……いや、ホントに申し訳ありません。今回は何か忙しかったとかそういうことなしに、ただ単純にサボってました。お待ちいただいた方に謝罪します。すみませんでした。
そんな中でも、お気に入りしてくださる方、評価を入れてくださった方達には、本当に感謝しています。ありがとうございます!
ノムリさんに評価9。
魁鬼さんに評価9。
nakasukeさんに評価10!
を頂きました!ありがとうございます!
では、第3章エピローグ、始まります。
今回は長めです。
「――たっだいまぁー!りこりんが月の
『ウオォォォォォッ!』
(*´∀`)ノヤァ、零だ。朝から騒いでいるクラスだが、そんなことより後日談だ。
ブラドを打ち倒した後、理子はしばらく
「ブラドのこと――感謝はしないよ。今回は偶然、利害が一致しただけだ。それと――神崎・
アリアを初めてフルネーム、しかもミドルネームをフランス語の『オルメス』ではなく英語の発音で正式に呼び――ダッ。
ビルの屋上の縁まで勢い良く走っていく。
「
ばっ、とそのままビルから飛び降り。
パラグライダーを起動させて、港の倉庫街へと消えていった――
「――って、なんかカッコよく行ったハズだったのになぁ……」
教壇の上に乗り、ハチャメチャな躍りをする理子に、りこりん!りこりん!と一部男子が群がっている。
なんてことのない。東京武偵高2年A組の日常だ。それが今、目の前に広がっている。
アリアの隣に座っているキンジは、
そして、アリア本人は……あれ。怒ってないな。頬杖はついているけど。
「理子ちゃん元気そうで良かったね、零くん」
「……いきなり喋りかけてくるな、シェイ。他の奴らが見てたらまた俺が絡まれる」
「もう三井くん達に絡まれるからいいんじゃない?」
「お前なぁ……」
クスクスと俺の左隣りの席で笑っているシェイ。まぁ、シェイも理子の心配をしていたのだろうし、それを知れたので良かったのだろう。
……右隣りから感じる、『風穴開けるわよ』オーラが凄いことになっているが。
やっぱりシェイ、学校ではあまり話しかけないでくれ。死人が出る。アリアの八つ当たりで。
てか、さっきまで怒ってなかったですよね、アリアさん?
――そんなこんなで、アリアの怒りを何とか
「レイレイ」
校門の所で、とたた、と理子が出てきた。
「理子」
俺は驚きつつも、理子が抱きついてきたり腕組みしてきたりするんじゃないかと身構える。
が、理子は普通の女子っぽい仕草で……
俺の横に、並んできた。
「……あ、えっと……帰ろっか」
普段お喋りな理子とは思えないほど、普通の女子みたいなことを言い出した。
――その後も、歩きながら俺の方をチラチラと盗み見たり、かといって目をあわせようとすると、あっ……と小さく声を出して視線を横に
……何だこれ、凄くやりにくい。
普段とは違う理子の態度に俺も少し混乱しながら、お台場のレインボーブリッジの方へと視線を逃がす。
先程までぽつぽつと降っていた小雨が上がり、虹が架かっている空。梅雨も、もうすぐ明けそうだ。
「か……勘違いは無しだよ。理子は別に、そっちの味方になったワケじゃない」
「……なんだ理子、そのツンデレのような発言。いつものお前らしくないぞ」
――げしっ!
理子のあまりの変化に驚いて、つい口に出すと、理子の小さいアンヨで思いっきり足を踏みつけられた。イテェ!
