漆黒の破壊神   作:ライムライト

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お久しぶりです。ライムです。
お待たせしました。

前回から1年以上空けて申し訳ありませんでした。
相変わらず稚拙な文ですが最後までお付き合いください

それでは続きです


第6夜 【 奪われた日(上) 】

イギリスの数ある貴族の中でも特に高い地位にある家に生まれ……

何かに不自由することも無く生き

 

幼い頃から行われていた英才教育が辛くても…

《 オルコット 》の名に恥じぬように努力してきた

 

私は『 母 』の様に聡明で美しく、皆に慕われる人間になりたかった

私は『 父 』の様な母にヘコヘコとして何の取り柄もない情けない人間にはなりたくなかった

 

『 母 』は私を愛してくれた…大切に想っていてくれた…

 

…だけど母は死んだ

父と共に死んだのだ………

 

事故で亡くなった……

 

その事を私に伝えたのは母が幼い頃から務めてくれていたメイドだった

彼女には子供がいなかった……

だから彼女は母を実の子の様に想い、母が私にした様に大切にしていた

 

彼女から両親の不幸を伝えられたとき

まだ幼い私は、【 死んだ 】という事を理解できないで

ただ、彼女の大粒の涙を見て、自然と私も涙していた

 

悲しい事が起きた。とても、とても悲しい事が母に、彼女に起きたのだと理解した

だから私は護ろうとした

 

家を

 

誇り高き名を

 

母が遺したもの全てを

 

そのためにできることは何でもした

女性しか動かせない《 IS 》 も乗りこなせる様にした

誰にも私を《 オルコット 》の名を見下されぬ様に………

 

そうしてたらイギリスの代表候補に登り詰め

日本というちっぽけな島国にまで来てISを学びに来た

嘗められないように負けないように

 

周りは自分とは全く違う別の存在

誇りも何もないただの凡人

まして、父と同じ男など………

 

だったら、だったら何故………

 

何故、私は今、目の前の男を倒せない

何故、私は無様に消耗して浮かんでいるのか?

 

わからない。わからない。わからない。

 

いや、わからないはずはない………

 

彼にとって私は弱くて(・・・)

 

私にとって彼は強すぎる(・・・・)だけなのかもしれない

 

 

 

「これが()ですの? 私は本当は強くなかった………」

 

「間違っては いないな」

 

「え? 」

 

顔をあげてみるとISの小指の先をっ器用に使って耳を掻いていた百秋が寄ってきていた

 

百秋は、セシリアの頭をむんずっとつかみ、顔を近づけた

 

 

「世界はお前の思うよりも良くも悪くも広かった。ってことだ」

 

そう一言だけつげた

 

そして次の瞬間、セシリアの視界は暗転し、長く感じられた試合は千冬の声により終わりを告げた

だが、その終わりを試合を観ていた者達が自覚するまで、幾らかの時間を要した

それほど意外な幕引きだったからだ

それにあまりにも信じられない光景が目の前に広がっているからだ

実際にそういった状況に陥るのは無理もない

むしろ、コレ(・・)を見て驚かない方が難しい事だ

 

ISを解除した百秋は気絶したセシリアを肩に担ぐとその場を後にする

その場に残されたのは 百秋の足跡と…………

幾つもの巨大なクレーター(・・・・・・・)のあるアリーナだけだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナを出た百秋は誰もいない保健室へとやって来た

セシリアを一先ず、ベンチに寝かせる

カーテンの仕切りのあるベットの畳んである毛布をそばにある椅子にかける

百秋はすぐにセシリアをベットに移そうとはせずに

勝手に保健室の棚や引き出しを物色していた

少しして目当てのものを幾つか見つけたのかそれらを引っ張り出してセシリアの頭のあたりに置いた

 

「外傷は無し……。せいぜい汚れてるだけか」

 

ISには搭乗者の命を最低限守る為の装置がある。そうでもなければビームライフルや剣を使用するのに死人が出ないはずがない

それに元々、ISは宇宙での活動が目的だ。空気のない極寒の世界で活動はできない。その為の防御機能だ

 

