進化と学習と愛   作:SGMY

1 / 3
それの目覚め

この世のどこかにある山の中にある原型がもうない廃墟、その地下にある棚に厳重に封をされた瓶があった。

その近くでは工事が行われていた。ショベルカーが土をすくい、近くのトラックの荷台に土を入れていく。その近くで地面を固めるために数人の作業員がタンピングランマーを使って地面を震わせていた。

小さなその振動は古く脆い廃墟を大きく震わせ、棚にあった瓶は床に落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本のとある場所、真っ暗な部屋で朝七時を示す小さな目覚まし時計が電子音を出して隣に眠る人物に目覚めろ、起きろ、時間だ、と音の主張はどんどん強くなっていく。ようやく目覚めたのかとその人物は布団の中で動く。しかし数秒動いてまた止まる。目覚まし時計は諦めてしまったかのように音を止めて静かになった。

部屋は静かになり、外の鳥の声がよく響く部屋になった。

 

そこへドドドっと誰かが足音を立てながら部屋へとやってくる。ゴンっと音がした後、扉が開いてグレーと紫のグラデーションがかった髪の少女が入ってくる。

 

「さっさと起きなさあーい」

 

丸くなった布団をめくりあげてその人物を露にする。目を瞑って起きない彼、名を心野永進(シンノ・エイシン)という。彼を起こしに来た少女は藤野ショウカという。ショウカはカーテンを開き、太陽の光を部屋へと招き入れる。それはちょうど永進の顔へと直撃する。

 

「ぬおおおおおおおおお!!!」

 

目を抑えて影へと転がり込む。しかしベッドの上に影はなく、逃れるためにベッドから落下して大きな音を鳴らした。ショウカはしゃがんで落ちた永進を見下ろし、背中から落ちたようで背中をさすりながら永進はショウカを見上げた。

 

「おはようエン」

「おはようショウカ。もっと別のおこしかたをだな...ん?」

 

永進は見上げてすぐにとあるものを目撃してすぐに目を逸らした。彼女は自分の姿を理解してないのだろうか。学生服でスカートの丈が短いというのに。

 

「大丈夫、エンになら見られてもいい」

「俺何も言ってないぞ?!」

 

永進はすぐに立ち上がり、布団をもってベッドに戻ろうとする。しかしショウカはそれを見逃さず、エイシンの手を掴み静止させる。

 

「二度寝すると遅刻するからダメ。ご飯も冷める」

「今日の朝ご飯は何?暗黒物質?」

 

しぶしぶ|住処(部屋)から出て洗面台で顔を洗い、すぐ傍で待つショウカに朝ご飯を聞く。ショウカは履いていたスリッパで頭をスパーンと叩いていた。叩かれた部分を抑えながら振り返るとまったくわらっていないショウカがその眼を鋭くして永進を睨んでいた。どうやら朝ご飯は暗黒物質ではないらしい。

 

「今日はシラカバの樹皮」

「は?」

 

シラカバの樹皮って食べれるの?っていうか食べれたとして売ってるものなの?

本当に樹皮が置かれているのか一応リビングへと向かう。リビングにあったのはカップラーメンで最近SNSで流行っている闇鍋ラーメンだ。

 

「樹皮じゃないのかよ」

「嘘。そんなに樹皮食べたかったの?アレは乾燥させて粉末にしてパンにかけるものだよ?」

 

俺のびっくりする顔を見てからショウカは椅子に座り、闇鍋ラーメンを作り始めた。永進も椅子に座って闇鍋ラーメンを開封する。ショウカは最近このラーメンばかり食べている。このカップラーメンはすべての商品の中身がバラバラで何が入っているのか誰も知らない。嫌いな食べ物があっても自己責任だ。一応アレルギーを持つ人のためにすべてのアレルギー物質を記載し、食べないことを推奨している。もし食べてしまっても自己責任だ。

 

「うひゃ!.....唐揚げが入ってる。当たり」

 

不思議な声を上げるショウカはこのラーメンでその日の運勢を決めている。そしてさっきの変な声出してたから今日は好物が入ってるから当たりらしい。ウッキウキでお湯を入れに向かった。

 

「あれ、さっきご飯が冷めるみたいなこと言ってなかった?」

 

聞こえてないのかショウカの返事はなかった。聞こえないほど好物が入ってたことが嬉しいのだろう。

そんなショウカを横目に自身の目の前に置かれているカップラーメンの蓋を開ける。しかしカップラーメンの中身はなんもなかった。見えないだけかと蓋を全部めくるけど麺と粉末スープ以外入っていなかった。

