アグリアス・オークス(17歳)
聖アトカーシャ王家近衛騎士団所属の女騎士。王女オヴェリア護衛の聖騎士としてオーボンヌ修道院時代より付き従う、一の臣下にして腹心。戦雲を避けライオネル城への退避を提案し、「ライオネルの試練」に遭遇する。その様を表した宗教画『いと高きライオネルの試練にうち克つ摂政宮』においても、王女の近臣として最も至近に跪く、まるで男のような姿で描かれている。
これは生家のオークス家で男として育てられたために、男そのものの姿をしているとされる。
家伝の流派を持ち、それは激しいDVを伴うものであったとされるが、詳細は不明。
王女はこの人物のことを"アルガス"と呼んでいたと伝わるが、これはアグリアスの愛称であろう。
一説によるとこの人物の本名はアルガス・サダルファスであり、ランベリー近衛騎士団の副団長を務めていた人間であるとされるが、王女の近臣である必然性がなく現在の学説では否定されている。
ラヴィアン・アリシア(16歳)
聖アトカーシャ近衛騎士団所属の女騎士。アグリアスの配下としてオヴェリアの護衛騎士を務め、ライオネル城にて「ライオネルの試練」に立ち会う。アグリアスに続いて跪く姿が絵画へ残されており、当時の貴族には珍しい栗色の髪と目の乙女として描かれているが、これは王女の威光の前には貴族の権威も色褪せるさまを示す宗教的意味合いが含まれる、とされている。
護衛隊長アグリアスの家伝を継承し、激しいDVを日常的に受けていたとされるが詳細は不明。
また当時の騎士団の記録によるとラヴィアンとアリシアというそれぞれ別々の人物が在籍していたとあるが、これは当時横行していた給与の二重取りを行うため、同一人物が姓と名で別々に登録していたものであろう。
一説によるとこの人物の本名はティータ・ハイラルであり、馬飼いの娘であるとされるが、そもそも馬飼いがその場に居合わせるのが不自然なため現在の学説では否定されている。
メスドラーマ・エルムドア(36歳)
ランベリーの領主にして侯爵。
「銀髪鬼」の異名を取った武人で、異端審問官の資格も持つ。
「ライオネルの試練」のきっかけとなった、当時の筆頭上級異端審問官ザルモゥ・ルスナーダとの連署による異端審問請願が有名であるが、王女オヴェリア入城直後にこれが行われている点からみて、隣領ランベリーの領主と異端審問局(当時)が共謀し、時の領主アルフォンス・ドラクロワ枢機卿を近臣ともども排除し、王女オヴェリアを傀儡とした領地乗っ取りを企てたーーというのが現在の学説の主流である。
絵画ではアグリアス、ラヴィアンに続く三番目に王女へ跪いている。これは王女を傀儡としライオネルを私物化しようとたくらんだものの、その威光の前にひれ伏し、以後は心を入れ替え、摂政として王都へ移るオヴェリアの忠実な側仕えとして務めたからであるとされている。
豆のスープを好まなかったと伝わる。
オヴェリア・アトカーシャ(16歳)
先王オムドリアⅢ世の異母妹にして養女。王位継承者の一人。
オーボンヌ修道院にて先王の訃報に接し、継承権争いを避け教会領のライオネルへ避難するも、そこで「ライオネルの試練」に遭遇。手づから"悪魔"を倒した功により、異端審問会とランベリー領主エルムドア侯を味方につけ、その武力を背景に自ら摂政に就任した。
この"悪魔"とは何かーー現在でも論争が続けられているが、おそらくーー枢機卿を廃してライオネルを分け取りにし、オヴェリア自身をその傀儡として祀り上げようと試みた、異端審問局とランベリー侯を説得し、改心させることで……その心の"悪魔"を討ち滅ぼしたのだ、という解釈が主流となっている。
ラッド(16歳)
絵画の中で倒れている美貌の女性。絵画内に記名がなく、長らく氏名不詳の人物とされていたがーー先年、当時のライオネル城内に居合わせた人物の証言記録を照合し、所在のわからない唯一の人物名がこれであったことから名前が判明した。
眠れる金の髪の令嬢として、筆致を尽くされ大変な美貌として描かれている。これは「ライオネルの試練」において人の子を試す聖天使が降臨した依代となったためであるとされている。
この直後に異端者ディリータに連れ去られ、何処かへと姿を消したと伝わる。
ディリータ・ハイラル(17歳)
もとはオヴェリア護衛に雇われた傭兵で、やがて付き従うようになるが、のちに異端者となる。
「ライオネルの試練」の直後、上述のラッドの身柄をめぐって対立したため、異端審問官ザルモゥ・ルスナーダにより異端を宣告された。
ただし試練により法廷が破壊されていたため、釈明に一ヶ月の猶予を与えられたが、結局戻ってこなかったという。
ラッドともどもその行方は知れない。
前述のティータという馬飼いはこの異端者ディリータの妹であるとされるが、おそらく架空の人物である。
ラムザ・ルグリア(17歳)
武門の棟梁べオルブ伯爵家の三男。