百秋はISの防御機能が正常に動作し、自分がやり過ぎてないかを確認すると

引っ張り出してきたタオルを濡らすとセシリアの身体についた汚れを落とし始めた

 

「………一先ずは終わったか?……おい、起きろ小娘」

 

百秋はセシリアの細い腕や太ももなどを綺麗に拭くと軽く頬を叩く

が、目覚める様子はない

百秋はうんざりしたかのような顔をすると大きな溜息の後

セシリアのスーツを破り捨て下着も脱がす

 

 

そして再び溜息を漏らした。

 

一糸纏わぬ無防備な姿

どちらかと言うと植物性の食べ物を好んで食す日本人とは違い

やはり歳の割にグラマラスな体だが

残念なことに百秋は毛ほども興味がなさそうな表情のまま

手際よく保健室にあった下着、病衣を着せ布団を掛け

仮にも医者であるためか、妹(従姉妹)がいるためか実に慣れた作業行程だった

 

「……どうせ来るならもう少し早く来いよ」

 

百秋は破れたISスーツと下着をゴミ袋に突っ込みながら

誰もいない筈の保健室の入り口を振り返った

 

「……お前が派手に締めてくれた所為で呆気にとられた莫迦共の対処等に手間取ってただけだ

……これでも急いで来たんだぞ?」

 

開けっ放しの扉にちょうど百秋が振り向くと同時に着いた千冬

百秋に文句を言いながら千冬は眠っているセシリアの側に行く

 

「まぁいいよ。そんで? こいつの様子でも見にきたのか?」

 

背中を向けたまま何かを書いている百秋

眠っているセシリアの頬を指でなぞるように撫でている

 

「それもあるが………」

 

千冬はセシリアのベットの端に腰掛け

視線だけ百秋に向ける

 

「いい加減話しては貰えないか? 私にはあの話(・・・)を聴く権利があるのだろう?」

 

「そうだな………」

 

百秋は机に紙を置き立ち上がる

そして千冬の方に向き直ると

 

「この世界と俺の世界は幾つかの誤差的な事(・・・・・・・・・)を除けば大体同じようだ」

 

まず、前提はこうだ。っと前置きし扉や窓のカーテンを閉じると百秋は静かに話し始めた

普段のどこか覇気のない目つきではない真剣な眼差しから千冬も真剣にその話を聞くことにした………

 

 

 

 

 

 

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俺達が……大体小3,4ぐらいだったか?

ただでさえ帰ってくるのが不定期な俺達の両親がさらに家に帰って来なくなった事からだった

 

『……またか?いい加減にしろよ? 俺や千冬は兎も角……マドや一夏はまだ甘えたい盛りだ

あんたらが好きでやってる事、企業側があんたらの事を考えてわざと(・・・)返そうとしない事、何か大事な事をなそうとしてる事なのは俺達も理解しているつもりだよ。』

 

『俺達はあんたらの代わりに家事やら何やらはある程度できるよ……。あ? 偉い? 誰の所為だ?誰の!

……俺達はあくまであいつらの兄・姉であって親ではないんだ』

 

『忙しいのはわかるがもっと……』ガチャ

 

『切りやがった………』

 

俺らの両親は4人揃ってある企業の研究室に所属していた

それで本人達の希望か企業側が捕まえてるのか

まぁ、後者だったよ。奴らは子煩悩な方だったからな

それと当時に自分達が興味を持った事は時間を忘れるほど熱中して

何もかも……それこそ実の子供の事すら忘れちまうほどだった……

 

『どうだった? 何か言ってた? 』

 

『いつも通りさね。またなんかやってるらしい』

 

『そうか……』

 

『……』

 

『そうだ。一夏がこの前の剣道大会で入賞したのは言わなかったのか?』

 

『言ってない』

 

『お前が取材の記者らを病院送りにした事は伏せておけばよかっただろ?』

 