「レイレイのぶわぁーか!もう知らないっ!」
アカンベーをしながら、とたたっ、と俺から走って離れていく理子。
――その顔は、いつものように……いや、違うな。
心の底から、理子が笑っているのが伝わってきた。
(……これで取り敢えずは、御苦労様って言っていいかな)
踏み込まれた足を
携帯から、メールの受信音が鳴った。
携帯を取り出し、表示されているのは……『理子』の二文字。
『アリアのママの弁護士には会った。
……ああ、だからアリアは理子に対して何も言わなかったんだな。
おそらくだが理子はアリアに、『かなえさんの証言をする』旨を伝えたのだろう。
それで、アリアは疑いながらも、理子のことを信じていた。だから教室では何も言わなかったんだな。
今ごろ弁護士からメールが届いて、喜んでいるアリアが容易に目に浮かんだ。
――良かったな、アリア。
そう思う一方で、もう一つの事柄が気になりはじめた。
(ネリーが俺を呼んでいる?しかもなんでまたランドマークタワーに……)
良く分からないが、行くしかない。
ぱたん、と携帯を折り畳んでポケットに入れ、ランドマークタワーへと歩き始めた――
ーside零outー
ーsideキンジー
「――で、一体これはどういうこと?」
東京武偵高男子寮の一部屋、つまり俺の部屋のソファーにあぐらをかいて座りながら、桃色のツインテールの少女――アリアが聞く。
先程まで弁護士と話していた所、急に連絡が入り、呼ばれたらしい。その顔は若干不機嫌になっている。
「それはあたしも知りたい。正直に言って、今この二人と同じ場所にはいたくない」
リビングによしかかっている金髪の少女――理子は、
勝手に俺の部屋を集合場所にし、現状居合わせるのが難しい二人を平気で呼んだ奴とは――
「もうちょっと待ってて……あ、いた。丁度皆で行動してるし、手間が省けて良かった――『
突然自分の目の前に人が通れるくらいの黒い穴を出現させ、そこに手を突っ込んで何かを引っ張り出している、黄緑色の髪を持つ少女――
――シェイル・ストローム。零と同じ部屋に住んでいる、『武偵アイドル』と呼ばれる少女。
『――うわあぁっ!』
そのシェイルに、黒い穴から引っ張り出されていたモノが、一斉にリビングの床に落とされた。
その顔を見ると……見覚えがある顔が4つと、見知らぬ顔が1つ。
「イタタ……何が起こったの?」
「あ、あかりさん、大丈夫ですか?」
「イッツ……一体ここどこだよ。さっきまでファミレスにいたはずなのに……」
「意味が分かりませんですの~……」
「うう……」
「――
そう、シェイルに引っ張りだされたのは――良く零が面倒を見ている一年生とインターン組だった。
アリアの
もう一人は、
そういや零が前、名前を言っていたような気がする。確か、
「あ、アリア先輩!何でっ!?というか、ここ何処!?」
ガバッと身体を起こし、辺りをキョロキョロとしている。
それもそうだろう、女子が男子寮の部屋を知っているわけがない……
その『普通』にカテゴライズされていないアリアは間宮達の登場に最初驚いたものの、
「零がいたチームにいるから、何かしらの
シェイルの方を向き、目線を外さない。
その目は、『つまんないことやウソついたらただじゃおかないわよ』と、言外に述べている。
「そうだね、そろそろだと思うし……キンジくん、今何時か分かる?」
「……19:05だが?」
「じゃあもう始まっている頃だね。ん……『Link』」
時間を確認したシェイルは、少し力んだ様子を見せたと思ったら……ウォンッ。
またシェイルの側に、黒い穴のようなモノが現れた。
一年生+α達がシェイルの能力に驚いている中、シェイルは穴に向かって何か言っている。
読心術で読み取ってみると……『場所・ランドマークタワー屋上に繋げて。ただし、今回は映すだけ』と言っている。
ランドマークタワー?この前ブラド・B・Gと戦ったばかりの場所じゃないか。今更何を……?
不思議に思って、シェイルのだした黒い穴を
黒い穴は段々と
その風景は、見覚えがある。というか、つい先日に見た景色。
間違いない。この景色はランドマークタワー、その屋上だ。
「――やっぱり、もう始めているね。皆も見て」
クイクイと、俺らに向かって手招きするシェイル。
それを見てアリア達も不審がりながら、ランドマークタワーが映し出されている穴を覗く。
そこにはやはり、ランドマークタワーの屋上と……
――そこに大の字で倒れている、零の姿が映し出されていていた。
「……は?」
思わず出た、というような声は、一体誰のモノだったのだろうか。
誰とも分からないし、自分が出したかどうかすらも分からない。が、この場の誰もが、その声を出していたとしても不思議じゃない。
(何で……何で、零が倒れているんだ!?)
それも、ただ倒れているのではない。
武偵服はボロボロになっており、その隙間から見える肌からは血が
――そして、倒れている零に、近付く影。それも、見覚えのある容姿。
白に近い銀髪を肩くらいまでに伸ばした少女――ネリー・リチャード。
蒼いツンツン髪で、190くらいの大柄な男子――サイア・クロニクル。
橙色の髪をボブカットにしている双子――Bと、G。
零が元リーダーであったという、『GOW』のメンバー。今俺達の前にいるシェイルを除き、全員が集結している。
だが、それはチームとして現れたというような雰囲気ではない。
『グッ……。てめぇ、ら。いったい、何のマネ……ガァッ!』
ドスッ!
