【本編完結】時間の悪魔はデンジとレゼを幸せにしたい   作:もく 

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10点をいただきました!本当にありがとうございます!

次は新人歓迎会で1話潰れちゃうかな


11話 永遠の時間と永遠の痛みを

デンジとパワーは、いつの間にか床に転がって寝息を立てていた

難しい話になると本当に早い

姫野は天井を見上げたまま、ぽつりと呟く

 

「ここの悪魔が眷属ね……裏切ったの?だから今日のやつにヒカリ君がついてきていたのかな」

 

「ちげえよ今回のはたまたまだ」

 

ヒカリは腕を組んだまま、悪魔の気配の方を見据える

 

「眷属なら銃の悪魔の肉片吐き出してとかここから出してとか言えないの?」

 

クロは鼻で笑った

 

「コイツは勘づいているだろうな、それでもなにもしないってことは俺にも勝てるって自信があるってとこだな。要は銃の悪魔の肉片食って調子乗ってんだ」

 

そのとき、壁の奥から声が響いた

 

「チェンソーと時間の心臓を寄越せ、そうしたら他のデビルハンターは全員無事に外へ返す。契約しろ……」

 

クロが肩をすくめる

 

「な?あと時間の心臓ってのはヒカリの心臓のこと、完全契約してるから所有権がお前の心臓に入っちまってんだ」

 

ヒカリは露骨に顔をしかめた

 

「巻き込まないでよ……」

 

アキが横目で見る

 

「でも心臓がどうだろうが関係ないけどとか思ってんだろお前は」

 

ヒカリは小さく笑った

 

「よくわかってんじゃん、さすが同期だね」

 

その軽さとは裏腹に空気は重い

今回の任務は新人には酷だと判断し、荒井とコベニは一度寝かせることになった眠れているかはわからない

それでもこういう閉鎖空間の圧迫感に慣れるのも経験だ

ヒカリが場を仕切る

 

「とりあえず情報交換しようか、何か打開策が見つかるかもしれない」

 

アキが姫野を見た

 

「姫野先輩の新人達はどんな感じですか」

 

「荒井君は実力不足だけどやる気は十分って感じ、逆にコベニちゃんは引っ込み思案だけどかなり動けるかな。アキ君の方は?」

 

「血の魔人は強いですが短気でまだ裏切る可能性があります、デンジはまだ知らない要素が多すぎてわかりません。ヒカリはどう見てる?」

 

ヒカリは迷わない

 

「デンジは使えるよ僕は彼に関してはアキより詳しいからわかる」

 

姫野が煙草をくゆらせながら言う

 

「新人4人……生き残れると思う?」

 

アキは少し間を置いて答える

 

「…1年あれば民間に行きます」

 

「答えになってないなー……アキ君は死なないでね」

 

その言葉で、空気が止まる

 

3年前の光景が2人の脳裏をよぎった

 

――岸辺が姫野に新しいバディを紹介した日。

 

「姫野……お前の新しいバディだ。無礼だが少しは使えるように育てた、上手くやれ」

 

「…俺はアキ、よろしく」

 

「君は使えるの?私のバディ、君で6人目、全員死んでるの。使えない雑魚だから全員死んだ……」

 

「アキ君は死なないでね」

 

 

 

ヒカリが吹き出した

 

「俺はアキ、よろしくって……無礼すぎるでしょ」

 

「あー!勝手に過去見たでしょ!さいてー!」

 

「お前な……」

 

「2人が悪い!勝手に2人で回想入らないでよ置いてきやがってー!……それよりさ姫野」

 

そこでヒカリの声が落ちる

 

「アキよりも自分の命大事にしなよまともな奴から死んでくって先生言ってたじゃん」

 

その声音は、さっきまでの軽さが嘘のように冷たかった

アキは思う

時々ヒカリから年齢と釣り合わない何かが滲む、以前にも同じようなことがあった

姫野は苦笑して答えた

 

「わかってるよ。私は君みたいに強くない。でも私にも切り札はある、死ぬにしてもタダじゃ死なないよ」

 

ヒカリはゆっくり息を吐いた

 

「先生とは違う僕の恩師の言葉だけどさ……死んで勝つと死んでも勝つは全然違うよ。切り札なんかどうでもいい。死ぬ前提で話すな、それ無しで勝てよ。先輩だろ」

 

クロが割って入った

 

「その辺にしてやれ。アキ、俺は永遠の悪魔の話でもすればいいか?」

 

「……ああ、頼む」

 

「つっても言えることは少ないけどな、眷属って言ったがループに関連があったくらいで関係は薄い。でも眷属にあることに変わりはねえ。ヒカリ、この空間なら自由だぜ消費寿命は0だ。あとは好きにしろよな。あっ永遠の悪魔の肉片取っといてくれ、じゃな!」

 

クロは右目に戻る

ヒカリもいつもの軽さに戻った

 

「ごめん、つい……でも今話したのは本心だからさ、簡単に死ぬなんて言わないでよ」

 

「ごめんごめん」

 

 

意外な一面を見た気がするな、とアキは思った

重苦しい沈黙を、ヒカリがわざとらしく叩き割った

 

「さてと……一旦状況整理でデンジとパワーを起こしますかぁ。おーいデンジー!」

 

