜入している俺達の情報を元に、理子がドロボーの作戦を修正していく、ということを繰り返していった――。

 

 

 

 

 

潜入10日目の夜――窓から、雲間に満月が見えている。

バカみたいに広く、豪華な晩餐会をできそうなくらいの食堂で、俺達は小夜鳴先生に夕食を出していた。

潜入捜査――この場合は捜査ではなく盗人だが――で最も重要なポイントは、如何に仕事を普通にこなすことができるかつきる。

 

「山形牛の炭火串焼き、今日は柚子胡椒(ゆずこしょう)添えです」

 

キンジがぱか、とドームみたいな銀のフタを開けて小夜鳴先生に見せる。

ちなみにこの料理はアリアが作ったことになっているが……お分かりだろう、実際は俺が作っている。

前に一度、俺が介入せずに理子とアリアだけで料理を作っていたが……何故か理子の髪の毛がアフロになるという珍事件が起きてしまったため、やむを得ずに俺が作ることになったのだ。

だが、俺も料理は作れるとはいえ、このような場所での食事は流石に作ったことがないので不安だったが……小夜鳴先生は実に簡単な料理しか注文してこなかった。

――串焼き肉。

なんと小夜鳴先生は毎晩、それでいいと言ったのだ。焼き方は表面を軽く炙る程度のレアで、香辛料にニンニクを使うなという注意のみ。

……一回、『食文化』というものについて小夜鳴先生に叩きこむ――教えようと思って、キンジとアリアに止められたことがあった。

まあそれはともかく、今キンジが右腕を骨折している小夜鳴先生の代わりに串から肉を抜いている。

後は食堂の片隅におとなしく突っ立って指示を待つだけ。これがバイトだったら楽なことこの上ないな。いや、一応依頼(クエスト)として扱われているけど、これ。

 

小夜鳴先生が選んできた古い洋モノのレコードが、ノイズ混じりの夜想曲(ノクターン)を奏でている。

 

Fii(フィー) Bucuros(ブッコロス)...」

 

と、月光に照らし出された庭のバラ垣を見て、気分良さそうに呟いた小夜鳴先生に――

 

Doamne(あらっ),te-ai vorbi limba romana(ルーマニア語ですか)...?“Fii Bucuros(すばらしい)”...?」

 

メイドアリアが赤ワインをグラスに注ぎながら、同じ外国語――ルーマニア語で喋った。

 

「驚きましたね。語学が得意なんですか?神崎さんは」

「むかしヨーロッパで武偵やってましたから、必要だったんです。先生こそどうして……ルーマニア語をご存じなんですか?」

「この舘の主人が、ルーマニアのご出身なんですよ。私達は、ルーマニア語でやりとりするんです」

 

と言った小夜鳴先生は、初めてアリアに興味を持ったような視線を送った。

 

「神崎さんは――何か国語、できるんですか?」

「えっと、17か国語、喋れます」

 

おっ、アリア。17か国語喋れるようになったのか。成長したな。

……ん、俺はどうなのかって?喋るだけなら全か国語喋られるぞ?読み書きだってある程度はできるし、分からなかった場合でも能力使って翻訳すればいいだけだし。

 

すばらしい(フィー・ブッコロス)!驚きですね。そしてピッタリ同じ数です」

「数?」

「ええ、あの庭のバラと」

「……あの……バラ?」

 

小夜鳴先生の視線を追って、アリアが窓の外のバラ垣を見る。

そこには大輪の、暗闇でも分かるほど鮮やかな赤バラがいくつも咲いていた。

 

「あれは私が品種改良した新種のバラで、ちょうど17種類のバラの長所を集めた優良種なんです。まだ名前だけが無かったんですが――『アリア』にしましょう」

 

深紅のバラにいきなり自分の名前を命名されたアリアは、目を丸くしている。

 

すばらしい(フィー・ブッコロス)。アリア。いい名前です。神崎さんのおかげで、しっくりくる名前を付けられた。嬉しいですよ(フィー・フエリチート)――アリア」

 

少しワインで酔ったのか一人でテンションを上げている小夜鳴先生は、ご満悦だ。

アリアはそんな小夜鳴にはその後、特に何も言わず――

メイドらしく、そばにちょこんと立って食事の時間が終わるのを待っていた。

……しかし、品種改良されたバラ、か。

 

「――くだらねぇ。何も分かってない」

「れぃ……蓮斗?」

 

ぼそりと呟いた俺に、名前を間違えそうになりながらもキンジがコチラを向く。

 

「……なんでもない。気にするな」

 

キンジにそう言いつつ、俺は小夜鳴先生が食事を終わらすまで待っていたのだった――。




はい、どうでしたでしょうか?

アンケートはまだまだおこなってますので、是非皆様のご協力をお願いいたします。

そしてなんと、お気に入り数が800を越えました!ありがとうございます!

では、私はこれから9時間バイトに逝ってきます(誤字にあらず)ので、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。

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