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「おい!「病院送りに」とは何だ! そもそもそこ重要か?」

 

興奮して叫ぶ千冬の口を塞ぎ

寝ているセシリアに視線を向ける

 

「静かにしろ。掻い摘みすぎても分かんないから言ってんだろ」

 

千冬を座らせると百秋は打って変わって悲しそうな顔をして

己の腕を睨む

 

「お前も覚えがあるだろう……? 俺達は人より力がありすぎる(・・・・・・・・・)…! 」

 

「⁉︎ 」

 

その言葉に千冬も顔を顰める

 

そうだ。自分達は常人よりも遥かに力を持っている

異常なほどに………

 

そして、それが一夏を苦しめていた事も理解している

 

千冬は唇を噛み一回深呼吸をしてから改めて顔を百秋に向ける

 

「俺らの両親一族は代々運動能力、知力、五感等が常人とはかけ離れた者が生まれる………」

 

「もっとも……それを活かして何かをやってた奴は少ないらしいがな……」

 

「俺らは更に歴代でも異常で五感、運動能力、体力、回復力等……全てが常人離れしていたよ」

 

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『びゃっ君みたいに人間やめてないよ』

 

-------

 

「……だから許せなかった。俺達ほど力のないマドや一夏を馬鹿にする言葉や態度が………

侮辱が許せなかった」

 

その言葉は千冬にはよく理解できていた

そして、同時に酷く心が痛んだ

 

「マドや一夏は俺達の模造品じゃない……あいつらはあいつらなのにな……」

 

「俺達にかなう奴なんていない………束ですらISの恩恵でお前とタメだ」

 

「……」

 

「だけど、俺んとこのお前だったら瞬殺……だろうな」

 

「何だと? 」

 

「……こっからが本題」

 

百秋は一瞬セシリアを見てから

何処から取り出したのか石………いや

人の頭はありそうな岩を片手でまるでボールのように遊んでいた

 

そして何も言わずにその岩を千冬に投げ渡す

 

「……」

 

その岩は見た目以上に重量がありそうだった

硬い本物の岩だった

 

「これが何だ? 」

 

千冬が問いかけると

百秋は何も言わずに渡した岩を返すように手を出す

 

千冬から投げ返された岩を先ほどのように遊びはじめ

逆に百秋は千冬に問いた

 

「お前だったらこれを壊せるか? 」

 

「素手でか? できない事はないだろうが………⁉︎ 」

 

グシャリ………

 

突然だった………

百秋はさっきまで遊んでた岩を片手で握り潰したのだ

桃を握りつぶすように……

いとも容易く岩を握り潰した

 

 

 

 

「お前だったらこれができるか?」

 

 

 

 

「無理だ」

 

素手で壊す事は出来ただろう

だが、握り潰す事はさすがにかなわない

だから「無理だ」と言った

 

「そうだろうな……いかに血の恩恵があれどもそれは人間としての力の範囲だ」

 

「オリンピックの選手を超えてもお前は人間の限界領域の中にいるんだ」

 

「だけど俺は違う………」

 

「ついでに言えば俺んとこのお前もそうだ」

 

「俺達は人間の域を超えてしまった……いや、超えさせられた(・・・・・・・)と言ったところか……」

 

「……」

 

千冬は生唾を飲んだ

そしてその意味をおおよそ理解した

 

百秋は続けた

 

「俺と俺の世界のお前の体は弄られているんだ。【改造人間】みたいな感じか?」

 

「それが……お前や私の両親達の研究か?」

 

「半分正解」

 

「結果としてそうなっただけだ」

 

 

 

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さっきの頃の数年後……

マド達がようやく小学校に上がった頃か………

一年近く帰って来ないし、連絡もあまりない

子供放ったらかしにしてる怒りとともに不安もあった

だから俺達はマド達を束の家に預けて2人で親父達のとこに向かった……

 

 

 

 

『………おい、百秋……まだか?さすがに疲れてきたんだが…」

 

『俺が分かるのは方角だけだ(・・・・・)。そのうち着く』

 