 

「なんだこれ?」

 

野菜もない、コーンもない、もやしもない、チャーシューもない、海苔もネギもチーズもお菓子もない。今までこんなことなかった永進は呆気に取られていた。携帯を取り出し今まで具がないラーメンが出たのかどうか調べる。だが検索にヒットするものは何もなかった。

 

「エンのカップ、なにも入ってない」

 

お湯を入れて戻ってきたショウカはカップを置いて永進のカップを手に取りお湯を入れに行った。永進は今のうちにショウカのカップラーメンを食べようかと思ったがこれを食べてしまうと今日のショウカの機嫌が地の底に落ち、数週間口を聞いてくれなくなるのでやめておく。

待っている間にテレビをつけてニュースなどの情報番組を探す。

 

『____7時30分になりました。今日は3万8000年4月19日月曜日、本日のニュースです。今朝方、|瀧中多山(タキナカタヤマ)にて大規模工事中に古代遺跡を発見したとの情報が入りました。中は研究所となっておりあの日、世界を恐怖の底に落とした破壊獣アシュニティのことについての研究が____』

 

「瀧中多山って確か近くの山だったっけ」

 

俺はテレビの音に耳を傾けながら今日の歴史の授業の予習をしておく。

 

ある日突然地球の外の空間に穴が空いた。科学者や研究者達はあれはブラックホールだと考え、地球は滅亡するとそう言われた。

それは今から3万5998年前―――2002年の夏の出来事だった。いくつもの陰謀論や終末論が考えられてきた。そんな世界が混乱していた時、とある子供が夢を見たそう。あの穴から怪獣が現れて世界は滅亡すると。だが誰もがただの子供の夢だ、そんなことは起こらない、現実的じゃない、そう言われた。しかしそれは奇しくも現実となった。一体の怪獣が現れた。その怪獣が現れてから大規模な火山の噴火、異常な量の竜巻、頻繁に発生する地震、その他全ての災害が異常な発生を始めた、怪獣は現れただけで人、家、街、国を壊した。どの国もが戦力を掻き集めて怪獣の討伐にかかった。

 

しかし怪獣には一切の攻撃が効かずただ食料、燃料、人が減っていくだけだった。人類が何をしたのか、我々が何かを犯してしまったのか。誰もがそう思っていた。このまま人類は滅亡してしまう。そう思っていた。とある電波塔の近くまで来た怪獣は破壊活動をやめて電波塔に触れた。

世界中のシェルターで勝手にラジオが動き出し、とある言葉を残した。

 

『ワタシハ あしゅにてぃ コノせかいノ めんえきりょく デアル』

 

後にアシュニティとして名を歴史に刻まんだ怪獣は地球を汚染する|バグ(人類)の排除が目的であると語られた。一度全てを終わらせて地球という惑星を1から作り直して新たな生命を誕生させるつもりだった。

ある日怪獣の肉片らしきものが発見された。それがどういう経緯で落ちたのかはわからなかった。だが世界的に食料が不足している状態ではその肉は研究対象ではなかった。

 

これが全ての始まりだったのかもしれない。とある人が怪獣の肉を食べた。その人は怪獣が来ると夢を見た少年だった。少年は短期間で驚異的な力を手に入れた。その力を行使して怪獣と戦うことができた。ようやく希望が見えた。それを見た怪獣はまだ人類に価値があると判断し自身の体を霧となり雲となり世界を覆った。それからしばらくの間雨が振り続けた。

それからだ。人類は超常的な能力を得た。これを人類はまだ生きていいともっと強く生きろと怪獣からの贈り物だと誰もが考えた。その超常的な能力を得た人類による復興作業は待たたく間に終わった。人類みな幸せを取り戻せた。そう思っていた。

それから十年、一部の人間が自我を失い暴れる事件が勃発した。竜巻、噴火、地震、再びあらゆる災害が人類を襲い、この力は『|怪獣ノ枷(カースニティ)』と呼ばれるようになってしまった。

 

度重なる暴走はやがて世界中を震わせ、世界の膜を破いてしまった。それによりアニメやマンガでお馴染みの『異世界』が顕になる。それが何度も続き幾つもの異世界が見つかり、繋がり合って今の俺達がいる世界『セブァンルド』が誕生した。

ちなみに闇鍋ラーメンに使われている保存技術は異世界によるものだったりする。

 