床に転がる2人の足を軽く蹴った

アキが呆れた顔をする

 

「なんで起こすんだよ…こいつら信じられないほどバカだぞ」

 

ヒカリは肩をすくめた

 

「いろんな視点がいるんだよ、アキの言う信じられないほどバカな頭はこういうときに役に立つ時があるの!」

 

デンジがもぞもぞと起き上がる

 

「んあ〜……ん?8階から出られるようになったのか?」

 

「まだだよ」

 

一方パワーは胸を張った

 

「ワシは暇だからノーベル賞を考えておった!」

 

どうやらノーベル賞を“発明”し、人類をひれ伏させ、それを踏み台に総理大臣になり、消費税を100%にするらしい

さすが悪魔、発想が物騒でスケールだけは無駄にでかい

その横で、姫野がぽつりと呟いた

 

「あーあ……最後のタバコ吸い終わっちゃった」

 

ヒカリがちらりと見る

 

「戻せるよ、さっきの謝罪って言うか……やる?」

 

姫野は少しだけ目を細めて笑う

 

「うん、ありがと。アキ君に渡してあげて。私も発言には気をつけるよ」

 

ヒカリは指を鳴らす

ほんの数分前に吸い終えた煙草が、時間を巻き戻したように元の長さで彼の手に戻った

ちょうどそのとき、トイレに行っていたアキが戻ってきた

ヒカリは何でもない顔で差し出す

 

「はいタバコ、姫野の吸ったやつ」

 

アキが一瞬止まり、それから受け取る

 

「……サンキュ」

 

「わざわざ言わないの」

 

姫野が肘で軽く突く

アキが煙を吐いた直後、表情が変わった

 

「フー……悪いニュースがある永遠の悪魔の物かわからないがさっきの悪魔が大きくなってる」

 

その瞬間、壁の奥から濁った声が響いた

 

「心臓寄越せ……食わせろ……食わせろくわせろクわせろクワセロ……心臓を寄越せぇ!」

 

廊下が軋む

床が傾き、九十度に折れ曲がる

視界の下方――開いた巨大な口

本体ではない、だが明らかに“捕食”の構えだった

ヒカリは覗きながら冷静に観察した

 

「刻み続けたら勝てそうじゃない?……と言ってもあの口の中でやるのは危険か。デンジ、あの中であいつの血を飲み続けてチェンソーで切り続けることできる?」

 

「任せな、糞痛えけどアイツが死にたくなるまで痛めつけてやんよ!」

 

スターターが引かれる

 

ブゥン

 

「ギャアアアアアアアアアア!!!!」

 

「いってえなあ!」

 

ブゥン

 

「完〜治!」

 

血が噴き出し、肉が裂ける

 

「昔よりずっと弱くなってる!哀れ!チェンソー!」

 

永遠の悪魔の嘲りに、デンジは笑い返す

 

「うるせえなあ!ヒカリから聞いたの試したらめっちゃ楽になったぜ!テメエが俺に切られて血イ流して!俺がテメエの血イ飲んで回復…!永久機関が完成しちまったなアア〜!」

 

チェンソーの音が反響する

 

「チェンソーォォォォォォ!!!!!!」

 

肉が裂け、悲鳴が増幅する

 

「永久機関完成したらノーベル賞なんだろお!?これでノーベル賞は俺んモンだぜ〜!」

 

絶望の閉鎖空間でたった一人、“痛みを恐れない馬鹿”が構造を破壊し始めていた

ヒカリはそれを見下ろしながら、薄く笑う

――やっぱりイカれてる、最高じゃん

 

 

 

ヒカリは指を鳴らす

 

「お、いい感じだね。じゃあここでノーベル賞追加受賞といこうかな」

 

ヒカリが指を鳴らした途端永遠の悪魔の悲鳴がさらに大きくなる下では永遠の悪魔の血が肉が飛び散る地獄絵図

 

「くっ…!うるせえな…何をしたんだ?」

 

「永遠の悪魔の痛覚をループさせた、1回毎にリセットされてどんどん痛みが蓄積されて今とんでもない痛みに襲われてるとこかな。おまけにあいつの体感時間めっちゃ伸ばしてる」

 

「1時間くらいかな、1時間後のダメージは脅威の3600倍♪どうする?1時間断末魔聞くのも嫌でしょ?飛ばす?」

 

アキが目を伏せる

 

「……悪い、頼む」

 

「おっけー」

 

――カチッ

 

一瞬で1時間経った

 

「これが私の急所です…私の心臓です…すいませんでした…早く殺してください…」

 

ヒカリは静かに着地する

肉片を回収し、銃の悪魔の欠片も確保した

デンジとパワーは倒れ込んだ

 

「……お疲れ様。アキ、姫野!運んであげて!」

 

こうして7人は、無事ホテルを脱出した

だがアキの中には残っていた

ヒカリのあの言葉

 

――死んで勝つと死んでも勝つは全然違う

 

あれは軽口ではない

 

次に誰かが“切り札”を使おうとしたとき、

きっとヒカリは笑わないだろう

8話で書いた裏設定について

  • 知ってる ここには書かないで(他作品へ)
  • 知ってる 終盤に触れてほしい
  • 知らない
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