零が睨みを利かせながら起き上がろうとするが、その前にネリーのストンピングが鳩尾に極められ、再び大の字になる。
「零!零!シェイ、これは一体どういうことなのよっ!?」
「へぇ、ネリーちゃん結構
アリアが映し出された光景に対してシェイルに問い掛けるが、シェイルは聞こえていないかのようにその光景を平然と見ていた。
理子は舌打ちしながら
理子は『GOW』のメンツがどれくらいヤバイか知っている。だから今零の状況が
一年組は理解していないのだろう。時々うわ言のように、「え……なんで、零先輩が……?」と呟いている。
「しかもBくんGちゃんも
「――くっ!」
ジャキッ
シェイルの耳を疑うような発言に、アリアはたまらずリビングの扉まで行きながら、自身の拳銃――銀と金のガバメントをコッキングしていた。
「――アリアちゃん、どこに行こうとするの?」
「決まっているでしょ!
「アリアちゃんが行った所で、あの中の誰にも勝てないよ。できても、BくんGちゃんに対しての僅かな時間稼ぎぐらいだよ。知ってるでしょ?『GOW』の力を」
「――ッ!」
――コイツは本当に、シェイル・ストロームなのか。
『武偵アイドル』としてメディアにも出ていて、大人気である少女。
いつも笑顔を絶やさなくて、ウチの武偵高にもすぐにファンクラブができている、あの少女が。
アリアを見ているその
「それでも……それでも、行くわよ!武偵憲章1条!『仲間を信じ、仲間を助けよ』!アタシはそれに従って、零を――パートナーを助けに行くわよっ!」
「……零くんの、パートナー、ね」
そこで、スッ――と、目線を外し。
「なら何で――
「……え?」
「アリアちゃん、今、『仲間を信じ』の方を守っていないんだよ。まずはソッチに従うのが普通じゃないの?」
「だ、だって今零はやられているのよっ!?リミッターていう何かよく分からないのも掛けたままのようだし、あれじゃ零が……」
「――アリアちゃんは何も分かってないよ、零くんのこと」
狼狽えるアリアを、一蹴。
「さっき私が『両腕の粉砕骨折』って言ったのはね。零くんじゃなくて、
「……は?」
シェイルの発言に、思わず声が漏れてしまった。
零じゃなくて、よりによってサイアの方だと?リミッターを外していた状態の零でさえ、最終的には一撃も入れられずに引き分けたほどの相手だぞ?
他のヤツらならいざ知らず、今もネリーのストンピングを受けた続けている状態からどうやって、しかもリミッターを外さずに反撃できるというのか。
「今から、零くんが勝てる理由、クイズ形式のヒント3つに分けて説明するね」
ピッと、指を三本立ててこちらに向けてくるシェイル。その目は先程の射ぬくような目線ではなく、試すような感情が浮かんでいた。
「その1、『零くんは未だに全力を出していない』。リミッターを解除している時でも、掛けている時でも」
「……何だって?零のリミッターってのは、全力を使う為に外しているんだろ?それなのにリミッターを掛けている時でも全力じゃないって、おかしくないか」
「確かにそう思われ
指を一つ折りながら、段々と喋るシェイル。
その言葉に、このリビングにいる全員が、釘付けになっている。
「その2、『零くんはとても不器用』。全然器用じゃないんだよ」
『はぁっ!?』
二つ目の指を折ったシェイルに対して、驚愕の声が重なってぶつかった。
零が器用じゃないだって?あの『万能』という言葉を
疑問の渦が巻き起こる中、シェイルは3つ目の指を折り――
「その3、『人間の誰もが持っているモノを、零くんは使っていない』。二つ持っている人も
と、言った。
(『人間の誰もが持っているモノ』……?それを、零は使っていない?)
更に、二つ持っている人と一つしか持っていない人がいる?
何だよそれ、まったく分からん。ヒステリアモードの時なら
「分からないなら、もう少しヒントを出そうか……アリアちゃん」
「……何よ?」
「アリアちゃんは、二つの拳銃と、二つの刀を使うよね。何で一つずつじゃないの?」
「何でって……両腕で使うからに決まっているでしょ」
アリアの返答に、そうだよね、と返すシェイル。
そして、くるっ。
アリアから視線を外し、目線を変えたシェイル。
その視線の先には……俺と。
「な……何ですか?」
と、シェイルを警戒しながら見ている、間宮だった。
「ねぇ、キンジくん、あかりちゃん」
「は、はい!」
「……なんだよ」
「キンジくんは左脇、あかりちゃんは右足のホルスターの中に拳銃を入れてるよね」
「はい」
「ああ」
何だ、何の話をしている。
拳銃の位置と、零の全力に、一体何の関係があるんだ。
「何でキンジくんは右脇、あかりちゃんは左足にホルスターを巻かないの?」
「何でって……それは、取りやすいからだろ」
「じゃあ何で取りやすいの?左右反対になっているだけだよね」
俺の返答に、今度は更に質問を返してくる。
「何で取りやすいかですか……?それは、あたしが
間宮がシェイルに対して答えていた、その時。
――ゴヴゥゥゥゥゥゥゥゥッ!