 

冷蔵庫に入っている具材をいくつか入れて戻ってきたショウカが戻ってきたので今日の授業の予習はここらで終わっておこう。

 

ショウカと共に朝ご飯としてカップラーメンを食べる。朝からラーメンはどうなんだと思われるが俺たちに料理はできない。目玉焼きすらまともに焼けない俺たちはカップ麺や冷凍食品でしのぐしかないんだ。

 

「さっきニュースで言っていた研究所って怪獣の研究所なの?それとも怪獣ノ枷の研究所?」

「両方だとよ」

 

ショウカの問にさっき聞いていた情報をそのまま教える。

 

『____続いてのニュースです。第二世界『ファクタラウト』のカヌヴァエル王国第3王女がこの第一世界『アース』の高彩松高校に留学するとの発表があり、続くように第三世界『ロイドガクファクト』の|戦乙女型(ヴァルキリータイプ)____』

 

そこでリモコンの電源ボタンを押してテレビを消し、おのおの学校へと向かう準備を始めた。と言っても制服に着替えるだけなのでぱぱっと着替えて学校へと向かう。

 

玄関先でショウカは軽く挨拶をしてそそくさと歩いていった。俺も時間を少しズラして学校へと向かう。

俺達が通う高彩松高校はここから30分ほど歩けばつける距離にあってここらじゃ有名な異界人と交流を持つ数少ない高校だ。

 

学校近くのため友人同士や恋人同士で話し合いながら登校してる生徒が多い。非常に多い。どれぐらい多いかと言うと―――

 

「やぁ二人共!おはよう!」

「あ!おはよう!」

「お、遅いじゃないの!」

「ははは、ごめんね」

 

目の前の両手に花状態の男が5組いるぐらい多い。

 

「ちぇっハーレム野郎は今日も両手に花を持って登校か」

「いいな〜俺も両手に花とかやってみてー!」

 

この第一世界『アース』は多くの異世界人が住んでいる。基本住んでいる世界や国のルール、法律を守るのが一般的だが一夫多妻なんて世界もあるためこっちの世界も一夫多妻制だったりする。ちなみにそのせいで人口はどんどん増えていっている。

 

「ちょっと!わたしじゃ不満ってこと!?」

「それは…うん、酷いよタルカーフくん」

 

さっきハーレム野郎を見て羨ましがってた男子組がそれぞれの彼女に聞かれていたみたいで質問攻めにあっている。これ、実はいつもの光景なんだ。

 

「よっ!エン!」

「相変わらずハーレム野郎はお熱なことで羨ましい」

 

そうこうしてると知り合いAが話しかけてきた。ツンとした耳に長い銀髪を持ち高身長の男。コイツはアーカル・ドフールという名前でエルフで第二世界から第一世界に移住した異住者だ。見た目は物凄く綺麗で後ろだけ見ていると女性と間違われることが多いらしい。

もう一人は犬耳が生えた低身長の獣人のワーフド・ルガナーマ。同じく第二世界からこっちに来た異住者だ。

 

「よっす二人共」

「今朝のニュース見た?」

「あれでしょ?近くの山で大昔の研究所が発見されたってやつ」

 

アーカル・ドフールことアカドルは今朝のニュースについて話し始めた。ワーフド・ルガナーマことワーマが発見された研究所のことだろうとアカドルに答える。俺も研究所の話だろうと思ったが違うとアカドルが言った。

 

「第一世界に六世界のビッグな人達が留学してくるんだと!しかも俺達の高校に!」

「え、マジ!?」

「あ、そっちか!」

 

どうやらアカドルとワーマは知っている話らしいのだが俺は全く知らない話だった。

 

「研究所発見の後に言ってたぞ?もしかして見てないのか?」

「見てないかも」

 

思い返せば確かにニュースで第二世界の〜って言っていたような気がする。ショウカはその事を知っているだろうか。

 

「しかも来るのは全員お姫様と来た!」

「女子全員がお姫様なわけないだろ」

 

アカドルの期待にワーマがツッコミを入れる。アカドルが言うには女子だけじゃなく男子もいるとのことだ。こういう時に来る男ってだいたい問題を持ってそうな気がする。

 

「あ、ちなみにお姫様達は来月から来るらしいぞ」

「この1ヶ月中にお出迎えの会とか計画されそう」

「なにお出迎えの会って」

 

そうして他愛もない話を二人と話、気付けば学校の前まで来ていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。