 

俺達はある山の中を歩いていた

大まかな場所は聞いていたから

後は、俺の生まれつきの能力………とでも言うのか

頭に思い浮かべた人間のいる方角がわかった(・・・・・・・・・・・・)

それだけを頼りに俺達は山道を歩いていた

 

結果として俺達は研究所らしき場所にたどり着いた

が、

 

辿り着くべきではなかった(・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

『………ここだな』

 

『…入り口は何処だ?』

 

山の中を歩き回って

俺達はトンネルの前に来ていた

途中までの道はろくに整備されてないことから

ここが鉱山だったのか……

よくは知らんがそこで行き止まりだった

 

疲労して座り込んでる千冬をほっといて

俺はトンネルの周りや木々に石ころまで……

そこらじゅうを調べまわっていた

 

親父達は近くにいる……

そう感じていた

 

それは千冬も同じなのか

俺のやっている事を黙って見ていた

 

数十分程して

トンネルの入り口の壁に空洞があるのに気づいた

 

『ここだ』

 

『スイッチは……これか!あったぞ百秋』ガコッ

 

壁の一部が凹むと

煩い音をたてながら

いかにも怪しい研究所のや特撮とかの秘密基地の入り口が現れた

 

中に入ると灯りがともり

長い道ができていた

 

そして辿り着いた……

親父達が働いている研究所に

 

『………どうやって入るんだ? 』

 

『俺達は親を迎えに来ただけだぞ? 正面から堂々と行くにきまってるだろ? 』

 

そこで俺は入り口のガラスを破壊して中に入っていった

千冬は唖然としてたがな……

 

『おい!どうするんだ! サイレンがなってるぞ! 』

 

『………』

 

『おい!百秋! 何とか言え! おい! 』

 

『し! 』

 

『むぐ⁉︎ 』

 

『………おかしい…』

 

『何がだ? 』

 

『俺達が侵入してだいぶ経つのに誰も来やしねぇ……』

 

『! そう言えばそうだ』

 

『それにこのサイレン……俺達が原因か? 』

 

『何を言う。じゃあ、原因は何だ! 』

 

『知るか! ここは研究所だぞ? トラブルでもあ …』

 

 

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「俺達はサイレンの原因がわかった………」

 

 

「? それでどうしたんだ? 」

 

「お嬢様もいい加減起きそうだし………」

 

椅子の背もたれを前に置いて寄っかかっていた百秋は

保健室の入り口に視線を向ける

 

「……こっから先はプレミア会員限定だ……課金してから出直してこい(・・・・・・・・・・・・)

 

百秋は入り口を睨むと同時に

千冬も一瞬震えてしまうほどの殺気を飛ばす

 

「だれが居たんだ? 」

 

「あ? かたn……楯無だろう? こっからはまだ(・・)聴かせるべきじゃない」ガタッ

 

「楯無? 更識の事か? 」

 

「………………」

 

百秋は近くに来いと人差し指を動かす

そして千冬の耳に口を近づけた

 

「〜〜〜………」

 

「⁉︎ 」

 

 

 

 

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保健室から少し離れたとこにある階段

そこに透き通るような水色の髪の少女が階段に座り

扇子を口を隠すように広げる

 

 

 

 

「やっぱり、一筋縄ではいかないわね………」

 

「あの様子だと最初から気づいて話をしていたのかしら? 」

 

「でも面白い話が聴けたわ♪ 」

 

「篠束 百秋………いえ、織斑 百秋(・・・・)………」

 

 

百秋の名を呟くと少女は自分の体が震えていた事に気付いた

 

「……続きはプレミア会員になってから聴きましょうか………」

 

震えを止め少女は階段を登って行く

 

その口元は悪巧みを思いついた子供のように笑みで歪んでいた

 

 

「…………そう言えば、妹がいるって言ってたわね………。妹、妹……か 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-つづく-

 

 

 

 





次回は鳳 鈴音の登場です
次回もよろしくお願いします
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