『キャアッ!』
思わず耳を塞いでしまうぐらいの大音量が、リビングに響いた。
まるで、何か大きいモノが倒れた時のような音。
暫くその音のせいで耳がやられていたが……やがて、少しずつ収まってきた。
「な、何だったんだ、今のは」
「――皆、これを見て」
疑問が頭に浮かんできたが、それを遮るようにシェイルが穴を見るように言ってくる。
不審がりながら、ランドマークタワーが映し出されていた穴を見てみると……
――そこには、何も無かった。
先程まで見ていた、ランドマークタワー屋上の景色ではない。ただ高い空の光景が広がっているだけ。
「おい、シェイル。さっきまでの光景を移せよ。あのランドマークタワー屋上の」
「何言っているの、キンジくん?これが、
「……は?」
「だから、さっきまでと同じ位置にあるの」
「じゃ、じゃあランドマークタワーと、零達は?」
「――零くんがランドマークタワーを跡形もなく壊しただけだよ。リミッター掛けた状態のパンチ一発で。サイアくん達も吹っ飛ばされているだろうし、零くんは追いかけて行ったんじゃないかな?大方、ネリーちゃんが零くんのペンダントに触れようとしたからじゃないかな?」
……おい。一体何を言っているんだ、コイツは。
何もない景色がランドマークタワーがあった場所だといい、それを零が粉々にした?リミッター掛けた状態でか?
――ランドマークタワーは、296メートルの巨大ビルなのにかっ!?
ありえない。ありえる訳がない。
だが……それを語るシェイルの顔は、いたって真剣そのもの。
ということは……本当なのだろう。人間の拳が、巨大ビルを粉々にしたという事実は。
だが、今までの零を見てきたが、流石にビルを素手で壊すような力は出してなかった。せいぜい、ブラドの攻撃を軽く受け止めることができたぐらい。
それなのに、何故……?
「――さっきのクイズの答えだけど、あかりちゃんの返答がそれだよ」
と、先程のやり取りを持ち出したシェイル。
「――『利き腕』。それが、さっきの答え……キンジくん。零くんが拳銃握るときって、どっちの手?」
「……右だ」
「お箸を持つのは?」
「右」
「零くん必殺の踵落としは?」
「右、だ……」
「さっきのヒントその2、『零くんはとても不器用』――」
――まさか。
いや、待て。
俺はある、一つの可能性を思い付いた。
だが、それがもし本当なら……
「キンジくんが気付いたようだから、言うよ――零くんは、『左利き』なの」
……マジかよ。
人間は、利き腕と利き腕じゃない方に、大なり小なり差はある。
一番簡単に言うなら、
だが、不器用な人でもレベルが高ければ、利き腕じゃなくても普通の人と同じぐらいの力になる。一プロ野球選手で、利き腕で150㎞以上投げる投手が、利き腕じゃない方でも130㎞出たという話を聞いたことがある。
だが、零はそんな次元じゃない。
零は不器用だから、利き腕じゃない方だと――『Sランク内最強』
ここにいる誰もが呆気に取られるような衝撃の発言。
「そして、零くんが全力を出すときは決まって1つ。キンジくんなら、分かるんじゃないかな?」
そんな中、シェイルは俺に更に質問を重ねてくる。
零が全力を出すとき。それは今の俺でも分かる。
――
さっき、シェイルは零のペンダントがどうこうと言っていた。
忘れもしない、4月のハイジャック。そこで黙ってシェイルの話を聞いている理子が、俺達に仕掛けてきて、飛行機から飛び降りた後。
負傷した零の代わりに運転するということで、零から話を聞いている最中に――銀色の外見をした、綺麗なエメラルドのようなものが埋め込まれていたペンダントを目撃している。
中身は見ていないが、恐らく『
「ねぇ、みんな。聞きたいことがあるの」
こちら側が何も喋らないなか、シェイルは……
「――零くんの過去、知りたい?」
全員の顔を見渡しながら、そう言った――
To Be Continued!!!
はい、どうでしたでしょうか。
最後の終わり方のとおり、次の章は零の過去編!オリジナル章となっております。
はたして零はどうやって『GOW』に入ったのか、
キンジやアリア、その他現在ではまだ出てこないハズのキャラ達の子供時代も!
そして、お気に入り数900件突破!評価者数60件以上!本当にありがとうございます!
それでは、次回は『Sランクの頂き』オリジナルキャラのプロフィール集です!是非見てください。
それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。