【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい 作:もく
デンジが4課に来て2日後
スマホが震えた
画面に表示された名前を見て、僕は一瞬だけ電源ボタンに指を伸ばしかける
――マキマ
無視、という選択肢が頭をよぎる
でもマキマは上司だ
あとで面倒になる未来が見える
仕方なく通話ボタンを押した
「……はい」
『出るのが遅いね。そんなに私の電話に出るのが嫌だったのかな』
「そういうわけじゃ――」
(どう考えてもそうだろ、自覚しろよ)
心の中に割り込んでくるクロの声に、僕は小声で返す
「シー! また強い悪魔の仕事回されるから静かにしてて」
『何か言った?』
「いえ何も」
マキマは気にした様子もなく続ける
『デンジ君とパワーちゃんが外出してから行方がわからなくなっちゃったの。私は本部で降りるけど、今運転しているアキ君と合流して探してくれないかな。ちょうど4課に回ってくる悪魔もいないから』
「はーい」
通話が切れる
面倒だなあ、と本音を飲み込んで僕は現場へ向かった
姫野と真面目そうな新人の男、それから怯えた様子の新人の女
そこへ少し遅れてアキが合流する
息が上がっていた
「あんなガキのために悪いな」
「問題ないよ。今デンジは蝙蝠の悪魔と戦ってる。もうすぐ落ちてくるよ」
僕とアキは先に走る
後ろで姫野が新人2人に説明している声が聞こえた
デンジはちゃんと蝙蝠の悪魔を倒した
だけどその直後、ヒルの悪魔が現れ、血が足りず変身できないデンジを捕まえる
「いただきまアアす」
僕は軽く首を傾げた
「もういいんじゃないかな。どっちがやる? じゃんけんする?」
「遅いだろ……一応同居人だからな。俺がやる。コン」
狐の悪魔がヒルを丸呑みにする
煙と共に消えていった
追いついてきた姫野たちに僕は指示を出す
「新人2人は生存者の救出と避難誘導。姫野は警戒お願い」
素直な返事が返る
その後、事情聴取へ向かうデンジとパワーを見送り、僕とアキは死体処理を眺めていた
「助かってよかったね。でもさ、アキ。パワーとデンジを組ませたの、わざとでしょ」
「何のことだ」
アキはとぼける
デンジはまだ16歳だ、義務教育すら受けていない
優しいアキなら危険な役目から遠ざけようとするはずだ
「仮に善意だとしてもさ、その善意が誰かを傷つけることもあるよ」
アキは少し黙った
「お前たまにまともなこと言うな。本当に年下か?」
「ちゃんと年下だよ。でも本当にまともな人は“善意が人を傷つける”なんて考えないと思うな」
アキが小さく呟く
「……善意なんかじゃねえよ」
(絶対善意だ)
僕は心の中で断言した
病院
デンジとアキが2人で話すらしく、僕は病室の外で姫野とパワーと待っていた
「退屈ー。時間進めちゃだめ?」
「ダメ。私が暇になる」
姫野がにやにやしながら聞いてきた
「今回の件、どう思った? あの子のどこが気に入ってるの?」
「素直なところかな。バカだけど、たまに核心を突く」
「へえ」
そこへアキが出てきて、りんごを一切れ投げてくる
「遅いよ。あ、ありがと」
パワーが手錠を外せと騒ぎ、姫野が茶化す
「何かしたら殺されるのはわかってるでしょ。マキマさんが“人を殺すな”って言えば聞くよ、たぶん」
パワーは慌てて肯定する
アキは真面目な顔で言う
「利用するだけだ。馴れ合うつもりはない」
「「アキ(君)嘘つき、ツンデレだ」」
「ぶん殴りますよ」
少しだけ、いつもの日常が戻っていた
2日後 森野ホテル
銃の悪魔の肉片が反応している
僕たち特異4課7人が出動することになった
アキ、姫野、僕、デンジ、パワー、新人2人
「危険になったら頼むぞ」
「はいよ」
ホテルの8階
異様な気配
階段を上がったはずなのにまた8階に戻る
「さっき9階行ったよね?」
デンジに降りてもらうと、上から戻ってくる
「ふーん……」
窓は外に出られない
時計は8時18分で止まっている
『永遠だな』
声が響く
パワーが目を指差した
「目が喋っておる!」
アキが眉をひそめる
「クロか。なんで知ってる?」
僕の右目が疼き、クロが姿を現す
今度はデンジが指差した
「アイスの兄ちゃん!」
クロは軽く手を挙げて笑った
「で、なんで俺が知ってるかだったな」
そして、さらりと言った
「コイツは俺の眷属だからな」
「「「「え」」」」
少しずつ伸ばしていきます
早くレゼ出したいんで
8話で書いた裏設定について
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知ってる ここには書かないで(他作品へ)
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知ってる 終盤に触れてほしい
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知らない