真っ暗な世界で意識が目覚める。これは夢だろうか?体の感覚はないけど浮遊感と冷たい空気を感じる。
「…!」
なにかが聞こえる。物凄く小さいけど聞き覚えのある声だ。
「な……!」
小さかった声が次第に大きくなる。
「な………よ!」
「なんでだよ!!」
声が響く。後ろに振り返ると俺がいた。俺なのは間違いないけど何処か違う俺がそこにいる。
「なんで!成功しないんだよ!」
俺に近付き手に持っているものを見た。
(え…)
ショウカがそこにいた。血だらけで傷だらけで目を空けたままオレの腕の中で眠っていた。それを見て俺は直感した。
このショウカは死んでいるんだ。周りを見れば見知らぬ少女などもいる。みんな倒れていた。着ている服も鎧も、武器もボロボロでそこで何かの戦闘が行われていたのは確実だろう。
「俺に…!もっと力があれば!!」
振り返ると俺はショウカを降ろし、腰についてる腰巾着から真っ黒の石を取り出し、それを自身の身体へ―――
(ダメだ、意識がどんどん…)
次に目が覚めた時はソファの上だった。近くで何かを言い合ってる声がする。
「ショ…ウカ…?」
ショウカは俺が起きたことに気付き、すぐに駆け寄ってきた。
「ごめんエン!急に攻撃しちゃって!」
すぐに謝罪してくるショウカとその後ろにいる何かを交互に見る。
「後ろのアレ、説明してくれる?」
「うん。今日、学校からの帰り道にこの子が倒れていたの」
そう言い(ソレ)を持ち上げる。見た目はジェル状の何かで中に魔石があるのが見える。半透明のソレはプルンと震えてまるで謝罪するかのように体を低くした。
「それ、スライム…だよな?」
スライムとはこの第一世界以外の全ての世界に存在し、弱肉強食の一番下に位置し、何処から来ていつから存在するのかも分かっていない謎多き生物だ。一部の人達からは《生物としての失敗作》《未完成の生物》なんて言われている。
「よく誰にも見つからずに家に持ち込めたな」
俺がそう聞くとショウカはスライムの頭に触れる。そうしたらスライムがショウカの手に吸収されていった。
「え!?」
「こうすれば誰にもバレずに持ち歩ける」
吸収されたスライムはショウカの首元からプクッとその体だけ出す。
(どういうことだ!?スライムにこんな能力があったなんて一度も聞いたことがない!)
ショウカがスライムを吸収したわけではなく、スライムがショウカの体に纏われていると言ったほうがいいだろう。
「この状態ではスライムの意識も反映されてるっぽい。さっきエンに攻撃したのもスライムがエンを敵と判断したからだと思う」
(スライムが防衛!?ただ魔物に食われるだけのスライムが!?)
明日図書室でスライムに関する本を探そう。そう思った。