戦闘に巻き込まれた妹の処刑への抗命から家名を剥奪される。
兄らの率いる北天騎士団の出奔後は、神殿騎士団に協力し、王位継承権争いの中で王女オヴェリアの身柄をめぐり、アグリアスらと激しく争った。
当時の教皇フューネラルⅣ世の戦略として、王女をゴルターナ公へ差し出しラーグ公と対等な盤面を作らせ、さらにラムザに北天騎士団への離反を呼びかけさせ戦力を割らせる計画があったとされている。だが、ゴルターナ公陣営への王女送致に失敗したため頓挫。教会陣営からも放逐されたものと見られ、その後の行方は不明。
ただし最近の研究では、ラムザには独自の目論見と計画が存在しており、そもそもゴルターナ公へ王女を届ける気ははじめからなかったともされている。
アルガス・サダルファス(21歳)
ランベリー近衛騎士団所属の騎士見習いにして副団長。ランベリーのルオフォンデス出身。
旧骸旅団の人員をランベリーの屯田兵と招き入れる計画が頓挫、約半数の武力蜂起を招く。
これらを慰撫し食客として囲わざるを得なくなったため、その人材を利用した冒険者派遣業を始めて財をなすが、屯田兵への食糧支援で貧窮するランベリーへと大量の外貨を投入する結果となり、実質的な領主、実質的な反乱軍の首魁と見做されるようになった。
このときは侯爵の近衛として随行していたものか、『いと高きライオネルの試練にうち克つ摂政宮』にも、後方で呆然と立ち尽くす姿が小さく描かれている。男性ながら長い金髪の美女と見まごう外見として描かれており、聖剣技を得意としたと伝わる。
家畜を虐待する悪癖でもあったものか、「家畜暴力王」の悪名のみ伝わる。
ムスタディオ・ブナンザ(17歳)
機工都市ゴーグにて失われた文明の技術を蘇らせ、働く機工士。マイスターとして名高き父ベスロディオに師事するも、文明の遺産から聖石を発掘してしまったことでバート商会に追われ、ディリータの助力を得て聖石を取り戻し、その過程で「ライオネルの試練」に遭遇。
直後に異端者とされたディリータを追って去ったと伝わる。
相手の腕や足を狙い、苦しむ相手を助けにきた仲間の腕や足をさらに狙うといった現代の狙撃兵にも等しい残虐な戦い方を好んでいたと伝わる。
バート・ルードヴィッヒ(56歳)
貿易都市ウォージリスの子爵。ライオネル一円に広い影響力を持つバート商会の会頭でもある。
異端審問にて証言者として参加している折に「ライオネルの試練」へ遭遇。そこは切り抜けるものの、その後異端審問会が本部を置くようになったライオネルでは外道働きがうまくいかなくなり、結局捜査の名目で異端審問会本部地下へと連れていかれる。一週間の聴取ののち帰ってきた彼は恐ろしい程に痩せており、その後も豆のスープを見ただけで発狂し泣き叫んだという。以後は異端審問会と過剰に距離を置き、細々とまっとうな商売を続けたと伝わる。
ザルモゥ・ルスナーダ(52歳)
当時の異端審問局のトップで、筆頭上級異端審問官の職にあった。叩き上げの実務家で、ライオネルでの異端審問の折は裁判長を務め、枢機卿の追い落としに大きな役割を果たしたと言われる。なぜエルムドア侯と組んでライオネル奪取に動いたかについては、窮屈な聖地ミュロンドではなくもっと自由に異端審問できる本部が欲しかったから…というのが衆目の一致するところである。その証左として、摂政宮オヴェリア擁立後もなんら政治へ口出しせず、むしろより一層異端者狩りに励み続けたという。
ガフ・ガフガリオン(53歳)
王女の護送を請け負った傭兵団長。道中で王女の命を狙うが、アグリアスらに阻止され失敗。さらなる指示を受けライオネル城へ戻ったところ、異端審問の証言者として身柄を押さえられる。「ライオネルの試練」後はただの雇われとして解放されるものの、異端者と変わらぬその汚れた剣を嘆かれ、「聖騎士になるくらい徳を詰み直させる」との意向のもと、新しい雇い主ザルモゥの預かりで異端者狩りのため剣を振るわされ続けたらしい。
ベイオウーフ・カドモス(31歳)
ライオネル聖印騎士団の元団長。婚約者レーゼを竜にしたかどで異端者とされ、レーゼとともに放浪していたが、真犯人ブレモンダの異端審問の証言者として呼ばれ、「ライオネルの試練」へ遭遇。異端認定解除後は騎士団団長に復帰し、新たなる領主オヴェリア王女に仕えたという。
"人を竜に変える"という審問理由は同時代の他例と比べてもあまりにも荒唐無稽であるため、「精神に作用する薬物を盛った」という事の婉曲的表現か、あるいは「異端審問に不相当なレベルの言いがかりをつけられた」という同時代人の同情表現なのではないかと考えられている。
松野(60歳)
アルガスが時折口走っていた人物。
食うために未だに封建社会に生きるしかない現代人には刺さりまくる作品しか作らないことに定評があるらしい。
あと身内切りを描かせると筆がものすごく輝くらしい。
アルガス以外はその存在を語っていないため、おそらく架空の人物。