球磨川禊の幼馴染 作:めだかボックスアニメ3期まだですか
神水姉妹に生徒会への『別れのご挨拶』を頼み、これまた後輩の
ただし、合同ホームルームとは一口に言っても、しかし面と面とを突き合わせているわけではない。僕が向き合っているのは、
ちなみに僕の隣には生身の零度ちゃんが控えている。この会議の議事録を作成しておいてくれるらしい。いやあ、出来た幼馴染を持つと色々と話が早くて助かるね。
『えー、そういうわけで、議長は暫定的にこの僕、球磨川禊が務めますね!』
「書記の神水零度です、よろしくお願いします」
そう言ってぺこりと頭を下げる零度ちゃん。別にビデオ通話でもないというのに、やはり律儀な子だねえ。
と、そんな風に簡潔な自己紹介を終えたところで、着席する零度ちゃん。ふうん、いつもの
零度ちゃんが着席してから、数秒。
まず話し始めたのは、僕が旧校舎の奪取を依頼した、怒江ちゃんその人だった。
「……すみません、球磨川さん。私が旧校舎の奪取に失敗したばかりに、新しい教室を用意できなくて」
『気にしなくていいんだよ、怒江ちゃん。それにきみも、何だかんだで酷い目に遭いどおしだしね──』
めだかちゃんの実兄、
善吉ちゃんはまああってないようなものだから省いたとして、そして
あの三人を同日に相手取り、ほとんど無傷で帰還していることを考えれば、怒江ちゃんも中々の
──触れたものを何でも腐らせる
使い手というよりは、
いや、だってほら。
この子、
『──ともかく。マイナス十三組全員が揃うまでは、この手狭な二年十三組の教室でも事足りそうだし……こうしてたまり場を作る分には都合が良かったな。ナイスアイディアだったよ、
「……いやあ。思いついたこと言っただけですよ、あたしは。あひゃひゃ!」
不知火半袖ちゃん。不知火理事長の孫娘だということだったのだけれど、いやはやしかし、この子も中々の
不思議な子だよ、本当に。
その化けの皮も、いつかは剥がしてやりたいところだけど。
『……で、現在登校している十三組生は
「えーそうですその通り。雲仙先輩が入院中の今──」
「すみません、異議を申し立てます」
がたっ。突如として立ち上がり、不知火ちゃんの話を遮る零度ちゃん。口はへの字に結ばれており、不機嫌さを隠そうともしていない。
こういう零度ちゃんの表情を見るのは珍しい気がするなあ。脳内フォルダに保存して、いつでも見返せるようにしておこう──つってもまあ、僕の脳の容量などたかが知れてるんだけどさ。ほら、僕って要領悪いし。
「不知火さん、先ほどから『登校している十三組生は二人だ』と仰っていらっしゃいますけど、しかしこの私をカウントしていないのは──」
「えっ? いやいや、神水さん……あなた今は
「ああ、そういえばそうでした──
一つ謝罪をしてから着席する零度ちゃん。その立ち振る舞いも堂に入っていて、どうにも
まあ当然なんだけどさ? 何せ、零度ちゃんは
……いやあ、しかし、それにしても。
幼馴染とはいえ、その辺り、やはりまだ謎が多いなあ……。
「話を続けますと、雲仙先輩が入院中の今、授業に出ているのは現生徒会長の黒神めだかと、
『ふうん。前生徒会長、ねえ──確か、その日之影くんとやらのことは、
「うーん、それもいまいち語弊があるというか、つまり誤解があるというか……。要するに日之影先輩は、
『…………零度ちゃん、ヘルプお願いしていい?』
いっそ情けない話だ。
噛み砕いて説明してもらってもいまいち分からなかったから、可愛い幼馴染の後輩に更なる要約を依頼するだなんて。
でもまあ、零度ちゃんは
「つまりですね──
『ふうん、なるほど、概略は掴めてきたぞ。つまりその日之影くんとやらは、
「ええまあ、神水さんの説明で概ね間違いないし、球磨川先輩の認識でおおよそ正しいですよ。あたしの説明が下手くそだったみたいで落ち込みますけどね、あひゃひゃ!」
不知火ちゃんには悪いことをしたなあ──と、ほんの少しでもそう思えれば良かったのだけれど。
説明が分かりづらいのが悪い。
だから、僕は悪くない。
『まあいいや、説明ありがとう二人とも。となると、そうだなあ。新旧生徒会長がコンビを組んでしまうと、僕達としてはかなり困るんだけど』
「ああ──まあ安心してくださいよ、球磨川先輩。心配しなくても、その二人が手を組む可能性は
『……へえ? そりゃまたどうして──』
どうしてそう言い切れるのかな。
僕がそう言葉を放とうとした瞬間。
『──え』
振り返ろうとして、しかしそれは未遂に終わる。それは何故か?
理由は単純、
直後グシャアッ!! と音を立てて教卓に埋没する僕の顔面。
すわ冥土ちゃんがまた欲求不満に陥ったのか、とも思ったけれど、この圧迫感は、冥土ちゃんのそれではない。
間違いない! この
……とはいえ、人違いだったら怖いし。
念のため、確認は取っておこうかな。
『えーと、誰?』
「
「ねー! あたしの言った通りでしょ球磨川先輩、
「……へえ、一人で軍隊と、ねえ……」
息をつく間も無く、僕の身体を持ち上げ黒板に叩きつける日之影くん。背中が痛いったらありゃしないぜ。
思わず『う、わあぉ、猛烈ゥ──』なんて、そんな言葉を吐いてしまう始末。
「今からお前を五十回殴るからよー」
拳を握り込みつつそう言い放つ日之影くん。流石に前生徒会長、僕なんかとは膂力も大違いだ。
このまま僕は、殴り飛ばされるんだろうなあ。最低でも、宣言通り五十回は。
「五十回歯を喰い縛りなー」
それは嫌だなあ。
いや別に、殴られるのは構わないんだぜ? 慣れっこだしさ、今更そんなの。
何が嫌かって、ほら、僕はこの状況で『
冥土ちゃんの目の前で、まさかあんなものを使うわけにはいかない。
それこそ僕は、五十回どころではなく、何千何万何億何兆何京回と
それだけは嫌だ。
僕自身のためにも──冥土ちゃん自身のためにも。
「あ、せーの、
……ああ、本当に情けない。
僕の脳みそでは、この状況を打開する方法なんて、一つしか思い浮かばねーや。
情けない僕は、口を開く。
『……零度ちゃん』
「はい、何ですか? 禊おにーちゃん」
『
眼前には、振り下ろされる日之影くんの拳。
僕は来たる衝撃に備え、目を瞑り、そして。
──1秒経って。
──2秒過ぎ去り。
──3秒待ったのに。
僕の頭蓋に、日之影くんの巨拳が到来することはなかった。
「──
そうだよな、きみなら、
僕のことが大好き過ぎる冥土ちゃん。
大好き過ぎて、
「
「ぎゃはっ、ぎゃはははっ、ぎゃはははははははははははははは!! なあおいてめえよー、一体誰の許可得て禊お兄ちゃん殴ろうとしてんだ、殺されてーのか?」
日之影くんと冥土ちゃんには、体格差なんて言葉では言い表せないほどの差が存在しているというのに。
それでも冥土ちゃんは、
「──そんじゃ、お望み通りに冥土送りにしてやるよ」
獰猛に微笑み、啖呵を切って。
虐殺を開始した。
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